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事前確定届出給与の支給回数を年2回から1回に減らしたいときの注意事項

 大企業の関連会社の代表取締役等については、毎月の定期同額給与以外に事前確定届出給与を年2回夏・冬に支給しているケースが多くみられます。

もともと大企業でサラリーマンとして働いてた人が、関連会社の社長・役員となって働いているという事例ですね。

 

この場合、元の企業でサラリーマンとして働いていた人たちですから、現在の会社においてもボーナスを支給する必要があるため、役員給与の一種である事前確定届出給与を、年2回のボーナス的に活用しているというものです。

 

もともとそのような理由から事前確定届出給与を支給しているわけですから、毎月の定期同額給与をそれほど低額に設定しているわけではありません。

 

ですから、年金支給開始年齢を迎えても年金は支給停止となっているし、社会保険料負担も同じ役員給与総額で定期同額給与のみを支給する場合よりも多く負担しているケースがほとんどです。

 

中小企業経営者でも、事前確定届出給与を年2回以上受給しているケースがあります。

 

確かに、今後の役員給与設定によっては、事前確定届出給与を年1回にまとめることで、厚生年金保険の標準賞与額の上限を超えた分の金額が年金支給停止額計算に影響しなくなり、結果として働きながらもらえる年金額が増えることがあります。

(事例)報酬月額24万円(標準報酬月額24万円)で、毎年3月に100万円、9月に80万円賞与(事前確定届出給与)をもらっている社長が、

毎年13月に180万円支給とすると、総報酬月額相当額が25,000円下がります。

(変更前)総報酬月額相当額=標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12

     =24万円+(100万円+80万円)÷1239万円

(変更後)総報酬月額相当額=標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12

     =24万円+150万円÷1236.5万円

 

老齢厚生年金(報酬比例部分)が144万円なら、年金支給額は次の通り月額12,500円増えます。

 

(変更前)年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額12万円+総報酬月額相当額39万円-47万円)÷22万円 

したがって、年金支給額(月額換算額)=基本月額12万円-年金支給停止額(月額換算額)2万円=10万円

 

(変更後)年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額12万円+総報酬月額相当額36.5万円-47万円)÷27,500円 

したがって、年金支給額(月額換算額)=基本月額12万円-年金支給停止額(月額換算額)7,500円=112,500

 

しかし、年2回事前確定届出給与を支給している会社が、来期から年1回支給とする場合は、具体的に何月支給にするのかが重要です。

 

上記の例で言えば、3月に支給するのか、9月に支給するのか、それともその他の月に支給するのか、ということですね。

 

例えば、9月決算の会社で、毎年3月に100万円・9月に80万円の事前確定届出給与を支給している会社があるとしましょう。

(この会社は、毎年11月の定時株主総会で、その年の12月支給分から翌年11月支給分の定期同額給与・事前確定届出給与の支給額を決議しているとします。)

 

今後は毎年13月に180万円事前確定届出給与を支給することとして、来年の3月に事前確定届出給与を180万円支給するとしたら、来年3月の厚生年金保険の標準賞与額は150万円(1月あたりの上限額)となります。そして、来年3月分の年金支給停止額計算で用いられる「その月以前の1年間の標準賞与額の総額」は230万円となります。(来年3月支給分についての150万円+本年9月支給分の80万円)

 

「その月以前の1年間の標準賞与額の総額」が150万円となるのは、本年9月支給の事前確定届出給与80万円の影響がなくなる来年9月以降となります。

 

つまり、来年3月から8月の各月における総報酬月額相当額は、今よりも下がるどころか上がってしまうということです。

ですから、来年3月分から8月分の年金支給停止額が増え、年金支給額が減ってしまいます。

 

事前確定届出給与の支給回数を年1回に減らして年金支給額を増やしたい場合は、在職老齢年金の計算上常に「その月以前の1年間の標準賞与額÷12」が年金支給停止額計算に影響する、ということに注意して、事前確定届出給与支給月を何月にまとめるかを検討しましょう。

 

