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令和6年度(2024年度)の年金額改定(令和5年度から2.7%の引上げ)と在職老齢年金制度の基準額改定(48万円から50万円に引上げ))

令和6年度(2024年度)の年金額改定(令和5年度から2.7%の引上げ)と在職老齢年金制度の基準額改定(48万円から50万円に引上げ)

令和6年度(2024年度)の年金額改定

(2024年1月19日)

令和6年(2024年)1月19日に総務省が「令和5年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指標)を公表しました。

それを受けて、厚生労働者が同日、令和6年度(2024年度)の年金額改定について公表しました。

令和6年度の年金額は、法律の規定に基づき、次の通りとなります。
・令和5年度から2.7%の引上げ




厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は、令和6年度は月額230,483 円となります。(令和5年度の月額224,482円より6,001円引き上げ)

 

「夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額」とは、「夫が平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

 

なお、年金は2か月に1回偶数月に前月までの2か月分が支給されますので、改定後の年金を受けるのは令和6年6月14日支給分(4月分・5月分)からです。

 

ちなみに超基本事項ですが、「年度」とは4月1日から3月31日までのことで、「年」とは1月1日から12月31日までのことですので、念のため。

 

 

令和6年度(2024年度)の在職老齢年金の基準額

年金受給世代の現役経営者にとっては、在職老齢年金の支給停止額の計算に用いる48万円という基準額がどうなるかという情報の方が重要です。


在職老齢年金制度による年金支給停止額計算式に出てくる基準額は令和5年度は「48万円」ですが、令和6年度は2万円引き上げられ「50万円」となります。

 

・令和5年度分、つまり令和6年4月15日支給分(令和6年2月分・3月分)まで
年金支給停止額(月額換算額)=(令和5年度年金額に基づいて計算された基本月額+総報酬月額相当額-基準額48万円)÷2

 

・令和6年度分、つまり令和6年6月14日支給分(令和6年4月分・5月分)から
年金支給停止額(月額換算額)=(
令和6年度年金額に基づいて計算された基本月額+総報酬月額相当額-基準額50万円)÷2
 

*基本月額=在職老齢年金制度の対象となる年金(注)の年額÷12
(注)65歳到達月分まで:特別支給の老齢厚生年金
   65歳到達月の翌月分から:老齢厚生年金(報酬比例部分)

 

*総報酬月額相当額=標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12

 

*令和6年度の在職老齢年金制度の基準額「50万円」が適用されるのも、令和6年6月14日支給分(4月分・5月分)の年金からです。

令和64月15日支給分(令和62月分・3月分)までは「48万円」のままですので、特に注意が必要です。


*今後の法律改正がない限り、基準額は令和7年度以降も、年度によって1万円単位で改定されることがあります。
 

 

令和6年度(2024年度)の年金額改定に関する基本情報

(2024年1月19日)


1.「物価変動率」3.2%
2.「名目手取り賃金変動率」3.1%
3.「マクロ経済スライドによるスライド調整率」▲0.4%

 

*年金額の改定については、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合は、支え手である現役世代の方々の負担能力に応じた給付とする観点から、名目手取り賃金変動率を用いて改定されることとなっています。

このため、令和6年度の年金額の改定は、名目手取り賃金変動率(3.1%)を用いて行われます。

また、令和6年度のマクロ経済スライドによる調整(▲0.4%)が行われます。

結果として、令和6年度の年金額は、
・令和5年度から2.7%の引上げ

となります。

2.「名目手取り賃金変動率」3.1%

・名目手取賃金変動率=実質賃金変動率(令和2~4年度の平均)▲0.1%+物価変動率(令和5年の値)3.2%+可処分所得割合変化率(令和3年度の値)0.0%

 

3.「マクロ経済スライドによるスライド調整率」▲0.4%


「マクロ経済スライド」とは、賃金や物価の上昇ほどは年金額を上昇させないように、改定率を調整し年金の給付水準を調整する仕組みです(平成16年の年金制度改正により導入されましした)。
これにより、将来世代の年金の給付水準を確保することにつながります。


