60歳以上現役社長の老齢厚生年金受給・役員報酬最適化なら滋賀県大津市の労務財務の専門家・FP奥野文夫事務所にお任せください!
中小企業社長さまの老齢厚生年金・社会保険等に関するお悩みを解決します。
FP奥野文夫事務所
〒520-0106 滋賀県大津市唐崎3-23-23
営業時間 | 月〜金 9:00〜18:00 |
---|
FAX | 077-578-8907 |
---|
(2022年11月11日)
奥野の著書や経営者向け無料メール講座を読んでいただいた社長様方から、喜びの声を多くいただいております。
特に最近は、定年や定年後の再雇用期間の終了を機に、これまでの経験・人脈等を活かして自身で起業をした方から、喜びの声を聞かせていただくことが多いです。
・代表取締役等として一定額以上の報酬を受けて働くと在職老齢年金制度というしくみによって、特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金(報酬比例部分)が調整され、支給停止される。
このことを知らないまま法人を設立して起業してしまう方が、昔からとても多いのですね。
そのようなタイミングで、当方の提供している情報を見つけていただき、支給停止を回避できるようになった、と喜びの声をいただくことが多いわけです。
サラリーマンや役員として勤務していた会社を退職し、その後法人を設立して代表取締役として働きながら報酬比例部分を受給できるような報酬設定を検討するにあたっては、次のことに注意する必要があります。
・「総報酬月額相当額」(厚生年金保険の標準報酬月額+その月以前の1年間の厚生年金保険の標準賞与額の総額÷12」における「標準賞与額」には、法人設立前に勤務していた会社から受けた賞与についての標準賞与額も含まれること。
つまり、「その月以前の1年間」に、前勤務先から賞与を受けた月がある場合は、その(それらの)月についても、「標準賞与額」を算定し、「その月以前の1年間の標準
賞与額の総額÷12」が算定されます。
したがって、法人設立後に受けた報酬・賞与のみを基に年金支給停止額を想定していると、思ったよりも年金支給額が少なかったり、支給されなかったりすることがあります。
このタイミングで驚いて、相談をいただくことも多いです。
厚生年金保険法の条文(第46条第1項)には、「標準賞与額の総額÷12」を計算する期間は「その月以前の1年間」と書いてあるところ、年金に詳しくない一般の方の場合、無意識に、根拠なく「その月以前の1年間のうち、今の会社から報酬を受け始めた月以降の期間」と読み替えてしまって誤解している方が非常に多いのです。
(2024年4月23日一部追記)(2023年4月4日一部修正)
(事例1)
Aさん(昭和34年4月2日生まれ・63歳・男性)。従業員として働いていた会社を最近退職したばかり。近日中に株式会社を設立し、代表取締役となる予定。
既に定款は公証人役場で認証を受け、資本金の払い込みの履行も済ませており、あとは法務局に登記申請するだけの段階。
令和5年4月1日に64歳となるため、令和5年5月分から特別支給の老齢厚生年金(令和4年度時点での見込額は年額約120万円)をもらえると思っていた。在職老齢年金制度について知らなかったため、法人から役員報酬を毎月65万円受け取る予定であった。
このままの役員報酬設定を続ける限り、報酬比例部分の年金は全額支給停止となるところだったが、たまたま見つけた当ホームページの記事により、在職老齢年金制度の存在を知り、法人第1期目から役員報酬を毎月30万円とすることができた。
これにより、令和5年5月分から特別支給の老齢厚生年金を働きながら全額受給できる状態となった。
上記の事例で、もしA氏が、退職前に勤務していた会社から賞与を受けていた場合は、次の通り、注意が必要です。
(事例2)
上記のA氏が、前勤務先から令和4年6月に賞与60万円、令和4年12月に賞与120万円を受けた後退職し、法人を設立して代表取締役に就任。令和5年1月支給分から報酬月額30万円を70歳以降まで受け続けた場合(賞与なし)。
この場合、令和5年5月以降の各月の総報酬月額相当額・年金支給停止額は次の通りとなり、令和5年5月~11月分(7か月分)については、年金が一部支給停止となってしまいます。
・令和5年5月の総報酬月額相当額=標準報酬月額30万円+(その月以前の1年間の標準賞与額の総額180万円(令和4年6月受給分60万円+令和4年12月受給分120万円)÷12)=45万円
したがって、年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額10万円+総報酬月額相当額45万円-令和5年度の基準額48万円)÷2=3.5万円
・令和5年6月から令和5年11月までの各月の総報酬月額相当額=標準報酬月額30万円+(その月以前の1年間の標準賞与額の総額120万円(令和4年12月受給分)÷12)=40万円
したがって、年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額10万円+総報酬月額相当額40万円-令和5年度の基準額48万円)÷2=1万円
・令和5年12月以降の各月の総報酬月額相当額=標準報酬月額30万円+(その月以前の1年間の標準賞与額の総額0円÷12)=30万円
