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報酬月額を引き下げたのに老齢厚生年金をもらえないのはなぜですか、との質問への回答

令和4年度(2022年度)から65歳までの在職老齢年金制度の基準額が引き上げられたことにより相談が増えている

働きながら老齢厚生年金を受給したいと考える経営者が、後継者に代表取締役を譲り、自身は取締役会長などとなって報酬月額を大幅に引き下げて、老齢厚生年金受給を目指す、というケースは以前からよくみられました。

令和2年年金法改正により、令和4年度から65歳未満の在職老齢年金制度の基準額が65歳以降の基準額と同額の47万円に引き上げられ、さらに、令和5年度から基準額が48万円に改定されたこともあってか、65歳前の社長が報酬月額を引き下げて特別支給の老齢厚生年金の受給を目指すケースも最近は増えている印象です。
 

そのような経営者から、報酬月額を大幅に下げたら働きながら年金を受給できると聞いたので報酬月額を引き下げたものの、年金が支給停止のままで支給されない、との相談を受けることがあります。
 

このような場合、よくある原因としては次の3つのパターンがあります。

 

1.報酬月額を引き下げてから、まだ間もない場合

報酬月額を一定額以上引き下げても、年金支給停止額を計算するために用いられる「標準報酬月額」・「総報酬月額相当額」という指標は、すぐには下がりません。

(注)総報酬月額相当額=標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12

 

標準報酬月額・総報酬月額相当額が下がるのは、引き下げ後の報酬月額を最初に支給した月から起算して4か月目からとなります。


それにより、調整の対象となる年金の月額換算額(「基本月額」)および変更後の報酬設定によっては、引き下げ後の報酬月額を最初に支給した月から起算して4か月目分の年金から働きながら受給可能となります。
 

例えば、3月決算企業の社長・役員が、在職老齢年金制度により年金が支給停止となるような報酬設定となっている場合は、令和56月支給分から報酬月額を一定額以上下げたとしても、令和59月分の年金からしか受給できるようになりません。
 

公的年金は、年6回偶数月に前々月分・前月分の2か月分が後払いで支給されるため、令和59月分の年金とは、令和510月支給分の年金の一部のことです(ただし、報酬が高いため現在年金が全額支給停止中の人に対する初回分の年金の支給は、6月支給分から報酬月額を下げたとしても、事務処理スケジュールの関係で、11月以降に遅れることがあります)
 

以上のように、報酬月額引下げによって年金がもらえるようになるまでには時間がかかることをご存じない社長が多いため、なぜ年金がもらえるようにならないのかとの相談を受けることがよくあります。


2.報酬月額を一定額以上引き下げたものの、会社が必要な届出をしていない場合

報酬月額を一定額以上引き下げて、引き下げ後の報酬月額を3か月連続支給した後に、会社が日本年金機構(年金事務所)に報酬月額変更届という届出を提出することによって、引き下げ後の報酬月額を最初に支給した月から起算して4か月目分から働きながら年金が受給できることとなります。

 

毎年4月・5月・6月に支給した報酬月額を71日から710日までに届出る報酬月額「算定基礎届」と似た様式を用いる届出なのですが、この報酬月額「変更届」
http://nenkin-shaho.com/r/c/GJ6A/QJDG/nYrUxG/)を提出すべきケースにも関わらず届出をしないままになっていると、翌年7月の報酬月額「算定基礎届」提出に基づき翌年9月からの標準報酬月額・総報酬月額相当額が下がるまで、現状の標準報酬月額・総報酬月額相当額が維持されることとなってしまいますので、その間の年金は支給停止のままとなってしまいます(この場合、報酬月額「変更届」の提出漏れに後からでも気づいて提出すれば、報酬月額「変更届」の正しい記載内容に基づき、本来受給できる筈であった年金は受給できるように是正されます)。
 

この報酬月額「変更届」の提出漏れ事例も、一人法人や小規模法人を中心に結構みられます。


例えば、1月決算企業で4月支給分から報酬月額を一定額以上引き下げて、引き下げ後の報酬月額を4月・5月・6月の3か月連続で支給した後、会社が報酬月額「変更届」を提出することで、7月からの標準報酬月額・総報酬月額相当額が下がるため、7月分の年金(8月支給分の一部)から受給できるようになるケース。
 

このようなケースでもし報酬月額「変更届」を提出すべきことを知らずに、4月・5月・6月に支給した引き下げ後の報酬月額に基づいた報酬月額「算定基礎届」のみを提出したとしたら、標準報酬月額・総報酬月額相当額が下がるのは9月からとなり、年金が受給できるようになるのも9月分(10月支給分の一部)からとなります(報酬月額「算定基礎届」提出による標準報酬月額の「定時決定」は、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額を決定するための手続きです)。

 

3.報酬月額を引き下げたものの、届け出できる条件を満たしていない場合



「算定基礎届」とは別に報酬月額「変更届」を提出すべきタイミングで行われた報酬月額引き下げであっても、報酬月額「変更届」を提出することができない場合があります。
 

代表的なケースは、報酬月額を引き下げたものの、標準報酬月額等級で2等級以上引き下げておらず、1等級しか引下げていない場合です。
 

1等級しか引き下げていない場合は、標準報酬月額等級表の上限または下限にわたる等級変更に該当しない限り、会社は報酬月額変更届を提出することができません。

例えば、

・報酬月額40万円、賞与なし(標準報酬月額41万円・総報酬月額相当額41万円)

・調整の対象となる年金の月額(「基本月額」)12万円

の人が、報酬月額を38万円に下げて連続3カ月支給したとしても、標準報酬月額41万円から標準報酬月額38万円は標準報酬月額等級で1等級だけの引き下げのため、会社は報酬月額「変更届」を提出できません。
 

したがって、引き下げ後の報酬月額を支給した月から起算して4か月目以降も、標準報酬月額・総報酬月額相当額は41万円のままですので、年金は現状と同じく一部支給停止のままです(令和6年度のン場合)。

・年金支給停止額=(基本月額12万円+総報酬月額相当額41万円-令和6年度基準額50万円)÷2=1.5万円
 

この場合、その後、4月・5月・6月に支給した報酬月額を7月に会社が報酬月額「算定基礎届」で届け出ることにより、4月・5月・6月支給の報酬月額に応じて9月からの標準報酬月額・総報酬月額相当額が36万円に下がり、9月分の年金から全額受給可能となります。

・年金支給停止額=(基本月額12万円+総報酬月額相当額38万円-令和6年度基準額50万円)÷20
 

一般に、報酬月額・標準報酬月額・総報酬月額相当額を混同している方は多いため、できる限り報酬月額を下げないで働きながら年金を受給したいという考えで、このような事態となってしまってからの相談もあります。

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