公的年金被保険者総数の変動と平均余命の伸びに基づいてスライド調整率が設定され、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除されるというものです。

・マクロ経済スライドによる「スライド調整率」▲0.4%
=
公的年金被保険者総数の変動率(令和2~4年度の平均)▲0.1%+平均余命の伸び率(定率)▲0.3%

 

 

なお、令和6年度の満額の老齢基礎年金は、月額68,000円・前年度比+1,750(昭和3141日以前生まれの人は月額67,808円・前年度比+1,758円)です。

 

 

(年金額改定の仕組みのイメージ図等詳細は下記をご参照下さい)
(参考)厚生労働省発表「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/001040881.pdf

在職老齢年金制度の基準額(「支給停止調整額」)の改定は、どのようなしくみで行われるのか

前述の通り、在職老齢年金制度の基準額は令和5年度は48万円ですが、令和6年度は50万円に改定されます。


この基準額の改定のしくみについては、厚生年金保険第46条第3項に定められています。



しかし、一般の方にはわかりにくい内容となっていますので、基準額改定のある年度には質問をいただくことがあります。



まず、ざっくり説明すると、在職老齢年金制度の基準額(法律上は「支給停止調整額」といいますが、わかりやすいように「基準額」という語を用いて説明します)は、物価や賃金の変動に応じて改定されるしくみとなっています。


基準額は、具体的には次のようなしくみで改定されることとなっています。


1.平成16年の年金法改正で定められた「48万円」という額に、毎年度の「名目賃金変動率」を掛け続けていく

(注)名目賃金変動率とは
名目賃金変動率=(前年の)物価変動率×(2年度前~4年度前までの3年度平均の)実質賃金変動率


2.そのようにして得られた金額に、
(1)5千円未満の端数が生じた場合は、端数を切り捨てる
(2)5千円以上1万円未満の端数が生じた場合は、端数を1万円に切り上げる


3.これにより、毎年度の基準額が1万円単位で決定される。


計算式で示すと、次のような計算に基づいて決定されることとなります。


・平成16年改正で法定された「48万円」
×平成17年度の名目賃金変動率1.003
×平成18年度の名目賃金変動率0.996
×平成19年度の名目賃金変動率1.002
×平成20年度の名目賃金変動率0.998
×平成21年度の名目賃金変動率1.011
×平成22年度の名目賃金変動率0.976
×平成23年度の名目賃金変動率0.980
×平成24年度の名目賃金変動率0.986
×平成25年度の名目賃金変動率0.996
×平成26年度の名目賃金変動率1.005
×平成27年度の名目賃金変動率1.025
×平成28年度の名目賃金変動率1.000
×平成29年度の名目賃金変動率0.991
×平成30年度の名目賃金変動率0.998
×平成31年度の名目賃金変動率1.008
×令和2年度の名目賃金変動率1.004
×令和3年度の名目賃金変動率0.999
×令和4年度の名目賃金変動率0.996
×令和5年度の名目賃金変動率1.028
×令和6年度の名目賃金変動率1.031
→50万円(5千円以上1万円未満の端数を1万円に切り上げ)


毎年度(例えば令和6年度)の「名目賃金変動率」は、前年(例えば令和5年1月~12月)の物価変動率がその年(例えば令和6年)の1月20日ごろに公表されたタイミングで確定した率がわかることとなります。


したがって、そのタイミングで、確定した名目賃金変動率を上記計算式の最後に掛けた計算結果に基づいて、1万円単位で在職老齢年金制度の基準額が公表される、ということになります。


 

令和6年度(2024年度)分の年金が初めて支給されるのは、令和6年(2024年)6月14日

公的年金は年6回偶数月に前月分および前々月分が支給されます。

したがって、令和6年度分の年金が初めて支給されるのは、令和6年6月14日です(令和6年4月分および5月分の年金が支給されます)