事前確定届出給与を年1回支給にまとめることによって年金支給額を増やした経営者から、数年後に「なぜか年金振込額が減ってしまいました。こんな書類(支給額変更通知書)も届いていました。」と相談を受け、確認してみると、何らかの事情で事前確定届出給与を年2回以上支給に戻してしまっていたり、前年度の支給月よりも早く支給してしまっていた、という事例も結構あります。

 

なお、事前確定届出給与を年1回支給にまとめるためには、会社の資金繰りを考える必要がありますから、どの会社でもできることではありません。

高額の事前確定届出給与を支給できる月は、現実的には限られてくる会社も多いでしょう。

(複数の役員について同時に役員給与設定を変更する場合で、各人の事前確定届出給与支給月を同月にする場合は、準備すべき資金が多くなります。)

 

年金を満額もらうために報酬月額を下げている65歳以上代表取締役が報酬月額を増額する際の注意点

例えば、65歳以上の代表取締役で、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額が144万円、報酬月額100万円(厚生年金保険の標準報酬月額62万円)・賞与なしの場合。

 

このままの報酬月額ですと、老齢厚生年金(報酬比例部分)は何歳になってもずっと全額支給停止です。

 

例えば、報酬月額を34万円に下げてから3か月連続で支給し、月額変更届を会社が提出したら、報酬月額引き下げ月から数えて4か月目分の標準報酬月額が34万円に下がります。

ですから、その月分から老齢厚生年金(報酬比例部分)も全額支給されるようになります。

 

会社の売上げ・利益が下がっているわけでもなく、後継者の報酬月額を上げるタイミングで自分の報酬月額を下げているのでもなく、単に年金を全額受け取りたいがために、このように報酬月額を大幅に引き下げている事例があります。

 

このような人が、報酬設定を変更することで、役員給与設定によっては年収1,200万円のままであっても年金の一部または全部をもらえるということを知った場合、来期から年収を1,200万円に戻したいと考えるケースも多いです。

 

この場合の注意点も、やはり、希望の役員給与設定に来期から変更した場合のシミュレーションをきちんと行うことです。

 

年金受給額だけのシミュレーションではなくて、以下の点への影響を確認・検証する必要があります。

・事業年度単位での会社の経費負担額・法人税負担額

・年単位での本人の手取り収入

・毎月の給与計算における源泉所得税控除額・所得税額

・毎月の社会保険料負担額(会社負担・本人負担)

 

なぜならこれらは、下記の要素により細かく変動するからです。

・会社の決算日・報酬変更月(毎年度何月支給分の報酬から変更しているか)

・定期同額給与を月額いくらにするか

・事前確定届出給与を年何回支給するか

・事前確定届出給与の支給月および支給額

 

試算は月単位、年単位、事業年度単位、および、職務執行期間単位で行う必要があります。

 

不明点がある場合は、役員給与設定を変更する前に、年金・社会保険料については社会保険労務士に、税金については税理士に確認しておきましょう。

 

役員給与設定変更による年金受給は中小企業のオーナー社長や配偶者・親族である役員限定の対策

社長や配偶者・親族である役員であっても、本来は、退職したり、報酬月額を下げる方法で年金受給額を増やすのがストレートな方法です。

 

できることなら、各役員について、いつから報酬月額を引き下げるのか、いつ退任するのかを、事前に計画的に決めておくことが望ましいです。

 

しかし、実態として多くの経営者が、年金受給や引退計画について特に検討することのないまま年金支給開始年齢を迎えてしまいます。

 

その後、報酬月額引き下げ時期や退職時期を検討し始めるわけですが、後継者がいない等の理由ですぐには報酬月額を下げたり退職したりできないことがあります。

 

そこで、窮余の策として、役員給与の支払い方を変更したり、厚生年金保険法上の「報酬・賞与に含まれないお金」を活用する方法を何年かにわたって活用することも、現実的な対応策として考えられます。

 

しかし、オーナー社長でもその配偶者・親族でもない役員について、これらの策を実施するのは無理があります。

 

