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共済加入期間もある女性の年金支給開始年齢と「ねんきん定期便」の年金見込額の記載

(2018年10月10日)

例えば、平成30年度に60歳になる人(昭和3342日~昭和3441日生まれの人)は、性別により、次の年齢から特別支給の老齢厚生年金として報酬比例部分のみの年金をもらえるようになります。(民間会社に勤務して厚生年金保険に加入していた期間について支給される年金の場合)

 

 ・男性:63歳から支給開始

 ・女性:61歳から支給開始

 

 特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が、男性の場合に比べて女性の場合は5年遅れで引き上げられているため、同じ年度生まれの人でも男性に比べて女性の方が早くから年金をもらえます。

 

しかし、支給開始年齢に男女差があるのは、民間会社に勤務して厚生年金保険に加入していた期間について支払われる特別支給の老齢厚生年金だけです。

 

国家公務員、地方公務員や私立学校教職員として働いていた期間に対して支払われる特別支給の老齢厚生年金については、支給開始年齢に男女差はありません。

女性も男性と同じスケジュールで、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が引き上げられています。

 

(以前は、国家公務員、地方公務員、私立学校教職員の人たちが入る二階建部分の年金として、それぞれ共済年金制度があったのですが、それらがすべて平成27101日以降は厚生年金保険に統一されました。(「被用者年金一元化」といいます。))

 

厚生年金保険に統一される前の共済年金では、60歳台前半にもらえる「特別支給の退職共済年金」の支給開始年齢引き上げスケジュールに男女差はありませんでした。

 

その影響で、共済年金が厚生年金保険に統一された平成27101日以降、国家公務員・地方公務員・私立学校教職員であった期間について支給される「特別支給の老齢厚生年金」についても、支給開始年齢の引き上げスケジュールに男女差はありません。

 

実務で相談を受けることが多いケースとは

現在民間の法人で経営者として働いている60歳台前半の女性で、過去に国家公務員・地方公務員・私立学校教職員であった期間がある人から年金相談を受けることも結構あります。

比較的多い事例としては、現在は医療法人の理事長や理事等として働いている女性が、過去に次のような勤務期間を有しているケースが挙げられます。

 

・国立病院や国立大学附属病院で勤務していた

・公立病院や公立大学付属病院で勤務していた

・私立大学の附属病院で勤務していた

・私立大学等で教授等教職員として勤務していた

 

過去に国家公務員、地方公務員、または私立学校教職員として働いた期間があり、現在は民間会社に勤務して厚生年金に加入している、50歳以上で特別支給の老齢厚生年金受給前のの女性に届く「ねんきん定期便」の年金見込額には大きな特徴があります。

 

例えば、平成30年度に60歳になる女性の場合。

 

前述の通り、民間会社に勤務して厚生年金保険に加入していた期間について支払われる特別支給の老齢厚生年金は、61歳から支給開始となります。

 

しかし、国家公務員、地方公務員、または私立学校教職員として働いた期間について支払われる特別支給の老齢厚生年金は男性と同じ63歳から支給開始となります。

 

ですから、このような女性に届く「ねんきん定期便」の、65歳までの特別支給の老齢厚生年金の見込額の記載欄は、次のように2段階で記載されていますので、注意が必要です。

 

・受給開始年齢「61歳~」の欄には、「一般厚生年金期間」(民間会社勤務期間のことです。)についての年金見込額だけが記載されます。

 

・その右の、受給開始年齢「63歳~」の欄には、「一般厚生年金期間」の年金額だけでなく、その下に、「公務員厚生年金期間(国家公務員・地方公務員)」や「私学共済厚生年金期間(私立学校の教職員)」についての年金見込額も記載されています。

 

この事例の女性は年金請求手続きも別々に行う必要がある。

上記の女性の場合、61歳になったら日本年金機構に「一般厚生年金期間」(民間会社勤務期間)についての特別支給の老齢厚生年金の年金請求書を提出します。

その後、63歳になったら、加入していた共済に「公務員厚生年金期間(国家公務員・地方公務員)」や「私学共済厚生年金加入期間(私立学校の教職員)」についての特別支給の老齢厚生年金の年金請求書を提出します。

