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令和7年(2025年)年金法改正に向けて、在職老齢年金制度については現在どのような議論が行われているのでしょうか?

次回年金法改正に向けての議論は随時公表されていますので、誤った情報に基づいて誤解しないように注意しましょう

(2023年12月6日・11月14日一部修正)(2023年11月6日)

在職老齢年金制度については昔から、
・廃止すべきだ
・見直すべきだ
・維持すべきだ
という異なった意見が出され、議論が行われ、多くの改正が行われてきました。


私どもが社長の年金についてインターネット上で情報を提供し始めた2013年以降に限ってみても、5年ごとの年金法改正に向けた議論の経緯が新聞・テレビ等で報道されるたびに、全国の社長様方からの「在職老齢年金制度は廃止されるのでしょうか」「在職老齢年金制度は見直しされるのでしょうか」などといった質問・相談が増える傾向にあります。

 

現状では、厚生年金保険や国民年金について、次回(令和7年)年金法改正に向けて議論が開始されたところです。

次回(令和7年)年金法改正で在職老齢年金制度の見直しや廃止が行われるかどうかは、現時点ではまだわかりません。

 

政府は、少なくとも5年ごとに保険料、国庫負担の額や給付に要する費用の額その他の国民年金事業・厚生年金保険事業の財政に係る収支について、その現況及び財政均衡期間(おおむね100年間)における見通し(「財政の現況及び見通し」)を作成・公表しなければならないことが国民年金法・厚生年金保険法で定められています。
これがいわゆる「財政検証」です。

前回財政検証は令和元年に行われましたので、次回財政検証は令和
6年に行われる予定です。次回財政検証結果も踏まえて、次回年金法改正は令和7年に行われる見込みです。

 

したがって、在職老齢年金制度に限らず、現在社会保障審議会年金部会で議論が行われるたびに新聞・テレビ等で報道されているどのトピックについても、既に決定しているものはありません。


今後、次回年金改正法施行までの間は、報道に触れた社長様方からの相談が増えると思われますが、最も重要なことは、「現状ではまだ何も決まっていない」という正しい情報を得ていただくことです。
 

在職老齢年金制度に限らずインターネット上等では、社会保障審議会年金部会で現在議題に上がっていないようなトピックについて、すでに改正が決まっているとする誤った情報も多くみられます(例えば、年金の支給開始年齢が5年引き上げられて70歳になる、などの誤った情報が代表例です)。
 

そのような情報を見て年金について誤解をしてしまうことのないよう、十分ご注意下さい。

 

令和7年改正法施行までの在職老齢年金制度に関する議論の主な流れについての予想(前回改正までの流れを踏まえた私見です)

在職老齢年金制度改正に関する令和2年改正法までの主な流れを参考にすると、令和6年の財政検証結果や社会保障審議会年金部会での議論を踏まえ、令和6年末頃までに「社会保障審議会年金部会における議論の整理」が公表され、その中で令和7年公的年金制度改正の目指すべき方向性がまとめられると思われます。


その後、令和7年の国会で改正法が成立し公布された事項については、改正法に定められた施行日から、新たな規定が適用されることとなります。
 

令和2年改正における在職老齢年金制度見直しについては、(参考1)にまとめた通り、改正法が成立するまでにかなりの紆余曲折がありました。


令和7年改正に向けての在職老齢年金制度に関する議論についても、今後の社会保障審議会年金部会における動向や、来年公表される財政検証結果などにまずは注目していきたいところです。

(参考1)令和2年改正法の施行までの主な流れ

・平成3044日:第1回社会保障審議会年金部会が開催。

・令和元年827日:第9回社会保障審議会年金部会にて「2019(令和元)年財政検証の結果について(報告)」が公表。併せて、65歳からの在職老齢年金制度について、基準額を47万円(当時)から62万円に引き上げた場合や制度を廃止した場合は、将来世代の年金給付水準(所得代替率)が下がる、とのオプション試算が公表。


令和元年109日:第11回社会保障審議会年金部会において「高齢期の就労と年金受給の在り方について」が議論。65歳からの在職老齢年金制度の見直しの方向性として厚生労働省が、基準額の62万円への引上げ・制度の廃止の二案を提示。65歳までの在職老齢年金制度の見直しとして、基準額28万円(当時)のまま・基準額を65歳からの基準額と同額に引上げの二案を提示。
 

