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一人法人の社長がなぜ社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入しなければならないのか

何故一人法人の社長が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入しなければならないのでしょうか、何か加入すべき法律的な根拠があるのでしょうか。
 

この点について、健康保険法では第3条では、「適用事業所に使用される者」であれば、「被保険者」となると定められています。


また、厚生年金保険法第9条では、「適用事業所に使用される七十歳未満の者は、厚生年金被保険者とする」と定められています。


これらの条文を読んだ一人法人社長等中小企業の経営者の方が、「私は会社に使用されているわけではなく、会社を経営しているのだから、健康保険・厚生年金には入る必要がない(入れない)」と思ってしまってもおかしくないですよね。

実際、経営者の方からそのようなご意見を伺うことがあります。
 

ところが、代表取締役一人の法人であっても、法人から報酬を受けているのであれば、健康保険・厚生年金は強制加入となっています。
 

この点については、昭和24年7月に出された次のような行政通達があります。
「法人の代表者または業務執行者であっても、法人から、労務の対償として報酬を受けている者は、被保険者の資格を取得させるように」

(ご参考:以上の条文、行政通達はこちらに記載しておきました。)

 

しかし、行政通達は、行政機関内部での法令解釈や運用・取扱基準、指針を示すものに過ぎないので、中小企業の代表取締役等が法律上本当に社会保険に加入しなければならないのかどうかの根拠はないのではないでしょうか、との質問をいただくこともあります。
 

特に、一人法人の経営者の方からは、従業員を雇用している場合と比較して、次のような意見をいただくことも多いです。
 

・従業員を雇っているのであれば、条文上明らかに従業員を社会保険に加入させるべきことはわかります。
 会社として社会保険未加入のまま従業員の不利益になるような無責任なことをすべきでないこともわかります。

・しかし、私は会社に使用されているわけではありません。
 健康保険や厚生年金はもともと会社に勤める従業員のためにできた制度の筈です。
 一人で会社を運営している私の場合は、社会保険に加入しないことによって不利益を被るのは私の自業自得で、その点については十分了解しています。
 誰にも迷惑をかけていませんので、加入しなくてもよいのではないでしょうか。


確かに、条文上「適用事業所に使用される者(法人の代表者または業務執行者を含む)」は健康保険の被保険者となり、「適用事業所に使用される七十歳未満の者(法人の代表者または業務執行者を含む)」は厚生年金保険の被保険者となる、などと明記されているわけではありませんので、疑問を感じる方があっても不思議はないと思います。

 

この点について、裁判例としては「岡山製パン事件」というものがあります。
(岡山地判昭37.5.23、広島高裁岡山支判 昭38・9・23)

製造業(製パン業)の代表取締役が、遡って健康保険・厚生年金保険に加入させられることとなったのですね。

そこで、代表取締役が、法人の代表者は健康保険・厚生年金保険法上の「使用される者」には
該当しないから、遡って被保険者資格を取得させた処分の取り消しを求める、として提訴した事件です。


一審で棄却され控訴された後の控訴審で判示された内容の要旨は次の通りです。
(言い回しが古くてわかり難い箇所を適宜変更し、概略のみを記載しています。)

・健康保険法、厚生年金保険法に定められている保険給付は、労働者およびその被扶養者または遺族の生活の安定を図り、福祉の向上に寄与することを目的としている。
(健康保険法は業務外、厚生年金保険法は業務上・業務外問わず対象で、労働基準法や労災保険法に定められている業務上の災害補償とは対象が異なる。)

・憲法第25条の次の規定に基づき制定されたものと解すべきである。
1.すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2.国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

・健康保険法、厚生年金保険法においては労使間の実勢上の差異を考慮すべき必要はなく、これらの法律で定められている「事業所に使用せられる者」の中に法人の代表者をも含め、労基法及び労災保険法上の「労働者」と区別することなく、健康保険法・厚生年金保険法の保険制度を利用させることこそ、憲法の条項の趣旨にかなう。

・「事業所に使用せられる者」という概念を、労基法、もしくは労災保険法上の「労働者」の概念と同一視する主張は採用することができない。


憲法25条の規定に基づいて健康保険法・厚生年金保険法の趣旨を解釈した結果、法人の代表者も健康保険・厚生年金保険法の「適用事業所に使用される者」に該当すると解釈すべきである、ということですね。

以上、法人代表者の健康保険・厚生年金保険法上被保険者資格の有無が争点となった裁判で被保険者性ありとされた事案をご紹介しました。

 

◎奥野文夫の書籍「現役社長・役員の年金」の第5章「社長の年金加入等に関する大きな勘違い!」でも、中小企業経営者によくある厚生年金加入への誤解事例について解説しています。

 

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