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在職老齢年金制度、繰下げ制度について誤解している社長・経営者からの質問・相談が集中しています

(2019年12月10日)

 

年金制度の今後の見直しの方向性についての報道が多くなっている中、在職老齢年金についての相談が先月末より急増しています。

 

 

これは私どもに限ったことではないようで、下記の記事でも、ある社会保険労務士さんが、金融機関の年金相談会で寄せられた相談の多くが在職老齢年金の相談であったことに、驚きの声を寄せられています。

 

 

・「収入が多いと受給額減る 在職年金「繰り下げ」も効果薄

2019127日 日本経済新聞電子版)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53034140W9A201C1PPE000/

 

 

 

上記記事でも触れられていますが、在職老齢年金や繰下げの制度内容について誤解をしている方からの相談がとても多くなっています。

 

 

・過去に報酬との調整で支給停止となっていた年金を後からもらう方法はない

 

・報酬との調整で支給停止となる年金を何年繰下げても年金額は増えない

 

 

どちらも、これだけは知っておいていただきたいとの思いで、ホームページ、メルマガや過去に発刊された書籍で何度も何度もお伝えしてきた内容です。

 

 

しかし、誤解をしている方からの相談が減ることはありません。

 

 

特に、70歳を過ぎて初めて誤解していたことに気づいた方や、70歳を過ぎても誤解していることに気づいていない方からの相談がものすごく増えています。

 

 

まだ確定ではないですが、政府は75歳までの繰下げも選択できる制度の導入を目指しています。

 

 

導入されると、75歳を過ぎて初めて誤解していたことに気づく人や、75歳を過ぎても誤解していることに気づかない人が増えると思われます。

 

 

 

 

「在職年金、不公平な見直し、恩恵は特定世代だけに」

2019129日 日本経済新聞電子版)

 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53069570W9A201C1I00000/

 

もう一つ、私どもでも社長の年金セミナーなどで以前から指摘していた内容について、上記記事で取り上げられていました。

 

 

125日に政府が在職老齢年金制度の見直し案と決めた内容は、以下の通りです。

65歳からの基準額は現状の47万円で据置き

65歳までの基準額は、現状の28万円から47万円に引上げ

 

 

国会に法案を提出し可決されないと、正式決定ではありません。

 

 

この政府の見直し案ですが、もし実現すると、特定の世代の人だけが極めてトクをすることとなる、不公平な制度改正となります。

 

 

65歳までの特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は、生年月日・性別により異なります。

 

 

支給開始年齢は徐々に65歳に向けて引き上げられている最中です。

 

 

そんな中、同額の年金を受ける場合でも、今後特定の世代の人々だけが、働きながら多くの年金額を受給できることとなります。

 

 

(基準額引上げがいつから実施されることとなるか未定ですが、実現すれば、基準額引上げ後に特別支給の老齢厚生年金受給期間がある世代の人だけがトクをすることとなります。)

 

 

そして、昭和3642日以降生まれの男性や昭和4142日以降生まれの女性は、特別支給の老齢厚生年金をもらえません。

 

 

65歳までの在職老齢年金制度については、かなり以前、「社会保障審議会年金部会における議論の整理」(社会保障審議会年金部会 平成27121日)で、それまでの議論の内容が次のようにまとめられてました。

 

 

65 歳までの在職老齢年金については、支給開始年齢の引上げに伴い自然と対象者が減少していくということにもなるので、特段の見直しを行う必要はないものと考えられる。

 

 

本年827日に公表されたオプション試算でも、在職老齢年金については65歳からの制度を見直した場合の試算のみ(それも2026年度から見直した場合の試算)でした。

 

 

その後、109日開催の第11回社会保障審議会年金部会で厚生労働省案において65歳までの基準額を引き上げる案もいきなり記載されていましたので、唐突な印象がありました。

 

 

来年1月から6月の通常国会への法案提出を政府は予定していますが、もしかしたら反対意見も出るかもしれません。

 

 