したがって、年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額10万円)+総報酬月額相当額30万円-令和5年度の基準額48万円)÷2<0円→報酬比例部分の年金は全額支給
(注)賃金・物価の変動により、令和6年度以降毎年度の基本月額や基準額は変動する可能性があります。(令和6年度の基準額は50万円に改定されました)
また、Aさんは令和6年4月1日(誕生日の前日)に65歳に到達しますので、令和6年5月分からは、特別支給の老齢厚生年金から老齢厚生年金に変わり、基本月額が増えます。
さらに、令和6年から令和10年までは毎年10月分から在職定時改定により基本月額が増えます。
令和11年4月に70歳になると、令和11年5月分から基本月額が増えます。
このように、法令条文の表現を、一般的な生活感覚に基づいて誤読することにより、年金について誤解してしまって、想定外の事態となってしまい困る、という例は、今回取り上げた事例に限らずとても多いです。
「報酬」「報酬月額」「賞与」「標準報酬月額」「標準賞与額」「総報酬月額相当額」「老齢厚生年金」「基本月額」「支給停止」「繰上げ」「繰下げ」「適用事業所に使用される70歳未満の者」「70歳以上の使用される者」などは、厚生年金保険法の条文が意味するところについて特に誤解が生じやすいですので、書籍・メール講座・メルマガ・セミナー等でこれらの条文上の意味とよくある誤解について繰り返し解説しています。
これらの用語については、書籍・経営者向け無料メール講座・メルマガ等をお読みいただいた上で個別コンサルティングをお申込みいただいた方であっても、誤解されているケースがよくあるため、繰り返し注意喚起・解説しています。
(2023年4月26日)
日々全国の社長様方から年金・社会保険についていただく質問への回答の根拠は、ほとんどが法令に明記されています。
例えば、在職老齢年金制度に関する質問では、
・別法人でも代表取締役として受けている報酬
・会社から受けている現物給与(住宅・食事等)
・会社から受ける配当金
・他の法人等から受ける業務委託料・請負代金・講演料・執筆料・印税等
・その他の個人収入
などが在職老齢年金制度による年金支給停止に影響しますか、
というものが、とても多いです。
これについても、質問への回答の根拠としては法律条文の定めがあります。
例えば、65歳以降の在職老齢年金制度による支給停止については、厚生年金保険法第46条において、次のように定められています。
・年金支給停止額={「総報酬月額相当額」(標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12)+「基本月額」(加給年金額や繰下げ加算額を除いた老齢厚生年金額(注)÷12)-支給停止調整額48万円}÷2
・「総報酬月額相当額」の構成要素である(厚生年金保険法の)「標準報酬月額」については厚生年金保険法第第20条等に、(厚生年金保険法の)「標準賞与額」については第24条の4等に定められています。
・(厚生年金保険法の)「標準報酬月額」の算定に用いられる「報酬月額」の構成要素である「報酬」については、同法第3条第3号に定められています。
・(厚生年金保険法の)「標準賞与額」の算定の基礎に用いられる「賞与」については、同法第3条第4号に定められています。
・65歳までの特別支給の老齢厚生年金にも在職老齢年金制度が適用される根拠は、厚生年金保険法附則(平成六年一一月九日法律第九五号)第21条(老齢厚生年金の支給停止に関する経過措置)です。
・二以上の事業所から報酬を受けている場合は、各事業所で受ける報酬額から決定された報酬月額を合算した額をその人の報酬月額とすることが、同法第24条第2項に定められています。
・二以上の事業所から賞与を受けている場合も、そのような取り扱いを準用することが同法第24条の4第2項に定められてます。
・報酬または賞与の全部または一部が通貨以外のもので支払われる場合、その価額はその地方の時価によつて
厚生労働大臣が定めることが同法第25条に定められています。
以上より、例えば、厚生年金保険法の「報酬」にも「賞与」にも該当しないお金は、「標準報酬月額」「標準賞与額」の算定の基礎に含まれないのだから、「総報酬月額相当額」にも含まれないこととなります。
ですから、そのようなお金をいくら多額に受けていても、年金支給停止には全く影響しないこととなります。
以上のような法律の定めを踏まえ、在職老齢年金制度によって年金支給停止となっている社長・役員が働きながら年金支給停止を適法に逃れたい場合は、対策はいくつも考えられるでしょうが、「総報酬月額相当額」の引き下げにつながる方法を採用すべき
といえます。
一方で、厚生年金保険法の「報酬」または「賞与」に該当するため、「標準報酬報酬月額」や「標準賞与額」の算定の基礎に含まれ、結果として「総報酬月額相当額」に含まれるべきお金を受け取っていながらも、「報酬」「賞与」の日本年金機構への届出を怠っているために、
・「標準報酬月額」「標準賞与額」が実態よりも少なく届けられているのであれば、75歳未満であれば単に社会保険料納付を不正に免れているということですし、
・「総報酬月額相当額」が実態よりも低く算定されてしまっていることにより年金支給停止額が実際よりも低く計算されてしまっているということであれば、単に年金を不正に受給しているということです。