・令和元年1018日:第12回社会保障審議会年金部会において「高齢期の就労と年金受給の在り方について」が議論。在職定時改定の導入等を厚生労働省が提示。

・令和元年1113日:第14回社会保障審議会年金部会において「これまでの議論を踏まえて更にご議論いただきたい事項」が議論。高額報酬の年金受給者への給付増・将来世代の年金の所得代替率低下につながる点が批判を浴びていたこともあり、65歳からの基準額を51万円に引き上げ、65歳までの基準額を51万円または47万円(当時)に引き上げるとの見直し案を厚生労働省が提示。


・令和元年1219日:「全世代型社会保障検討会議中間報告」において、65歳までの在職老齢年金制度の基準額を65歳からの基準額と同額の47万円(当時)に引き上げ、65歳からの在職老齢年金制度は現状のままとするも、65歳以上70歳未満の厚生年金保険被保険者には在職定時改定を導入する、との具体的方向性が示された。

・令和元年1227日:「社会保障審議会年金部会における議論の整理」が公表。
 

・令和265日改正法公布:社長の年金にも重要な影響を与える改正(65歳までの在職老齢年金制度の基準額引上げ、65歳からの在職定時改定の導入、繰り下げ最高年齢の75歳への延長)はすべて令和441日施行。

 

(参考2)令和7年改正に向けた議論の現状

・令和41025日:第1回社会保障審議会年金部会が開催。

・令和51024日:第8回社会保障審議会年金部会において「高齢期と年金制度の関わり」が議論。

・令和5年11月21日:第9回社会保障審議会年金部会:「高齢期と年金制度の関わり②」「多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方について」

(参考リンク:厚生労働省ホームページ)

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126721.html

令和51024日の社会保障審議会年金部会より
 

 

 

令和51024日に開催された第8回社会保障審議会年金部会の議題は「高齢期と年金制度の関わり」でした。

当日は、次の4つについて議論されました。
1.
在職老齢年金制度
2.基礎年金の拠出期間延長
3.(国民年金・厚生年金保険における)マクロ経済スライドの調整期間の一致
4.年金生活者支援給付金

 

新聞・テレビ等では多くの国民に影響を与える事項が大きく取り上げられる傾向にありますので、今回の議題の中では上記2や3を中心に報道されていることが多いです。

多くの社長様方がお知りになりたいと思われる1.在職老齢年金制度については、今のところあまり大きく報道されていないようですので、参考までに当日議論に参加した各委員の在職老齢年金制度(注)への発言を大まかに区分すると、次の通りでした。

(1)制度を廃止すべき、とする意見

(2) 制度を見直すべき、とする意見

(3) 現行の制度を継続・維持すべき、とする意見

(4)  在職老齢年金制度に関する言及なし

(注)令和7年改正法成立時点では男性は老齢厚生年金の支給開始年齢が65歳の人がほとんどとなるため、今のところ、65歳からの在職老齢年金制度が議論の中心となっています。


当日の各委員の具体的な発言内容については、後日厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126721.html
にて公表されます。

 

 (参考)令和5年11月21日:第9回社会保障審議会年金部会 資料2「第8回年金部会でご要望があった資料・これまでの年金部会における主なご意見」
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001169571.pdf
の15ページから17ぺージに、在職老齢年金制度についてこれまでに出された意見がまとめられています。
 

(ポイント)

●次回財政検証は令和6年、次回年金法改正は令和7年に予定されている

●社会保障審議会年金部会で令和7年改正に向けた議論が開始されている

●改正内容は現状ではまだ何も決まっていない

 

在職老齢年金制度の見直し議論などについての相談が増えています

(2024年5月14日)

