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老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金見込み額内訳

年金事務所でもらえる試算結果(や制度共通年金見込額照会回答票)記載の年金見込み額の記載

(2022年9月2日)
年金事務所の年金相談では、年金見込み額が記載されたA4横の「試算結果」という名称の書類をもらうことができます。

(以前は、一般に「制度共通年金見込額照会回答票」という名称の書類をもらえました。どちらも記載されている内容は同様です。)



多くの方は、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢を迎える約3か月前に年金請求書が届いた時点で、年金事務所に予約を入れて、年金相談をされます。


その際には、次の二つの時点での年金見込み額が記載された書類をもらえるのが通常です。

1.特別支給の老齢厚生年金をもらえるようになったとき

2.65歳になって、特別支給の老齢厚生年金がもらえなくなり、その代わりに老齢基礎年金および老齢厚生年金をもらえるようになったとき

(経営者の場合は、上記1・2以外に、70歳になったときの年金見込み額も確認しておくことが望ましいことは、いつもお伝えしている通りです)

 

報酬比例部分の年金の本来水準と従前額保障、「改後H6」の意味とは

例えば、令和4年度に相談に行った際にもらった「試算結果」であれば、

上記2のうちの老齢基礎年金の年金見込額み額内訳の欄には、「R0404」との記載があるものの、

1の特別支給の老齢厚生年金の「報酬比例」や
2の老齢厚生年金の「報酬比例」の
年金見込み額内訳の欄には、
「R0404」との記載はなく、代わりに「改後H06」との記載がされており、疑問を感じた方もおられるかもしれません。


老齢基礎年金は令和4年度(令和4年4月~令和5年3月)の年金額が記載されているのに、報酬比例部分の年金については令和4年度の年金額が記載されていないのでしょうか?


実は、毎年度の報酬比例部分の年金額というのは、次の二つの計算式で計算した年金額の、いずれか高い方の額を支給してくれることとなっています。
(いずれも、昭和21年4月1日以前生まれの方の場合の計算式は省略します)


1.「本来水準」の計算式
(平均標準報酬月額(注1)×7.125/1000×平成15年3月までの厚生年金保険加入月数)

(平均標準報酬額(注1)×5.481/1000×平成15年4月からの厚生年金保険加入月数)

(注1)生年月日別のその年度の再評価率を用いて算出される


2.「従前額保障」の計算式
{(平均標準報酬月額(注2)×7.5/1000×平成15年3月までの厚生年金保険加入月数)

(平均標準報酬額(注2)×5.769/1000×平成15年4月からの厚生年金保険加入月数)}×その年度の従前額改定率(注3)

(注2)H06再評価率を用いて算出される
(注3)改定率は毎年度変わります。令和4年度の改定率は0.995 


平成12年の年金法改正で、報酬比例部分の計算式中の乗率が5%引き下げられました(「給付水準の5%適正化」と言われていました)。


しかし、平成12年改正後の計算式(上記1の「本来水準」」の年金額と、平成12年改正前の計算式(上記2の「従前額保障」)の年金額とを比較して、いずれか多い額を支給してくれる経過措置が現在にいたるまで行われています。


1・2のいずれの計算式でも、
平成15年3月までの厚生年金保険加入期間については平均標準報酬月額を用いて、

平成15年4月からの厚生年金保険加入期間については平均標準報酬額を用いて報酬比例部分の年金額が計算されます。


・平均標準報酬「月額」
=(平成15年3月までの各月の「標準報酬月額」に「再評価率」を乗じた額の総額)÷平成15年3月までの厚生年金保険加入月数

・平均標準報酬「額」
=(平成15年4月からの各月の「標準報酬月額」・「標準賞与額」に「再評価率を乗じた額の総額)÷平成15年4月からの厚生年金保険加入月数


平成15年4月からは、「総報酬制」といって、厚生年金保険加入期間中に受けた賞与も(1月あたり150万円という厚生年金保険の標準賞与額の上限に達するまでは)将来の報酬比例部分の年金額に反映することとなりました。


