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令和5年度(2023年度)からの老齢年金の「特例的な繰下げみなし増額制度」とは

令和5年(2023年)4月1日から「特例的な繰下げみなし増額制度」が施行

(2023年3月9日)
 

令和2年の年金法改正のうち重要な改正の多くは令和441日から施行されました。

老齢年金(老齢基礎年金および老齢厚生年金)の繰下げについても、令和441日から次の大きな改正が施行されました。


●(改正前)令和3331日まで:最高70歳まで繰下げ可能

●(改正後)令和441日から:(原則として(注))昭和2742日以降生まれの人は、最高75歳まで繰下げ可能に

(注)例外的に、受給権発生日が平成2941日以降の人(令和4331日において、受給権発生日から起算して5年を経過していない人)も対象となります。

 

令和2年年金法改正による繰下げ関連の改正の中で、「特例的な繰下げみなし増額制度」だけは施行日が令和541日となっています。以下にこの制度のポイントをお伝えします。 

 

繰下げ待機者が70歳到達後に、繰下げ申出しないで本来の請求をするとどうなるか(令和5年3月31日まで)

令和4年度現在、65歳からの老齢年金を将来繰下げ申出するつもりで繰下げ待機している人が、70歳到達後に「繰下げしないで65歳にさかのぼって増額されない年金を受け取る」ための請求をすれば、時効(5年)の範囲内で65歳からの増額されない年金を受給できます(ただし、老齢厚生年金のうち在職老齢年金制度により支給停止となっていた部分は受給できません)。
 

(例)72歳で、さかのぼって年金を受け取るための請求を行った場合、時効消滅していない67歳から72歳までの5年分の増額されない年金を一括受給できます。
 

時効消滅期間(65歳から67歳までの2年間)分の年金は、受給できません。

 

 

繰下げ待機者が70歳到達後に、繰下げ申出しないで本来の請求をするとどうなるか(令和5年4月1日から)

令和541日以降は、(原則として)昭和2742日以後生まれの人が、70歳に達した日後に年金を請求し、その請求の際に繰下げ申出をしないときは、「請求をした日の5年前の日に繰下げ申出があったとみなして」繰下げ増額された年金を受け取ることとなります。
 

ただし、80歳に達した日以後や、請求をした日の5年前の日以前に「他の年金」(障害年金や遺族年金)の受給権者であったときは、このみなし規定は適用されません(令和541日施行の国民年金法第28条第5項・厚生年金保険法第44条の35項)。
 

(例)72歳で年金請求を行い、その際に繰下げ申出をしないときは、5年前の67歳時に繰下げ申出をしたとみなされます。

 

この場合、65歳から67歳までが繰下げ待機期間とみなされ、67歳まで2年間繰り下げて16.8%(24か月×0.7%)増額された年金を72歳で5年分(67歳から72歳までの5年分)さかのぼって一括受給し、その後も16.8%増額された年金を受け取ることとなります(ただし、老齢厚生年金のうち在職老齢年金制度により支給停止となっていた部分については増額されません)。

 

「特例的な繰下げみなし増額制度」が設けられた理由

令和2年年金法改正により老齢年金を最高70歳まででなく最高75歳まで繰下げできることとなりましたが、年金の時効は5年のままです。

 

したがって、老齢年金を将来繰下げ申出するつもりで繰下げ待機していた人が70歳に達した日後に、繰下げではなく本来の年金請求(繰下げ増額されない年金の請求)をしたいと思った場合に、既に年金の時効5年を経過してしまっているため受け取れない期間が生じてしまいます。

 

そこで、改正により、70歳に達した日後に本来の請求をしたら、請求をした日の5年前の日に繰下げ申出したものとみなして、その時点での繰下げ増額率で5年前までさかのぼって受給できることとして救済することとされました。

  

さかのぼって老齢年金が支給されたときの税金(所得税・住民税)について

(2023年3月16日) 

一般に、将来繰下げ申出するつもりで繰下げ待機していた人が、結局繰下げしないで本来の請求をした場合、年金だけでなく税金等にも影響が生じることがあります。

 

 

各制度について詳しくない方の場合、本来の請求をしてから税金等への影響にはじめて気付いて驚く方もおられますので、この点について以下にポイントを記載いたします。

 

令和541日以降かどうかや70歳到達日後かどうかによらず、前年以前の老齢年金を受給権者がさかのぼって受給できるようになった場合は、実際に年金を受給した年の収入としてではなく、本来の年金支給日が属する年の収入として、所得の計算が行われるべきこととなります(所得税法第36条第1項)。