これまでもお伝えしてきました通り、令和6年夏に、国民年金・厚生年金保険の5年に1回の「財政検証」が行われる予定です。



「財政検証」とは、国民年金・厚生年金保険事業の財政に係る収支について、その現況および今後おおむね100年間における見通しが作成される、というものです。



これらの年金は、おおむね100年間、つまり、すでに生まれている世代が、おおむね年金受給を終えるまでの期間の財政均衡を図ることが目指されています。


ただ、人口増減や経済状況等は常に変動しますので、少なくとも5年に一回は、年金制度の健康診断のような意味を持つ「財政検証」を行うこととなっています。


財政検証結果および「オプション試算」結果は社会保障審議会年金部会で公表され、厚生労働省
ホームページにも掲載されます。



それらの結果を元に、社会保障審議会年金部会において議論が深められ、令和6年12月に、それまで行われてきた年金部会での議論のとりまとめが行なわれます。


このとりまとめ結果をベースに、令和7年の通常国会で改正年金法の成立を目指す、というのが、次回
年金法改正に向けた大まかな流れです。



令和6年4月16日に開催された第14回社会保障審議会年金部会において、今夏の財政検証に合わせて次の5つの論点などについて「オプション試算」を行うという案が示されました。


1.被用者保険(健康保険・厚生年金保険)の更なる適用拡大
2.基礎年金の保険料拠出期間の45年への延長・給付増額
3.基礎年金(1階部分)と報酬比例部分(2階部分)のマクロ経済スライド調整期間の一致
4.在職老齢年金制度の見直し
5.厚生年金保険の標準報酬月額上限(現在65万円)の引上げ


(詳細は、下記資料の3ページ参照)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001245419.pdf


経営者層の関心の高い4については、65歳以降の在職老齢年金制度を緩和(基準額を現行制度よりも引き上げ)した場合・廃止した場合、それぞれ、将来世代の年金水準にどのような影響が生じるか、の試算が公開されることと思われます。


これら5つのオプション試算が示されることについて、新聞・テレビ等で大々的に報道されている結果、インターネット上では多くの批判的な意見が見られているところです。


それらの批判的な意見の中には、「財政検証」や「オプション試算」の意味を誤解しているものも多くみられます。



先週末あたりから、それらを目にした社長様方からメール相談をいただくことが多くなっており、また、有料・予約制の電話相談・Zoom相談の際にもお問合せいただくことが増えています。



冒頭にもお伝えした通り、「財政検証」は、国民年金・厚生年金保険制度が長期間にわたって持続できるように、との目的達成のために定期的に行われるものです。



ですから、財政検証に合わせて行われるオプション試算も、各論点について見直しをすると仮定すると、長期的な目線でみて年金の財政収支にどのような影響があるかを試算する、というものです。


オプション試算結果を元に、今後の必要な制度改正の検討・議論を行っていくわけですね。


ですから、今夏の「オプション試算」に含まれた前記5つの論点について、令和7年年金法改正で改正されることが現時点で決まった、ということでは全然ありません。


実際、5年前の令和元年財政検証時にも、次の論点などについてオプション試算が行われていました。

1.被用者保険の適用拡大
2.在職老齢年金制度の見直し(65歳以降の 在職老齢年金制度を緩和または廃止した場合)
3.基礎年金の保険料拠出期間の45年への延長
4.就労延長と受給開始時期の選択肢の拡大
5.厚生年金保険の加入可能年齢75歳への引上げ


その前の平成26年財政検証時にも、次の論点などについてオプション試算が行われていました。
1.被用者保険の適用拡大
2.在職老齢年金制度の見直し(65歳以降の 在職老齢年金制度を廃止した場合)
3.基礎年金の保険料拠出期間の45年への延長

(以上、詳細は厚生労働省が公表しています)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/index.html


被用者保険の適用拡大については、昔から何度も重要課題として挙げられていて、適用拡大したら
年金財政にどのようなプラスが生じるかが試算されてきたわけですが、結局これまでオプション
試算で示されてきたような抜本的な適用拡大は未だ実現していません。


令和2年年金法改正で、令和4年10月から101人以上企業・令和6年10月から51人以上企業の一定要件を満たす短時間労働者を被保険者とすることなどが決まっただけに過ぎません。


ですから、今夏の財政検証においても、これまで実現しなかったさらなる適用拡大について、様々な
パターンでのオプション試算が示される見込みです。


基礎年金拠出期間の45年への延長や65歳以降の在職老齢年金制度についても同様です。


これまでにもオプション試算が公開され、改正すると年金財政にどのような影響があるかが公開されてきました。


しかし、いずれの論点についても、これまでのところ全く改正されていません。


(令和2年年金法改正では、65歳以上の在職老齢年金制度の改正はされなかったものの、令和4年度から新しく在職定時改定の仕組みが導入されることとなりました。
また、65歳までの在職老齢年金制度について、令和4年度から基準額が65歳以降と同額に改正されることとなりました。

