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配偶者加給年金額が加算されるかどうかが判断されるタイミングと、「老齢厚生年金額の計算の基礎となる厚生年金保険加入期間20年(240月)以上」という要件

(2022年12月1日)

老齢厚生年金に配偶者加給年金額が加算されることがあります。


この配偶者加給年金額については、年金受給世代のサラリーマンの方から大変相談が多いところでした。


一方、経営者の場合は、老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止となるために配偶者加給年金額も全額支給停止となる方が多いため、以前はほとんど相談がありませんでした。


(注)加給年金額の受給権がある人の場合、老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止の月については、加給年金額も全額支給停止となり、老齢厚生年金(報酬比例部分)が一部でも支給される月については、加給年金額は全額支給されます。



しかし、役員報酬の年間総額は変えなくても役員報酬の設定の仕方を変えるだけで働きながら老齢厚生年金(報酬比例部分)を受給することができるという情報(「年金復活プラン」)をインターネット上で約10年前から提供し始めた結果、老齢厚生厚生年金(報酬比例部分)や配偶者加給年金額も受給できるようになる経営者が増えるにつれ、経営者からも配偶者加給年金額に関する相談が増えてきました。



令和4年度は特に、4月から配偶者加給年金額の支給停止要件が改正され、また、「在職定時改定」により10月分(12月支給分)から初めて配偶者加給年金額の加算が始まる人も出て来るようになりましたので、特に相談が多くなっています。



そこで今回は、少し複雑ですが、ポイントを解説します。



配偶者加給年金額については、ざっくりと次のような説明をされることが多いです。


・厚生年金保険加入期間が20年(240月)
以上の老齢厚生年金を受けられる人(例えば夫)が65歳に達したときに、生計を維持している65歳未満の配偶者(例えば妻)がいれば、配偶者(例えば妻)が65歳に達する月までの間、老齢厚生年金を受けられる人(例えば夫)の老齢厚生年金に配偶者加給年金額が加算される



そして、配偶者加給年金額について最も多い誤解は、最初の「厚生年金保険加入期間が20年(240月)以上」という要件についてです。



結論から言うと、よくある説明における、
配偶者加給年金額が加算されるために(上記事例では夫について)必要な「厚生年金保険加入期間が20年(
240月)以上」という要件は、正確な記述ではありません。



正確には、
「老齢厚生年金額の計算の基礎となる」「厚生年金保険加入期間が20年(240月)
以上」という要件を満たしている必要があります。



65歳からの(65歳到達月の翌月分からの)老齢厚生年金額は、65歳到達月の前月までの厚生年金保険加入記録(厚生年金保険加入期間、その期間中の各月の標準報酬月額、平成15年4月以降の各月の標準賞与額)に基づいて計算されます。


ですから、65歳到達月の前月までの厚生年金保険加入期間が「20年(240月)以上」の人の場合は、配偶者加給年金額が加算されるかどうかが判断される65歳到達時点の
・「厚生年金保険加入期間」も
・「老齢厚生年金額の計算の基礎となる」「厚生年金保険加入期間」も、同じ月数となります。


一方、65歳到達月の前月までの厚生年金保険加入期間が「20年(240月)未満」の人であっても、65歳到達時点の
・「厚生年金保険加入期間」は
・「老齢厚生年金額の計算の基礎となる」「厚生年金保険加入期間」と同じになります。


そして、65歳到達月の前月までの「厚生年金保険加入期間」が「20年(240月)未満」の人の場合は、65歳到達時点では、「老齢厚生年金額の計算の基礎となる」「厚生年金保険加入期間」も「20年(240月)未満」のため、配偶者加給年金額は加算されません。


この場合、65歳到達月以降も厚生年金保険に加入することにより、「老齢厚生年金額の計算の基礎となる」「厚生年金保険加入期間」が「20年(240月以上)」となることとなったら、その時点で生計を維持している65歳未満の配偶者がいた
と認定されれば、それから配偶者加給年金額の加算が始まります。



