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令和4年度(2022年度)からの繰下げ制度の改正

令和4年度(2022年度)からの繰下げ制度改正の基礎知識

(2021年10月30日)



令和3年度現在、65歳からの老齢基礎年金や老齢厚生年金を66歳以降に繰り下げるつもりで待機している人は、今後次のいずれかの選択肢から受け取り方を選べます。


1.66歳から70歳までの希望する月まで繰下げて増額された年金を受け取る
(繰下げ増額率=繰下げ月数×0.7%)

2.繰下げしないで65歳にさかのぼって増額されない年金を受け取る


もし、70歳に達した日後に繰下げ申出をしたときは、70歳に達した日に繰下げ申出をしたものとみなされます。



令和4年度からは(昭和27年4月2日以後生まれの人は)最高75歳までの繰下げができるようになり
ますので、1.の「70歳」が「75歳」となります。

1.66歳から75歳までの希望する月まで繰下げて増額された年金を受け取る

(繰下げ増額率=繰下げ月数×0.7%)


そして、75歳に達した日後に繰下げ申出をしたときは、75歳に達した日に繰下げ申出をしたものとみなされることとなります。


(例)77歳で繰下げ申出したときは、75歳で繰下げ申出があったものとみなされます。


したがって、昭和27年4月2日以後生まれの人が繰下げ申出手続きを75歳到達月の翌月以降まで
遅らせたとしても、年金額の増額率は84%(繰下げ月数120か月×0.7%)です。


 

繰下げによる額面の年金額増額のイメージ

(2021年10月11日)

令和4年度からは(昭和2742日以後生まれの人は)、65歳からの老齢基礎年金や老齢厚生年金を最高75歳までの繰下げができるようになります。


繰下げによって、65歳時点の年金額がどのくらい増えるのかイメージを、以下の例を用いて確認してみましょう。


(例)
65歳からの年金額(65歳到達月の前月までの厚生年金加入記録に基づく年金額)222万円(老齢厚生年金額約144万円・老齢基礎年金額約78万円)

65歳到達月の翌月以降の在職中において、老齢厚生年金(報酬比例部分)が支給停止
とならないような役員給与設定で働くと仮定(実際には、この要件を満たすことのできる
社長は、多くはありません。繰下げ増額効果を最大限享受したい場合は、この要件を満たすように、事前に役員給与設定を変更しておくことが重要です

70歳で退職して90歳で亡くなると仮定

・毎年度の年金額改定は考慮しない




この場合、70歳から90歳までの20年間に受給できる老齢年金の総額(額面金額)は概算で次の通りとなります。


1.繰下げしない場合
20年間の年金受給額合計=年間222万円×204,440万円
(この場合、65歳から70歳になるまでの年金受給額は年間222万円×5年=1,110万円、65歳から90歳までの年金受給額は5,550万円です。)



2.老齢基礎年金・老齢厚生年金とも70歳まで繰り下げて1.42倍(60か月×0.7%増)に増額した場合
20年間の年金受給額合計=年間222万円×1.42×206304.8万円


昭和2742日以後生まれの人は、最高75歳まで繰下げることができるようになります。


71歳まで6年(72か月)繰下げて、71歳から90歳まで19年間に受給できる老齢年金の総額は次の通りとなります。

3-1.老齢基礎年金・老齢厚生年金とも71歳まで繰り下げて1.504倍(72か月×0.7%増)に増額
19年間の年金受給額合計=年間222万円×1.504×196343.872万円


72歳まで7年(84か月)繰下げて、72歳から90歳まで18年間に受給できる老齢年金の総額は次の通りとなります。

3-2.老齢基礎年金・老齢厚生年金とも72歳まで繰り下げて1.588倍(84か月×0.7%増)に増額
18年間の年金受給額合計=年間222万円×1.588×186345.648万円


73歳まで8年(96か月)繰下げて、73歳から90歳まで17年間に受給できる老齢年金の総額は次の通りとなります。

3-3.老齢基礎年金・老齢厚生年金とも73歳まで繰り下げて1.672倍(96か月×0.7%増)に増額
17年間の年金受給額合計=年間222万円×1.672×176310.128万円


74歳まで9年(108か月)繰下げて、74歳から90歳まで16年間に受給できる老齢年金の総額は次の通りとなります。

3-4.老齢基礎年金・老齢厚生年金とも74歳まで繰り下げて1.756倍(108か月×0.7%増)に増額
16年間の年金受給額合計=年間222万円×1.756×166237.312万円


75歳まで10年(120か月)繰下げて、75歳から90歳まで15年間に受給できる老齢年金の総額は次の通りとなります。

3-5.老齢基礎年金・老齢厚生年金とも75歳まで繰り下げて1.84倍(120か月×0.7%増)に増額
20年間の年金受給額合計=年間222万円×1.84×156127.2万円




