60歳以上現役社長の老齢厚生年金受給・役員報酬最適化なら滋賀県大津市の労務財務の専門家・FP奥野文夫事務所にお任せください!

中小企業社長さまの老齢厚生年金・社会保険等に関するお悩みを解決します。


FP奥野文夫事務所

〒520-0106 滋賀県大津市唐崎3-23-23

営業時間

月〜金 9:00〜18:00
(定休日:土日祝日)

FAX

077-578-8907

法人の75歳以上役員についての「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」

法人の75歳以上役員からよくある「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」に関する質問への回答

(2018年1月4日)

(質問)
株式会社の代表取締役です。

生年月日は昭和123月〇日です。

他に昭和125月〇日生まれの常勤役員(取締役)が1名おります。

今までに一度も「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」を出したことがなく、役員二人とも、老齢基礎年金だけでなく、老齢厚生年金を全額受け取っています。

老齢厚生年金の金額は代表取締役の私が年間約220万円、取締役が年間約180万円を受給しています。

厚生年金保険の被保険者となるのは70歳未満であり、健康保険の被保険者となるのは75歳未満であるため、代表取締役・取締役は社会保険に加入できないと聞きました。

この場合、弊社は「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」を年金事務所に提出する必要はあるのでしょうか。

 

(回答)
ご指摘の通り、法人から報酬を受けている役員さんのうち、強制的に厚生年金保険の被保険者となるのは70歳未満の人のみであり、健康保険の被保険者となるのは75歳未満の人のみとなります。

ですから、75歳以上の人については、会社は厚生年金保険についてはもちろん、健康保険についても被保険者資格取得手続きを行う必要はありません。

しかし、会社が健康保険や厚生年金保険の被保険者資格取得手続き(健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届の提出)をすべき人と、会社が「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」等を提出すべき人の範囲は異なります。

 

ご相談の件、詳細な経緯がわかりませんが、
昭和1241日以前生まれの方(代表取締役様)については、法律上、平成27101日以降で貴社から報酬を受けていた月から、貴社が70歳以上被用者該当届を提出する義務がありました。

 

昭和1242日以降生まれの方(取締役様)については、法律上、平成1941日以降で貴社から報酬を受けていた月から、貴社が70歳以上被用者該当届を提出する義務がありました。
 

 ですから、もしお二人について現在70歳以上被用者該当届が未届であれば届出が必要となります。
 

70歳以上被用者該当届の届出義務と対象者の生年月日

・70歳以上で厚生年金保険の適用事業所に勤務している人の報酬・賞与と老齢厚生年金(報酬比例部分)の調整のしくみ(在職老齢年金制度)は平成19年4月1日からスタートしました。

・ただし、平成19年4月1日時点ですでに70歳になっていた人、つまり、昭和12年4月1日以前生まれの人は在職老齢年金制度の対象外とされていました。

・ところが、その後法改正があり、平成27年10月1日からは昭和12年4月1日以前生まれの人であっても、厚生年金保険の適用事業所に勤務している場合は在職老齢年金制度の対象となりました。

 

会社は何のために「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」を提出する必要があるのか

70歳以上被用者」となったときの「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」や70歳以上被用者の報酬・賞与について届け出る「厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎・月額変更・賞与支払届」は、70歳以上で厚生年金保険被保険者でなくなった後も「70歳以上被用者」として厚生年金保険適用事業所で勤務し続ける限り、何歳になっても、報酬・賞与と老齢厚生年金(報酬比例部分)との調整のしくみ(在職老齢年金制度)の対象者となるため、届出が必要となるものです。


これらの届出が行われない場合で、報酬・賞与と年金との調整によって年金の全部または一部が本来支給停止されるべき場合は、本来受け取ってはいけない年金を受け取ってしまっていることとなりますので、問題となります。

  

法律上は、正当な理由なく届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合については罰則も設けられています。(厚生年金保険法第102条)

 

 その他罰則ではありませんが、社会保険適用済みの事業所の場合で、70歳以上被用者該当届が漏れていた場合は遡って該当届を提出することとなるのが通常でしょうから、過去の報酬額・賞与額・老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額によっては年金返還となることがあります。(最大5年分)

 

社会保険未適用事業所の場合で、新規適用届・70歳以上被用者該当届の届出を遡及して実施された場合も同様です。

 

社会保険未適用事業所で新たに70歳以上被用者該当届を提出する場合(遡及適用でない場合)は、(事件性のある場合や特に悪質な場合を除き)、届出日からの新規適用届・70歳以上被用者該当届の届出という処理がされているのが一般的とは思われます。

 

ただ、すべての事例を当方で把握しているわけではありませんし、こちらで判断・決定できる内容でもございません。

 

詳しくは、実態を伝えて事業所を管轄する年金事務所の厚生年金適用調査課にご相談いただき、指示に従って下さい。 

 

役員が受給済みの年金を返還すべき場合・生年月日による返還額の違いとは

75歳以上役員や80歳以上役員に関する「70歳以上被用者該当届」等の届出漏れに関する相談が最近大変多くなっていますので、詳しく解説いたしました。

 