 

 

 なお、受給権者本人がさかのぼって請求した年金は、本人の各年の雑所得(公的年金等)となります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm

 

 

各年について、公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を引いたものが、各年の公的年金等に係る雑所得となります。 

(参考:令和2年分以降および令和元年度以前の公的年金等に係る雑所得の速算表はこちら↓)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm

 

 

したがって、例えば、老齢厚生年金が支給停止とならないような報酬設定で働いていた社長等(や退職した元社長等)が老齢基礎年金・老齢厚生年金をともに繰下げるつもりで待機していた場合などで、結局繰下げをしないこととなったことにより過去の各年分の所得が増え納付すべき所得税額が増えた場合は、各年分の修正申告(確定申告していなかった場合は期限後申告)が必要となり、不足分の所得税や加算税・延滞税がかかることとなります。

 

 

住民税にも影響が生じますし、介護保険料や、退職している場合は国民健康保険料(や後期高齢者医療保険料)等に影響が生じるケースもあります。

 

 

65歳以降老齢厚生年金が支給停止とならないような報酬設定で働いていた人や退職者の場合においては、繰下げ待機をやめてさかのぼり請求をすると追加納付すべき税額等が増える可能性が、「特例的な繰下げみなし増額制度」の導入により(各年分の年金として支給される額が繰下げ増額されるため)さらに増すとはいえます。

 

 

しかし、「前年以前の老齢年金を受給権者がさかのぼって受給できるようになった場合は、実際に年金を受給した年の収入としてではなく、本来の年金支給日が属する年の収入として、所得の計算が行われる」ということ自体は、令和53月までも令和54月以降も何ら変わりはありません。

 

そして、受給権者がさかのぼって年金を受給できるようになったとしても、例えば、老齢基礎年金のみ65歳から受給しており老齢厚生年金のみ繰下げ待機している場合で、老齢厚生年金の大部分を占める報酬比例部分の年金がずっと支給停止となるような報酬設定であって、新たにさかのぼり受給できることとなった老齢厚生年金(経過的加算部分)が少なく、他に受給している企業年金もなく、70歳を過ぎてから請求するまでの期間もそれほど長くないため、結果として各年の公的年金の収入金額が公的年金等控除の額を超えない(かほとんどない)ような場合は、令和54以降にさかのぼり請求した場合であっても、過去分の所得税等への影響はない(かほとんどない)こととなります。

 

 

(参考)

・令和483日に提出された「年金の一括請求時の税負担等に関する質問主意書」
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a209014.htm

・令和4815日 上記の質問に対する答弁書https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_t.nsf/html/shitsumon/pdfT/b209014.pdf/$File/b209014.pdf 

 

令和4年度(令和5年3月31日まで)は「特例的な繰下げみなし増額制度」はまだ適用されない

「特例的な繰下げみなし増額制度」の対象者は、令和4年度から最高75歳まで繰下げが可能となった人、つまり、(原則として)昭和2742日以後生まれの人です。また、施行日は令和541日です。

 

したがって、昭和2742日以後生まれの人が令和4年度中に70歳となり、その後令和4年度中(令和4331日までの間)に本来の請求(繰下げしないさかのぼりの請求)をしたとしても、「特例的な繰下げみなし増額制度」は適用されません。 

繰下げ待機のまま70歳到達後に亡くなった場合は?

繰下げ待機中の人が70歳到達日後に亡くなった場合に、死亡の当時生計を同じくしていた一定の遺族(配偶者がいれば配偶者)が受給できる未支給年金については、「特例的な繰下げみなし増額制度」は適用されず、繰下げ増額されない年金額を時効5年の範囲内で受給することとなります。

 

なお、令和5331日以前であっても、繰下げ待機中の人が亡くなった場合(70歳到達日後かどうかを問いません)の未支給年金に繰下げは適用されません。老齢年金の繰下げ申出は、老齢年金の受給権者本人しかできないため、本人が亡くなった後に遺族が、亡くなった人の老齢年金の繰下げ申出を行うことは不可能だからです。

  

「特例的な繰下げみなし増額制度」のポイント(まとめ)

●令和541日から、70歳に達した日後に年金を請求し、その請求の際に際に繰下げ申出をしないときは、「請求をした日の5年前の日に繰下げ申出があったとみなして」繰下げ増額された年金を受け取る「特例的な繰下げみなし増額制度」が施行されます。

