60歳以上現役社長の老齢厚生年金受給・役員報酬最適化なら滋賀県大津市の労務財務の専門家・FP奥野文夫事務所にお任せください!
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(2018年5月29日)
【問題】
次の3人を、もらえる年金額が多い順番に並べてください。
Aさん:法人の代表取締役(60歳・男性)
高校卒業後会社員として厚生年金加入。
30歳のとき独立してすぐに法人を設立し代表取締役に就任。継続して厚生年金加入。
現在の報酬月額は70万円。
年金をもらえる年齢になってもいまの報酬のまま一生涯働き続ける予定。
65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額は150万円。
Bさん:60歳で来月定年退職予定の会社員(男性)。
現在の報酬月額30万円。
高校卒業後定年まで厚生年金に加入。
定年後の勤務予定はなし。
65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額は100万円。
Cさん:一度も厚生年金に加入したことのない自営業(60歳・男性)。
20歳から60歳まで国民年金に加入。
直近の厚生年金保険料(被保険者負担分)は、それぞれ次の通りです。
Aさん:毎月56,730円
Bさん:毎月27,340円
Cさん:0円 ただし、60歳までは国民年金保険料(平成30年度は月額16,340円)を毎月負担
これまで負担してきた厚生年金保険料(被保険者負担分)の累計額は、それぞれ次の通りとします。
Aさん:1,500万円
Bさん: 900万円
Cさん:0円(一度も厚生年金に加入しなかったため)
【回答】
もらえる年金が多い順番は次の通りです。
第1位 Bさん(従業員)
第2位 Aさん(社長)、Cさん(自営業)
【解説】
いかがでしょうか。
第1位 Aさん(社長)
第2位 Bさん(従業員)
第3位 Cさん(自営業)
の順にもらえる年金額が多くなるような気がしませんでしたか。
65歳からもらえる老齢年金には、次の二つの年金があります。
1.全国民共通の老齢基礎年金
2.厚生年金に加入した期間の長さや厚生年金加入中の報酬額に応じて年金額が決まる老齢厚生年金
1.老齢基礎年金について
Aさん、Bさん、Cさんとも全員満額(年間約80万円)もらえます。
2.老齢厚生年金について
厚生年金に加入したことがないCさんは老齢厚生年金をもらえません。
AさんとBさんの厚生年金加入期間は同じで、厚生年金保険料はAさんの方がBさんよりもかなりたくさん払ってきました。
Aさんの方がBさんよりも多くの年金をもらえそうな気がしますよね。
しかし、実際はBさんの方がAさんより多くの年金をもらえます。
なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。
それは、働きながら年金をもらうと年金がカットされてしまう「在職老齢年金」というしくみが厚生年金にはあるからです。
年金をもらえる年齢になってはじめてこのようなしくみがあることを知り、残念な思いをする経営者が多いです。
厚生年金保険料は労使折半負担ですので、会社員だったBさんは厚生年金保険料の半額だけが給料から天引きされていました。
Bさんは、63歳から65歳になるまで年額100万円の「特別支給の老齢厚生年金」をもらえます。
65歳からも老齢厚生年金(報酬比例部分)100万円を一生もらえます。
一方Aさんは、独立してオーナー社長となってからの30年間は本人負担分だけでなく会社負担分も自ら支払ってきました。
しかし、現在の報酬のまま働き続ける限り、老齢厚生年金(報酬比例部分)は何歳になっても1円ももらえません。
しかも、いまの報酬設定のまま働き続ける限り、厚生年金保険料毎月113,460円(会社負担分・本人負担分合計)を70歳になるまで支払う必要があります。
それだけの厚生年金保険料を払っても、もらえる年金額はBさんの方が毎年100万円多くなります。
63歳から83歳までの20年間年金を受けたとしたら、もらえる年金額累計は2,000万円もBさんの方が多くなります。
いまの報酬のまま働き続ける限りAさんのもらえる年金額は、厚生年金保険料を1円も払ったことのない自営業のCさんと同じく、老齢基礎年金相当の年間約80万円のみとなります。
公的年金には老齢年金だけでなく、障害年金・遺族年金もあります。
老齢年金も、自分が積み立てた保険料を将来自分が年金としてもらうような制度にはなっていません。
しかし、払った保険料ともらえる老齢年金を単純に比較してみると、高額報酬の経営者が明らかに一番損といえます。
先週の水曜日の午前中、大阪で社労士さん・FPさん向けに社長の年金・退職金セミナーの講師を務めました。
水曜日の午後は同じ会場で、このメルマガをお読みいただいている経営者様向けの社長の年金セミナーでした。
ご参加いただきました社長様、ありがとうございました。
金曜日の午後は、東京で社労士さん、FPさん向けに社長の年金・退職金セミナーの講師を務めました。
社長の年金と同様、社長の退職金についても専門家が少なく正しい情報が提供されていない分野だと思います。
役員退職慰労金制度を設けている会社は多いのですが、役員退職慰労金規程の内容(退職金や弔慰金に関する規定)に注意を払っている企業は少ない印象です。
今後、社労士さん、FPさん向けセミナーでは役員退職金について話す機会も増えると思います。
ちょうど、ある県の社会保険労務士会の支部から、今秋の年金研修の講師を依頼いただいたところですので、そちらでも役員退職金についても触れようと思っています。
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