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(2018年1月8日)
厚生年金保険加入中に初診日のある病気によって「障害基礎年金級+障害厚生年金級」を現在受給しながら、法人の代表取締役等として報酬を受けている経営者もおられます。
障害基礎年金と障害厚生年金を受給しておられるということは、現在障害等級2級以上ということですね。
60歳台前半で特別支給の老齢厚生年金の受給権もあるものの、「障害基礎年金+障害厚生年金」の方を現在選択受給中の経営者様からいただくことのある質問としては、次の二つがあります。
1. 厚生年金の加入期間(被保険者期間)が特別支給の老齢厚生年金と障害厚生年金とでは異なっているようですが、なぜでしょうか。
どちらの年金も報酬比例部分の年金額(障害厚生年金1級の年金額は障害厚生年金2級年金額の1.25倍)ということで、過去の厚生年金加入期間や役員報酬に基づき計算されると思うのですが・・・
2.65歳までは、特別支給の老齢厚生年金と障害基礎年金・障害厚生年金とは一緒に緒にもらうことはできないことは理解しています。65歳からは老齢基礎年金と老齢厚生年金とがもらえるようになると聞きましたが、65歳からはどのようなもらい方の選択肢があるのでしょうか。私の場合は、どの選択肢を選ぶのが有利なのでしょうか。
そこで、これら二つのよくある質問に対する回答を下記に記載します。
(1. について)
厚生年金保険の加入期間(被保険者期間)が年金により異なっているとのことですが、同じ報酬比例の年金であっても、年金計算式中における厚生年金保険の「被保険者期間」の月数のカウントは、年金の種類によって次の通り異なります。
・特別支給の老齢厚生年金の年金額を計算する場合:特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢(生年月日・性別に応じ60歳~64歳)到達月の前月までの厚生年金保険被保険者期間
・65歳から(65歳到達月の翌月分から)70歳到達月分までの老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額を計算する場合:65歳到達月の前月までの厚生年金保険被保険者期間
・70歳から(70歳到達月の翌月分から)の老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額を計算する場合:70歳到達月の前月までの厚生年金保険被保険者期間
・障害厚生年金の年金額を計算する場合:障害認定日(=原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日。傷病によっては例外あり。)の属する月までの厚生年金保険被保険者期間(300月未満の場合は300月とみなして計算)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-02.html
障害厚生年金では、障害認定日の属する月後の被保険者期間については年金額計算の基礎とされませんので、障害認定日からかなり期間が経過しており、障害認定日後も厚生年金保険に加入された場合は、特別支給の老齢厚生年金・老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額計算における被保険者期間よりも短くなります。
(障害厚生年金が障害認定日による請求の場合であっても、「事後重症」による請求の場合であっても、年金額を計算する場合の厚生年金保険被保険者期間の月数が、特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金(報酬比例部分)を計算する場合の厚生年金保険被保険者期間よりも短くなる可能性があります。)
なお、ご理解の通り、65歳までは特別支給の老齢厚生年金と障害基礎年金+障害厚生年金との両方を同時に受給することはできません。
(2.について)
障害等級2級以上の場合は、65歳までは、
・特別支給の老齢厚生年金
・障害基礎年金+障害厚生年金
のかどちらかを選択して受給する形となりますが、65歳からは、以下のいずれかを選択して受給することができます。
・老齢基礎年金+老齢厚生年金
・障害基礎年金+障害厚生年金
・障害基礎年金+老齢厚生年金
65歳到達月の翌月分からの老齢厚生年金は、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢到達月以降の厚生年金保険被保険者期間や標準報酬月額額・標準賞与額も加味して年金額が決定されます。
70歳到達月の翌月分からの老齢厚生年金は65歳到達月以降の厚生年金保険被保険者期間や標準報酬月額・標準賞与額も加味して年金額が決定されます。
ただし、60歳台前半と同様、65歳からも70歳からも老齢厚生年金(報酬比例部分)は、在職中は報酬との調整のしくみの対象となります。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/shikyu-chosei/20140421-02.files/0000003527.pdf
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html
・老齢基礎年金+老齢厚生年金
・障害基礎年金+障害厚生年金
・障害基礎年金+老齢厚生年金
の三つの選択肢のうち、どれを選択するのが得かは、個人個人で異なります。
それぞれの選択肢を採用するとした場合に受給できる年金額を年金事務所で確認の上、最も有利な選択肢を採用ください。(いったん選択した選択肢はいつでもまた将来に向かって選択替えできます。)
なお、障害年金は所得税の課税対象外ですが、老齢年金は所得税の課税対象となることにご注意下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm
また、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金と同様、65歳からも70歳からも老齢厚生年金(報酬比例部分)は、在職中は報酬・賞与との調整のしくみ(在職老齢年金制度)の対象となります。
しかし、標準報酬月額が高額な方が多い経営者層の場合は、65歳までも65歳以降も70歳以降も、役員報酬の設定を変更するか、役員報酬の年間総額を引き下げるかしないと、在職中は老齢厚生年金(報酬比例部分)については全部または一部が支給停止となる方が多いと思います。
高額報酬の経営者層が役員報酬の年間総額を変更しないで役員報酬の設定を変更することで、
・老齢基礎年金+老齢厚生年金
または
・障害基礎年金+老齢厚生年金
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