前記1・2いずれの計算式においても出て来る平均標準報酬月額や平均標準報酬額の算出にあたっては、過去の標準報酬月額や平成15年4月以降の標準賞与額をそのまま用いるわけではありません。


年金の実質価値が低くならないように、過去の標準報酬月額や標準賞与額を、現役世代の手取り賃金の上昇率に応じて見直したうえで平均を算出することとなっています。


具体的には、上記の平均標準報酬月額・平均標準報酬額の計算式をみるとわかる通り、過去の各月の標準報酬月額・標準賞与額に「再評価率」という一定率を乗じることで、現在の手取り賃金水準に読み替えています。


そして、前記「1.本来水準」の計算式で用いる再評価率は、その年度の再評価率です。

例えば、令和4年度の再評価率は次の通りです。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/nenkingaku/20150401-01.files/4_kounen.pdf

生年月日と厚生年金保険加入期間ごとに率が変わりますが、昭和30年度以降生まれの人の令和4年4月~令和5年3月までの月の標準報酬月額・標準賞与額を再評価する際で
であれば、再評価率は0.936です。


一方、前記「2.従前額保障」の計算式で用いる再評価率は、平成6年の水準です。

生年月日によらず、令和4年4月~令和5年3月までであれば、再評価率は0.904です。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/nenkingaku/20150401-01.files/ks19.pdf


というわけで、年金事務所でもらえる試算結果において「報酬比例」の年金額の欄に「R0404」ではなく「改後H06」と表示がある場合、

令和4年度の「本来水準」の計算式で計算したものよりも、令和4年度の「従前額保障」の計算式で計算したものの方が報酬比例部分の年金額が多くなったため、そちらの額を
表示しています、という意味です。


ご本人にとって有利となるような計算をしてくれているということですので、ご安心下さい。


ご自身の今年度の本来水準・従前額保障の各年金額を検算したいという方は、年金事務所の年金相談で試算結果をもらったときに、「試算結果(新法、老齢、厚年、丈比べ)」の画面も印刷して欲しい、と伝えるとよいでしょう。


本来水準・従前額保障で計算した報酬比例部分の年金額や、本来水準・従前額保障それぞれにおける総報酬制前(平成15年3月まで)の平均標準報酬月額・総報酬後(平成15年4月から)の平均標準標準報酬額を確認することができます。


(総報酬前・総報酬後の厚生年金保険加入期間は、通常もらえる老齢厚生年金の試算結果で確認できます)


一般向けの年金解説本などでは、報酬比例部分の年金額については、「本来水準」の計算式のみが記載されていることも多いと思います。


私(奥野)も、市販の書籍や雑誌・新聞記事等において、本来水準のみの記載に留めることが多いです。


しかし、実際には、報酬比例部分の年金額計算は、常に「本来水準」・「従前額保障」の二つの計算が行われた上で、有利な方が採用されています。


老齢年金は終身にわたって支給され、老後の生活費の中心となるものですから、年金額が減る方向の改正を実施するに際しては、都度、経過措置が設けられることがよくあります。


様々な経過措置が、それぞれかなり長期間にわたって適用されるため、一般の方からすると、わかりにくいものとなりがちです。

 

経過的加算部分(差額加算)や老齢基礎年金には、報酬比例部分のような従前額保障はない

なお、前記「1.本来水準」・「2.従前額保障」の計算式は、老齢厚生年金のうち報酬比例部分の計算式です。


老齢厚生年金のうち経過的加算部分(差額加算)については、平成12年改正前・改正後とも同じ計算式です(報酬比例部分のような、従前額保障の経過措置はありません)。

したがって、「試算結果(新法、老齢、厚年、丈比べ)」の「差額加算」の欄は、「R0404」の欄にも「改後H06」の欄にも全く同額が記載されています。


また、老齢基礎年金も、平成12年改正前・改正後とも同じ計算式です(報酬比例部分のような、従前額保障の経過措置はありません)。


したがって、老齢基礎年金については、今年度年金事務所で受け取る試算結果には「R0404」との記載があります。


 

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