その他、最近、法改正関係(特に繰上げなど)に関する週刊誌やネット記事などで、サラリーマン向けの情報が増えています。

 

 

いつものことですが、それらの記事を経営者が読むと誤解をしてしまう可能性もあり注意が必要ですので、また、機会があれば取り上げるかもしれません。 

 

厚生年金保険の標準報酬月額の上限改定(令和元年度現在62万円→65万円)と標準賞与額の上限(令和元年度現在150万円)

(2019年12月17日)(2020年1月6日追記)


次期年金制度改正については、令和2年の通常国会への
改正法案の提出が目指されています。



一方、現在の法律の規定に基づいて、来年9月から厚生年金保険の標準報酬月額の上限額が65万円に
引き上げられる可能性が高いです。


令和2年3月末の全厚生年金保険の標準報酬月額の分布によっては、令和2年9月から、現行の最高等級(31級62万円)の上に、32級65万円が付け加えられます。


このことは、令和1年10月30日に開催された第13回社会保障審議会年金部会において、厚生労働省より報告されていました。

・参考資料:現行の厚生年金保険法の規定に基づく標準報酬月額等級の改定について(報告事項)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000561860.pdf?fbclid=IwAR3ZRHLS9qBM-4umIoZ4G5i_YQUx4TMsduBJVdYIE7ln5IVQcPA6alzwrRA
 

厚生年金保険の標準報酬月額の上限の改定について

厚生年金保険の標準報酬月額の上限は、全被保険者の標準報酬月額の平均額の概ね2倍となるように設定されています。

また、毎年331日時点の「全厚生年金保険被保険者の標準報酬月額の平均額の2倍に相当する額」が「標準報酬月額等級の最高等級(31)の標準報酬月額(62万円)」を上回り、その状態が継続すると見込まれるときは、その年の91日から、健康保険法の標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができることとなっています。(厚生年金保険法第20条第2項)

平成273月以降毎年331日時点で、「全厚生年金被保険者の標準報酬月額の平均額2倍に相当する額」が「標準報酬月額等級の最高等級(31)の標準報酬月額(62万円)」を超えている状態が続いています。
(平成31331日における「全厚生年金被保険者の標準報酬月額の平均額の2倍に相当する額」は644,808円でした)

また、今後も継続する蓋然性が高いと思われます。
そこで、令和元年1030日に開催された第13回社会保障審議会において、厚生労働省より次の通り報告されました。

・令和2331日においても、「全厚生年金被保険者の標準報酬月額の平均額の2に相当する額」が62万円を超えていることが確認された場合、令和29月から、政令改正により標準報酬月額の上限を引き上げる(現行の最高等級(第31級:62万円)の上に、さらに1等級(第32級:65万円)を加える)。

 

厚生年金保険法によると、健康保険保険法の標準報酬月額の等級区分を「参酌して」政令で改定を行うこととなります。

したがって、改定後の厚生年金保険法の標準報酬月額の最高等級(第32級:65万円)に該当するのは、報酬月額635,000円以上の人となります。

 

これにより、報酬月額635,000円以上の人は、報酬月額が同額のままでも、令和29月分から毎月の厚生年金保険料(会社負担分+本人負担分)が毎月5,490円アップすることとなります。

・厚生年金保険料(会社負担分+本人負担分)月額
改定前:標準報酬月額62万円×厚生年金保険料率1,000分の183113,460
改定後:標準報酬月額65万円×厚生年金保険料率1,000分の183118,950 

 

(参照条文)
●厚生年金保険法第20条(標準報酬月額)

2 毎年3月31日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、健康保険法第41条第1項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。

 

厚生年金保険の標準報酬月額の上限改定と在職老齢年金

老齢年金受給世代で標準報酬月額等級が65万円に改定される人の中には、在職老齢年金制度による年金支給停止額にも影響が生じる人がいますので、注意が必要です。

例えば、報酬月額635,000円でその月以前1年間に賞与受給のない場合、令和28月までの総報酬月額相当額は62万円、令和29月以降の総報酬月額相当額は65万円となります。

