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給与との調整(在職老齢年金制度)の対象となる年金(「基本月額」)とは?

令和4年度(2022年度)からの改正も踏まえた「まとめ」

(2024年1月5日)


中小企業のオーナー社長様から、「給与との調整の対象となる年金とはどの年金でしょうか」との相談をいただくことがよくあります。



そこで、以下にポイント解説をお伝えします。
(平成27年9月30日以前の公務員共済加入期間・私学共済加入期間がないものとします)

【解説】
 給与と年金の調整のしくみ(在職老齢年金制度)による年金支給停止額(月額換算額)は次の計算式により計算されます。


▽年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額+総報酬月額相当額-基準額)÷2

・基本月額とは:調整の対象となる年金(年額)÷12

・総報酬月額相当額とは:標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12

・基準額:年度により1万円単位で改定されることがあります。令和5年度基準額は48万円、令和年度基準額は50万円です。


このような基本事項を理解していないため、上記計算式中の「基本月額」、「総報酬月額相当額」や「基準額」として間違った額を用いて誤った年金支給停止額を想定してしまっている方もたくさんおられます。


そこで今回は、上記計算式中の「基本月額」に絞って基本事項を解説します。


また、令和2年年金法改正により令和4年度から施行された改正の影響で最近増えている「基本月額」
に関する相談事例や注意事項についても触れます。


 

1.基本月額の算定に含まれる年金・含まれない年金を理解しましょう

基本月額の算定に含まれる年金は給与との調整の対象となりますし、基本月額の算定に含まれない

年金は給与との調整の対象外です。


ですから、厚生年金保険の被保険者または70歳以上被用者として働いている場合、基本月額の算定に
含まれる年金・含まれない年金について正しく理解することが重要です。


以下に概要をまとめて記載します。

(1)基本月額の算定に含まれる年金

・65歳までの特別支給の老齢厚生年金や65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)

なお、厚生年金基金の代行部分がある場合は基金代行部分も含まれます。企業年金連合会から支給
される「代行年金」も含まれます。


(2)基本月額の算定に含まれない年金

・企業年金連合会から支給される「基本年金」

・その他の企業年金・私的年金等(企業型確定拠出年金・確定給付企業年金、個人型確定拠出年金・
国民年金基金・個人年金など)

・老齢基礎年金(付加年金や振替加算も含まれません)

・老齢厚生年金であっても、経過的加算部分、加給年金額、繰下げ加算額(繰下げによって65歳時の年金額が増額された分)は含まれません。


令和4年度から昭和27年4月2日以降生まれの人は老齢厚生年金や老齢基礎年金を最高75歳まで繰下げ
できるようになり、繰下げ受給が注目されています。


その影響か、「老齢厚生年金を繰り下げて受給しながら社長として働き続ける場合は、繰り下げ増額後の年金額を用いて年金支給停止額が計算されるのでしょうか」との質問が増えています。


老齢厚生年金の繰下げ加算額が基本月額に含まれないことは、厚生年金保険法第46条第1項に定
められています。


したがって、繰下げ加算額は年金支給停止額計算に影響しません。

 

2.基本月額は変わることがあります。

特別支給の老齢厚生年金も老齢厚生年金(報酬比例部分)も賃金・物価の変動により、年度によって

年金額が改定されることがありますので、毎年4月分(6月支給分)から基本月額が変わることがあり
ます。


老齢厚生年金(報酬比例部分)については、65歳以上70歳未満の毎年9月1日を基準日とする「在職
定時改定」による基本月額増加や、70歳時改定による基本月額の増加もあります。厚生年金保険
被保険者資格を喪失して1月経過し退職時改定が行われた後に再度被保険者資格を取得したことにより、基本月額が変わるケースもあります。


特に、令和4年度から65歳以上70歳未満の厚生年金保険被保険者を対象とする在職定時改定により毎年10月分(12月支給分)から基本月額が増えることとなっている点については、ご存じない経営者も多いです。


年金を全額受給するつもりで報酬設定変更を検討している方は、在職定時改定により基本月額が
毎年増えていくことについて65歳前から理解しておくことが重要です。


 

3.在職定時改定と加給年金額の注意ポイント

65歳到達月の前月までの厚生年金保険加入期間の月数が240月未満であったため老齢厚生年金に加給年金額が加算される要件を満たしていなかった人が、65歳到達月以降も厚生年金保険に加入したことにより、老齢厚生年金の計算の基礎となる厚生年金保険加入期間の月数が240月以上となった場合、その時点で生計を維持している65歳未満の配偶者(や原則18歳到達年度末までの子)がいることにより加給年金額の加算が開始されるケースがあります。



令和3年度までは、65歳到達月の前月までの厚生年金保険加入期間の月数が240月未満であった人が、65歳到達月以降に厚生年金保険加入期間の月数240月以上の老齢厚生年金を初めて受給すること
となり加給年金額の加算が始まる契機としては、退職時改定または70歳時改定しかありませんでした。


しかし、令和4年度からは、在職定時改定により厚生年金保険険加入期間の月数240月以上の老齢厚生年金を初めて受給することとなり加給年金額の加算が始まるケースも生じていますので、注意が必要です。


この場合の基本月額算定には、65歳到達月以降の厚生年金保険加入によって老齢厚生年金(報酬比例
部分)が増額された分も含まれますが、加給年金額は含まれません。


老齢厚生年金(経過的加算部分)は基本月額算定の対象外ですので、在職定時改定により経過的加算
部分が増額された分も基本月額算定には含まれません。



(ポイント)
●基本月額に含まれる年金・含まれない年金を理解することが重要

●老齢厚生年金の繰下げ加算額は基本月額算定に含まれない

●在職定時改定により基本月額が増えることを知らない方も多いので、注意


 

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