このような人の場合も、65歳到達月以降も厚生年金保険に加入することで、「厚生年金保険加入期間」は毎月毎月、1月ずつ増えていきます。


例えば、令和4年4月に65歳に到達した人の65歳到達月の前月(令和4年3月)までの「厚生年金保険加入期間」が238月であった人なら、65歳到達月以降さらに2月(令和4年4月と5月)厚生年金保険に加入することで令和4年5月までの「厚生年金保険加入期間」は240月となります。


しかし、その時点では、単に「厚生年金保険加入期間」が240月以上となっただけで、「老齢厚生年金額の計算の基礎となる」「厚生年金保険加入期間」は、65歳到達月の前月までの「厚生年金保険加入期間」と同じ238月のままです。


その後、老齢厚生年金額が再計算・改定される契機を迎えたために、「老齢厚生年金額の計算の基礎となる」「厚生年金保険加入期間」が240月以上となることとなった時点において生計を維持している配偶者がいたと認定された場合に限り、それから配偶者加給年金額の加算が開始されます。


「老齢厚生年金額が再計算・改定される契機」とは、次の3つのいずれかに該当した場合です。
1.退職して厚生年金保険の被保険者とならないまま1月が経過した
2.70歳に到達した
3.令和4年度から導入されることとなった「在職定時改定」(毎年9月1日に厚生年金保険に加入している65歳以上70歳未満の人について、その年の8月までの厚生年金加入記録を反映させて、その年の10月分(12月支給分)から老齢厚生年金を改定するしくみ)
が適用されることとなった。


厚生年金保険に加入し続ければ、「厚生年金保険加入期間」の月数は確実に毎月1月ずつ増えていきますが、「老齢厚生年金額の計算の基礎となる」「厚生年金保険加入期間」は毎月増えていくものではない、ということがポイントです。


そして、65歳到達月の前月までの「厚生年金保険加入期間」(=「老齢厚生年金額の計算の基礎となる」「厚生年金保険加入期間」)が「240月未満」の人の老齢厚生年金に配偶者加給年金額が加算されるかどうかが判定されるタイミングは、65歳到達後に、上記の3つの「老齢厚生年金額が再計算・改定される契機」のいずれかに該当して、「老齢厚生年金額の計算の基礎となる」「厚生年金保険加入期間」が最初に「20年(240月)以上」となるにいたったときについての1回だけです。
(先ほどの事例では、令和4年5月までの「厚生年金保険加入期間」が240月となっていましたので、その後
「老齢厚生年金額の計算の基礎となる」「厚生年金保険加入期間」が最初に240月以上となるのは、上記1または3のいずれかに先に該当したとき、ということになります)

 

そのときに、生計を維持している配偶者がいたと認定されなかったのであれば、その後に状況が変化したとしても、配偶者加給年金額の加算が始まることはありません。



また、65歳到達月の前月までの「厚生年金保険加入期間」(=「老齢厚生年金額の計算の基礎となる」「厚生年金保険加入期間」)が「240月以上」の人の老齢厚生年金に配偶者加給年金額が加算されるかどうかが判定されるタイミングは、65歳到達時についての1回だけです。

この場合、65歳到達時において生計を維持している配偶者がいたと認定されなかったのであれば、その後に状況が変化したとしても、配偶者加給年金額の加算が始まることはありません。



参考条文:厚生年金保険法第44条第1項
(加給年金額)
第四十四条 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、第四十三条第二項又は第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた当時。第三項において同じ。)その者によつて生計を維持していたその者の
六十五歳未満の配偶者又は子(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子及び二十歳未満で第四十七条第二項に規定する障害等級(以下この条において単に「障害等級」という。)の一級若しくは二級に該当する障害の状態にある子に限る。)
があるときは、第四十三条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする。
(以下省略)


(奥野注)今回の解説ではわかりやすいように「加入期間」という語を用いて説明していますが、条文では「被保険者期間」と規定されています。

 

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