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在職老齢年金の基礎知識について 年金支給停止額・年金支給額の計算の仕方を教えてください

在職老齢年金制度による年金支給停止のしくみ

(2023年4月4日一部修正)(2022年4月30日)

老齢厚生年金を受けることができる方が厚生年金の被保険者となる形で働く場合の給与と年金との調整の仕組み(在職老齢年金)」における年金支給停止額の計算式は、60歳代前半も60歳代後半も次の通りとなります(令和5年度分の年金の場合)。
(役員も従業員も同じ調整の仕方が適用されます。)

 

  • 年金月額と給与月額との合計額が48万円以下であれば年金は全部受け取れます。
  • 年金月額と給与月額との合計額が48万円を超えると、一定の計算式に基づいて年金が減額されます。

 

この「48万円」という数字(支給停止基準額)は、年度により1万円単位で改定されることがあります。
また、令和3年度以前の65歳までの在職老齢年金制度の支給停止基準額は「28万円」でした
 

(注)上記の「年金月額」、「給与月額」は、正確にはそれぞれ次の指標を用います。

・年金月額:正確には「基本月額」=加給年金額・経過的加算部分(差額加算)を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額÷12
(注)65歳到達月までの「基本月額」は、特別支給の老齢厚生年金÷12
 

 

・給与月額:正確には「総報酬月額相当額」=標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12



それでは、厚生年金に加入しながら働いて年金が減額される例を具体的に詳しく見ていきたいと思います。

基本的な年金カットの仕組みは次の通りです。
 

  • 年金月額と給与月額との合計額が48万円を超えると、超えた分の2分の1に相当する金額だけ年金がカットされる。
     

(ここでもやはり、「年金月額」は正確には「基本月額」、「給与月額」は正確には「総報酬月額相当額」です。)

例えば年金月額が10万円、給与月額が50万円、その月以前1年間の賞与支給がなしなら、年金がカットされる金額の計算式は次の通りとなります。

 

{(10+50)−48)}×2分の1=6万円

 

したがって、この場合は、本来10万円もらえるはずの老齢厚生年金(報酬比例部分)が、厚生年金被保険者として働いているだけで6万円カットされ、実際に支給される年金(月額換算額)は4万円(10万円-6万円)となります。


年金月額が10万円、給与月額が62万円、その月以前1年間の賞与支給がなしなら、年金がカットされる金額は次の通りとなります。


{(10+62)−48)}×2分の1=12万円


この場合は、(年金額10万円−年金カット額12万円)<0円ですので、年金は全額支給停止となります。

 

以上より、給与月額から考えると、従業員さんであれば年金が全額もらえるか一部支給停止で済む方が多いものの、経営者の方の場合は、多くの方が特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給停止となってしまうことがわかると思います。

年金月額が10万円なら、給与月額が57.5万円以上でもうこれらの年金が全額支給停止となります。)←報酬月額算定基礎届や報酬月額変更届に基づく報酬月額が57.5万円以上60.5万円未満の場合、標準報酬月額は59万円となるためです。

 

なお、65歳以降は老齢厚生年金とは別に全国民共通の老齢基礎年金を受け取ることができます。

この老齢基礎年金は厚生年金に加入する形で働いても、給与月額がいくら高くても一切減額されません。

また、老齢厚生年金の経過的加算部分(差額加算)も減額されずにもらえます。

 

したがって、65歳以降の経営者の方で役員報酬が高い方は、通常は老齢基礎年金と差額加算のみを受給されていることとなります。

 

しかし65歳以降の経営者の場合、役員報酬最適化を活用すれば、年収を下げずに老齢基礎年金だけでなく老齢厚生年金も全額受け取れるようになります。
65歳未満の経営者も、役員報酬最適化を活用すれば、年収を下げずに特別支給の老齢厚生年金を全額受け取れるようになります。

 

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70歳以降の在職老齢年金のしくみ

それでは、70歳以上で厚生年金適用事業所で働く方の場合はどうでしょうか。


結論から言うと、70歳以上の方も70歳未満の場合と全く同じ仕組みで年金が支給停止されます。


平成27年10月1日以降は、昭和12年4月1日以前生まれの方であっても、年金と報酬との調整の仕組みの対象となっています。(激変緩和措置あり。)ご注意ください。


70歳になると、厚生年金適用事業所に勤務していたとしても厚生年金の被保険者資格を喪失します。

したがって、厚生年金保険料はもう支払わなくてもよいこととなっています。

 

しかし、年金をもらう方に関しては、厚生年金適用事業所に常勤で在職中であれば、70歳以降も引き続き同様の仕組みで年金が減額されます。

 

役員報酬が一定額以上の経営者の方であれば、現役でばりばり働かれている限り、ずっと老齢基礎年金とごくわずかな「経過的加算部分(差額加算)」しか受け取れないということになってしまいます。

 

長年多額の保険料を支払ってきたにも関わらず、一定以上の報酬額で現役で働き続ける限り、いつまでたっても老齢厚生年金をほとんど受け取ることができない仕組みになっています。


