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(2017年7月25日)
夫婦で法人の代表取締役・取締役になっていて、例えば代表取締役(例えば、夫)が60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金(報酬比例部分)を受給するために、夫婦の報酬月額を入れ替えている事例の問題点については、以前から様々なところで指摘をしています。
特に、配偶者である取締役(例えば、妻)の報酬の年間総額が850万円以上とした後に、代表取締役(夫)が死亡しても、取締役(妻)は夫の死亡による遺族厚生年金を受給できない点について注意喚起してきました。
死亡当時の「生計維持」要件を満たしていないこととされるため、遺族厚生年金がもらないということですね。
このことについて、少し補足しておきます。
上記の例で、夫の死亡当時役員報酬総額850万円以上あった妻が、その後、夫に代わって代表取締役に就任して経営を続けたものの、会社の売り上げが下がり、翌年から新代表取締役の役員報酬年額が850万未満になったとします。
そうすると、それ以降、遺族厚生年金はもらえるのでしょうか。
結論からいうと、このようなケースでは、新代表取締役はそれ以降も、遺族厚生年金を受給できるようになりません。
年金不支給決定への不服申し立てに対する採決事例集などをみても、生計維持要件について不服申し立てした遺族が結構おられるようですが、概して厳しい判断です。
死亡当時(原則として死亡の前年)の収入が850万円以下(所得の場合は655.5万円以下)であることが生計維持要件の原則とされています。
もし、この要件を満たしていなくても概ね5年以内に基準額未満となることが客観的に予見可能である場合には、例外的に生計維持要件を満たしているとされます。
(5年以内に定年となることが就業規則で確認できる従業員が典型例です。)
しかし、この例外に該当しうるほど、今後の報酬減少について客観的に予見可能であると認められるケースは、中小企業オーナー経営者夫婦の場合にはほとんどないでしょう。
代表取締役の死亡による遺族厚生年金を配偶者である取締役が受けたいのであれば、配偶者(取締役)の役員報酬年額は850万円未満に抑えておくのが無難といえます。
中小企業においては、
代表取締役(夫):報酬月額100万円→報酬月額30万
取締役(妻):報酬月額30万円→報酬月額100万円と、
夫の年金受給のために報酬月額を入れ替えているケースも多いですので、そのような事例で注意喚起をすることが多いです。
しかし、上記のような例以外にも代表取締役(夫):報酬月額200万円
取締役(妻):報酬月額100万円とか、
代表取締役(夫):報酬月額100万円
取締役(妻):報酬月額100万円というケースも多いです。
これらの場合でも、取締役の役員報酬年額が基準額を超えていますので、夫が死亡しても、妻は遺族厚生年金をもらえないのは同様ですので、ご注意下さい。
顧問社労士さんに給与計算業務や社会保険事務手続き(報酬月額算定基礎届)を依頼しておられる場合は、役員報酬年額が850万円を超えている場合に注意喚起してくれることが多いとは思いますが、万一ご存じでなかった場合はご注意下さい。
ちなみに、老齢年金は、死亡した月分までの年金がもらえます。
(公的年金はすべて、もらえる要件を満たした月の翌月分から、もらえる要件を満たさなくなった月まで支給されます。)
また、公的年金は年6回偶数月の15日に前々月分・前月分の2か月分を受給することとなっています。
ですから、死亡月分の年金を自分で受給することはできず、必ず「未支給年金」というものが発生します。
未支給年金は、受給権者の死亡の当時生計を同じくしていた一定の者が自己の名で請求できるのですが、順位は配偶者が1番ですので、受給権者の死亡の当時生計を同じくしていた配偶者がいる場合は配偶者に支給されます。
ただし、死亡した人が高額報酬を受けていたため、特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止となっていた場合は、それらの年金については、「未支給年金」(もらえる要件を満たしている年金で、まだ支給されていないもの)部分はないことと
なります。
老齢厚生年金がらみでも、会社社長が不服申し立てをして認められなかったという事例はあります。
例えば、代表取締役が老齢厚生年金を受け取るために報酬月額を大きく引き下げた事例。
大きく引き下げた報酬月額を3月連続して支給したら、「報酬月額変更届」を提出でき、それにより、引き下げて支給した月から起算して4カ月目以降の標準報酬月額が下がります。
ですから、報酬月額の引き下げ幅によっては、その月の老齢厚生年金から支給停止額が変更となり、年金の全部又は一部が受給できるようになります。
この点について、ある会社の代表取締役が、4カ月目からではなく、報酬を引き下げて支給した月分からの年金をもらえる筈だと不服申し立てしたことがあるそうです。
しかし、裁決は、厚生年金保険法第23条1項に標準報酬月額の改定(随時改定)について次の通り規定されていることなどを理由に、本人の主張を棄却しました。
(改定)
第二十三条 実施機関は、被保険者が現に使用される事業所において継続した三月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、十七日以上でなければならない。)に受けた報酬の総額を三で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。
「著しく高低を生じた月」というのは、一般的な生活感覚からすると、報酬月額を引き下げた月と考えそうですが、報酬月額を引き下げて支給した月の翌々月(報酬月額を引き下げて3か月連続支給した月)を「著しく高低を生じた月」として、その翌月から(報酬月額を引き下げて支給した月から起算して4カ月目から)標準報酬月額が改定される扱いとなっているところが一般の方にはわかりにくいだろうと思います。
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