 

65歳からの年金請求手続きも含めると、合計三つの時点で年金請求手続きが必要となります。

 

 

(今回のポイント)

●共済加入期間もある女性の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢には注意。

●民間会社勤務期間についての年金→共済加入期間についての年金の順に支給開始年齢を迎えることとなる。

 

50歳以上の人に届く「ねんきん定期便」で、特に注意すべきポイントとは

 (2018年11月7日)

50才以上で、特別支給の老齢年金をもらう前の人に毎年1回誕生月に届く「ねんきん定期便」には、次のような情報が記載されています。


・これまでの年金加入期間

・老齢年金の種類と見込額(1年間の受取見込額)

・最近の月別状況

・これまでの保険料納付額(累計額)

 

 

「ねんきん定期便」の年金見込額の見方を間違えている人が多い

これらの中で、最も注意が必要なのが「老齢年金の種類と見込額(1年間の受取見込額)」についてです。

 

今年度60歳になる男性、つまり、昭和3342~昭和3441日生まれの男性の場合、特別支給の老齢厚生年金は63歳からもらえます。

 

そして、60歳の誕生月に届く「ねんきん定期便」に、例えば次のように年金見込額が表示されているとします。

 
63歳~
(1)国民年金   

(2)厚生年金保険 特別支給の老齢厚生年金

(報酬比例部分)           1,200,000円
(1)   と(2)の合計        1,200,000円             

 

65歳~

(1)国民年金   老齢基礎年金          779,300

(2)厚生年金保険 老齢厚生年金(報酬比例部分) 1,200,000

                (経過的加算部分)    700円 

(1)と(2)の合計               1,980,000

 

この事例の場合、63歳から65歳になるまでは特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を1,200,000円もらえます。

 

65歳からは年金の形が変わり、老齢基礎年金779,300円、老齢厚生年金(報酬比例部分)1,200,000円、老齢厚生年金(経過的加算部分)700円の合計1,980,000円の年金をもらえます。

 

年金に関する基本知識をお持ちの保険営業職の皆さまであれば、誤解されることはないでしょう。

 

しかし、年金に詳しくない多くの経営者にとって、この「ねんきん定期便」の表示はとてもわかりにくいようです。

 

年金額の細かな内訳はよく理解しないまま、「63歳~」の「(1)と(2)の合計1,200,000円」と「65歳~」の「(1)と(2)の合計1,980,000円」とだけを単純に比較して見ているだけの人が多いです。

 

その結果、次のように誤解している人が多いです。

 

63歳から年金をもらうと、年間120万円しかもらえない。
63歳から年金をもらわないで65歳から年金をもらい始めると、年間198万円もらえる。

 

このように誤解している人から、「65歳までの年金を請求すると損だから、請求しません。」「年金をもらえる年齢になっても、65歳前からもらうと損ですので、65歳まで繰下げるつもりです。」といった声を聞くことが多いです。

 

しかし、65歳までの特別支給の老齢厚生年金は、繰下げも繰上げもできません。

 

65歳までの年金を請求しないで放置しても、65歳からの年金額は一切増えません。

 

65歳までの年金と65歳からの年金との基本的な区別ができてきない人もいます。

 

 

経営者として働き続けると、年金額は「ねんきん定期便」に記載された年金見込額とは異なる

 

「ねんきん定期便」の年金見込額は、60歳で定年退職するサラリーマン向けの記載となっています。

 

ですから、50歳以上60歳以下の人に届く「ねんきん定期便」には、60歳で退職し、それ以降厚生年金保険に加入しないという前提での年金見込額が記載されています。

 

したがって、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金見込額と老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金見込額が同額となっています。

 

60歳以降の厚生年金保険加入記録(加入期間および各月の報酬額・賞与額)を加味しない年金見込額が記載されているわけですね。

 

しかし、経営者の場合は、

1.60歳以降特別支給の老齢厚生年金をもらえるまで

2.特別支給の老齢厚生年金をもらい始めてから65歳まで

3.65歳以降

厚生年金保険に加入し続けて働く人が多いです。

 