ですから、このような「対策」を採用することを勧められることがもしあったとしても、実行しないように注意しましょう。
なお、法令の定めだけでは解釈が分かれる可能性がある疑問については、どのような取り扱いをされるか、通達や疑義照会回答が出されているものもありますので、相談対応にあたっては必要に応じそれらについてもご紹介するようにしています。
(注)65歳からの在職老齢年金制度による支給停止について定めた厚生年金保険法第46条において、調整の対象となる年金、つまり「基本月額」は、「加給年金額や繰下げ加算額を除いた老齢厚生年金額」÷12と定められています。
ここで一般の方にとってはわかりにくい注意点を以下にお伝えします。
・厚生年金保険法第46条など厚生年金保険法本則条文における「老齢厚生年金」とは、老齢厚生年金(報酬比例部分)のことを指します。
このことは、「老齢厚生年金」の「年金額」について定めた厚生年金保険法第43条第1項が、次の通りとなっていることを確認すれば理解いただける方もおられるかもしれません。
「老齢厚生年金の額は、被保険者であつた全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、別表各号に掲げる受給権者の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める率(以下「再評価率」という。)を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。附則第十七条の六第一項及び第二十九条第三項を除き、以下同じ。)の千分の五・四八一に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。」
老齢厚生年金には「報酬比例部分」と「経過的加算部分」があるのですが、厚生年金保険法本則条文で「老齢厚生年金」と記載があれば、老齢厚生年金(報酬比例部分)だけのことを指します。
一方、老齢厚生年金(経過的加算部分)の支給・支給額については、厚生年金保険法本則条文に記載されておらず、厚生年金保険法附則(昭和六〇年五月一日法律第三四号)第59条(老齢厚生年金の額の計算の特例)第2項に定められています。
附則条文を一般の方が読まれることは通常ないと思いますが、昭和61年4月からの年金大改正の際の経緯もありこのような定め方となっているため、わかりにくくなっています。
もっとも、今はインターネットで誰でも簡単に最新の法律条文や附則条文が無料で閲覧できますので、根拠となる条文番号のみお伝えすれば、あとは気になった時に必要に応じて条文でどのように定められているかを確認いただけます。
ですから、相談いただいた方に回答の根拠をお示しすることが、昔と比べて格段に容易となりました。
(2023年6月12日)
私どもでは、報酬が高いため老齢厚生年金が支給停止となって困っている社長様から毎月多くのご相談を受けております。
そんな中、ここ数年次の二つのパターンの相談も増えています。
1.ネット上の情報や知り合いの社長・コンサルタントからの情報を信じて、働きながら老齢厚生年金を受給できるように報酬設定を変更したのですが、何故か、老齢厚生年金が受給できるようにはなりませんでした。
2.ネット上の情報や知り合いの社長・コンサルタントからの情報を信じて報酬設定を変更した結果、働きながら老齢厚生年金を受給できるようになったのですが、その後の年金事務所調査で、受給した老齢厚生年金を返還するように命じられました。
いずれも、年金・社会保険のしくみや、年金と給与の調整(在職老齢年金制度)のしくみに関する法令の定めや、役員報酬設定を変更することで働きながら老齢厚生年金を受給できる法的根拠について正確な知識を得ることなく、都合のよいように曲解・誤解してしまったことにより、不都合が生じてしまってからの相談です。
特に2は、年金を受給し始めてから調査で是正を命じられるまでの期間が長いと、まとまった金額を返還すべきこととなりますので、注意が必要です。
年金に限らずどんな分野でも同じだと思いますが、不都合が生じてしまってからのリカバリーは結構難しいです。(上記1も2も、すでに過ぎた期間についてはリカバリー
は不可能です)
また、失敗のしかたによっては、リカバリーのための対策をアドバイスしたとしても、今後実際にリカバリーできるまでに時間がかかることも多いです。
正確な知識がないまま報酬設定を変更して損をする社長様が増えないように、との考えで私どもでは、以下の通り情報提供や事前の相談対応を行なっております。
必要に応じ有効活用いただければと存じます。
・無料メール講座
お電話でのお申込みはこちら
077-578-8896
営業時間:9:00〜18:00 (定休日:土日祝日)
担当:奥野 文夫 (おくの ふみお)
現在大変多くコンサルティングのお申込みをいただいており、無料電話相談は行っておりません。
(奥野の留守中にお電話いただき、伝言いただきましても、こちらから折り返しお電話をすることはできません。)
中小企業経営者様限定
60歳以上現役社長が働きながら年金を受け取るために必要な基礎知識(全13回)を無料で
ご覧いただます!
無料メール講座登録はこちら
(社労士、税理士、コンサルタント、FP等同業者の登録はご遠慮ください。)