 

令和6年415日に支給される年金は、令和6年2月分および3月分ですから、年金額は令和5年度のままです。

 

例えば、8月決算企業の社長・役員が年金を受給するために令和5年11月支給分から役員給与月額を標準報酬月額等級で2等級以上減額改定して、令和6年2月から標準報酬月額・総報酬月額相当額が下がって、老齢厚生年金の支給停止額が変動したとします。

そして、令和6年2月分からの年金額を伝える支給額変更通知書や令和6年4月支給分の年金額を伝える年金振込通知書が日本年金機構から令和6年4月上旬頃に受給者本人に届いたとすると、それらの通知書には令和5年度分の額が記載されていることになります。

昭和18年4月2日以降生まれで配偶者加給年金額が加算された老齢厚生年金を受けている人の場合なら、令和6年2月分からの年金額を伝える支給額変更通知書の「加給年金額または加算額」欄には、令和6年度の配偶者加給年金額と特別加算額の合計額408,100円ではなく、令和5年度のそれらの合計額である397,500円が記載されてきます。

 

 

令和6年度の年金額改定については、次の二点に注意しましょう。 

・令和6年度分の年金が支給されるのは614日からであること

・令和6年度の年金額や令和6年6月から令和7年4月までの偶数月に毎回支払われる金額を知らせてくる年金額改定通知書・年金振込通知書が、例年通りであれば、6月上旬頃日本年金機構から郵送されてくること 

(参考リンク)年金額改定通知書・年金振込通知書の詳細は、下記(日本年金機構ホームページ)に記載があります。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tuutisyo/gakukaitei/0601-01.html

令和5年度(2023年度)の年金額と令和6年度(2024年度の年金額、国民年金保険料

(2023年1月22日)

国民年金・厚生年金保険の各年金について、令和6
年度年金額(年額)が令和5年度年金額(年額)からどのように変わることとなったかなどを下記にお知らせします。



これまでに発刊された奥野の著書をお読みいただきます場合は、以下の金額に読み替えて
お読みくださいますようお願い申し上げます。



1.国民年金

●老齢基礎年金

(令和5年度額)795,000円
                      *昭和31年4月1日以前生まれの人は、792,600円

(令和6年度額)816,000円

                      *昭和31年4月1日以前生まれの人は、813,700円

 

●障害基礎年金(1級)
(令和5年度額)993,750円
        *昭和31年4月1日以前生まれの人は、990,750円

(令和6年度額)1,020,000円
                      *昭和31年4月1日以前生まれの人は、1,017,125円

 

●障害基礎年金(2級)
(令和5年度額)795,000円
*昭和31年4月1日以前生まれの人は、792,600円

(令和6年度額)816,000円
*昭和31年4月1日以前生まれの人は、813,700円

・子の加算(1人目・2人目)

(令和5年度額)228,700円

(令和6年度額)234,800円



・子の加算(3人目以降)
(令和5年度額)76,200円

(令和6年度額)78,300円



●遺族基礎年金(基本部分)
(令和5年度額)795,000円
        *昭和31年4月以前生まれの人は792,600円

(令和6年度額)816,000円
        *昭和31年4月以前生まれの人は813,700円

・子の加算(1人目・2人目)
(令和5年度額)228,700円

(令和6年度額)234,800円


・子の加算(3人目以降)
(令和5年度額)76,200円

(令和6年度額)78,300円


2.厚生年金保険
・加給年金額(配偶者、1人目・2人目の子)

(令和5年度額)228,700円

(令和6年度額)234,800円


・加給年金額(3人目以降の子)
(令和5年度額)76,200円

(令和6年度額)78,300円


・老齢厚生年金に加算される配偶者加給年金額(老齢厚生年金受給権者が昭和18年4月2日以後生まれの場合)
(令和5年度額)397,500円(228,700円+特別加算額168,800円)

(令和6年度額)408,100円(234,800円+特別加算額173,300円)

