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(2023年1月19日)
ここ数年、年金の繰下げについてのご相談が多くなっています。
繰下げとは、65歳からもらえる老齢基礎年金や老齢厚生年金について、もらい始めるのを66歳以降に遅らせることです。
昭和27年4月1日以前生まれの方は最高70歳まで繰下げでき、
昭和27年4月2日以降生まれの方は最高75歳まで繰下げできます。
繰下げについて相談される社長の中には、「ねんきん定期便」に記載されている年金増額イメージを見て誤解されている方も多いです。
50歳以上年金受給前の方に届くはがき形式の「ねんきん定期便」
https://www.nenkin.go.jp/service/nenkinkiroku/torikumi/teikibin/teikibin.files/02.pdf
や、59歳時に届くA4の「ねんきん定期便」
https://www.nenkin.go.jp/service/nenkinkiroku/torikumi/teikibin/teikibin.files/08.pdf
には、
・老齢年金の見込額(65歳時点)
・42%増 老齢年金の見込額(70歳まで遅らせた場合)
・最大84%増 老齢年金の見込額(75歳まで遅らせた場合)
の3つのイメージ図が掲載されており、次の説明書きがあります。
1.年金の受給開始時期は、60歳から75歳まで選択できます。
2.年金受給を遅らせた場合、年金額が増加します。
(例)70歳を選択した場合、65歳と比較して42%増額 75歳を選択した場合、84%増額(最大)
しかし、年金の繰下げについてはこれまでも情報提供してきました通り、
65歳からの年金を繰下げてもこのようには年金額が増えないため注意すべきケースが、二通りあります。
一つ目は、老齢年金のうち老齢厚生年金(報酬比例部分)については、報酬が高いため在職老齢年金制度のしくみにより老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止となる人が
老齢厚生年金を何歳まで繰り下げても全く繰下げ増額されない、ということです。
二つ目は、老齢年金とは別に、66歳までに障害年金や遺族年金を受給できる権利がある人は老齢年金を繰下げできない、ということです(例外的に、障害基礎年金のみの受給権があり障害厚生年金の受給権がない人は、老齢厚生年金のみを繰下げることができます)。
なお、66歳をすぎてから障害年金や遺族年金を受給できる権利が生じた人は、最大でそのときまでしか繰下げ増額されません(それ以上繰下げ待機しても、繰下げ増額率は増えません)。
二つ目の注意事項(障害年金・遺族年金と老齢年金の繰下げ)については、「ねんきん定期便」でもイメージ図のすぐ上に、次のような注意書きが小さな文字で掲載されていますし、該当者もそれほど多くはないでしょう。
(注)遺族年金や障害年金を受け取ることができる場合には、老齢年金の受給開始時期を 遅らせることができないことがあります。
しかし、一つ目の注意事項(在職老齢年金制度と老齢年金の繰下げ)については、多くの社長が該当するにも関わらず、気付くのが遅れて残念な思いをする方が多いです。
また、「ねんきん定期便」のイメージ図では、(原則として、現在の報酬設定のまま60歳まで働き続けて退職した場合の)65歳時の老齢基礎年金および老齢厚生年金の見込額(年額)の合計額を「老齢年金の見込額(65歳時点)」として表示し、その金額を単純に1.42倍、1.84倍しただけの金額が併記してあります。
しかし、「老齢年金の見込額(65歳時点)」自体が、(仮に、物価や賃金の変動が今後まったくないと仮定したとしても)60歳から65歳までのいつまで厚生年金保険に加入するかや加入中の報酬設定をどうするか等によって変わります。
(イメージ図には、老齢基礎年金・老齢厚生年金の区分はなく、両者の合計を「老齢年金」として表示してありますが、60歳以降65歳までの厚生年金保険加入記録は、65歳時の老齢厚生年金額に反映します)
社長は60歳以降も厚生年金保険に加入して働く人が多いため、65歳時点の老齢年金額は、「ねんきん定期便」記載の「老齢年金の見込額(65歳時点)」よりも増えるのが通常です。
また、65歳以降70歳までの間も厚生年金保険に加入すると、老齢厚生年金の額は増えていきます(このことは、繰下げとは関係がありません)。
(2023年2月21日)
60歳台前半の社長から次のような質問を受けることが最近とても増えています。
(よくある質問1)年金は75歳まで繰り下げるのが最もトクなのでしょうか?
(よくある質問2)年金は70歳まで繰下げるのが最もトクなのでしょうか?