そこで、役員報酬を引き下げるか常勤役員を退任すれば老齢厚生年金を受け取ることができると情報を聞いて、65歳や70歳で代替わりをされる経営者も多く目にします。


中には、会社の経営ビジョンや役員さんの将来設計の観点から代替わりを検討するのではなくて、年金支給停止の仕組みに影響されてやむなく代替わりをしてしまうという例もあるのではないでしょうか。
 

私どもでは、65歳以上になっても、70歳以上になっても、経営者の年収を下げずに、常勤役員を退任することもなく、現役で働きながら老齢厚生年金を全額受給できる役員報酬最適化という手法を活用した「年金復活プラン」の情報をご案内しております。

次の二つの要件を両方とも満たす経営者の方であれば、「年金復活プラン」を活用いただくことで確実に老齢厚生年金をもらえるようになります!

1.役員報酬が高いので、老齢厚生年金が支給停止となっている。

2.他の法人から報酬を受け取っていない。

在職老齢年金制度による年金支給停止額の計算と年金事務所でもらえる「試算結果」記載の「停止額」

(2023年4月4日一部修正)(2022年11月7日追記)


65歳までの特別支給の老齢厚生年金や65歳からの老齢厚生年金をもらいながら代表取締役等として厚生年金保険に入って働くと、会社から受ける給料に応じて、報酬比例部分の年金がカットされます。



「在職老齢年金制度」というしくみですね。


在職老齢年金制度による年金支給停止額の計算式は、次の通りです。



●年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額+総報酬月額相当額-基準額)÷2


・基本月額は:調整の対象となる年金の月額換算額のこと。つまり、「報酬比部分の年金額÷12」


・総報酬月額相当額とは:調整の対象となる給料の月額換算額のこと。
 つまり、「その月現在の厚生年金保険の標準報酬月額+その月以前の1年間の厚生年金保険の標準賞与額の総額÷12」

・基準額とは:令和5年度現在48万円。
基準額は、法定のルール(次のページで詳しく解説しています)に基づいて、年度により1万円単位で改定されることがあります。

在職老齢年金制度の基準額(「支給停止調整額」)改定のしくみ




ところが、「年金事務所の年金相談でもらった試算結果に記載されている年金の停止額が、上記計算式で計算した年金支給停止額を12倍したものとは、微妙に異なりますがなぜでしょうか」との質問をいただくことがあります。



両者の違いはごく少額のため、今後の働き方や給料の設定を検討するにあたって気にする必要はほとんどないのですが、違いが生じる理由は、在職老齢年金制度の年金支給停止額
計算が、実際には、次のような計算式で年額を算出されているためです。




●年金支給停止額(年額)
={調整の対象となる年金の年額(報酬比例部分の年金額)+調整の対象となる給料の年額(その月現在の厚生年金保険の標準報酬月額×12+その月以前の1年間の厚生年金保険の標準賞与額の総額)-基準額×12}÷2


・年金支給停止額が少なくなるように(本人が得をするように)、1円未満の端数は切り捨て。


このようにして算出された年金支給停止額(年額)が、年金事務所でもらえる「試算結果」の、特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金の「停止額」には印字されています。


(注)実際の年金支給停止は、2か月に1回偶数月(毎年度4月、6月、8月、10月、12月、2月)に2か月分(前々月分および前月分)が支給されます。

なお、各期支払額に生じた1円未満の端数は切り捨てられ、切り捨てた端数の合計額を2月期の支払額に加算して支払われます(各期の端数の合計額に1円未満の端数が生じたときは切り捨てられます)。
支給停止等により、2月期に年金支払いが無い場合は、端数額の加算は行われません。



(注2)「基金代行額」がある人は、上記文章中の「報酬比例部分の年金」をすべて「報酬比例部分の年金+基金代行額」と読み替えて下さい。


在職老齢年金計算における「基金代行額」の取り扱いについては、以下のページを参照ください。

厚生年金基金加入期間のある人に企業年金連合会から支給される年金と在職老齢年金制度

 

令和3年度までの60歳代前半の在職老齢年金・4つの年金支給停止額計算方法について補足解説

2021年1月25日一部修正)(2017年1月24日)
(注)令和4年度以降の在職老齢年金制度についてお知りになりたい方は、以下の情報をお読みいただく必要はありません。
 

令和3年度までの60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金を働きながらもらう場合の年金支給停止額の計算式は、全部で4つあります。

 

日本年金機構のホームページ・リーフレットや市販の年金解説本等にもそのように記載されています。
(例えば、下記の日本年金機構ホームページでは、計算方法1~計算方法4とされています。)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-02.html

 


しかし、現役社長様向けに、60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金を働きながらいくら受けられるかを説明する場合、私どもでは、通常次の計算式(日本年金機構HPの「計算方式1」)

