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経営者が老齢厚生年金をもらえる年齢になった場合の4つの選択肢とは

はじめに 報酬月額100万円65歳以上社長が老齢厚生年金(報酬比例部分)を一部受給できるケースとは

(2018年1月17日)

高額報酬の中小企業オーナー経営者の場合、老齢厚生年金をもらえる年齢を迎える頃になってはじめて、ご自分の年金について真剣に考え始める方も多いようです。

 

そこで、老齢厚生年金をもらえる年齢になった経営者の場合、今後どのような選択肢が考えられるか、基本事項を解説していきます。


各選択肢について詳しく説明する前に、まずは、高額報酬の法人代表取締役が年金をもらえるようになっても働き続ける場合に、老齢厚生年金がもらえるかどうかについて、解説します。
 

わかりやすくするために、65歳となり老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給年齢を迎えた、年収1,200万円(法人から受ける報酬月額が100万円。その他の収入なし。)の代表取締役の例で解説します。
(厚生年金に1年以上加入していた人の場合は、実際には、60歳台前半においても特別支給の老齢厚生年金をもらう権利が発生しますが、経営者層の場合は報酬が高いため特別支齢の厚生年金を受給することはあきらめてしまっている方が多いため、ここでは65歳からの年金を用いて解説します。)

 

この方は、今のまま報酬月額100万円で引き続き代表取締役として働き続けても、老齢基礎年金と経過的加算部分(差額加算)といわれる部分は、全額受給できるようになります。

(年金の請求手続きは必要です。65歳到達月の翌月分の年金からもらえるようになります。)

 

しかし、老齢厚生年金(報酬比例部分)には、報酬・賞与と年金との調整のしくみ(在職支給停止)がありますから、報酬月額100万円ですと、よほど老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額が多い人(過去に厚生年金保険にかなり長期間加入し、期間中の報酬が高額だった人)でないと、代表取締役であり続ける限り何歳になっても老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給停止となります。

 

(例1)

報酬月額100万円(厚生年金保険の標準報酬月額62万円)で、その月以前の1年間に賞与等の受給なし、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額が120万円の65歳以上代表取締役の場合

 

・老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給停止額(月額換算額)

=(「基本月額」+「総報酬月額相当額」-46万円)÷2

=(120万円÷1262万円-46万円)÷2

13万円

したがって、

・老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給額

=「基本月額」-支給停止額(月額換算額)

10万円-13万円=-3万円。

受給額がマイナスのため、老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給停止。

 

(例2)

報酬月額100万円(厚生年金保険の標準報酬月額62万円)で、その月以前の1年間に賞与等の受給なし、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額が252万円の65歳以上代表取締役の場合

 

・老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給停止額(月額換算額)

=(「基本月額」+「総報酬月額相当額」-46万円)÷2

=(252万円÷1262万円-46万円)÷2

18.5万円

したがって、

・老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給額

=「基本月額」-支給停止額(月額換算額)

21万円-18.5万円=2.5万円。

この例では、実際の年金支給は、2か月に1回偶数月に1回、前々月分・前月分の2か月分合計5万円が支給されます。(実際には、その他、老齢基礎年金や経過的加算部部分(差額加算)も含めて支給されます。加給年金額がもらえる場合は、それも含めて支給されます。)

 

 

(注)上記の例1・例2における「46万円」という数字は平成29年度(2017年度)現在の数字です。毎年度1万円単位で変動する可能性がありますので、ご注意ください。

(注2)上記の例1・例2における「老齢厚生年金(報酬比例部分)」は、基金代行額もある人の場合は、「老齢厚生年金(報酬比例部分)+基金代行部分の年金額」と読み替えてください。

 

以上の通り、報酬月額100万円のまま働いていても、65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)のごく一部を働きながらもらえる人が中にはいますが、全体としてみると、全額支給停止となる方が多いといえます。

 

なお、老齢厚生年金(報酬比例部分)が年額で252万円もある人は、60歳台後半ではそれほど多くはないでしょうが、70歳以上(70歳到達月の翌月以降分の年金)の経営者では、結構おられると思います。

70歳になるまでずっと現役で働き続けた場合、65歳到達月から70歳到達月の前月までの厚生年金保険被保険者期間やその期間の各月の報酬額・賞与額も含めて年金額を改定してくれるため、70歳時改定で老齢厚生年金の年金額が増えます。) 

 

経営者が老齢厚生年金をもらえる年齢になった場合の、4つの選択肢とは

それでは、本題に入ります。

報酬月額
100万円の社長にとって、今後はどのような選択肢があるでしょうか。

 

結論からいいますと、下記の4つの選択肢が考えられます。
 

1.代表取締役を退任して厚生年金保険被保険者資格を喪失し(70歳以上の人の場合は「70歳以上被用者」でなくなり)、老齢厚生年金(報酬比例部分)も全額受給する。

2.現在の報酬月額(標準報酬月額62万円)のまま、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給できる金額を増額することはあきらめる。

3.報酬月額を引き下げて、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給できる年金額を増やす。

4.役員報酬の年間総額は変えないで、役員報酬の支払い方(報酬設定)を変更することで、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給できる年金額を増やす。


そこで、これらの4つの選択肢について順番に解説します。
 

 