典型例は次のような事例です。
・相談者:昭和36年2月20日生まれ(現在62歳)の男性。現在の役員報酬は年額1,200万円(月額100万円・賞与なし)
●相談内容:「私の場合、次の年金額をいただける見込みのようです。
老齢年金の見込額(65歳時点)2,000,000円
老齢年金の見込額(70歳まで遅らせた場合)2,840,000円
老齢年金の見込額(75歳まで遅らせた場合)3,680,000円
後継者がいないため生涯現役で(働ける限りは何歳までも・75歳位までは・最低でも70歳位までは)働き続けたいと考えています。
私の場合、年金は70歳(75歳)から受給することが最もトクだと考えています。私の理解に間違いはないでしょうか。」
なぜこのように考えておられる社長様が増えているのでしょうか。
結論から言うと、日本年金機構から届いた「ねんきん定期便」に記載されるようになった繰下げ増額イメージ図を見てこのように誤解されている社長様が増えている
のです。
公的年金に加入している人には、毎年1回誕生月に「ねんきん定期便」が送られてきますが、50歳以上で年金受給前の公的年金加入者には、老齢年金の見込額が記載された
「ねんきん定期便」が届きます。
50歳以上でも、節目年齢である59歳時にはA4判の「ねんきん定期便」が届きますが、
https://www.nenkin.go.jp/service/nenkinkiroku/torikumi/teikibin/teikibin.files/08.pdf
それ以外の年齢の人にはハガキ形式の「ねんきん定期便」が届きます。
https://www.nenkin.go.jp/service/nenkinkiroku/torikumi/teikibin/teikibin.files/02.pdf
50歳以上年金受給前の公的年金加入者に届く定期便の場合、A4判・ハガキ形式のいずれであっても、最も目立つところに次のような記載がされるようになりました。
「1 年金の受給開始時期は、60歳から75歳まで選択できます。
2 年金受給を遅らせた場合、年金額が増加します。
(例)70歳を選択した場合、65歳と比較して42%増額 75歳を選択した場合、84%増額(最大)」
そして、その少し下に 65歳時点・70歳まで遅らせた場合・75歳まで遅らせた場合の3つの「老齢年金の見込額」が、棒グラフで比較したイメージ図が大きく記載されています。
手元に届いた「ねんきん定期便」のこの比較イメージ図だけを見て質問をいただくことが増えているわけですね。
例えば、
(よくある質問1)「年金は75歳まで繰り下げるのが最もトクなのでしょうか?」と質問される社長様は、
次の3つの選択肢の中で3が最も年金額が多くなるため「最もトク」だと判断されているのでしょう。
1.老齢年金の見込額(65歳時点)2,000,000円
2.老齢年金の見込額(70歳まで遅らせた場合)2,840,000円
3.老齢年金の見込額(75歳まで遅らせた場合)3,680,000円
また、
(よくある質問2)「年金は70歳まで繰下げるのが最もトクなのでしょうか?」と質問される社長様は、
もし仮にご自身が85歳まで生きると仮定すると、次の3つの選択肢の中で2が最も受給総額が多くなるため「最もトク」だと判断されているのでしょう。
1.65歳から老齢年金を請求すると:
2,000,000円×20年(65歳から85歳まで)=40,000,000円
2.70歳まで遅らせて繰下げ申出すると:
2,840,000円×15年(70歳から85歳まで)=42,600,000円
3.75歳まで遅らせて繰下げ申出すると:
3,680,000円×10年(75歳から85歳まで)=36,800,000円
もし仮にご自身が90歳まで生きると仮定しても、次の3つの選択肢の中で2が最も受給総額が多くなるため「最もトク」だと判断されている方もおられるようです。
1.65歳から老齢年金を請求すると:
2,000,000円×25年(65歳から90歳まで)=50,000,000円
2.70歳まで遅らせて繰下げ申出すると:
2,840,000円×20年(70歳から90歳まで)=56,800,000円
3.75歳まで遅らせて繰下げ申出すると:
3,680,000円×15年(75歳から90歳まで)=55,200,000円
65歳までに退職する方や、65歳以降も働いても報酬が高くない従業員等であれば、もし上記のような考え方をしたとしても、それほど大きな判断ミスは生じないケースも多いかもしれません。
しかし、65歳以降も高額報酬を受けて働き続ける社長様の場合は、上記のような誤解をしたまま働き続けると、将来残念な思いをしてしまうこととなります。
したがって、このまま現在の理解度のまま年金の受給のしかたを決めるのは危険です。