 

・老齢厚生年金(経過的加算部分)の計算式


​(令和5年度額)
1,657円*×厚生年金保険加入期間の月数(上限480月)-老齢基礎年金の満額795,000円**×(昭和36年4月1日以降の)20歳以上60歳未満の厚生年金保険の加入期間の月数÷480月
*昭和31年4月1日以前生まれの人は1,652円
**昭和31年4月1日以前生まれの人は、792,600円

(令和6年度額)
1,701円*×厚生年金保険加入期間の月数(上限480月)-老齢基礎年金の満額816,000円**×(昭和36年4月1日以降の)20歳以上60歳未満の厚生年金保険の加入期間の月数÷480月
*昭和31年4月1日以前生まれの人は1,696円
**
昭和31年4月1日以前生まれの人は、813,700円

 

・(例)(昭和36年4月1日以降の)20歳以上60歳未満の480月すべてが厚生年金保険加入の人(66歳)の老齢厚生年金(経過的加算部分)の年金額はいくらとなるでしょうか?

 

・(答え)

(令和5年度額)
1,657×厚生年金保険加入期間の月数480月(上限480月)-老齢基礎年金の満額795,000円×(昭和3641日以降の)20歳以上60歳未満の厚生年金保険の加入期間の月数480÷480月=795,360円-795,000円=360円

(令和6年度額)
1,701×厚生年金保険加入期間の月数480月(上限480月)-老齢基礎年金の満額816,000円×(昭和3641日以降の)20歳以上60歳未満の厚生年金保険の加入期間の月数480÷480月=816,480円-816,000円=480

 

・(解説)老齢厚生年金(経過的加算部分)の計算式の前半部分の厚生年金保険加入期間の月数には、「480月」という上限が設けられています。

 

したがって、上記の例の人の場合、20歳未満や60歳以降にも厚生年金保険加入期間があったとしても、老齢厚生年金(経過的加算部分)の年金額は、上記の金額となります。

20歳以上60歳未満の480月すべてが厚生年金保険加入期間の月数であったという社長様は多くないため、老齢厚生年金(経過的加算部分)の計算式の後半部分が老齢基礎年金の満額となる人は少ないです。


また、20歳未満の期間も含めて60歳未満の厚生年金保険加入期間が480月に達している社長様もそれほど多くはないため、60歳以降の厚生年金保険加入により、厚生年金保険加入期間の月数(年齢を問わずすべての厚生年金保険加入期間の月数)が480月に達するまでは、65歳以降の老齢厚生年金(経過的加算部分)の年金額増に反映する人が多いです。



老齢厚生年金の中でも、経過的加算部分は在職老齢年金制度の対象とならないため、
老齢基礎年金と同様、高額報酬の社長様も全額受給可能です。



また、高額報酬を受けているため老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止となる社長様が老齢厚生年金を繰り下げた場合でも、経過的加算部分は必ず「繰下げ月数×0.7%」増額されます。


したがって、経過的加算部分の金額が一定額以上となる社長様は、ご自身の役員報酬設定の検討や年金の受給のしかたの検討のためには、ご自身の65歳以降や70歳以降の老齢厚生年金の内訳金額、つまり、報酬比例部分がいくらか・経過的加算部分がいくらか、の見込額を知っておく必要があります。


 

障害厚生年金(3級・最低保障額)
(令和5年度額)596,300円
*昭和31年4月1日以前生まれの人は594,500円

(令和6年度額)612,000
*昭和31年4月1日以前生まれの人は610,300

●障害手当金(最低保障額)
​(令和5年度額)1,192,600円
*昭和31年4月1日以前生まれの人は1,189,000円

(令和6年度額)1,224,000円
*昭和31年4月1日以前生まれの人は1,220,600円


●遺族厚生年金の中高齢寡婦加算
(令和5年度額)596,300円

(令和6年度額)612,000円



(参考)