このときの経緯については、令和2年3月発刊の書籍「社長の年金よくある勘違いから学ぶ在職老齢年金」の第10章「在職老齢年金の今後」において詳しく解説しています)



以上みたように、オプション試算は長期的視点で行われるものであり、また、オプション試算が行われた論点が必ず翌年の年金法改正で改正されるわけではありません。



仮に、それらの論点について何らかの見直しを含む改正法が令和7年に成立することがあったとしても、成立した改正法で定める施行日までは、現行の制度が引き続き適用されます。


なお、オプション試算は、長期的観点からなるべく早期の見直しが望ましいと国が考えている論点のうち、試算結果・シミュレーションを数値で示しやすい性格の論点に限って行わざるを得ないものです。


数値で示すことが難しい論点であっても、制度の不備などの論点は早期に改正すべきですので、オプション試算が行われなかった論点であっても翌年の年金法改正で改正されることはあり得るわけです。


(令和7年改正に向けての議論の中でも、例えば、障害年金・遺族年金の見直し議論で上がっている
論点などは、オプション試算になじまないものが多いのですが、それらのうち令和7年に改正が実現するものがあることは、当然ありえます)


財政検証・オプション試算の目的を理解することなく、財政検証が行われると決まったもののうち、特に国民の負担増につながる改正のみを大きく取り上げて、その改正がすでに決まったかのような論調で煽るような報道・記事が、財政検証の年には毎回増える傾向があります。


それらの報道に惑わされて、いらぬ不安を感じたりする方が増えないよう、これまでと同様、今後も
、社会保障審議会年金部会での議論の内容や国が公開しているデータ等の一次資料を基に客観的な情報をお伝えしていきたいと考えております。



(参考1)
令和7年年金法改正に向けての各論点について、厚生労働省年金局長は約1か月前に、次のように公言しています。(50分強の動画より、発言のポイントのみ下記に抜粋します)

「政策メディア/政策分析ネットワーク」YouTubeチャンネルより 
https://www.youtube.com/watch?v=IgtqGrXT1w0

<第208回 政策解説動画> 「次期年金制度改革の論点」 

・基礎年金拠出期間の延長、マクロ経済スライドの調整期間の一致が多くの人に関係する重要な論点 
・その他、被用者保険の適用拡大、年収の壁問題への対応、第3号被保険者制度の見直し、在職老齢年金制度の見直しが注目を浴びている
・在職老齢年金制度は、従来から賛否両論ある。
・前回改正時には本格的に見直しに手を付けることができなかった。
この5年の間に、人手不足を背景に高齢者の就業率が上昇している。今後もその傾向は続くだろう。高齢者の働きやすい環境を阻害してしまわないように、さらなる議論の深まりを厚生労働省としては
期待したい。
 

(参考2)
今夏の財政検証時にオプション試算が行われ論点のうち、実現可能性が高いものはどれかについては、専門家がいろいろ予想をしています。

例えば、4月13日の日本経済新聞には「公的年金見直し識者の声(1面参照)」として、次のような意見が掲載されていました。

・ニッセイ基礎研 中嶋邦夫氏
年金制度改正としては厚生年金の適用拡大が一番実現性が高い。


・慶応大教授 駒村康平氏
年金制度改正では、実現可能性が高いのは標準報酬月額の上限の見直しだ。

在職老齢年金制度は理論的な説明が必要だ。
就労を阻害するという意見もあるが、将来の給付水準へのマイナスの影響も考えられ、評価は分かれる。


(参考3)
財政検証・オプション試算を経て次回年金法改正の方向性が固まったとしても、国会に法案が提出されて改正法が成立しないと、改正は実現しません。
(令和2年改正に向けた議論では、方向性が固まるまでの段階で、高所得の高齢者優遇だとの批判が出て、結局年金改正法案に、65歳からの在職老齢年金制度の見直しは盛り込まれませんでした)

 

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