そのような役員は、生涯現役というわけではなく、一定年齢を迎えると会社を離れリタイアする人がほとんどでしょう。ですから、無理な年金受給策を実施することによって、退職後にもらえる年金額が下がる等の不利益を被らせてしまうこととなってしまいます。

 

また、毎月の役員給与設定を変更したり、役員給与月額を下げて、その分を役員退職金積立にあてる、などの方策は、会社と役員が一体といってもよいような関係でないと現実的には実行が難しいです。

 

取締役総務部長(配偶者・親族以外)の役員給与設定変更などについて相談を受けることが多いですが、適用するのは難しいケースが多いでしょう。

 

配偶者・親族以外の役員ですら適用は難しいケースが多いのですから、従業員にはなおさら類似の方法は適用すべきではありません。

 

社長・役員について役員給与設定を変更した会社から、自社の60歳以上の従業員について、毎月の給与を減らして賞与の配分を多くすることができないか、との質問を受けることがよくあります。

 

この場合、60歳以降支給している報酬月額をさらに下げて賞与額を増やす、ということはしないようにと回答しています。

 

従業員の場合、毎月の給与を生活費のベースに充てて生活しているからです。

それに、中小企業に勤務している従業員は一般的には給与額も多くはありません。

ですから、給与・賞与の配分を大きく変更するということは無理ですし、従業員の生活の安定を損なうようなことは、会社はやってはいけないと思います。

 

将来の年金額や病気・ケガをして働けなくなったときの傷病手当金、労災保険・雇用保険の給付等にも不利益が生じてしまいます。

 

年金受給額をできるだけ多くするためか、報酬月額を非常に低く設定したシミュレーション事例を見ることもあります。

 

65歳までの在職老齢年金の基準額が28万円と低いからでしょうが、報酬月額、都道府県、所定労働時間によっては、最適賃金法違反となってしまう可能性がありますので、その点にも注意が必要です。

 

なお、60歳定年後の再雇用者に対して、65歳までの特別支給の老齢厚生年金・雇用保険の高年齢雇用継続給付を最大限有効活用できるように、再雇用後の賃金月額を60歳時の賃金月額の6割程度に下げている会社が多くあります。

 

60歳以降特別支給の老齢厚生年金をもらえる年齢になるまで雇用保険に加入して働いている場合、(賃金月額が60歳時の75%未満に低下している等の要件を満たせば)雇用保険から高年齢雇用継続給付がもらえます。

 

60歳到達時の賃金月額の61%以下に賃金月額が下がったときに、高年齢雇用継続給付の支給額が「現在の賃金月額×15%」と最大になります。

しかし、それ以上賃金を増額すると高年齢雇用継続給付の支給額が減り、60歳時の賃金月額の75%以上の賃金を支給すると、高年齢雇用継続給付は支給されなくなります。

 

ですから、60歳以降特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢までの賃金月額は60歳時の約60%程度に留めておいて、別途賞与を年2回等支給することとしている会社もあるでしょう。

(その場合、賞与は高年齢雇用継続給付の支給額には影響しません。また、在職老齢年金の計算上も、特別支給の老齢厚生年金がもらえるようになる月以前の1年間に支給した賞与は年金支給停止額計算に影響しますが、それよりも前に支給した賞与は年金支給停止額計算には影響しません。)

 

そのような場合は、60歳以降も毎月の賃金+賞与という形をとることとなりますが、60歳到達時の約60%程度、というもともとの60歳以降の賃金月額水準を削って賞与に充当するわけではなくて、60歳以降の賃金月額水準は保ったうえで、さらに、会社の業績や本人の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定した賞与を上乗せ支給するのであれば、従業員にとって損にはなりません。

人手不足の中、経験豊かな高年齢者の有効活用・高年齢者の雇用環境整備のため、このような形で賃金+賞与を支給することは考えられるでしょう。

(以上、60歳以降の従業員の働き方が、業務の範囲、責任の範囲、残業の有無、異動の有無、その他について、60歳定年までの労働契約における働き方とは異なっていることを前提としています。)

 

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