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70歳台・80歳台社長の在職老齢年金(働きながらの老齢厚生年金受給)相談が増加

(2023年5月15日一部修正)(2021年8月6日)

ここ数年、70歳台・80歳代の社長様からの老齢年金に関する相談が増えています。


ほとんどが、在職中の役員報酬と年金との調整(在職老齢年金制度)に関する相談です。



これまでにも何度も注意喚起してきましたが、在職老齢年金の対象者に年齢制限はありません。(2007年4月から、70歳以上の人も対象となっています)


昭和12年4月1日以前生まれの人だけは、支給停止額が少なくなるような特例が適用されますが、昭和12年4月2日以後生まれの人は、70歳未満の人と同様のしくみで年金が支給停止となります。



報酬月額(標準報酬月額に相当する額)や直近12か月に受けた賞与額(標準賞与額に相当する額の総額)および老齢厚生年金(報酬比例部分)+(基金代行額もある場合は
基金代行額)の金額に応じ、老齢厚生年金(報酬比例部分)が支給停止となります。



年金支給停止額の算定のしくみの概要は以下の通りです。

・基本月額={老齢厚生年金(報酬比例部分)+(基金代行額)}÷12
・総報酬月額相当額=標準報酬月額に相当する額+その月以前の1年間の標準賞与額に相当する額の総額÷12


・年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2
48万円と言う数字は年度により1万円単位で改定されることがあります


70歳台・80歳台で在職老齢年金制度により年金が支給停止されている社長様からは、70歳まで厚生年金保険料を払い続けてきたのに年金が支給停止となることが理解できない、
支給停止となる根拠を教えて欲しい、と質問されることが多いです。



70歳以上の人(「70歳以上の使用される人」。法人から報酬を受けている社長等も含みます)も在職老齢年金制度の対象となることは、厚生年金保険法第46条に定められています。

 

70代以上社長の割合が増加 60代以上社長の約半数は後継者不在

「2020年版中小企業白書」によると、社長の年齢分布は「60代以上」が6割近くを占め、「70代以上」の割合が年々増加しているとのことです。
(2018年のデータで、60代社長は30.3%、70代社長は28.1%)


また、社長年齢別に後継者の有無について確認すると、60代では約半数、70代は約4割、80代は約3割で後継者が不在となっているとの2019年のデータもあるとのことです。


以前は、70歳以上の方からの老齢年金相談といえば、代表取締役会長や取締役会長等からの相談が多かったのですが、最近は70歳台・80歳台の代表取締役社長からの相談も多くなっています。


 

75歳以上社長からのよくある相談への回答

(20230426)

(よくある質問)
75歳の代表取締役です。


75歳から医療保険は健康保険ではなく後期高齢者医療制度に変わりました。


しかし、いつまで待っても、老齢厚生年金がほとんど支給停止のままです。
いつから支給停止とならずに受給できるようになるのでしょうか?



(回答)
75歳から医療保険は健康保険ではなく後期高齢者医療制度に変わりますが、代表取締役様等として報酬を受けておられる限り厚生年金保険では、75歳までと同じく「70歳以上被用者」(注)のままです。


「70歳以上被用者」に年齢上限はありません。


(注)「70歳以上被用者」とは:厚生年金保険法第27条・第46条の「七十歳以上の使用される者」のことです。
厚生年金保険法第27条で「七十歳以上の使用される者」の定義が定められており、
在職老齢年金制度による支給停止について定めた同法第46条において、対象者として同法第27条の「七十歳以上の使用される者」も含まれることが定められています。



「被用者」「使用される者」という表現から、従業員ではない役員や社長は含まれないと誤解している方もおられますが、社長・役員で経営に従事して会社から報酬を受けている人も「70歳以上被用者」となります。


代表取締役様等として報酬を受けておられる限り75歳以降も(何歳になられても)、「70歳以上被用者」として報酬と老齢厚生年金との調整(在職老齢年金制度)の対象となります。



在職老齢年金制度による年金支給停止額は、老齢厚生年金(報酬比例部分)の額および報酬設定により決まります。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html



在職老齢年金制度により現在老齢厚生年金(報酬比例部分)が支給停止となっている場合、役員報酬の年額は変えなくても役員報酬の支払い方を変更いただくことで、今後は、老齢厚生年金(報酬比例部分)が支給停止とならずに働きながら受給できるようになります(年金復活プラン)




(参考)一定以上の所得のある後期高齢者医療制度の窓口負担は、令和4年10月から2割となりました(現役並所得者は3割負担で変わらず)。
https://www.mhlw.go.jp/content/000720039.pdf


また、後期高齢者医療制度の保険料の上限は現在66万円ですが、令和6年度には73万円、令和7年度には80万円に引き上げられる見込みです。
これにより、75歳以上で所得の高い方の医療費負担増が見込まれます。

 

70歳以上・75歳以上の代表取締役等が在職老齢年金制度の対象となる根拠条文を教えてください。

(20230515)

