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(2019年2月5日)(2022年4月16日追記)
(質問)
68歳代表取締役です。生涯現役で働くつもりです。
65歳から老齢基礎年金はもらっています。
老齢厚生年金は報酬が高いため全額支給停止となると聞きましたので、70歳まで繰下げて1.42倍に増額された年金をもらうつもりです。
75歳まで年金を繰下げると年金額が2倍に増えるようになると、先日新聞報道されていました。
75歳まで繰下げた方がお得でしょうか。
(回答)
65歳からもらえる老齢基礎年金を繰下げると、繰下げ月数×0.7%だけ年金額が一生増額されます。
65歳からもらえる老齢厚生年金も同様です。
しかし、老齢厚生年金のうち報酬比例部分については、報酬が高いため支給停止となる部分については、繰下げても年金額は全く増額されません。
70歳まで老齢厚生年金も繰下げて1.42倍に増額された年金をもらうつもりでも、65歳以降70歳までずっと高額報酬を受けていたため報酬比例部分の年金が全額支給停止となる人の場合は、繰下げによって報酬比例部分はまったく増えず、経過的加算部分が増えるに過ぎません。
このことに70歳になって初めて気づき、残念な思いをする経営者の方が多いですので、ご注意ください。
●75歳までの繰下げはまだできない
新聞などで報道されていた、75歳までの繰下げも選択できる制度の導入は、まだ決定されたわけではありません。
今後、制度の導入の検討に入る、という段階です。
現状では、70歳を過ぎてから繰下げ申出した場合は、70歳到達時に繰下げ申出があったものとみなされることとなっています。
ですから、法律の改正がない限り現状では、75歳まで繰下げ申出をせずに放置したとしても、繰下げ増額率は42%(繰下げ月数60月×0.7%)となります。
●もし、75歳までの繰下げもできるようになったら・・・
75歳までの繰下げも選択できる制度が導入されるか、どのような内容になるかは、現時点ではわかりません。
しかし、現状の70歳までの繰下げ制度と同様に、支給停止の年金を繰下げても年金が増額されない制度が導入された場合には注意が必要です。
繰下げて増額された年金をもらうつもりが勘違いで全く増えていないことに75歳になってから初めて気づく、という可能性も考えられるからです。
(注)2020年の法改正により、2022年4月から、昭和22年4月2日以後生まれの人は最高75歳までの繰下げが選択できることとなりました。
支給停止の年金を繰り下げても年金が増額されないことは、令和4年度以降も変わりません。
1月あたりの繰下げ増額率も、0.7%で変わりません。
65歳からの年金の繰下げの基本知識については、社長様方からの相談も多いところです。
そこで、今回は、繰下げに関するよくある質問への回答もまとめてご紹介します。
65歳からもらえる老齢基礎年金・老齢厚生年金の合計額が年額200万円の人が、70歳まで繰下げて年額284万円に増額された年金をもらうつもりをしている、という事例で解説します。
なお、65歳以降老齢厚生年金(報酬比例部分)が支給停止されないような報酬設定とするものとします。
(質問1)繰下げをするつもりでいたものの、69歳で繰下げをやめることもできますか。
(回答)この人が、69歳になった時点で、何らかの事情でまとまったお金が必要となった場合は、繰下げしないで、本来の年金額(繰下げ増額されない年金額)200万円×4年分を一時金でもらうこともできます。
この場合、その後も、本来の年金額(繰下げ増額されない年金額)200万円をもらい続けることとなります。
(質問2)繰下げつもりでいたものの、もし69歳で亡くなってしまったら、年金はどうなりますか?
(回答)この人が、繰下げ申出する前に69歳で亡くなったらどうなるでしょうか。
この場合、生計を同じくしていた一定の遺族(配偶者がいれば配偶者)が、本来の年金額(繰下げ増額されない年金額)200万円×4年分を「未支給」の年金として一時金でもらうことができます。
(69歳まで繰下げて増額された年金をもらえるのではありません。)
(質問3)69歳で繰下げ申出後に亡くなったら、年金はどうなりますか?
