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ミニマム法人活用・法人成りと健康保険の被扶養者認定について

健康保険の被扶養者について

(2022年1月17日)(2023年1月12日追記)


健康保険の被扶養者認定について、概要は書籍『個人事業主+ミニマム法人でフリーランスの年金・医療保険が充実!』においても解説しています。


しかし、紙幅の都合などから書籍では触れていない点もありますので、以下に解説します。



随時【参考】として法令条文もご紹介しますが、最初は読み飛ばしていただいて構いません。



●健康保険の被扶養者について
自営業・フリーランスの加入する国民健康保険と異なり、法人代表者・役員等の加入する健康保険には「被扶養者」制度があります。


被扶養者は、健康保険料がかからないものの、一定の健康保険給付を受けることができます。



●被扶養者とは
この被扶養者の定義は、健康保険法第3条第7項に定められています。


【参考】
(定義)
第三条 
7 この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者で、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるものをいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者は、この限りでない。
一 被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。以下この項において同じ。)の直系尊属、配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この項において同じ。)、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの
二 被保険者の三親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
三 被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの
四 前号の配偶者の死亡後におけるその父母及び子であって、引き続きその被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの


上記一~四のいずれであっても、「主としてその被保険者により生計を維持するもの」というところがポイントです。


●被扶養者届について
健康保険の被保険者資格取得時に被扶養者を有するときや、健康保険の被保険者が被扶養者を有することとなったときは、被扶養者届を提出することとなっています。


このことは健康保険法施行規則第38条に定められています。被保険者が提出した被扶養者届に記載された内容を基に、被扶養者に該当するかどうかを確認のうえ認定されることとなります。



【参考】
(被扶養者の届出)
第三十八条 被保険者は、被扶養者を有するとき、又は被扶養者を有するに至ったときは、五日以内に、次に掲げる事項を記載した被扶養者届を事業主を経由して厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない。
一 被扶養者の職業、収入、住所、氏名、性別、生年月日、個人番号(個人番号を有する者に限る。)及び被保険者との続柄
二 被扶養者が被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫及び兄弟姉妹以外の者であるときは、同一の世帯に属した年月日及び扶養するに至った理由
(以下省略)



●被扶養者認定と不服申し立て
被保険者の資格、標準報酬または保険給付に関する処分に不服がある場合は、健康保険法189条に基づいて不服審査請求ができます(社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある場合は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができることとなっています)。


また、保険料等の賦課・徴収の処分や保険料等の督促・滞納処分に処分に不服がある場合は、健康保険法第190条に基づいて社会保険審査会に対して審査請求をすることができます。


しかし、被扶養者の認定について不服がある場合は、健康保険法では審査請求・再審査請求の対象とはなっていません。(協会けんぽの健康保険に加入の場合、被扶養者認定に不服がある場合は、健康保険法の不服審査は利用できませんが、一般法である行政不服審査法による不服審査は利用可能です)(注)下記追記事項参照


【参考】
健康保険の(審査請求及び再審査請求)は健康保険法第189条・190条に、(行政不服審査法の適用関係)は同法第191条に、(審査請求と訴訟との関係)は同法第192条に定められています。


*(2023年1月12日追記)

従来、被扶養者の認定は健康保険法第189条第1項の「被保険者の資格」「に関する処分」にあたらないため、被扶養者に該当しない旨の保険者からの通知については、同項に基づく不服申し立て(審査請求および再審査請求)をすることができない、とされていました。


しかし、令和4年12月に、「健康保険組合が被保険者に対して行うその親族等が被扶養者に該当しない旨の通知は、法189条の1項所定の被保険者の資格に関する処分に該当すると解するのが相当である。」との最高裁判決が出ました。つまり、審査請求・再審査請求の対象となる、と示されました。


(参考)令和3(行ヒ)120 処分取消等請求事件
令和4年12月13日 最高裁判所第三小法廷 判決 その他 広島高等裁判所
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/604/091604_hanrei.pdf