(総報酬月額相当額=標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の総額÷12

この人の基本月額、すなわち「老齢厚生年金(報酬比例部分÷12)」がもし16万円だとしたら、9月分の年金から年金支給停止額が増える可能性があります。

・令和28月分までの年金支給停止額=基本月額16万円+総報酬月額相当額62万円−基準額47万円)÷215.5万円

・令和29月分からの年金支給停止額=基本月額16万円+総報酬月額相当額65万円-基準額47万円)÷217万円→年金支給停止額>基本月額のため、老齢厚生年金(報酬比例部分)全額支給停止

(令和1年度の基準額を用いて試算しています。令和2年度の基準額は未定です。)
 

経営者(特に厚生年金保険加入期間の長い70歳以上の経営者)の場合、基本月額16万円以上、つまり老齢厚生年金(報酬比例部分)が年額192万円以上の人もいますので注意が必要です。
 

     標準報酬月額の上限改定と標準賞与額の上限改定(厚生年金保険)

その他、厚生年金保険法第20条第2項の規定による標準報酬月額の等級区分改定が行われたときは、厚生年金保険法の標準賞与額の1月あたりの上限額(現在150万円)も政令で定められることとなっています。(厚生年金保険法第24条の41項)

政令により上限額が改定された場合は、それにより年金支給停止額が変わる人も出てきます。


(参照条文)
●厚生年金保険法第24条の4(標準賞与額の決定)

実施機関は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、
これに1,000円未満の端数を生じたときはこれを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。
この場合において、当該標準賞与額が150万円(第20条第2項の規定による標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額。以下この項において同じ。)を超えるときは、これを150万円とする。

 

雇用保険の高年齢雇用継続給付の段階的な廃止案が検討

60歳以上の従業員を雇用されている企業においては、雇用保険の高年齢雇用継続給付の段階的な廃止が検討されていることに注目されているかもしれません。


https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201912/CK2019120702000149.html?ref=rank


現在検討されている案では、今年度54歳になる人が60歳になる2025年度から給付水準を半減、2030年度から廃止とのことです。
段階的な制度廃止が決まると、それら
の年代の従業員を雇用されている企業では、将来の人件費増への対応が必要となります。

年金受給を辞退する申出をしても、支給停止の年金は後からもらえない

(2019年12月24日)

65歳からの年金のもらい方には、次の4通りあります。


1.老齢基礎年金・老齢厚生年金とも、原則通り65歳からもらう
2.老齢厚生年金のみ65歳からもらい、
  老齢基礎年金は66歳~70歳の希望する月まで繰下げる
3.老齢基礎年金のみ65歳からもらい、
  老齢厚生年金は66歳~70歳の希望する月まで繰下げる
4.老齢基礎年金・老齢厚生年金とも、66歳~70歳の希望する月まで繰下げる


65歳までの特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを行った人には、65歳になる月の前半に65歳からの年金請求書(ハガキ)が送られてきます。


この年金請求書(ハガキ)は届いた月の月末までに返送することとなっています。


年金請求書(ハガキ)が届いたタイミングで、いまの役員給与設定のままだと老齢厚生年金(報酬比例部分)が支給停止となってもらえないことに気づいて、「年金の受給を辞退したい」と相談いただくことがあります。

 

あまり知られてはいませんが、年金受給を辞退する手続きとしては「申出による年金全額支給停止の制度」というものがあります。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140421.html


誤解をしている経営者もいますが、この手続きは、後で年金を受け取りたい人が利用する制度ではありません。


年金をもらい始めるのを66歳以降に遅らせる繰下げ制度(上記の2~4)とも関係がありません。


年金はいらないという考えの人が利用する制度です。


この申出をした後に気が変わってやっぱり年金をもらいたいと思ったときは、申出を撤回してその後の年金を受給することができるようになります。


しかし、その場合、申出によって支給停止された分の年金を遡って受給することはできません。

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