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(2021年6月12日)
令和2年年金改正法のうち重要な改正がいくつも令和4年度から施行されます。
それに伴い、政令案が5月21日に公示され、6月19日まで意見募集が行われています。
意見募集期間終了後公布される予定です。
・政令案の概要
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000219064
政令案には、繰上げの減額率を現行の1月あたり0.5%から1月あたり0.4%に引き下げる改正など数多くの内容が含まれています。
今日は、その中でも、経営者層からの相談も多い配偶者加給年金額について、令和4年度から予定されている改正についてお伝えします。
改正内容を理解いただくために必要な範囲で、配偶者加給年金額の基礎についてもお伝えします。
●配偶者加給年金額とは
厚生年金保険に20年以上加入した人が65歳になった当時、その人によって生計を維持していた65歳未満の配偶者がいる場合に、老齢厚生年金にプラスして配偶者加給年金額
(特別加算額を含みます)が約39万円支給されます。
65歳到達後に厚生年金保険加入期間が20年以上となった場合は、その後退職改定時や70歳改定時に、生計を維持している配偶者がいれば、配偶者加給年金額が加算される
ようになります
令和4年度以降は、これら以外に、毎年1回の「在職定時改定」により老齢厚生年金の計算の基礎となる厚生年金加入期間が240月以上となる場合にも、その時点で生計を維持
している配偶者がいれば、配偶者加給年金が加算されるようになります
・「生計を維持」とは
次の二つの要件をともに満たしていると、「生計を維持」していたとされます。
1.生計を同じくし、
2.原則として、前年(前年の年収が確定していない場合は前々年)の年収が850万円未満、または、前年(前年の所得が確定していない場合は前々年)の所得が655.5万円未満
●上記の要件を満たしていても、配偶者加給年金額が支給停止されるケースとは
1.老齢厚生年金を受けている本人が高額の役員給与を受けているため在職老齢年金制度により老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止となっている間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。
2.配偶者自身が厚生年金保険加入期間20年以上の特別支給の老齢厚生年金(や老齢厚生年金)、障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。
ただし、【配偶者自身の特別支給の老齢厚生年金等が全額支給停止となり、実際には受け取れない間は、配偶者加給年金額は支給停止されず加算されます。】
●上記2のただし書き部分(【】内)について、令和4年度から以下の改正が予定されています。
・改正後(令和4年度から)
配偶者自身の特別支給の老齢厚生年金(や老齢厚生年金)が在職老齢年金制度(や雇用保険の基本手当との調整)等により全額支給停止されて実際には受け取れない間であっても、配偶者加給年金額は支給停止されることとなります。
・改正の理由
配偶者の老齢厚生年金等が一部でも支給されている場合には加給年金額が加算されない一方で、配偶者の給与が高いため在職老齢年金制度により全額が支給停止となっている場合には加給年金額が加算されるという不合理が生じているため。
・経過措置
ただし、令和4年3月31日において加給年金額が加算されている老齢厚生年金又は障害厚生年金の受給権者であって、令和4年度からの上記の改正によって加給年金額が支給停止
となる人については、加給年金額の支給停止は行われません。
なお、令和4年3月31日において加給年金額が加算されている老齢厚生年金又は障害厚生年金の受給権者であって、令和4年度からの65歳までの在職老齢年金制度の基準額引き上げによって加給年金額が支給停止となる人についても、加給年金額の支給停止は行われません。
・政令案の概要
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000219064
中小企業では社長や社長の配偶者が20年以上厚生年金保険に加入して65歳以降も高額報酬を受けているケースも多いため、配偶者加給年金額について予定されている改正について取り上げてみました。
細かな内容ですので、わかりにくい点があるかもしれません。
令和4年度になれば、日本年金機構のホームページやパンフレット等も改正を加味した
記載内容となると思われます。
(2021年8月23日)
加給年金額の支給停止ルールの改善および経過措置について、8月6日に政令が公布され
具体的な内容は厚生労働省ホームページでも8月10日に公表されました。
