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役員給与月額(定期同額給与の月額)を引き下げて、社長が年金をもらう場合の注意点について

(2020年5月26日)

 (よくある質問)

役員給与月額を引き下げると、いつから老齢厚生年金をもらえるようになりますか


(回答)
新型コロナウィルス感染症の影響による経済活動の収縮の影響か、社長の年金についても、「年金復活プラン」を活用して役員給与設定を変更する以外に、単純に役員給与月額を引き下げることによって年金を受給する方法についての相談も多くなっています。

 

役員給与月額(定期同額給与の月額)を引き下げた場合の年金受給について

 

例えば、3月決算で毎年5月の定時株主総会等にて6月支給分から1年間の役員給与額を決議している65歳以上社長の場合。

 

昨年6月支給分から1年間の毎月の役員給与(定期同額給与)は100万円、賞与(事前確定届出給与)なしのため、老齢厚生年金(報酬比例部分)144万円は全額支給停止だっととしましょう。

・年金支給停止額={基本月額12万円(144万円÷12)+総報酬月額相当額62万円-基準額47万円}÷1213.5万円>基本月額12万円

したがって、老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給停止でした。

 
(注)2020年5月現在、厚生年金保険の標準報酬月額の上限は62万円です。


この社長が、本年6月支給分から1年間の毎月の役員給与(定期同額給与)は34万円、賞与(事前確定届出給与)なしに変更すると、老齢厚生年金(報酬比例部分)年額144万円は全額受給できるようになります。

・年金支給停止額={基本月額12万円(144万円÷12)+総報酬月額相当額34万円-基準額47万円}÷120

したがって、老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給されます。

 

このような場合、6月支給分から役員給与額を引き下げたら、すぐに年金を全額もらえるようになると思っている社長がとても多いです。

しかし、6月支給分から役員給与を下げて、引き下げ後の役員給与を6月・7月・8月に実際に支給した後に、会社が報酬月額変更届を日本年金機構に提出することにより、9月から標準報酬月額が62万円から34万円に下がります。


そのことにより9月から総報酬月額相当額(標準報酬月額相当額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額)が下がることにより、9月分の年金から全額受給できるようになります。

9月分の年金は、1015日に支給されます(事務処理のスケジュールにより、11月以降に支給される可能性があります)。

 

役員給与を引き下げた月から数えて4か月目分の年金からしか支給停止は解除されないこと、および、前々月分・前月分の2か月分が偶数月の15日に支給されることを知らない社長が多いため、いつになったら年金が支給されるのかという相談を受けることが多いのです。

 

よくある失敗事例


上記のような役員給与引き下げに際して最も多くみられる失敗事例は、次のようなものです。

・老齢厚生年金(報酬比例部分)144万円を全額もらいたいと考えて、標準報酬月額が34万円に下がるように、報酬月額を35万円にしてしまった。 

標準報酬月額が34万円となるのは、報酬月額が33万円以上35万円未満の人です。

報酬月額を35万円ちょうどとすると、標準報酬月額は36万円となります(標準報酬月額が36万円となるのは、報酬月額が35万円以上37万円未満の人です)。

・年金支給停止額={基本月額12万円(144万円÷12)+総報酬月額相当額36万円-基準額47万円}÷125千円

したがって、老齢厚生年金(報酬比例部分)は一部支給停止となります。

この場合、受給できる老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額換算額は、115,000円(12万円-5千円)です。

 

標準報酬月額34万円にするためには報酬月額を35万円「未満」にする必要があるところ、報酬月額を35万円「以下」にすればよいと誤解することによって、もらえる年金額が減ってしまうという失敗です。
 

 以上、年金受給世代の社長が単純に役員給与月額を引き下げて年金受給額を増やしたい場合も、いつから年金をもらえるようになるのかや、標準報酬月額等級表の見方について正しい知識を持っておくことが重要となります。

 

事業年度の途中での役員給与月額引き下げ事例が増える可能性もある

 

役員給与のうち法人の損金に算入されるのは、原則として次の3つに限られます。

1.1か月以下の期間ごとに同じ金額を支給する定期同額給与

2.事前に税務署に届け出た支給時期に届けた額を支給する事前確定届出給与

3.一定の指標に基づき業績に連動して支給する業績連動給与


例外として、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があるとき(「業績悪化改定事由」に該当したとき)であれば、事業年度の途中に変更しても全額損金算入が認められるルールがあります。

新型コロナ感染症拡大の影響で「業績等が急激に悪化して家賃や給与等の支払いが困難となり、取引銀行や株主との関係からもやむを得ず役員給与を減額しなければならない状況にある場合」も、この特例を適用できるとされています

また、「役員給与の減額等といった経営改善策を講じなければ、客観的な状況から判断して、急激に財務状況が悪化する可能性が高く、今後の経営状況が著しく悪化することが不可避」と考えられるために行う役員給与の減額についても、特例が適用できるとされています。