(回答)この人が、何らかの事情で69歳になった時点で繰下げ申出をし、その後亡くなったらどうなるでしょうか。
この場合も、生計を同じくしていた一定の遺族(配偶者がいれば配偶者)が未支給の年金をもらうことはできます。
ただし、この場合の未支給の年金は、繰下げ申出をした翌月分から死亡した月分までの年金(繰下げ増額された年金額)で、本人が受け取れなかった分だけです。
亡くなった人が繰下げ申出した月(この事例では69歳になった月)分までの4年分の年金を遺族がもらうことはできません。
●遺族厚生年金は死亡した人の報酬比例部分×4分の3
なお、質問2の場合も質問3の場合も、未支給年金とは別に、要件を満たせば遺族厚生年金は支給されます。
遺族厚生年金の年金額(「中高齢寡婦加算」を除く)は、基本的には、死亡した人の「報酬比例部分の年金に相当する額×4分の3」です。
繰下げ増額された年金額×4分の3ではありません。
また、経過的加算部分は含まず報酬比例部分のみの4分の3です。
(まとめ)
●現状では、70歳を過ぎて繰下げ申出した場合は、70歳到達時に繰下げしたものとみなされるため、増額率は42%となる。
●繰下げするつもりでいたものの、繰下げをやめることもできる。
●繰下げするつもりで亡くなった場合、遺族がもらう未支給分の年金や遺族厚生年金は、繰下げ増額されない。
(回答)
国からもらえる年金以外に厚生年金基金や企業年金連合会からも年金をもらえる人もいます。
年金についての知識不足から、国の年金だけ請求して、厚生年金基金や企業年金連合会からもらえる年金を請求していない人もいます。
特に、企業年金連合会からもらう年金についてはわかりにくいようで、経営者から相談を受けることも多いです。
企業年金連合会とは
厚生年金基金や確定給付企業年金を脱退した人(中途脱退者)等の年金資産を引き受け、将来的な年金給付を一元的に行う年金通算事業を実施するとともに、中途脱退者の年金資産を転職先の企業年金制度や個人型DC(iDeCo)に移換するポータビリティ機能の役割を果たしているのが、企業年金連合会です。
昭和42年に設立された厚生年金基金連合会が、平成17年10月から企業年金連合会に変わりました。
企業年金連合会から支給される年金のうち代表的なものは、次の2つです。
1.厚生年金基金の中途脱退者に支給される「基本年金」
2.解散した厚生年金基金に加入していた人に支給される「代行年金」
(注)平成26年4月以降の中途脱退者の場合は、企業年金連合会からではなく、加入していた基金から支給されます。
また、平成26年4月以降の基金解散の場合は、企業年金連合会からではなく、国から「報酬比例部分」として支給されます。
老齢厚生年金の繰下げと企業年金連合会からの年金について
国から支払われる65歳からの年金のうち、老齢厚生年金の繰下げをする人は、企業年金連合会の年金(基本年金、代行年金)も繰下げとなります。
繰下げ待機中は国の老齢厚生年金も、企業年金連合会の年金(基本年金、代行年金)も支給停止となります。
企業年金連合会の年金受給者の方が、国の老齢厚生年金を66歳以降に繰下げて受給する予定がある場合は、企業年連合会に「(繰下げ)支給停止申出書」を提出する必要があります。
繰下げて受給するつもりの人が、企業年金連合会の年金について「(繰下げ)支給停止申出書」を提出しないと、企業年金連合会の年金が支払われてしまいます。
この場合、年金の過払いが生じ、過払い分は返す必要がありますので注意が必要です。
企業年金連合会からの年金と在職老齢年金
1.厚生年金基金の中途脱退者に支給される「基本年金」は、報酬・賞与との調整の対象外です。
基金のプラスアルファ部分も残っています。
老齢厚生年金がもらえない人(公的年金加入期間10年未満で老齢厚生年金がもらえない人)でももらえますので、請求時に国の年金の年金証書のコピー添付は不要です。
中途脱退者となる要件は、基金によって色々です。加入期間10年以下(基金により15年以下)、かつ、脱退時の年齢は60歳未満か55歳未満の場合に、中途脱退者となっています。
2.解散した厚生年金基金に加入していた人に支給される「代行年金」は、報酬・賞与との調整の対象となります。
基金のプラスアルファ部分は残っていません。
老齢厚生年金の受給資格がある人しかもらえないため、請求時に国の年金の年金証書のコピーを添付します。
国の老齢厚生年金が支給停止となっている場合は、企業年金連合会から支給される代行年金についても年金の全部または一部が支給停止となる場合があります。
支給停止に該当する場合は、「支給停止事由該当届」を提出する必要があります。
提出が遅れると、代行年金の過払いが生じ、過払い分は返す必要があります。
国からの年金だけでも難しいのに、さらに基金や企業年金連合会からの給付もあると、なかなか理解が難しいところだと思います。
厚生年金基金や企業年金連合会からの給付についての不明点は、年金事務所ではなくて、基金や企業年金連合会に照会する必要があります。
企業年金連合会からの年金については、「企業年金コールセンター」(0570-02-2666)に電話をかけて相談することもできます。
いまでもみられる企業年金連合会への年金請求もれ
厚生労働省によると、平成29年度末の厚生年金基金の年金受給権者数20.94万人のうち0.5万人(2.4%)が未請求とのことです。
また、平成29年度末の企業年金連合会の年金受給権者1,065万人のうち125万人(11.7%)が未請求とのことです。
企業年金連合会からの年金の請求もれについては、数年前に大きく報道されたことがありますが、その後も請求もれがなくなってはいないことがわかります。
特に、平成26年3月までに解散した基金に加入していた人に企業年金連合会から支給される「代行年金」の請求もれにはご注意ください。(代行年金をもらえる人は、国の年金の請求をして証書が届いた後に、代行年金をもらうための裁定請求書を企業年金連合会に電話するなどしてもらう必要があります。)
(まとめ)
●国からの老齢厚生年金を繰下げる場合、企業年金連合会の「基本年金」・「代行年金」も繰下げとなる
●企業年金連合会からの「基本年金」は、報酬・賞与との調整の対象外
●企業年金連合会からの「代行年金」は、報酬・賞与との調整の対象となる
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担当:奥野 文夫 (おくの ふみお)
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