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在職老齢年金の計算式に出てくる「総報酬月額相当額」とはいつの報酬で決まるのか

(2016年3月23日)

これは、年金受給世代の方からとても多くいただく質問ですね。

 

日本年金機構のホームページを見ても、年金事務所の年金相談でパンフレットをもらってきても、市販の本を読んでも、その時はわかったような気がするものの、またすぐにわからなくなってしまう、との声をいただくことも多いです。

 

例えば、日本年金機構発行の在職老齢年金のパンフレットから一部抜粋してみますと、次のような記載があります。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
60歳以上65歳未満の在職老齢年金

60歳以上65歳未満の方で、厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受けるときは、基本月額と総報酬月額相当額に応じ、年金額が支給停止(全部または一部)される場合があります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、「総報酬月額相当額」については、次のように説明されています。

○毎月の賃金(標準報酬月額)+1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額

 

このような文章を読んだ社長様方から、何が書いてあるのかさっぱりわからない、自分の場合はどうなるのか、とご質問をいただきます。


ご質問の言い回しはお一人お一人違いますが、要するに、皆さん、次のことがわからないわけですね。

 

・賃金(標準報酬月額)とはいつの賃金(標準報酬月額)のことか


・1年間の賞与(標準賞与額)の1年間とはいつからいつまでのことか

 

日本年金機構のパンフレットや、年金に関する一般向けの書籍やネット上の様々な記述では、専門分野へのとっつきにくさを無くすためか、わざと条文の正確な表現とは違う言い方をしていることも多いです。

ですので、いったいなんのことを言っているのかわけがわからない、と感じたときは、法律条文の正確な表現を確認する方が、かえって理解しやすいこともよくあります。

 

 

「総報酬月額相当額」について定めている厚生年金保険法第46条第1項をみると、次のような表現があります。

「その者の標準報酬月額とその月以前の一年間の標準賞与額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額」

 

その者の
1.「標準報酬月額」

2.「その月以前の一年間の標準賞与額の総額を十二で除して得た額」
とを
合算した額を「総報酬月額相当額」というと書いてありますね。


ですから、ご自分の場合の総報酬月額相当額を算出するためには、
まず、上記の1および2の額を知る必要があります。


まず1の、ご自分の「標準報酬月額」はご存知でしょうか。

毎年、4・5.6月に支給された報酬月額を平均して、健康保険・厚生年金保険法の保険料額表(報酬月額が○○円以上××円未満なら、健康保険の標準報酬月額は△△円、厚生年金の
標準報酬月額は□□円、とわかる表ですね)に当てはめて、毎年1回その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額が定められます。


その後1年経過する前に、報酬月額変更届の提出事由に該当した場合は、報酬月額変更届の届出に基づき標準報酬月額が変わります。


いずれにしても、「標準報酬月額」は、毎月変動しうるということですね。


なお、厚生年金保険法の標準報酬月額は62万円が上限ですから、経営者の方の場合、現在適用されている標準報酬月額が62万円だという方も多いでしょう。

 

一方上記2の方はどうでしょうか。
こちらは、特にご質問が多いです。
「その月以前の一年間」とはいつのことを言っているのかがおわかりにくいようですので、順番に詳しくみていきましょう。

 

まず、平成28年3月1日から平成28年3月31日の間に「総報酬月額相当額」を計算する場合の「その月」とは平成28年3月のことをいいます。
(当たり前ですね。)
したがって、この場合、「その月以前の一年間」とは「平成28年3月以前一年間」、すなわち、「平成27年4月から平成28年3月まで」を指します。
 

平成27年4月から平成28年3月までの間の例えば平成27年12月20日に役員賞与が120万5千円支給されていたとします。

平成28年3月中に「総報酬月額相当額」を計算する場合の上記2「その月以前の一年間の標準賞与額の総額を十二で除して得た額」は、どうなるでしょうか。
 

標準賞与額というのは賞与額の千円未満を切り捨てたものです。
標準賞与額には上限がありますが、この場合、上限内ですので、
上記2は、120万÷12=10万円となります。

上記1の(その月に適用されている)標準報酬月額が62万円、
上記2の「その月以前の一年間の標準賞与額の総額を十二で除して得た額」が10万円の場合は、その月の「総報酬月額相当額」は62万円+10万円で72万円となります。


少し複雑ですがおわかりいただけたでしょうか。


以上よりご理解いただける通り、あなたの「総報酬月額相当額」は、毎月変わりうる、ということです。


「総報酬月額相当額」は毎月算定される、という点がポイントです。


年金支給停止の計算に使う年収は、
・年単位(1月~12月)の年収をいうのか
・年度単位(4月~3月)の年収をいうのか
・年金支給開始年齢に到達直前のものを使うのか
等のよくあるご質問が、どれも間違っていることがおわかりいただけると思います。

 

その月現在適用されている「標準報酬月額」とその月以前の一年間の標準賞与額の総額÷12との合計額、すなわち「総報酬月額相当額」という指標を用いて、年金支給停止額の計算が毎月行われる、ということです。

 

なお、「総報酬月額相当額」の計算は、会社が提出する「報酬月額算定基礎届」「報酬月額変更届」「賞与支払届」等に基づき自動的に計算されます。

したがって、在職老齢年金をもらっている人は、毎月の「総報酬月額相当額」算定のためには何の手続きもする必要がありません。

 


経営者の方等で、その月以前の一年間に役員賞与等がなく、月例の役員報酬しかない場合は、その月の総報酬月額相当額=その月に適用されている標準報酬月額、となります。


多くの経営者の方は、月例の役員報酬しか受けておられませんが、年金復活プランのコンサルティングをご用命いただいた社長様方の直近1年の給与明細を拝見していると、意外に賞与等の支給を受けておられる方も多いなと感じています。

中には、年2回や3回受けておられる方もおられますし、毎回かなりの金額を受けている方もおられます。


今後、在職のまま特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金の受給を目指される場合は、いつから年金が受けられるようになるのか、また、毎月、毎月の「総報酬月額相当額」計算にあたって、その月以前の一年間に支払われた賞与があるか・具体的に何月にいくら受けたか、をしっかり確認しておく必要があります。


年金復活プランをお申し込みいただいた場合、直近1年間の給与明細書等のコピーをいただいているのは、直近1年間に賞与等の支給がないか、あるとしたら、何月にいくら支給されていたか
を確認する必要があるからなのですね。
(その他にも、前年の何月支給分から役員報酬月額が改定されているかも給与明細書等のコピーで確認しています。)

 

別の法人で従業員や役員として勤務し直近1年に賞与等を受けていた人が会社を立ち上げて役員になったり、別の会社で常勤役員・常勤従業員として勤務を始めた場合にも、注意が必要です。
(直近1年間に賞与等の支給があったかどうかは人単位でみますので、在職する会社が異なったとしても、賞与等を受給したことによる影響が続くわけですね。)


以上、ポイントをまとめると、
「総報酬月額相当額」は毎月変わる可能性があります。
したがって、年金支給停止額は、毎月変わる可能性があります。

 

 

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