 

(以上、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」国税庁 参照)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf

 

したがって、今後、通常の役員給与決議(決定)時期以外であっても、役員給与引き下げを検討・実施する会社が増える可能性もあります。


 

また、事業年度途中で業績悪化改定事由に該当して役員給与月額を引き下げた後に業績が回復したとしても、次期の役員給与改定時期までに月額を元に戻してしまうと損金算入が認められない部分が生じてしまう危険についても注意し、税理士さんと相談の上、役員給与引き下げを検討いただくのがよいでしょう。

  

新型コロナウイルスの影響による休業によって報酬月額が急激に下がった人について、標準報酬月額が翌月から下がる特例改定を申請できることに

(2020年6月25日)

新型コロナウイルス感染症の影響により休業した人で、休業により報酬が著しく下がった人について、事業主からの届出により、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額を、通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、特例により翌月から改定可能となりました。

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/0625.html
 

標準報酬月額のコロナ特例改定は法人役員も対象となる

(2020年7月3日)

通常であれば、報酬月額の大幅な変動があった月から数えて4カ月目から標準報酬月額が変わるのですが、6月25日から時限的に開始された標準報酬月額の特例改定は、新型コロナウイルス感染症の影響による休業に伴い報酬月額が下がった場合であれば、被保険者本人の同意を得た上で事業主が申請することにより、報酬が下がった月の翌月から標準報酬月額を下げてもらえるというものです。

本年4月から7月までの間に報酬が急減した人が対象となります。


固定的賃金に変動がない場合でも対象になる点なども、通常の報酬月額変更時のルールと大きく異なる特例です。

 

この特例が適用されると、社会保険料(会社負担分および本人負担分)が2か月分早く下がりますし、年金受給世代の人は2か月分年金受給額が増える人もいます。


ただ、ちょうど年1回の算定基礎届を提出すべき時期にこのようなイレギュラーな特例が急に公表されたため、混乱されている会社も多いと思います。


当初の公表内容だけでは、実務上どのように取り扱えばよいのかわからない点も多く、私(奥野)もいくつかの年金事務所の担当者に照会していましたが、担当者もわからず回答待ちという状態が続いていました。


そんな中、制度の公表から1週間後の7月2日に、この特例改定についての64個のQ&Aが公表されました。
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/0625.files/QA.pdf


役員については、Q13の<法人の役員等の取扱いについて>「 特例改定の対象に法人の役員等は含まれますか。」に対する、次の回答が重要です。


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 法人の役員等についても、健康保険法及び厚生年金保険法上は法人に使用されるものとしての被保険者として扱われるものであり、特例改定の対象になります。 

ただし、例えば、役員報酬について、未払い計上となっている場合は、報酬が支払われているものとして取り扱うこととされており、報酬の低下とは言えない ことから、特例改定の対象となりません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ということで、新型コロナ感染症の影響により休業(時間単位の休業を含みます)したことにより、届出の対象月に受けた報酬の総額が従前の標準報酬月額より原則として2等級以上減少していれば、法人の役員等についても、(未払い計上となっている場合でなければ)、厚生年金保険・健康保険の給付が下がることについての本人の同意があれば、この特例改定を申請することもできるとのことです。


ただし、この特例は、新型コロナウイルス感染症の影響による休業に伴い報酬が急減した人が対象となるものです。


Q41の<休業がなく業績不振の場合の特例改定の適用について>「休業していないが、業績不振により、給料を大幅に引き下げた場合、特例改定の対象となりますか。」に対する、次の回答にも注意が必要です(以下の回答は、役員・従業員ともにあてはまるものです)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本特例改定は、今般の新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言に伴う自粛要請等を契機として、休業に伴い所得が急減する被保険者が相当数生じている特別の状況にかんがみ、休業された方を対象とするものであるため、休業を伴わない場合は特例改定の対象となりません。
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この特例の申請時に提出する月額変更届(特例改定用)には申立書を添付することとなっています。

申立書において、
1.新型コロナウイルス感染症の影響により休業させたことにより、届出の対象月において、その月の報酬の総額が従前の標準報酬月額より2等級以上減少していることを確認していることや、
2.
改定の対象となる被保険者本人から、「報酬月額の算定の特例」により改定すること及び改定内容について、書面により同意を得ていることなどについて、事業主が申し立てる形となっています。


この特例改定の申請手続き書類の提出先は管轄の年金事務所です(事務センターではありません)。
https://www.nenkin.go.jp/section/soudan/index.html

 

この特例に関するお問い合わせは、管轄の年金事務所または日本年金機構の「ねんきん加入者ダイヤル」へお願いいたします。
https://www.nenkin.go.jp/section/tel/index.html#cmscall03

健康保険組合や厚生年金基金に対する手続きについては、ご加入の健保組合・基金にご照会ください。

 

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