老齢基礎年金や老齢厚生年金は一生涯もらえる終身年金です。経営者といえども、老後の生活の柱となるものです。



それぞれの年金をいつからいくらにしてもらうのかがわかれば、老後資金確保等のために必要な役員退職金額もイメージできるようになります。


 

繰下げと令和4年度(2022年度)からの在職定時改定との関係

繰下げ以外に、令和4年度からは、「在職定時改定」により、60歳到達月以降に厚生年金保険に加入した期間や、その期間の標準報酬月額・標準賞与額が反映して、老齢厚生年金額が毎年10月分から増額されます。




したがって、実際には繰下げによる増額以外に、在職定時改定による年金増額もありますので、以下に、もう少し補足いたします。


まず、大前提として、繰下げは65歳到達月の前月までの厚生年金保険加入記録によって計算された年金額が増額されるという制度です。



65歳到達月以降に厚生年金保険に加入したことによる老齢厚生年金については、繰下げしても年金額は増額されません。


ですから、老齢厚生年金を繰り下げても、在職定時改定による老齢厚生年金の増額部分は繰下げ増額されません。



(ア)上記事例で23-13-5を選択する場合は、繰下げ受給を開始してからは、上記記載の金額以外に、在職定時改定や70歳時改定によって老齢厚生年金が増えた分(65歳到達月以降厚生年金保険に加入したことによる増額分)も受給できます。


(イ)上記事例で1を選択する場合は、60歳台後半においても、上記記載の金額以外に、毎年の在職定時改定による老齢厚生年金増額分も受給でき、70歳以降は
70歳時改定による老齢厚生年金増額分も受給することができます。


 

70歳到達後に繰下げ待期をやめたとき 令和5年度(2023年度)からの改正

(2021年10月12日)
 

令和2年年金法改正のうち重要な改正の多くは、令和4年度から施行されますが、令和5年度から施行される事項もあります。


65歳からの老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰り下げるつもりで待機している人が、70歳到達後に、繰下げをやめて65歳にさかのぼって請求する場合の取り扱いが、令和5年度から変わります。



●70歳到達後に、さかのぼって請求するとどうなるか(令和3年度現在)


令和3年度現在、繰下げ待機している人が70歳到達後に「繰下げしないで65歳にさかのぼって増額されない年金を受け取る」ための請求をすれば、時効(5年)の範囲内で
65歳からの増額されない年金を受給できます(ただし、老齢厚生年金のうち在職老齢年金制度が適用されれば支給停止となっていたはずの部分は受給できません)。


(例)72歳で、さかのぼって年金を受け取るための請求を行った場合、時効消滅していない67歳から72歳までの5年分の増額されない年金を一括受給できます。
時効消滅期間(65歳から67歳までの2年間)分の年金は、受給できません。


●70歳到達後に、さかのぼって請求するとどうなるか(令和5年度から)


令和4年度からは(昭和27年4月2日以後生まれの人は)最高75歳までの繰下げができるようになります。


そして、令和5年4月1日以降は、(昭和27年4月2日以後生まれの人が)70歳に達した日後に年金を請求し、その請求の際に繰下げ申出をしないときは、請求をした日の5年前の日に繰下げ申出があったとみなして繰下げ増額された年金を受け取ることとなります。


ただし、80歳に達した日以後や、請求をした日の5年前の日以前に「他の年金」の受給権者であったときは、このみなし規定は適用されません


(例)72歳で、さかのぼって年金を受け取るための請求を行った場合、5年前の67歳時に繰下げ申出をしたとみなされます。

65歳から67歳までが繰下げ待機期間とみなされ、67歳まで2年間繰り下げて16.8%(24か月×0.7%)増額された年金を72歳で5年分(67歳から72歳までの5年分)さかのぼって一括受給し、その後も16.8%増額された年金を受け取ることとなります(ただし、老齢厚生年金のうち在職老齢年金制度が適用されれば支給停止となっていたはずの部分については増額されません)。




なお、70歳到達後に繰下げ待機中の人が亡くなった場合に、死亡の当時生計を同じくしていた一定の遺族(配偶者がいれば配偶者)が受給できる未支給年金については、(5年前時点での繰下げ制度は適用されず、)繰下げ増額されない年金額を時効5年の範囲内で受給することとなります。

 

 

最高75歳までの繰下げ制度と65歳以降の厚生年金加入記録の年金額への反映・在職老齢年金制度等との関係

(2021年12月6日)