●対象者は、(原則として)昭和2742日以後生まれの人です。


●(参考:日本年金機構ホームページ)
「令和5年4月から老齢年金の繰下げ制度の一部改正が施行されます」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2023/r5_kurisage_kaisei.html

 

 

繰下げ待機していた70歳超71歳未満の人が、結局繰下げ申出せずにさかのぼって請求するとどうなるか

(2023年4月14日)
中小企業経営者の中には、70歳を過ぎた頃になってから初めてじっくりと自身の年金受給のことを考え始める方もおられます。

その段階で、年金についてわからないことがたくさん出てきてお問い合わせいただくことが多いです。
老齢基礎年金・老齢厚生年金の両方又は一方をまだ請求していないで繰下げ待機状態となっている
方もおられます。


繰下げ待機状態のまま70歳を過ぎてご相談いただく方の多くが、年金の基本事項、令和4年度からの繰下げの改正、令和5年度から施行された「特例的な繰下げみなし増額制度」についてご存じないため、以下に「特例的な繰下げみなし増額制度」の注意点について解説いたします(少し複雑ですので、ご関心がない場合はスルーしてください)



昭和2742日以後生まれの方が、65歳からの老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰下げる予定で待機
していたものの、70歳を超えて80歳になるまでの間に、結局繰下げ申出せずにさかのぼって請求した場合、請求した日の5年前の日に繰下げ申出したものとみなされる、というのが「特例的な繰下げみなし増額制度」です。



(疑問)
それでは、繰下げ待機していた人が、70歳到達後71歳未満で、例えば、706か月で、結局繰下げ申出せずにさかのぼって請求した場合、「特例的な繰下げみなし増額制度」は適用されるのでしょうか?



(このような疑問が生じる理由)
繰下げについては厚生年金保険法第44条の3および国民年金法第28条に定められています。


例えば、老齢厚生年金の繰下げの基本事項は、厚生年金保険法第44条の3第1項に次の通り定められています。


「老齢厚生年金の受給権を有する者であつてその受給権を取得した日から起算して一年を経過した日(以下この条において「一年を経過した日」という。)前に当該老齢厚生年金を請求していなかつたものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。ただし、」(以下省略。ただし書きでは、「他の年金」、つまり障害厚生年金や遺族厚生年金等の受給権者は老齢厚生年金等を繰下げできないことが定められています)


(なお、老齢基礎年金の繰下げについては、国民年金法第28条第1項に同様の定めがあります)


つまり、繰下げとは、原則65歳から受給できる老齢年金を、もらい始めるのを1年以上遅らせて66歳以降からもらい始める、という制度なのです。


したがって、65歳時にはまだ繰下げ申出できません。


日本年金機構が毎年公開している「老齢年金ガイド」の令和5年度版(下記リンク先の11ページ)においても、65歳11カ月までの欄には、受給率は「100」と記載されています(つまり、繰下げ増額はなし、の意です)。

https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03.pdf


これらのことを前提にして、「特例的な繰下げ増額みなし増額制度」について詳しくみていきましょう。


例えば、65歳から受給できる老齢年金を、将来繰下げ申出するつもりで待機していた人が、71歳になって、病気になってまとまったお金が必要となった等何らかの理由で、結局繰下げ申出せずにさかのぼって請求したとしたら、1年間(12か月)繰下げたものとみなして、
65歳時の年金額×8.4%(0.7%×12か月繰下げ)増の年金を、過去5年分さかのぼって受給でき、今後も65歳時の年金額×8.4%増の年金を一生受給できます。


(注)ただし、もし繰下げ待機せずに請求していたとしたら65歳時の老齢厚生年金(報酬比例部分)が在職老齢年金制度により全額支給停止となるような報酬設定で働いていた人の場合は、老齢厚生年金について「特例的な繰下げみなし増額制度」が適用されたとしても、老齢厚生年金(報酬比例部分)に関しては、
5年分の一括受給額も今後受給分の年金のうちの繰下げ増額分も0円となります(今後も働き続ける場合、繰下げ増額分を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)をどの程度受給できるかは、今後の報酬設定によります)



それでは、65歳から受給できる老齢年金を、将来繰下げ申出するつもりで待機していた人が、706か月で、病気になってまとまったお金が必要となった等何らかの理由で、結局繰下げ申出せずにさかのぼって請求したとしたら、半年(6か月)繰下げたものとみなして、
65歳時の年金額×4.2%(0.7%×6か月繰下げ)増の年金を、過去5年分さかのぼって受給でき、今後も65歳時の年金額×4.2%増の年金を一生受給できるのでしょうか。



