60歳以上現役社長の老齢厚生年金受給・役員報酬最適化なら滋賀県大津市の労務財務の専門家・FP奥野文夫事務所にお任せください!

中小企業社長さまの老齢厚生年金・社会保険等に関するお悩みを解決します。


FP奥野文夫事務所

〒520-0106 滋賀県大津市唐崎3-23-23

営業時間

月〜金 9:00〜18:00
(定休日:土日祝日)

FAX

077-578-8907

在職老齢年金制度による老齢厚生年金支給停止に影響する賞与は、150万円が上限ではないのですか?

「総報酬月額相当額」について誤解している社長からの相談が多い

(2023年7月16日)

65
歳以降の在職老齢年金制度による老齢厚生年金の支給停止については、厚生年金保険法第46条において、次のことが定められています。

・年金支給停止額(月額換算額)={「総報酬月額相当額」(標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12)+「基本月額」(「加給年金額や繰下げ加算額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額」÷12)-支給停止調整額48万円}÷2

しかし、多くの社長が、上記計算式や計算式中の「総報酬月額相当額」・「基本月額」について正しく理解していません。

 

特に、「総報酬月額相当額」についての誤解が原因で、働きながら老齢厚生年金の全部または一部を受給できると思っていたにも関わらず全額支給停止となってしまった社長から、相談を受けることがよくあります。

 

厚生年金保険法の標準賞与額に関する基礎知識

「総報酬月額相当額」の構成要素のうち、(厚生年金保険法の)「その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12」について誤解している社長が多いのですが、(厚生年金保険法の)「標準賞与額」の決定については、次のことが厚生年金保険法第24条の4に定められています。
 

・ある月の標準賞与額は、その月に受けた賞与額(千円未満の端数がある場合は切り捨て)に基づき決定されること

・標準賞与額には1月あたり150万円の上限があること

 令和6年度の在職老齢年金計算式中の基準額は「50万円」に改定されました。令和6年度分については、下記の「48万円」を「50万円」に入れ替えて計算してください。)

(事例165歳代表取締役(報酬月額100万円・その月以前の1年間に賞与なし。基本月額12万円。会社の決算月は3月)

この場合、厚生年金保険法の標準報酬月額は65万円(上限)であり、その月以前の1年間の標準賞与額の総額は0円のため、総報酬月額相当額は65万円となり、老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給停止です。

・年金支給停止額(月額換算額)={「総報酬月額相当額」(標準報酬月額65万円+その月以前の1年間の標準賞与額の総額0円÷12)+「基本月額」12万円-支給停止調整額48万円}÷2
=14.5万円>基本月額12万円

したがって、老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給停止(令和5年度の場合)。

(事例2

この社長が、例えば、5月開催の定時株主総会等の決議に基づき次の通り給与を支給すると、9月分から老齢厚生年金(報酬比例部分)の一部を受給できるようになります。
 

6月支給分の給与から報酬月額36万円に変更し、9月に賞与(事前確定届出給与)768万円支給

9月分からの年金支給停止額(月額換算額)={「総報酬月額相当額」(標準報酬月額36万円+その月以前の1年間の標準賞与額の総額150万円(上限)÷12)+基本月額12万円-支給停止調整額48万円}÷2=6.25万円(令和5年度の場合)
 

9月分からの老齢厚生年金(報酬比例部分)支給額(月額換算額)=基本月額12万円-年金支給停止額(月額換算額)6.25万円=5.75万円

 

標準賞与額に関する誤解が原因で起こる、よくある失敗事例とは

厚生年金保険法の標準賞与額の上限額(150万円)は1月あたりの上限であることを知らずに、インターネット上の断片的な情報や知り合いの社長の話を見聞きして、「賞与はいくらたくさん受けていても150万円しか年金支給停止に影響しない」と誤解して失敗し、相談してくる社長が多いです。

 

先ほどの社長の例を用いて、よくある失敗事例を以下にお伝えします。

なお、実際には65歳以上70歳未満の間は「在職定時改定」により毎年10月分から「基本月額」が増えるのですが、わかりやすいように今回は「基本月額」が12万円のまま変動しないものとして試算します。

 

