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(2023年4月4日一部修正)(2022年4月16日一部修正)
(60歳代前半の経営者の方からよくいただく質問)
役員であれば「年金復活プラン」採用により、年収は下げなくても老齢厚生年金を受けることができるようになるとのことですが、間違いではないでしょうか?
年金事務所で、年金受給できる年収は最大336万円だと聞きましたが・・・
(65歳以上の経営者の方からよくいただく質問)
役員であれば「年金復活プラン」採用により、年収は下げなくても老齢厚生年金を受けることができるようになるとのことですが、間違いではないでしょうか?
年金事務所で、年金受給できる年収は最大564万円だと聞きましたが・・・
これらは、毎月とても多くいただく質問です。
結論からいいますと、
年金受給できる年収は最大336万円、
年金受給できる年収は最大564万円、
というのはどちらも全くの誤りです。
そのようなことはありません。
年金事務所の年金相談担当の職員さんがそのような説明をされるということもありえません。
老齢年金の在職支給停止額の計算式については、
65歳未満の場合・65歳以上の場合のそれぞれについて、
日本年金機構のホームページにも掲載されています。
ただ、年金に詳しくない経営者の方が年金事務所で1回聞いた説明を、
日々のお仕事でお忙しい中、正確に覚えておくのは難しいことだと思います。
28万円とか、47万円という数字だけが印象に残っていて、誤解をされてしまっている例をよくみかけます。
老齢厚生年金の在職支給停止額は、簡単にいうと、
65歳未満の場合は、
{基本月額(報酬比例部分の年金÷12)+総報酬月額相当額(標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の総額÷12)-28万円}÷2で、
65歳以上の場合は、
{基本月額(報酬比例部分の年金÷12)+総報酬月額相当額(標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の総額÷12)-47万円}÷2で、
それぞれ算出できます。
(注)上記は、令和3年度の計算式です。令和4年度からは、65歳未満の基準額も65歳以上の基準額(令和4年度は47万円・令和5年度は48万円・令和6年度は50万円)と同額となりました。
以上、年金復活プランの内容の理解以前に、老齢厚生年金の在職支給停止の基本的な
仕組みについて、年金事務所の相談窓口の方から説明を受けた内容を誤解されている
例が極めて多いですので、念のため触れてみました。
なお、年金復活プランを採用される場合も、上記の在職支給停止額の計算式はもちろん適用されます。
ただし、年金復活プランの理解のためには、さらに、役員報酬の支払い方に関する知識が必要となります。
これは、年金に関する知識ではなくて、それぞれの法人が経営判断として各役員に対してどのような役員報酬設定をするかに関することですので、年金事務所で取り扱われる事項ではありません。
報酬設定の問題であるにも関わらず、年金のことだから年金事務所が一番詳しいはずと思い込んでしまって、混乱される経営者の方もおられるようです。
5月中旬の月曜日の午後のこと。
その日は、お世話になっている某一般社団法人さん主催の会員企業経営者様向けの年金セミナーに出席していました。
午後1時から午後5時までの間、面識のある2名の講師の方が年金に関する解説をされる予定で、私も含め数名の社労士も聴講しておりました。
ところが、主催者側とのタイムスケジュールの連絡ミスのためか、二人目の講師の方が、指定の時間には近くでアポイントメントが入っていてお話ができないとのことで、帰ってしまわれることとなりました。
セミナー開始前に主催者・講師陣がひそひそ話をされているのを耳にして、
いやな予感がしたのですが、
主催者の責任者さんと目が合ってしまいまして(笑)、
急遽私が場つなぎのために二人目の講師として話すこととなりました。
「奥野先生は、経営者の老齢年金に詳しいですよね。
○○先生のお話の後に、参加者の皆さんに老齢年金に関してわからないことがないか聞いて、全ての質問をホワイトボードに書いていきます。
それらについて4時45分くらいまで回答・解説していただけますでしょうか。」
とのこと。
それで、質問を募ってみると、次から次から、大変たくさんのご質問がホワイトボード一杯に記載されていきました。
幸い、全てのご相談が経営者様向け無料メール相談等でもよくご相談いただいている次のような内容ばかりでしたので、滞りなくピンチヒッターを務められてホッとしました。
・在職支給停止額の計算
・在職支給停止と老齢基礎年金
・在職支給停止と繰下げ
・老齢基礎年金の繰下げと老齢厚生年金の繰下げ
・繰下げの意思表示
・年金の支給時期
・年齢による年金の違い
・ねんきん定期便記載内容について
・老齢厚生年金は何歳になったらもらえるようになるのか
・厚生年金基金加入期間のある人の基金代行額と在職支給停止との関係
・年金支給手続きについて 等
それにしても、参加されている経営者のほとんどが老齢年金の基本事項についてわからないと感じておられるということを目の当たりにして、情報提供の必要性をまたまた実感いたしました。
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担当:奥野 文夫 (おくの ふみお)
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