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(2017年5月2日)
最近、「働き方改革」が大きくクローズアップされています。
政府の推進している働き方改革のポイントは次の二つです。
1. 多様な働き方の整備
2. 生産性の向上
これら二つを多くの企業が実現しやすいように、雇用保険料の一部を財源とした助成金制度が用意されています。
今年度からは、特に上記2の方の実現を後押しするため、多くの助成金に「生産性要件」が導入されています。
一般的に、労働分野で「生産性」という言葉を使う場合は、「労働生産性」という用語が使用されます。
労働生産性というのは、従業員1人当たりどれだけの付加価値を生み出しているのかを表す指標ですね。
(労働生産性=付加価値÷従業員数)
一方、現在多くの助成金の支給額加算要件として使用されることとなっている「生産性」は次の計算式で算出されます。
生産性=(人件費+減価償却費+動産・不動産賃貸料+租税公課+営業利益)÷雇用保険被保険者数
分子(付加価値)は、「人件費+減価償却費+動産・不動産賃貸料+租税公課+営業利益」と定義されています。
また、分母(従業員数)は、雇用保険被保険者数とすることになっています。
詳しくは、「生産性要件算定シート」を厚生労働省が公表しています。
この生産性の計算式で注目すべき点は、分子(付加価値)の構成要素ですね。
人件費も営業利益も両方分子に含まれているということです。
したがって、もし人件費を減らして営業利益を増やしたとしても、分子は増えないため、生産性がアップしたとはみなされないということですね。
一般に役員報酬の支払い方を変更することで、社会保険料の会社負担が変動したり、年金受給額が増えることとなります。
年金受給額が増えることによって、現状と同じ手取り収入を確保するために会社が負担すべき報酬額が減り、会社の営業利益が増えることにもつながります。
しかし、雇用保険助成金の生産性計算においては、人件費・営業利益がともに分子に含まれますので、それらの内訳が変わっても総額が変わらなければ生産性はアップしないこととなります。
つまり、役員報酬最適化・年金復活プランを導入されても、それだけでは雇用保険助成金で使用される生産性には影響がない、ということになります。
(2017年9月25日追記)
2017年10月より、生産性要件計算における人件費、次のものが含まれなくなりました。
・従業員の退職金
・役員の報酬、賞与、各種手当、退職慰労金
・出張旅費などの旅費交通費(通勤費を旅費交通費の中に含めている場合を含む)
・派遣労働者に係る派遣手数料に相当するもの(外注加工費など)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000176097.pdf
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