(ケース1

6月支給分の給与から報酬月額36万円に変更し、9月に賞与(事前確定届出給与)368万円支給・12月に賞与(事前確定届出給与)400万円支給

この場合、9月から11月までの総報酬月額相当額は事例2と同額となるため、9月分から11月分までの老齢厚生年金(報酬比例部分)は月額5.75万円受給できますが、12月分から翌年8月分までの老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給停止です。

12月分から翌年8月分までの年金支給停止額(月額換算額)={「総報酬月額相当額」(標準報酬月額36万円+その月以前の1年間の標準賞与額の総額300万円(注)÷12)+基本月額12万円-支給停止調整額48万円}÷212.5万円>基本月額12万円

(注)9月の標準賞与額150万円(上限)+12月の標準賞与額150万円(上限)

したがって、12月分から翌年8月分までの老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給停止。

 

(ケース2

6月支給分の給与から報酬月額36万円に変更し、9月に賞与(事前確定届出給与)768万円支給

・翌年は、賞与(事前確定届出給与)768万円の支給を9月ではなく8月に変更してしまった

 この場合、1年目の9月から翌年7月までの総報酬月額相当額は事例2と同額となるため、1年目の9月分から翌年7月分までの老齢厚生年金(報酬比例部分)は月額5.75万円受給できますが、翌年8月分の老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給停止となります。

・翌年8月分の年金支給停止額(月額換算額)={「総報酬月額相当額」(標準報酬月額36万円+その月以前の1年間の標準賞与額の総額300万円(注)÷12)+基本月額12万円-支給停止調整額48万円}÷212.5万円>基本月額12万円

(注)1年目9月の標準賞与額150万円(上限)+翌年8月の標準賞与額150万円(上限)

したがって、翌年8月分の老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給停止。

 

(ケース3

65歳代表取締役(A社から報酬月額50万円・その月以前の1年間に賞与なし。B社から報酬月額50万円・その月以前の1年間に賞与なし。基本月額12万円。A社・B社とも会社の決算月は3月)

この社長について、例えば、5月開催の定時株主総会等の決議に基づき各社が次の通り給与を支給すると、9月分は事例2と同様老齢厚生年金(報酬比例部分)を5.75万円受給できますが、10月分から翌年8月分までは全額支給停止です。

・A社からの報酬月額を6月支給分から20万円とし、930日に賞与(事前確定届出給与)を400万円支給

・B社からの報酬月額を6月支給分から16万円とし、101日に賞与(事前確定届出給与)を368万円支給

(注)2社から給与・賞与を受けている場合は、各社から受けた報酬月額の合算額に基づいて標準報酬月額が決定され、各社からその月に受けた賞与額の合算額に基づいてその月の標準賞与額が決定されます。

10月分から翌年8月分までの年金支給停止額(月額換算額)={「総報酬月額相当額」(標準報酬月額36万円+その月以前の1年間の標準賞与額の総額300万円(注)÷12)+基本月額12万円-支給停止調整額48万円}÷212.5万円>基本月額12万円

(注)9月の標準賞与額150万円(上限)+10月の標準賞与額150万円(上限)

したがって、10月分から翌年8月分までの老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給停止。

 

 

(ポイント)

●厚生年金保険法の標準賞与額の上限について誤解している社長が多い
●厚生年金保険法の標準賞与額の上限は、1月あたりの上限

 

経営者様からのお電話でのお申込みはこちら

お電話でのお申込みはこちら

077-578-8896

営業時間:9:00〜18:00 (定休日:土日祝日)
担当:奥野 文夫 (おくの ふみお)

現在大変多くコンサルティングのお申込みをいただいており、無料電話相談は行っておりません。
(奥野の留守中にお電話いただき、伝言いただきましても、こちらから折り返しお電話をすることはできません。)

所長の奥野です。

社長さまのお悩みを、
年金・社会保険相談の専門家(FP・社労士)として開業24年超の私が、最後まで責任を持って解決いたします。

無料メール講座
(全国対応)

中小企業経営者様限定

60歳以上現役社長が働きながら年金を受け取るために必要な基礎知識(全13回)を無料で
ご覧いただます!

 

無料メール講座登録はこちら

(社労士、税理士、コンサルタント、FP等同業者の登録はご遠慮ください。)