のみを使用して説明しています。

計算方法1:年金支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2


「基本月額」とは、特別支給の老齢厚生年金の年金額を12で割ったもの、つまり、年金の月額換算額です。


一方、「総報酬月額相当額」とは、その月現在適用されている「標準報酬月額」+その月以前の1年間の「標準賞与額」の総額÷12です。

総報酬の月額換算額に相当する額、というほどの意味ですね。

ただし、報酬は現在適用されている標準報酬月額を用いて、また、賞与は標準賞与額という指標を用いて計算しますので、単純に年収ということではありません。


なお、その月以前の1年間に賞与がない場合は、その月の「総報酬月額相当額」=その月現在適用されている「標準報酬月額」となります。

 


ところで、経営者の場合、次の1に該当する方以外に、2に該当する方も多いですよね。

1.「基本月額」が28万円以下で、「総報酬月額相当額」が47万円以下。

2.「基本月額」が28万円以下で、「総報酬月額相当額」が47万円を超える。


2に該当する方の特別支給の老齢厚生年金の支給停止額の計算式は次の通りとなります。
(日本年金機構HPの「計算方法」3)


年金支給停止額={(47万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}

 

「私の場合は、総報酬月額相当額が47万円を超えるから、計算方法3で計算すべきなのに、計算方法1で説明するのはおかしいのではないか。」

と疑問に思われる方もおられるかもしれませんので、今日は少し補足解説をしてみます。


例えば、次のような事例で考えてみます。

60歳代前半社長で、特別支給の老齢厚生年金120万円。
報酬月額100万円で、その月以前の1年間に賞与なし。


【計算方法1で計算すると】
年金支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2
=(65万円+10万円-28万円)÷2
=23.5万円

年金支給停止額23.5万円≧基本月額10万円ですので、特別支給の老齢厚生年金支給額は0円となり、年金全額支給停止。

 


【計算方法3で計算すると】

年金支給停止額={(47万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}
={(47万円+10万円-28万円)÷2+(65万円-47万円)}
=14.5万円+18万円
=32.5万円

年金支給停止額32.5万円≧基本月額10万円ですので、特別支給の老齢厚生年金支給額は0円となり、年金全額支給停止。


(計算方法1・計算方法3ともに、2020年9月以降、厚生年金保険法の標準報酬月額の上限は65万円であることにご注意下さい。)


どちらの計算方法で計算しても、結局年金は全額支給停止ですね。

基本月額28万円以下・総報酬月額相当額47万円超の人について年金支給停止額を正しく計算する場合は、もちろん計算方法3で計算するのが正しいのです。


計算方法3の意味するところは、次の通りです。
・総報酬月額相当額が47万円を超える場合は、総報酬月額相当額47万円以下の部分と総報酬月額相当額47万円を超える部分とにわけて考える。

・総報酬月額相当額が47万円以下の部分については、基本月額と足して28万円を超えた分の半分だけ年金をカットする。
・総報酬月額相当額が47円を超える部分がいくらあるかを計算して、超えた部分と同額だけ、さらに年金をカットする!

(該当する方からすると、報酬が高いだけで、なんて厳しい支給停止の仕組みなんだと思われるところだと思います。)


一般の経営者の場合、計算上の正確な年金支給停止額がいくらとなるかを算出されたいわけではなくて、権利が発生している特別支給の老齢厚生年金額はわかっていて、その上で、社長・役員として働きながらいくら年金がもらえるのかをお知りになりたい方がほとんどでしょう。


そこで、私どもでは、総報酬月額相当額が47万円を超える場合であっても、計算法1のみを用いて説明をしています。


年金支給停止額が基本月額以上となる場合は、年金支給停止額をどれほど正確に算出したところで、結局もらえる年金額は0円となります。


「基本月額-年金支給停止額」がマイナスになっても、年金が全額支給停止となるだけで、それ以上お金を取られたり、マイナスが翌月以降に繰り越されたりするわけではありません。


(基本月額≦計算方法1で計算した年金支給停止額≦計算方法3で計算した年金支給停止額となるときに、計算方法3で正確な年金支給停止額を算出しても実務上あまり意味がないということですね。)


なお、「総報酬月額相当額」「基本月額」の合計額が28万円以下の方(特別支給の老齢厚生年金が支給停止とならずに全額支給される方)の場合であっても、計算方式1で計算すると支給停止額=0円と正しく計算できることとなります。

結局、60歳代前半の在職老齢年金計算式としては、計算方法1一つだけを覚えておけば実務上はこと足りるということですね。

65歳以降の在職老齢年金については、60歳代前半の計算方法1の「28万円」を「47万円」に変えるだけで計算できますので、この点でも覚えやすいと思います。


その他、
・基本月額が28万円を超え、総報酬月額相当額が47万円以下のときは、
支給停止額=総報酬月額相当額÷2
・基本月額が28万円を超え、総報酬月額相当額が47万円を超えるときは、
支給停止額={(47万円÷2)+総報酬月額相当額-47万円)}
がそれぞれ正しい計算方法です。
(日本年金機構HPの計算方法2および計算方法4)

しかし、これから特別支給の老齢厚生年金がもらえるようになる方で、基本月額が28万円を超える方はおられないと思いますので、解説を省略します。

 

 

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社長の年金本 第4弾

「社長の年金 よくある勘違いから学ぶ在職老齢年金」(奥野文夫著 日本法令 2020年2月刊)