 

(参考)健康保険法(審査請求及び再審査請求)
第百八十九条 被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
2 審査請求をした日から二月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。
3 第一項の審査請求及び再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなす。
4 被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。

 

 

●協会けんぽの被扶養者届について
協会けんぽおよび厚生年金保険に加入する事業所が日本年金機構に提出する被扶養者届出の手続き概要や収入要件等については、日本年金機構ホームページで詳細が確認できます。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20141224.files/setumei.pdf



 

健康保険の被扶養者となるための収入要件について

●被扶養者となるための収入要件は?

健康保険被保険者となる(なっている)法人代表者の報酬月額・標準報酬月額が低い場合、配偶者・子等がいても、法人から受ける報酬によって配偶者や子の生計を維持しているのでなければ被扶養者
になれないのではないか、との質問を受けることがありますが、必ずしも法人から受ける報酬のみによって生計を維持していなければならないわけではありません。


健康保険法第7条に定められている通り、例えば、被保険者の配偶者・子であって「主としてその被保険者により生計を維持するもの」であれば、配偶者・子は健康保険の被扶養者となれます。


協会けんぽに加入の事業所が日本年金機構に提出する被扶養者届の概要や収入要件等については、日本年金機構ホームページで詳細が確認できます。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html

上記リンク先の「1手続き内容 被扶養者の認定(1)収入要件」に、協会けんぽ加入の場合の「主としてその被保険者により生計を維持するもの」の判断基準における収入要件が具体的に記載されています。




●被扶養者届には被保険者および被扶養者の収入(年収)を記載する


協会けんぽに加入の事業所が日本年金機構に提出する被扶養者届の記載内容についても、日本年金機構ホームページで確認できます。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20141224.files/01.pdf

上記リンク先記載の通り、保険者欄、被扶養者欄ともに、被扶養者届で今後1年間の年間収入見込額を届け出ることとなっています。

(所得税の控除対象配偶者・扶養親族を被扶養者とする場合で事業主の証明がある場合を除き、被扶養者の前年(や直近・現在等)の収入が確認できる添付書類が必要です。詳しくは上記リンク先を参照下さい。)


被保険者欄の被保険者の収入(年収)については、法人からの報酬・賞与だけでなく、その他の収入もあるのであればその他の収入も含めた合計額を記載します。


被扶養者欄についても、給与収入だけでなく、その他の収入もあるのであれば、その他の収入も含めた合計額を記載します。

したがって、被保険者が法人から受ける報酬月額が低額の場合であっても、被保険者の収入および配偶者等の収入を勘案して「主としてその被保険者により生計を維持するもの」と認められれば、配偶者等が被扶養者となることとなります。


●収入とは
健康保険の被扶養者認定における収入には、給与収入・事業収入・老齢年金収入等のように所得税が課税される収入も、障害年金・遺族年金収入等のように所得税が課税されない収入も含まれます。


また、給与収入は、各種手当を含む総収入額の額面金額を指します(給与所得控除額を控除しない額です)。


なお、自営業者の事業収入は、事業収入の総額ではなく、その収入(恒常的な収入)を得るのに直接要した費用を差し引いた残りの金額を指します。
「その収入を得るのに直接要した費用」とは、原材料費等の最低限必要な経費をいい、減価償却費等は含みません。したがって、所得税の確定申告において事業所得の金額を算出するための必要経費額とは異なります。

【参考】全国健康保険協会HP
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230/



以上、今回は、健康保険の被扶養者認定について、ポイントをお伝えしました。


個人事業の法人成りや、個人事業+ミニマム法人活用において、法人での健康保険加入は協会けんぽ(全国健康保険協会)に加入するケースが多いため、協会けんぽ加入の場合で説明しました。


健康保険組合にご加入の場合は、各健保組合にご確認下さい。

 

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『個人事業+ミニマム法人でフリーランスの年金・医療
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