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従業員を取締役にすれば年金が受けられますか」との質問への回答  取締役と従業員の違い

(2016年4月5日)

役員報酬最適化を活用した年金復活プランの情報をご覧いただいた方から、

次のようなご質問をいただくことも多いです。

 

「年金がもらえる年齢の常勤の従業員がいるのですが、役員と同じように報酬の支払い方変更を行えば、年金をもらえるようになりますか?」

 

回答は「いいえ」なのですが、このようなご相談は毎月とても多いため、
ホームページやメルマガ等でも何度か解説しております。

 

私どもでご案内している年金復活プランは、役員報酬の総額を変更せず支払い方を変更する「役員報酬最適化」という手法を活用しています。


したがいまして、会社から従業員給与(使用人給与)を受けている方は対象外となります。


あくまでも、会社から役員報酬(役員給与)を受けている方のみが対象です。

 

このようにお話しすると、ほとんどの社長様にご理解いただけます。


しかし、ときどき、「それでは、従業員を取締役にしたら年金をもらえるようになるのでしょうか」と聞かれることがあります。


単に機械的・形式的に回答するならば、
「その通りです。取締役に就任された方であれば、理論上は対象に成り得ます。」と答えることになります。

 

しかし、情報を単にテクニック的に捉えるのはとても危険だと思います。

 

というのは、従業員と取締役とは、法的位置づけが全然異なる立場であり、
年金がもらえるからといって、それだけのことで簡単に従業員を取締役にするべきものではないからですね。

 


会社と従業員との契約は、労働契約という、各種労働者保護法制の基で手厚く労働者が保護されている形の契約です。
(同居の親族の場合は労働者保護法制の対象外となる部分がありますが、
今回は、ご質問の多い、同居の親族以外の従業員のケースで説明します。)


一方、会社と取締役との契約は委任契約となります。


使用人兼務役員でもなければ、使用人給与はなくなり役員給与のみの支給となります。

 

従業員であれば、政府労災保険の手厚い業務災害補償がありますが、
取締役であればそれもなくなります。


従業員であれば離職せざるを得ない事由等が発生したら受けられる筈の雇用保険からの各種給付も、取締役であれば対象外となってしまいます。


従業員であれば、当然に権利が認められる法定の残業代・休日出勤代も、
労働基準法上の労働者ではない取締役であれば請求権がなくなってしまいます。

 

従業員を取締役にすればよい、と簡単に考えるべき問題ではないことが以上の内容からだけでもおわかりいただけると思います。

 

ちょうど、タイムリーに、3月30日のyahooニュースでも、ある労働事件の裁判例が大きく取り上げられていましたので、ご覧になった方も多いと思います。

 

教育事業等複数の事業を行っているある企業が被告となった裁判です。

 

大変驚くべき事件ですので、ご参考までに、概要を下記の通りお知らせいたします。


・この会社に入社した従業員は、試用期間6か月を経ると正社員になり、
同時に、会社の株式を譲り受け株主となることとなっていました。
併せて、取締役就任を承諾する旨の文書を会社に提出することとなっていました。


・しかし、会社法所定の手続きによる取締役選任手続きは行われていませんでした。


・また、履歴事項全部証明書にも取締役の登記はされていませんでした。


なんと、社内で勝手に取締役だとして取り扱っているだけで、
形式上ですら取締役では全然なかったという事例なのですね。


そして、裁判では、取締役の登記がされていなかった以外に、次のような事情も勘案の上、原告は取締役ではなく従業員(労働基準法上の労働者)だったとされました。

・出退勤が厳格に管理されていた。
・会社の年間売上や経常利益の割に給与額が低い。
・全社員参加の会議は取締役会とは同視できない。

 


取締役であれば、労働基準法上の労働者ではありませんので、
労働基準法上の割増賃金(残業代・休日出勤代)を支払う義務は会社には生じません。


ところが、社内で取締役であると称しているだけで、実態が労働者であれば、
当然会社は割増賃金を負担すべきこととなります。


結局被告(会社)は原告に671万円と、遅延損害金14.6%を支払うよう命じられました。


さらに、労働基準法上の「付加金」として519万円も支払うべきこととされました。


労働基準法上義務付けられている労働基準法上の賃金等を支払わない場合は刑罰が科されることとなっていますが、特に、労働者にとって重要で保護が必要なお金については、労働基準法114条で「付加金」の制度が法定されています。


具体的には、
解雇予告手当、休業手当、割増賃金、年次有給休暇の期間又は時間の賃金を使用者が支払わなかった場合、労働者からの請求により、未払金の他、これと同一額の付加金の支払いを命じることができることとなっています。


付加金というペナルティを設けることで、支払うべきお金を支払わないことがないようにしているわけです。

 

この事件は、取締役の登記すら行っていなかったという、特殊な事例です。

 

しかし、労働者と取締役との法的な立場は全然異なるものであることはこの事例からもおわかりいただけると思います。

 


また、そもそも、役員報酬の支払方を変更することは、取締役であれば誰に対しても簡単に行えるようなものではありません。


中には例外もありますが、通常は、オーナー社長やオーナー社長のご親族である取締役に限って実施されることがほとんどです。

 

役員の再任の登記(重任登記)にもご注意ください。

役員報酬最適化手法は、登記された役員で役員報酬を受けている方のみが

対象となります。

 

このことに関連して、ご注意いただきたいのが役員の任期についてです。

 

代表取締役様や、その配偶者の取締役様が年金支給開始年齢を迎える会社の
多くは、社歴が長い会社で、ご夫婦が長く役員を務めておられるケースも
多いです。


平成18年5月1日施行の会社法では、取締役の任期は原則2年、監査役の任期は
原則4年と定められていますが、譲渡制限株式会社では定款により、それぞれ
最長10年まで延長することができるようになっています。

 

会社法施行の影響で、自社の取締役、監査役の任期を変更された会社等では、
各役員の任期や役員再任登記(重任登記)を行うことを忘れてしまっている
ケースもあるようです。

 


小規模な同族会社等で役員報酬最適化コンサルティングを行っている際に、
役員の任期切れが近づいていることを失念しておられた結果、役員の重任
手続き・登記を急いで行う必要があることが判明し、慌てて司法書士さんに
手続きをお願いする必要がある、といったケースが稀にみられます。

 

役員の任期が切れたままですと、社内でいくら役員と呼んでいたとしても、
任期切れ以降は形式的には役員ではないこととなってしまいます。


役員でない人に対して役員報酬を支払うことはできませんので、
役員報酬を最適化することもできなくなってしまいます。


このようなことがないように、各役員さんの任期については事前に確認を
しておいていただく必要があります。

 

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