在職老齢年金支給停止額計算における基準額(65歳到達月分まで・65歳到達月の翌月分からを問わず)
(令和5年度額)48万円

(令和6年度額)50万円


●老齢年金生活者支援給付金
(令和5年度額)月額5,140円

(令和6年度額)月額5,310円



●障害年金生活者支援給付金(1級)
​(令和5年度額)月額6,425円

(令和6年度額)月額6,638円
 


●障害年金生活者支援給付金(2級)
(令和5年度額)月額5,140円

(令和6年度額)月額5,310円

 


●遺族年金生活者支援給付金
(令和5年度額)月額5,140円

(令和6年度額)月額5,310円



(注)年金生活者支援給付金の給付基準額は、物価の変動に応じて毎年度改定が行われます。令和6年度は、令和5年の物価変動率(3.2%)に応じて、は令和5年度から3.2%増額改定となります(令和元年度額(月額5,000円)に令和2年度以降毎年度の物価変動率を掛けていき、端数処理された結果、上記の令和6年度額となります)。



●国民年金保険料
(令和5年度額)月額16,520円

(令和6年度額)月額16,980円

(令和7年度額)月額17,510円

 

昭和31年4月1日以前生まれかどうかで令和6年度の満額の老齢基礎年金年金額が変わる理由

(2023年2月5日)

令和6年度の年金額等について、上記の通りポイントをまとめて先日お伝えしました。


令和6年度の老齢基礎年金の満額は、「昭和31年4月1日以前生まれの人」は異なるのですが、この点について「昭和32年4月1日以前生まれの人」の間違いではないでしょうか、との質問を複数の方からいただきました。



年金額改定のしくみ(老齢基礎年金については国民年金法第27条~第27条の5に規定されています。令和6年度の老齢基礎年金額は国民年金法第27条、第27条の4、第27条の5に基づき決まります)は複雑であり、また、このホームページは社労士・FP等の専門家向けに情報提供しているものではありませんので、詳しくは解説しておりませんが、先日お伝えしました通り、「昭和31年4月1日以前生まれの人」です。



理由は、次の通りです。



1.平成12年の年金法改正により、原則として、「新規裁定者」(67歳到達年度までの人)の年金額は賃金変動率(名目手取り賃金変動率)を用いて改定し、「既裁定者」(68歳到達年度以降の人)の年金額は物価変動率を用いて改定することとなりました。



2.令和5年度の年金額改定は、(物価・賃金ともに上昇し、)物価変動率<賃金変動率となった場合の改定ルール、つまり、新規裁定者は賃金上昇率、既裁定者は物価上昇率に応じて改定されるという原則的なルール(=下記のURLの7ページ・1番の改定ルール)が適用されました。

https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/001040881.pdf



3.しかし、(物価・賃金ともに上昇し、)物価変動率>賃金変動率となった場合は、
新規裁定者の年金額だけでなく既裁定者の年金額も賃金上昇率をもとに改定されることとなっています(上記URLの7ページ・6番の改定ルール)。

令和6年度の年金額改定は、この例外的な改定ルールが適用されます。



以上より、令和6年度の年金額は、令和6年度における既裁定者(昭和32年4月1日以前生まれの人)か否かで年金額が変わるわけではありません。



(1)令和5年度の年金額改定率が、令和5年度における既裁定者(昭和31年4月1日以前生まれの人)か否かで異なっており、

(2)令和6年度の改定率は、(令和6年度における既裁定者も新規裁定者も)令和5年度から2.7%(賃金上昇率3.1%・マクロ経済スライド調整率▲0.4%)引上げ(×1.027)なのですから、


令和6年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月1日以前生まれの人か否かで次の通り年金額が変わることとなります。


・「昭和31年4月2日以後生まれの人」の老齢基礎年金の満額=780,900円(*)×令和6年度改定率1.045(令和5年度改定率1.018(注1)×1.027)→816,000円(50円未満の端数を切捨て)