令和2年改正法による重要な改正が施行される令和4年4月まであと4ヵ月弱となりました。


在職老齢年金の改正、在職定時改定の導入、繰上げ・繰下げの改正ともに質問が増えていますが、特に繰下げに関する質問が突出して多くなっています。


繰下げについてはこれまで何度も解説してきました。
毎回お伝えしています通り、繰下げ制度は本当に難解です。


もともと難解なところ、令和4年度からは(昭和27年4月2日以降生まれの人は)最高75歳まで繰下げられるようになります。


つまり、昭和27年4月1日以前生まれの人は、現状の、最高5年(60か月)繰下げできる制度が適用されますが、昭和27年4月2日以降生まれの人は、最高10年(120か月)まで繰下げできる制度が繰下げできることとなります。


繰下げに関する大きな改正は、結局のところ以上に尽きます。


しかし、もともと改正前から、繰下げ制度と65歳以降の厚生年金保険加入が年金額に反映するしくみ・在職老齢年金制度・年金の時効(5年)などとの兼ね合い自体が、一般によく理解されていないところです。


その上に、令和4年度からは新たに「在職定時改定」という全く新しい制度が始まります。


この「在職定時改定」と在職老齢年金や繰下げとの関係は、高額報酬を受けて働き続ける経営者の場合には大きな影響があるのですが、理解することが大変難しい内容となっています。


そこで、今回も、いくつかポイントをお伝えします。


(過去の記事と重複する内容もありますが、繰返し読んでいただくことで理解が深まるかと思います)


まず、繰下げは、65歳時の年金(65歳到達月の前月までの年金加入記録によって計算された年金)を66歳以降の希望する月からもらい始める制度です。


したがって、65歳以降(65歳到達月以降)厚生年金保険に加入した分は、繰下げによって増額されることはありません。


65歳以降(65歳到達月以降)厚生年金保険に加入した分が老齢厚生年金額に反映するのは、令和3年度現在、以下の二つのタイミングのみです。
・退職時改定(70歳までに退職した場合)
・70歳時改定(70歳まで在職した場合)


令和4年度からは、これ以外に、60歳代後半の厚生年金保険加入者の老齢厚生年金額が毎年10月分から改定されます。
改定により新たに老齢厚生年金額に反映するのは、その年の8月までの厚生年金保険加入記録です。


以上、令和3年度現在からある退職時改定・70歳時改定による増額分も、令和4年度から始まる在職時改定による増額分も、すべて65歳到達月以降の厚生年金保険加入記録
が反映して老齢厚生年金額が増えるものですから、65歳到達月の前月まで加入分の老齢厚生厚生年金を増額する制度である繰下げとは関係がないのです。


しかし、65歳到達月以降も、在職している限り毎月在職老齢年金制度により、年金と給与・賞与との調整は行われます。

この在職老齢年金制度の対象となる年金月額(基本月額)には、在職定時改定や70歳時改定によって増額された分も含まれます(繰下げによって増額された分は含まれません)。
ですから、60歳台後半の各月において、在職老齢年金制度の対象となる年金額が毎年増えていく、ということになります。


毎年増えるといっても大した金額ではないだろう、一部支給停止となっても構わないと考える人も多いとは思います。


しかし、65歳以降も働い続ける場合で老齢厚生年金を繰り下げるつもりの場合は注意が必要です。


老齢厚生年金を1月繰り下げた場合に、老齢厚生年金(報酬比例部分)がいくら増えるかは、0.7%×「65歳到達月の翌月から繰下げ申出月まで」の「平均支給率」によって、計算されます。


「平均支給率」とは、「65歳到達月の翌月から繰下げ申出月まで」の各月における「支給率」を「65歳到達月の翌月から繰下げ申出月まで」 の月数で割った率です。


ところで、老齢厚生年金(報酬比例部分)について、各月の「支給率」は、ざっくりいうと、次の計算式で計算されます。
1-{(A)在職老齢年金制度が適用されるとしたら、65歳時の老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額換算額のうち、いくらが支給停止されたはずか/(B)65歳時の老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額換算額}


(令和4年度から在職定時改定が導入されることにより、老齢厚生年金(報酬比例部分)の額が、毎年10月分から、65歳時の老齢厚生年金(報酬比例部分)の金額に比べて増えることとなりますので、さらに一層分かりにくくなるのですが、)


老齢厚生年金について繰下げによる増額効果を最大限生じさせたいのであれば、
改正前と同様に、「65歳到達月の翌月から繰下げ申出月まで」の各月の支給率が必ず1(100%支給)となるような、つまり、「65歳到達月の翌月から繰下げ申出月まで」の各月について65歳時の老齢厚生年金(報酬比例部分)が全く支給停止とならないような役員給与設定としておく必要があります。



繰下げは、上限年齢が5年間伸びたことだけが大きく報道されていますが、経営者層に上記のような注意点が知られていないことから、これまで以上に誤解による思惑違いが
増えると思われますので、注意が必要です。



繰下げについては、他にも注意が必要な点がありますので、今後も、適宜補足していきたいと思います。


 

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