ですから実際は、

「ねんきん定期便」記載の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金見込額<実際の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額<65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額<65歳以降退職してからや70歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分の年金額)となります。

 

20才以上60歳未満の間の厚生年金保険未加入期間があるため、60歳以降厚生年金保険に加入することによって、65歳からや70歳からの老齢厚生年金(経過的加算部分)の年金額が増える経営者もいます。

 

このように、上記1~3の期間の厚生年金保険加入記録が、その後の年金額に反映する、ということを知らない経営者も多いです。

 

特に、65歳以降70歳まで厚生年金保険に加入した場合に、65歳以降の加入記録に基づいて、70歳からの年金額改定があるということは、ほとんどの経営者に知られていません。

 

「ねんきん定期便」には「65歳~」という表示で、65歳以降もずっと同額の年金をもらうような表記がされています。

このことも、70歳から年金額が増えることが知られていない一因かもしれません。

 

 

 経営者として働いていると「ねんきん定期便」に記載された年金額はもらえない

 

経営者の多くは、60歳を過ぎても報酬月額605,000円以上を受けており、厚生年金保険の標準報酬月額が上限額の62万円となっています。

 

ですから、「在職老齢年金」という報酬と年金との調整のしくみによって、65歳までの特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)はもちろん、65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)も全額支給停止となっている人が多いです。

 

年金をもらう前に届いた「ねんきん定期便」に毎年年金見込額が記載されていたとしても、経営者として一定額以上の報酬を受けて働いている限り、何歳になってもこれらの年金は報酬との調整の対象となり支給停止となります。

 

・「ねんきん定期便」に記載されている年金見込額は、退職している(厚生年金保険に加入していない)場合にもらえる年金の見込額であること。

・年金をもらえる年齢になっても厚生年金保険に加入して働いていると、何歳になっても報酬と年金との調整のしくみの対象となり、年金が支給停止となってもらえないこと。

 

年金をもらえる年齢になるまで、これらのことを知らない人も多いです。

 

経営者に届いた「ねんきん定期便」を見せてもらいながら、「老齢年金の種類と見込額(1年間の受取見込額)」欄の記載内容について説明し、質問に対して回答するだけでもかなりの時間がかかるのが通常です。

 

(今日のポイント)

65歳までの年金を請求しないで放置しても、65歳からの年金額は一切増えない。

●60歳以降も働き続けた場合の年金額は、「ねんきん定期便」記載の年金見込額とは異なる。

年金をもらいながら一定額以上の報酬で働くと、支給停止となる年金がある。 

 

老齢年金の種類と見込額以外に、「ねんきん定期便」記載事項で知っておきたいポイントはありますか?

 (2018年11月7日)

 

「ねんきん定期便」には、「老齢年金の種類と見込額(1年間の受取見込額)」以外にも、下記の事項等が記載されています。

・これまでの年金加入期間

・最近の月別状況

・これまでの保険料納付額(累計額)

 

それぞれについて、ポイントを解説いたします。

 

これまでの年金加入期間

1号被保険者として国民年金に加入した月数(未納月数)・第3号被保険者として国民年金に加入した月数や、厚生年金に加入した月数等が記載されています。

 


日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者・無職者・学生等は、国民年金の第1号被保険者となります。

 

3号被保険者は、第2号被保険者の被扶養配偶者(年収130万円未満で原則として第2号被保険者の年収の2分の1未満の人)で、20歳以上60歳未満の人です。専業主婦が典型例です。

 

(第2号被保険者は、厚生年金保険の被保険者で原則65歳未満の人です。)

 

厚生年金に加入した月数は、合計月数だけでなく、「一般厚生年金」(民間会社勤務)・公務員厚生年金(国家公務員・地方公務員)・私学共済厚生年金(私立学校教職員)の月数内訳も記載されています。

 

 

最近の月別状況

はがき形式の「ねんきん定期便」には、「最近の月別状況」として、最近の13か月分の各月の国民年金・厚生年金保険の加入状況が記載されています。

厚生年金保険については、最近の13か月の各月の標準報酬月額・標準賞与額・保険料納付額も明記されています。

 