下記リンク先の「第二 関係政令の整備」の「6 加給年金の支給停止ルールの改善」および、「2 経過措置」の「(2)加給年金の支給停止に関する経過措置」です。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210810T0080.pdf
令和3年度現在、配偶者が特別支給の老齢厚生年金(や繰上げ受給の老齢厚生年金)で厚生年金保険加入期間の月数が240月以上のものを受給できるものの、配偶者が高額報酬を受けているため全額支給停止となっている場合には、配偶者加給年金額は支給停止されません。
それが、今回の改正により、令和4年度からは、配偶者が特別支給の老齢厚生年金
(や繰上げ受給の老齢厚生年金)で厚生年金保険加入期間の月数が240月以上のものを受給できるものの、配偶者が高額報酬を受けているため全額支給停止となっている場合であっても、配偶者加給年金額は支給停止となります。
しかしながら、改正後の政令施行日(令和4年4月1日)の前日において配偶者の特別支給の老齢厚生年金(や繰上げ受給の老齢厚生年金)が全額支給停止となっているため配偶者加給年金額が加算されている人の場合は、今回の改正規定は適用されないこととなりました。(そのような人については、政令が変わったからといっても、そのことをもって、令和4年4月分から配偶者加給年金額を支給停止することはされない、ということです)
また、改正後の政令施行日(令和4年4月1日)の前日において配偶者の特別支給の老齢厚生年金(や繰上げ受給の老齢厚生年金)が全額支給停止となっていたため配偶者加給年金額が加算されていたものの、令和4年度から65歳までの在職老齢年金制度の基準額が28万円から引上げとなることによって配偶者の年金の在職支給停止が解除されることとなり、その結果、配偶者加給年金額が支給停止となってしまう人についても、令和4年4月1日以降、配偶者加給年金額は引き続き加算されます。
(2021年9月22日)
加給年金額の支給停止ルールの改善および経過措置についての上記記事をご覧いただいて、経営者向け有料相談にて質問をいただくことが増えてきていますので、下記に加給年金額の基本的な知識も含めて補足解説を下記に記載いたします。
老齢厚生年金や障害厚生年金には、配偶者加給年金額が加算されることがあります。
●老齢厚生年金に加算される加給年金額
厚生年金保険に20年(240月)以上加入した人が65歳になった当時、その人によって「生計を維持」していた65歳未満の配偶者がいる場合には、配偶者が65歳になるまでの間、老齢厚生年金に加算して配偶者加給年金額が支給されます。
老齢厚生年金を受ける人の65歳到達月の前月までの厚生年金保険被保険者期間が20年未満であったものの、その後も厚生年金保険に加入したことにより、次のいずれかの年金額改定により厚生年金保険被保険者期間が20年以上となるに至った場合も、その時点において、その人によって生計を維持していた65歳未満の配偶者がいれば、老齢厚生年金に配偶者加給年金額が加算されるようになります。
・退職時改定
・70歳時改定
・在職定時改定(令和4年度以降、60歳台後半で厚生年金保険に加入している人の老齢厚生年金額が毎年10月分から改定されます)
配偶者加給年金額は年額224,700円ですが、老齢厚生年金に配偶者加給年金額額が加算される場合は、さらに特別加算額も支給されます。
老齢厚生年金を受ける人が昭和18年4月2日以後生まれの場合、特別加算額(年額)165,800円も含み合計(年額)390,500円が加給年金額として加算されます(いずれも令和3年度額)。
なお、老齢厚生年金には、生計を維持している(原則18歳年度末までの)子がいる場合の加給年金額もあります。
●障害厚生年金に加算される加給年金額
障害等級1級または2級に該当する障害厚生年金を受ける人に、その人によって生計を維持している65歳未満の配偶者(注)がいる間も、配偶者加給年金額が加算されます。
(注)障害厚生年金の受給権を取得した当時生計を維持していた配偶者だけでなく、受給権発生日の翌日以降に生計を維持することとなった配偶者も含みます。
障害厚生年金に加算される配偶者加給年金額は年額224,700円です。特別加算額はありません。
障害厚生年金には、生計を維持している子がいる場合の加給年金額はありません(障害基礎年金には、子の加算があります)。
●配偶者の年金と加給年金額の支給停止
老齢厚生年金の場合も障害厚生年金の場合も、加給年金額の加算の基礎となっている配偶者が、老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限ります)、障害厚生年金、障害基礎年金等、老齢もしくは退職または障害を支給事由とする年金給付であって政令で定めるものの支給を受けることができるときは、加給年金額が支給停止されます(厚生年金保険法第46条6項、同法54条第3項)