多くは、昭和1241日以前生まれの方についての相談ですから、仮に過去に受給した老齢厚生年金(報酬比例部分)のうち、法律上受け取ってはいけない分の年金を返還する場合であっても、返還すべきであるのは最大さかのぼっても平成2710月分以降(平成2712月受給分以降)のみとなります。
また、もともとこの世代の方は、平成27930日までは在職老齢年金制度の対象外であったため、平成27101日以降在職老齢年金制度の対象者となってからも、年金支給停止額が少なくなるような「激変緩和措置」が適用される人ですから、年金返還額も一定以内におさまります。

 

ところが、中には、昭和1242日以降生まれの方について70歳以上被用者該当届の提出が漏れていたというケースも中にはあります。
 

この世代の人は、平成27101日以降の期間だけでなく、平成1941日以降平成27930日以前の期間も在職老齢年金の対象者だったわけですし、平成27101日以降も年金支給停止額が少なくなるような「激変緩和措置」の対象者とはならない人です。

ですから、直近5年間の報酬・賞与額や老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額によっては返還すべき年金額が大きくなる可能性があります。

 

返還すべき年金があるかどうか、あるとすればいくらあるかについても、年金事務所に照会すれば教えてくれます。
 

「70歳以上被用者該当届」を提出後、老齢厚生年金を満額受給したい高額報酬の経営者様へ

なお、高額報酬の法人役員の方で、70歳以上被用者該当届の提出によって老齢厚生年金が支給停止となった人でも、役員報酬の年間総額は変えなくても役員報酬の支払い方を設定変更することで、役員として働きながら今後の年金を満額受給することは可能となります。

 

詳しくは、下記の黄色いボタン(右側の「サービスの詳細へすすむ」)をクリックして内容をご確認ください。

 

「70歳以上被用者該当届」「70歳以上被用者算定基礎・月額変更・賞与支払届」関連の根拠条文とは

 

〇参考条文
(厚生年金保険法第二十七条:届出)

適用事業所の事業主又は第十条第二項の同意をした事業主(以下単に「事業主」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(被保険者であつた七十歳以上の者であつて当該適用事業所に使用されるものとして厚生労働省令で定める要件に該当するもの(以下「七十歳以上の使用される者」という。)を含む。)の資格の取得及び喪失(七十歳以上の使用される者にあつては、厚生労働省令で定める要件に該当するに至つた日及び当該要件に該当しなくなつた日)並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

  

(厚生年金保険法施行規則第十条の四:七十歳以上の使用される者の要件)

法第二十七条に規定する厚生労働省令で定める要件は、同条に規定する適用事業所に使用される者であって、かつ、法第十二条各号に定める者に該当するものでないこととする。

*注:厚生年金保険法第十二条では、厚生年金保険の適用事業所に勤務していても、例外的に厚生年金保険被保険者とならない「適用除外」について限定列挙されています。

 

(厚生年金保険法施行規則第十五条の二:七十歳以上の使用される者の該当の届出)

*注:「厚生年金保険70歳以上被用者該当届」のことです。

 

(厚生年金保険法施行規則第十八条第三項:報酬月額の届出)

*注:「厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届」のことです。

(厚生年金保険法施行規則第十九条第四項:報酬月額変更の届出)

*注:「厚生年金保険70歳以上被用者月額変更届」のことです。

(厚生年金保険法施行規則第十九条の五第四項:賞与等の届出)

*注:「厚生年金保険70歳以上被用者賞与支払届」のことです。

(厚生年金保険法施行規則第二十二条の二:七十歳以上の使用される者の不該当の届出)

*注:「厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」のことです。

 

(厚生年金保険法第六条第二項:適用事業所)

前号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は法人の事業所又は事務所であって、常時従業員を使用するもの

*注:ここでいう「従業員」には、代表取締役・取締役等法人の役員も含まれます。

 

 (厚生年金保険法第百二条)

事業主が、正当な理由がなくて次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

一 第二十七条の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

 

経営者様からのお電話でのお申込みはこちら

お電話でのお申込みはこちら

077-578-8896

営業時間:9:00〜18:00 (定休日:土日祝日)
担当:奥野 文夫 (おくの ふみお)

現在大変多くコンサルティングのお申込みをいただいており、無料電話相談は行っておりません。
(奥野の留守中にお電話いただき、伝言いただきましても、こちらから折り返しお電話をすることはできません。)

所長の奥野です。

社長さまのお悩みを、
年金・社会保険相談の専門家(FP・社労士)として開業24年超の私が、最後まで責任を持って解決いたします。

無料メール講座
(全国対応)

中小企業経営者様限定

60歳以上現役社長が働きながら年金を受け取るために必要な基礎知識(全13回)を無料で
ご覧いただます!

 

無料メール講座登録はこちら

(社労士、税理士、コンサルタント、FP等同業者の登録はご遠慮ください。)