・「昭和31年4月1日以前生まれの人」の老齢基礎年金の満額=780,900円(*)×令和6年度改定率1.042(令和5年度改定率1.015(注2
)×1.027)→813,700円(50円以上100円未満の端数を100円に切上げ)



(注1)令和5年度改定率1.018=令和4年度改定率0.996×1.022(令和4年度から2.2%引上げ(賃金上昇率2.8%・マクロ経済スライド調整率▲0.3%・前年度までのマクロ経済スライドの未調整分▲0.3%))

(注2)令和5年度改定率1.015=令和4年度改定率0.996×1.019(令和4年度から1.9%引上げ(物価上昇率2.5%・マクロ経済スライド調整率▲0.3%・前年度までのマクロ経済スライドの未調整分▲0.3%)

 

(*)780,900円は平成16年の法改正により定められた額です。毎年度の老齢基礎年金の満額は、780,000円にその年度の「改定率」(国民年金法第27条)を乗じた額となります。つまり、各年度における老齢基礎年金の満額は、この「改定率」を改定することによって決定されます。

(参考条文)国民年金法第27条(年金額)

老齢基礎年金の額は、七十八万九百円に改定率(次条第一項の規定により設定し、同条(第一項を除く。)から第二十七条の五までの規定により改定した率をいう。以下同じ。)を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。ただし、保険料納付済期間の月数が四百八十に満たない者に支給する場合は、当該額に、次の各号に掲げる月数を合算した月数(四百八十を限度とする。)を四百八十で除して得た数を乗じて得た額とする。(以下省略)

 

なお、老齢厚生年金(報酬比例部分)とは異なり老齢基礎年金は在職老齢年金制度の対象外のため、報酬が高くても全額受給できます。
ですから、社長・役員様が今後の報酬設定変更を検討する上で、老齢基礎年金額の改定は重要ではありません。


ご自身の令和6年度の老齢基礎年金額を印字した試算結果は、令和6年4月1日以降年金事務所でもらうことができますし、令和6年6月頃には年金額改定通知書が送付されてきます。



ですから、今の段階で老齢基礎年金額について疑問を感じておられたとしても、深入りされる必要は通常はあまりないかと存じます。



一方、平均標準報酬月額・平均標準報酬額を算出するための「再評価率」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/nenkingaku/20150401-01.html
が改定されることによる老齢厚生年金(報酬比例部分)の増額(注)や、在職老齢年金制度の基準額が50万円に引上げとなることは、報酬設定変更を検討する際に重要です。

(注)老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額改定のしくみは、厚生年金保険法第43条~第43条の5に規定されています。令和6年度の老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額は厚生年金保険法第43条、第43条の4、第43条の5に基づき決まります。




なお、現在、年金復活プランの導入支援コンサルティングや継続サポートをご契約中の社長様方から、老齢厚生年金受給のための報酬設定変更に関するご相談を大変多くいただいております。



順番に回答いたしておりますので、回答未着の場合は、いましばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます。

 

 

令和6年度(2024年度)の年金額(再掲)

(2024年4月1日)

令和5年度の主な年金額について、年金額に改定がなかったものも含めて、改めて以下にまとめてお伝えします。

 

1.老齢年金

【老齢基礎年金】

満額で 816,000円(昭和3141日以前生まれの人は813,700円)

 

【付加年金】 

200円×付加保険料納付月数

 

【振替加算】

(ここでは、受給者が昭和3142日以降生まれの場合の年額のみを記載します)

 昭和3142日~昭和3241日生まれ 46,960

 昭和3242日~昭和3341日生まれ 40,620

 昭和3342日~昭和3441日生まれ 34,516

 昭和3442日~昭和3541日生まれ 28,176

 昭和3542日~昭和3641日生まれ 21,836

 昭和3642日~昭和4141日生まれ 15,732

 
(注)234,800円×生年月日により0.2000.067(昭和3141日以前生まれの人は、234,100円×生年月日により1.0000.227

 