そして、厚生年金保険法施行令第3条の7において、配偶者が受けていると加給年金額が支給停止されることとなる年金給付が列挙されるとともに、同条ただし書きにおいて、配偶者がそれらの年金給付を受けていても加給年金額が支給停止されない要件が定められています。
令和3年8月6日に公布された「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」の第5条により、厚生年金保険法施行令第3条の7のただし書き部分が、令和4年度から次の通り改正施行されることとなりました。
・(令和3年度現在)ただし、その全額につき支給停止されている給付を除く。
↓
・(令和4年度から)ただし、障害を支給事由とする給付であってその全額につき支給を停止されているものを除く。
令和3年度現在、配偶者の老齢・退職年金(厚生年金保険20年以上加入のもの)が全額支給停止されている場合も、配偶者の障害年金が全額支給停止されている場合も、配偶者加給年金額は支給停止されません。
しかし、令和4年度からは、配偶者の障害年金が全額支給停止されている場合は配偶者加給年金額は支給停止されませんが、配偶者の老齢・退職年金(厚生年金保険20年以上加入のもの)が全額支給停止されている場合は加給年金額が支給停止される、という規定に変わります。
●配偶者の老齢厚生年金が全額支給停止されている場合とは
ところで、65歳未満の配偶者が受給している老齢厚生年金(つまり、特別支給の老齢厚生年金または繰上げ受給の老齢厚生年金)が全額支給停止される代表的なケースとしては、次の二通りがあります。
1.在職老齢年金の規定により全額支給停止されている場合
2.雇用保険の基本手当を受けられるとき(求職の申し込みがあった日の属する月から、受給期間が経過するか所定給付日数分の支給を受け終わった日の属する月までの間、老齢厚生年金を全額支給停止)
中小企業においては、社長の配偶者が取締役等として高額報酬を受けている場合も多いため、配偶者の年金が上記1により全額支給停止となるケースも散見されます。
しかし、社長の配偶者がどこかの会社に従業員として勤務している場合は、配偶者の離職により、配偶者の老齢厚生年金が上記2により全額支給停止となるケースも生じ得ます。
ですから、令和4年度からは、配偶者の老齢・退職年金が上記1・2のいずれにより全額支給停止となっている間であっても、配偶者加給年金額が支給停止となる事例が出てきますので、注意が必要です。
●経過措置の内容
ただし、令和4年度までにすでに加給年金額が加算されている人の世帯収入がこの改正により急激に減る事例が生じるのを防ぐために、先に触れた通り、次のような経過措置が設けられています。(注)
・令和4年3月31日(改正施行日の前日)において加給年金額が加算されている老齢厚生年金(または障害厚生年金)の受給権者であって、この改正によって加給年金額が支給停止となる人については、この改正による加給年金額の支給停止は行われません。
なお、令和4年3月31日(改正施行日の前日)において加給年金額が加算されている老齢厚生年金(または障害厚生年金)の受給権者は、令和4年度からの65歳までの在職老齢年金制度の基準額引き上げによって(配偶者の特別支給の老齢厚生年金や繰上げ受給の老齢厚生年金の支給停止が解除された結果として)加給年金額が支給停止となる人についても、令和4年4月1日以降、加給年金額が引き続き加算されます。
(注)「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」(令和3年政令第229号)附則第5条)
なお、この経過措置は、次のいずれかに該当するまでの間の経過措置です。
・当該受給権者に対する老齢厚生年金または障害厚生年金がその全額につき支給停止されるに至ったとき。
・当該受給権者の配偶者に対する老齢または退職を支給事由とする年金が令和4年3月31日において雇用保険の基本手当との調整の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であって、令和4年4月1日以後に基本手当との調整による支給停止が解除されたとき。
・当該受給権者の配偶者に対する老齢または退職を支給事由とする年金が他の年金の支給を受けることにより支給を停止されるに至ったとき。
(ポイント)
●令和4年度からは、配偶者の老齢・退職年金(厚生年金保険20年以上加入のもの)が全額支給停止されている場合も、加給年金額は支給停止されます(経過措置あり)
●配偶者の障害年金が全額支給停止されている場合は、令和4年度以降も配偶者加給年金額は支給停止されません
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