さらにいえば、年金の受給のしかたを検討するよりも前に、ご自身の年金について最低限知っておいていただきたい基礎知識だけでも8~10個程度はあるのが通常です。
それらの基礎知識の一つひとつをきちんと理解されている社長様はほとんどおられず、各知識を混同して誤解していたり、一部の知識のみをお持ちのため誤解されている社長様が多いのが実情です。
(2023年2月28日)
50歳以上年金受給前で「ねんきん定期便」が届いた社長様が、65歳からの年金の繰下げイメージ図だけを見て誤解をしてしまわないように、最低限知っておきたい年金基礎知識は、以下の通りです。
1.65歳からの年金だけでなく65歳までの年金もある人もおられます。
「ねんきん定期便」のイメージ図は65歳からの年金についてのみ記載されていますが、昭和36年4月1日以前生まれの男性や昭和41年4月1日以前生まれの女性は、65歳前の「特別支給の老齢厚生年金」もあります。
(特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は生年月日・性別に応じ定められています)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-02.html
特別支給の老齢厚生年金をもらう権利がある人が65歳になると特別支給の老齢厚生年金の受給権はなくなりますが、代わりに老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権が生じます。
2.いまの報酬設定のままでは年金が支給停止となる社長様が多いです。
年金と報酬との調整のしくみ(在職老齢年金制度)があるため、現在の報酬設定や年金額によっては、現在の報酬設定で働き続ける限り、65歳までの特別支給の老齢厚生年金を請求しても支給停止となり、65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金を請求しても老齢厚生年金の大部分を占める報酬比例部分は支給停止となります。
老齢基礎年金と老齢厚生年金(経過的加算部分)はいくら高額の報酬を受けて働いていても全額受給が可能です。
3.働きながら年金を全額受給したい場合の対策
働きながら年金を全額受給したい場合は、受給できるような報酬設定に事前に変更しておくことが必要です。
(報酬との調整で支給停止となった年金を後からさかのぼってもらう方法はありません)
4.繰下げの選択肢は3つだけでありません。
65歳からの年金の繰下げは、老齢基礎年金のみの繰下げや老齢厚生年金のみの繰下げもできます。
繰下げしない・70歳まで繰下げる・75歳まで繰下げるの3つの選択肢以外にも、66歳から75歳までの間の1月単位で希望する月まで繰り下げることもでき、何歳何か月まで繰下げるかを老齢基礎年金と老齢厚生年金とで変えることもできます。
5.今の報酬のまま老齢厚生年金を繰下げてもほとんど繰下げ増額されない社長様が多いです。
もし繰下げしなかったら老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止となるような報酬設定のまま働き続けている人が、老齢厚生年金を繰り下げても老齢厚生年金(報酬比例部分)は全く増えません。
6.老齢厚生年金を繰下げ増額したい場合の対策
老齢厚生年金を繰り下げて、老齢厚生年金を「繰下げ月数×0.7%」繰下げ増額したい場合は、事前に老齢厚生年金(報酬比例部分)を全額受給できるような報酬設定に変更しておく必要があります。
7.加給年金額について
65歳到達月の前月までの厚生年金保険加入期間が240月以上あり、65歳到達時に生計を維持している、65歳未満で厚生年金保険加入期間240月未満等の要件を満たす配偶者や原則18歳年度末までの子がおられる場合は、老齢厚生年金を請求し、かつ、老齢厚生年金(報酬比例部分)が一部でも支給されるなら、要件を満たしている間は加給年金額(年額40万円弱)も加算されます。
8.その他
・繰下げによって年金増額の影響により、所得税・住民税や介護保険料、退職後の医療保険料が増える可能性があります。
・何歳で亡くなるかはわからないため、何歳まで繰下げた場合に年金受給総額が最も多くなるかは事前にはわかりません。
・66歳までに障害年金や遺族年金の受給権がある場合は繰下げできません。
・66歳以降に障害年金や遺族年金の受給権が生じた場合は、老齢年金を請求しないまま放置しても、繰下げ増額率はもう増えません。
・(繰下げとは関係ありませんが、)現在から70歳になるまでの厚生年金保険加入記録は、65歳到達月の翌月分から・(65歳以上70歳未満の)毎年10月分から・70歳到達月の翌月分から・退職月の翌月分からの老齢厚生年金増額に結びつきます。
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