【老齢厚生年金】

 ・老齢厚生年金(報酬比例部分)
=平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成153月までの厚生年金保険被保険者期間の月数+平均標準報酬額×5.481/1,000×平成154月以降の厚生年金保険被保険者期間の月数

 

・老齢厚生年金(経過的加算部分)
=定額部分に相当する額(注1)-厚生年金保険に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額(注2


(注1)定額部分に相当する額(昭和2142日以降生まれの人の場合)=1,701円(昭和3141日以前生まれの人は1,696円)×厚生年金保険被保険者期間の月数(上限480月)

(2)厚生年金保険に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額=満額の老齢基礎年金816,000円(昭和3141日以前生まれの人は813,700円)×(昭和3641日以降の)20歳以上60歳未満の厚生年金保険被保険者期間の月数÷480

 

・加給年金額

1)配偶者  234,800円(老齢厚生年金を受けている人が昭和9年42日以降生まれの場合、生年月日に応じて34,700円~173,300円の特別加算額も加算されます。
老齢厚生年金を受けている人が昭和1842日以降生まれの場合の特別加算額は、173,300円です)

21人目・2人目の子 各234,800

33人目以降の子 各78,300

 

2.障害年金等

【障害基礎年金】 

1級 1,020,000
(昭和3141日以前生まれの人は1,017,125円)
+(子の加算)

2級 816,000
(昭和3141日以前生まれの人は813,700円)
+(子の加算)

 

・子の加算 1人目・2人目の子 各234,800

3人目以降の子 各78,300

 

【障害厚生年金】 

1級 報酬比例の年金額×1.25(+配偶者加給年金額)

2級 報酬比例の年金額(+配偶者加給年金額)

3級 報酬比例の年金額
   最低保障額612,000
(昭和3141日以前生まれの人は610,300円)


・配偶者加給年金額 234,800

 

【障害手当金】  

報酬比例の年金額×2
最低保障額1,224,000円(昭和3141日以前生まれの人は1,220,600円)

 

3.遺族年金等 

【遺族基礎年金】

・子のある配偶者が受けるとき 816,000
(昭和3141日以前生まれの人は813,700円)
+子の加算

・子が受けるとき 816,000円+(2人目以降の子の加算)

・子の加算  1人目・2人目の子 各234,800

3人目以降の子 各78,300

 

【遺族厚生年金】 

・遺族厚生年金=亡くなった人の報酬比例部分×3/4

・中高齢寡婦加算(40歳以上65歳未満の寡婦が対象) 612,000
(遺族基礎年金額816,000円×3/4100円単位)

 ・経過的寡婦加算(昭和3141日以前生まれの寡婦が対象)=遺族基礎年金額を用いて計算した中高齢寡婦加算の額610,300円(813,700円×3/4100円単位)-老齢基礎年金の満額813,700円×寡婦の生年月日に応じて定められた率(例えば、寡婦が昭和3042日~昭和3141日生まれの場合は、480分の348

 

【寡婦年金】

死亡した夫の国民年金第1号被保険者期間(任意加入被保険者期間を含みます)から計算される老齢基礎年金額×3/4

 

【死亡一時金】

死亡した人の国民年金第1号被保険者期間(任意加入被保険者期間・65歳以上の任意加入被保険者期間を含みます)に係る保険料納付済期間(注)に応じ下記の金額

(注)1/4納付期間は1/4に相当する月数、半額納付期間は1/2に相当する月数、3/4納付期間は3/4に相当する月数となります。

 

 36月以上180月未満 120,000

180月以上240月未満 145,000

240月以上300月未満 170,000

300月以上360月未満 220,000

360月以上420月未満 270,000

420月以上       320,000

 

死亡した月の前月までに付加保険料納付済期間が36月以上ある場合は、上記の金額に8,500円が加算されます。

 

●参考:「年金給付の経過措置一覧(令和6年度)」(日本年金機構ホームページ)

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/nenkingaku/20150401-02.files/0604.pdf

 

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