1.代表取締役を退任して厚生年金保険被保険者資格を喪失し(70歳以上の人の場合は「70歳以上被用者」でなくなり)、老齢厚生年金(報酬比例部分)も全額受給する。

厚生年金保険の被保険者(70歳以上の人の場合は「70歳以上被用者」)でなくなれば、在職支給停止制度の対象外となりますので、年金は支給停止とならずに全額受給できます。


ただし、引き続き取締役等として経営に参画していたりしている場合などは厚生年金保険の被保険者資格を喪失すること(70歳以上の場合は「70歳以上被用者」でなくなること)はできませんので、ご注意ください。

2.現在の報酬月額(標準報酬月額62万円)のまま、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給できる金額を増額することはあきらめる。 

在職支給停止制度は、代表取締役等として働き続ける限り、70歳になって厚生年金保険被保険者資格を喪失した後も「70歳以上被用者」として引き続き60歳代後半と同様の在職支給停止制度の対象となりますので、ご注意ください。

3.報酬月額を引き下げて、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給できる年金額を増やす。

(例1)

報酬月額100万円(厚生年金保険の標準報酬月額62万円)で、その月以前の1年間に賞与等の受給なし、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額が120万円の65歳以上代表取締役が、報酬月額30万円(標準報酬月額30万円)に引き下げる場合

 

・老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給停止額(月額換算額)

=(「基本月額」+「総報酬月額相当額」-46万円)÷2

=(120万円÷1230万円-46万円)÷2

=-3万円

年金の支給停止額(月額換算額)がマイナスのため、老齢厚生年金(報酬比例部分)は、支給停止となりません。つまり、月額換算額で10万円全額受給できます。


この例では、実際の老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金支給は、2か月に1回偶数月に1回、前々月分・前月分の2か月分合計20万円が支給されます。
(実際には、この他、老齢基礎年金や経過的加算部部分(差額加算)も含めて支給されます。加給年金額がもらえる場合は、それも含めて支給されます。)

 

(例2)
報酬月額100万円(厚生年金保険の標準報酬月額62万円)で、その月以前の1年間に賞与等の受給なし、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額が252万円の65歳以上代表取締役の場合

 

・老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給停止額(月額換算額)

=(「基本月額」+「総報酬月額相当額」-46万円)÷2

=(252万円÷1230万円-46万円)÷2

2.5万円
 

したがって、

・老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給額

=「基本月額」-支給停止額(月額換算額)

21万円-2.5万円=18.5万円
 

この例では、実際の老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金支給は、2か月に1回偶数月に1回、前々月分・前月分の2か月分合計37万円が支給されます。
(実際には、この他、老齢基礎年金や経過的加算部部分(差額加算)も含めて支給されます。加給年金額がもらえる場合は、それも含めて支給されます。)

 

4.役員報酬の年間総額は変えないで、役員報酬の支払い方(報酬設定)を変更することで、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給できる年金額を増やす。

役員報酬の年間総額は1,200万円のままであっても、役員報酬の支払い方を変更することで、老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給できる年金額を増やすことが可能となります。

 

いくら受給できるようになるかは、今後の報酬設定により異なりますが、年収を下げずに受給できる最大額は以下の通りです。
 

(例1)

報酬月額100万円(厚生年金保険の標準報酬月額62万円)で、その月以前の1年間に賞与等の受給なし、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額が120万円の65歳以上代表取締役が、役員報酬の支払い方(報酬設定)を変更した場合に、理論的に受給できる老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額の最大額は、120万円全額となります。

 

(例2)

報酬月額100万円(厚生年金保険の標準報酬月額62万円)で、その月以前の1年間に賞与等の受給なし、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額が252万円の65歳以上代表取締役が、役員報酬の支払い方(報酬設定)を変更した場合に、理論的に受給できる老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額の最大額は、252万円全額となります。

 

代表取締役のライフプランニング・リタイアメントプランニングや会社の役員報酬設定・事業承継計画等にも影響

以上4つの選択肢のいずれを採用されるにしても、代表取締役様個人のライフプランやリタイアメントプランだけでなく、会社にとっても役員報酬設定・事業承継計画等重要な経営判断が必要かと思います。

 

ですから、ご自分の年金受給について、なるべく早くから、できれば60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金がもらえる年齢になる12年前から、各選択肢を採用した場合のシミュレーションを依頼するなど、専門家にご相談された上でじっくり検討されることをおすすめします。
 

特に、3(報酬月額を引き下げる)、4(役員報酬の支払い方を変更する)の選択肢を検討される場合はお早めにシミュレーション依頼されることをおすすめします。

 

なぜなら、年金支給停止額の計算の仕組み上、報酬月額を引き下げたり、役員報酬の支払い方変更をしても、すぐにはもらえる年金額が増えないからですね。(標準報酬月額の改定のしくみ、および、年金の支払い期月の定めによります。)

 

また、経営者の場合は、毎年度1回限られた期間内しか報酬変更ができませんから、その点からも余裕を持って検討を開始する必要があります。


それぞれの選択肢を採用した場合の、

  • 毎月・毎年の本人の手取り収入
  • 毎月・毎年の本人の年金受給額
  • 毎年度法人が負担する役員報酬額・社会保険料や会社利益・法人税等、

について検討いただくことが大事です。


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