上述の通り、70歳以降・75歳以降も代表取締役等として働いている間は在職老齢年金制度(報酬と年金の調整)の対象者となります。

法的根拠は既に述べた通りですが、質問をいただくことが多いですので、下記に根拠条文を詳しく引用して補足します(条文中のポイントを太字表記します)。


 

・根拠条文1・厚生年金保険法第27条
(届出)
第二十七条 適用事業所の事業主又は第十条第二項の同意をした事業主(第百条第一項及び第四項、第百二条第二項並びに第百三条を除き、以下単に「事業主」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(被保険者であつた七十歳以上の者であつて当該適用事業所に使用されるものとして厚生労働省令で定める要件に該当するもの(以下「七十歳以上の使用される者」という。)を含む。)の資格の取得及び喪失(七十歳以上の使用される者にあつては、厚生労働省令で定める要件に該当するに至つた日及び当該要件に該当しなくなつた日)並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

 

ここでの、「厚生労働省令」とは、厚生年金保険法施行規則第10条の4のことです。

・根拠条文2・厚生年金保険法施行規則第10条の4
(七十歳以上の使用される者の要件)

第十条の四 法第二十七条に規定する厚生労働省令で定める要件は、同条に規定する適用事業所に使用される者であつて、かつ、法第十二条各号に定める者に該当するものでないこととする。

 
・根拠条文3・厚生年金保険法第12条
(適用除外)
第十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、第九条及び第十条第一項の規定にかかわらず、厚生年金保険の被保険者としない。

一 臨時に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)であつて、次に掲げるもの。ただし、イに掲げる者にあつては一月を超え、ロに掲げる者にあつては定めた期間を超え、引き続き使用されるに至つた場合を除く。
イ 日々雇い入れられる者
ロ 二月以内の期間を定めて使用される者であつて、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの
二 所在地が一定しない事業所に使用される者
三 季節的業務に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)。ただし、継続して四月を超えて使用されるべき場合は、この限りでない。
四 臨時的事業の事業所に使用される者。ただし、継続して六月を超えて使用されるべき場合は、この限りでない。
五 事業所に使用される者であつて、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者(当該事業所に使用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に使用される者にあつては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該者と同種の業務に従事する当該通常の労働者。以下この号において単に「通常の労働者」という。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である短時間労働者(一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短い者をいう。以下この号において同じ。)又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからハまでのいずれかの要件に該当するもの
イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。
ロ 報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第二十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であること。
ハ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。



上記の通り、厚生年金保険法第12条各号では、適用除外者(70歳未満なら被保険者とされない人。つまり、臨時に使用される者(第1号)、一定の短時間労働者(第5号)等)が限定列挙されています。

社長・役員として経営に従事して適用事業所から報酬を受けている人はここで適用除外者として挙げられていませんので、厚生年金保険法第
27条の「厚生労働省令で定める要件に該当するもの」に該当します。したがって、その人が70歳になると、「七十歳以上の使用される者」となります。
 

そして、在職老齢年金制度(「総報酬月額相当額」と「基本月額」に応じた老齢厚生年金支給停止のしくみ)による年金支給停止について定めた同法第46条において、対象者として同法第27条の「七十歳以上の使用される者」も含まれることが定めてある、ということなのです。

 

・根拠条文4・厚生年金保険法第46条
(支給停止)

第四十六条 老齢厚生年金の受給権者が被保険者(前月以前の月に属する日から引き続き当該被保険者の資格を有する者に限る。)である日(厚生労働省令で定める日を除く。)、国会議員若しくは地方公共団体の議会の議員(前月以前の月に属する日から引き続き当該国会議員又は地方公共団体の議会の議員である者に限る。)である日又は七十歳以上の使用される者(前月以前の月に属する日から引き続き当該適用事業所において第二十七条の厚生労働省令で定める要件に該当する者に限る。)である日が属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の一年間の標準賞与額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額(国会議員又は地方公共団体の議会の議員については、その者の標準報酬月額に相当する額として政令で定める額とその月以前の一年間の標準賞与額及び標準賞与額に相当する額として政令で定める額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額とし、七十歳以上の使用される者(国会議員又は地方公共団体の議会の議員を除く。次項において同じ。)については、その者の標準報酬月額に相当する額とその月以前の一年間の標準賞与額及び標準賞与額に相当する額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額とする。以下「総報酬月額相当額」という。)及び老齢厚生年金の額(第四十四条第一項に規定する加給年金額及び第四十四条の三第四項に規定する加算額を除く(注)。以下この項において同じ。)を十二で除して得た額(以下この項において「基本月額」という。)との合計額が支給停止調整額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整額を控除して得た額の二分の一に相当する額に十二を乗じて得た額(以下この項において「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部(同条第四項に規定する加算額を除く。(注))の支給を停止するものとする。
(第2項以下省略)
 

(注)「第四十四条の三(同条)第四項に規定する加算額を除く」とは、繰下げ加算額(65歳時の老齢厚生年金を66歳以降に繰下げ申出したことによって繰下げ増額された分)は、在職老齢年金制度の対象外のためいくら高額報酬で働いていたとしても支給停止はされない、ということです。

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