59歳時に届くA4版の「ねんきん定期便」には最近の13か月分の年金加入記録だけではなく、過去のすべての期間の年金加入記録も記載されています。

加入記録にもれや誤りがあった場合に正しい内容を記載して返送するための「年金加入記録回答票」および返信用封筒も同封されています。


正しい内容を回答票に記載して返送してから、日本年金機構に登録されている年金記録が正しく修正されるまでには数カ月かかります。
 

59歳の誕生月に「ねんきん定期便」が届いたタイミングで、過去の年金加入記録にもれ・誤りが無いかをきちんと確認しておくことが重要です。

万一、もれ・誤りがあった場合も、このタイミングで回答票に必要事項を記入して返送しておけば、年金請求時に慌てずに済みます。

 

これまでの保険料納付額(累計額)


国民年金の第1号被保険者として納付した国民年金保険料の累計額、および、厚生年金保険の被保険者として負担してきた厚生年金保険料(被保険者負担額)の累計額が記載されています。

「ねんきん定期便」は、基本的にサラリーマン向けの内容となっています。

 

ですから、「これまでの保険納付額(累計額)」の厚生年金保険料の欄には、被保険者負担額の累計額だけが記載されています。

厚生年金保険料は会社と被保険者本人とが折半負担なのですが、オーナー経営者の場合は、被保険者負担分の保険料も会社負担分の保険料も両方自分で出しているという意識を持っている人が多いです。

これまで会社が納付してきた厚生年金保険料のうち半分(会社負担額)は、「ねんきん定期便」記載の厚生年金保険料累計額には含まれていないことを伝えると、驚く社長も多いです。

 

若い頃から長年オーナー経営者として働いてきた社長の場合は、「ねんきん定期便」記載の厚生年金保険料の倍額を国に納付してきたこととなります。

 

「ねんきん定期便」に記載された厚生年金保険料累計額が1,500万円なら、その倍額の3,000万円を納付してきたこととなります。

 

その上、60歳以降も社長として働き続けるなら、最高70歳まで高額の厚生年金保険料が毎月かかります。

 

例えば、報酬月額605,000円以上(標準報酬月額62万円以上)で働くと、毎月の厚生年金保険料(会社負担額+被保険者負担額)は113,460円です。

 

60歳以降70歳まで働き続けると、さらに1,300万円以上の厚生年金保険料を支払うこととなります。

113,460円×12か月×10=13,615,200円)

 

これまで厚生年金保険料を3,000万円納付し、60歳以降も1,300万円以上納付することとなる一人法人の代表取締役であっても、この報酬月額で働き続ける限り、老齢厚生年金(報酬比例部分)は支給停止となるのです。

もちろん、全ての社長が若い頃から会社経営をしていたわけではありません。

サラリーマン経験が長く、独立起業してから年数があまり経っていない社長もいます。


 しかし、

1.今まで払ってきた厚生年金保険料累計額
2.これから払う必要がある厚生年金保険料合計額
3.このまま働き続けた場合にもらえる年金額

を、「ねんきん定期便」を使って説明すると、真剣に耳を傾ける社長が多いです。


なお、社労士さんやFPさん等から「ねんきん定期便に「厚生年金保険料(被保険者負担額)」と明記されているのですから、会社負担分の保険料が含まれていないことは誰でも知っているでしょう。わざわざ、教えてあげるまでもないのではないでしょうか。」との質問を受けることが多いです。

 

しかし、はがき形式の「ねんきん定期便」に記載された小さな注意書きは読みづらいため、注記を見逃している社長が多いようです。

(年金受給者等から寄せられた苦情等の意見が、日本年金機構のホームページで毎月公表されているのですが、年金について郵送されてくる各種通知書の文字が小さくて見えにくい、という声は昔から多く寄せられています。)


 

(今回のまとめ)

59歳の誕生月に「ねんきん定期便」が届いたタイミングで、過去の年金加入記録にもれ・誤りが無いかをきちんと確認しておくことが望ましい。

●「ねんきん定期便」の「これまでの保険料納付額(累計額)」に記載されている厚生年金保険料は被保険者負担額のみ。

  

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