それとも、そもそも6か月だけ繰り下げるということはできないのだから、「特例的な繰下げ増額みなし増額制度」によって、6か月だけ繰り下げたものとみなされることもないのでしょうか。


結論から言うと、「特例的な繰下げ増額みなし増額制度」の適用にあたっては、6か月等、1年未満の期間だけ繰り下げたとみなされるケースもありえます。


この事例では、6か月繰下げたとみなして、65歳時の年金額×4.2%(0.7%×6か月繰下げ)増の年金を、過去5年分さかのぼって受給でき、今後も65歳時の年金額×4.2%増の年金を一生受給できます。


(注)ただし、もし繰下げ待機せずに請求していたとしたら65歳時の老齢厚生年金(報酬比例部分)が在職老齢年金制度により全額支給停止となるような報酬設定で働いていた人の場合は、老齢厚生年金について「特例的な繰下げみなし増額制度」が適用されたとしても、老齢厚生年金(報酬比例部分)に関しては、5年分の一括受給額も今後受給分の年金のうちの繰下げ増額分も0円となります(今後も働き続ける場合、繰下げ増額分を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)をどの程度受給できるかは、今後の報酬設定によります)




(参考)老齢厚生年金の「特例的な繰下げみなし増額制度」については、厚生年金保険法第44条の3第5項に次の通り定められています。
 

「第一項の規定により老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる者が、その受給権を取得した日から起算して五年を経過した日後に当該老齢厚生年金を請求し、かつ、当該請求の際に同項の申出をしないときは、当該請求をした日の五年前の日に同項の申出があつたものとみなす。

ただし、その者が次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

一 当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して十五年を経過した日以後にあるとき。
二 当該請求をした日の五年前の日以前に他の年金たる給付の受給権者であつたとき。」


(なお、老齢基礎年金の「特例的な繰下げみなし増額制度」については、国民年金法第28条第5項に同様の定めがあります)

上記の条文によると、例えば、70歳到達後1年未満の人が、繰下げ申出しないでさかのぼって請求する場合であっても、その人が「(厚生年金保険法第44条の3)第一項の規定により老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる者」(つまり、同条第一項の「老齢厚生年金の受給権を有する者であつてその受給権を取得した日から起算して一年を経過した日」「前に当該老齢厚生年金を請求していなかつたもの」)に該当することに違いはありませんので、「特例的な繰下げみなし増額制度」が適用され、請求をした日の5年前の日に繰下げ申出があったものとみなして増額率が計算されることとなります。

 

繰下げ待機していた人が、繰下げ上限年齢到達後に結局「繰下げ申出する」場合の取り扱いはどうなっているか

(2023年4月26日)

この「特例的な繰下げみなし増額制度」が施行されてからまだ1か月も経っていないのですが、全国の70歳以上の社長様方から大変多くのご相談をいただいています。



60歳台前半から特別支給の老齢厚生年金を、また、65歳からは老齢基礎年金・老齢厚生年金を受ける
権利が生じていたにも関わらず、日々のお仕事に忙しかったからか、「70歳を過ぎたら年金のことを
考えよう」と漠然と考えておられ、いざ70歳を過ぎてご自身の年金について調べ始めてみろと、いろいろと想定外のことや理解できないことがあり、お困りの方が多いようです。


ここ10年ほどの間で、年金も社会保険も税金も制度がいろいろと大きく変わりましたから、なかなかすぐに全部を理解することは難しいかと思います。


そのような場合は、焦らずに、ゆっくりと一つひとつ確認していきましょう。



上記で解説した「特例的な繰下げみなし増額制度」は、老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰下げ待機していた人が70歳到達後80歳までの間に、結局「繰下げ申出しないで」さかのぼって請求する場合の取り扱いが、令和5年4月から変わったというものです。



これと混同して混乱されている方が多いのが、老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰り下げ待機して
いた人が、70歳(や75歳)到達後に、結局「繰下げ申出する」場合の取り扱いです。


●令和4年3月まで

令和4年3月までは、最高70歳までしか繰下げできませんでした。

そして、70歳を過ぎても請求しておらず繰下げ待機となっていた方が、70歳を過ぎてから繰下げ
申出すると、70歳で繰下申出したものとみなされることとなっていましました。
(この点は、平成26年4月からの改正事項です)。

つまり、上限年齢である70歳を過ぎてから繰下げ申出したとしても、繰下げ増額率は2%(0.7%×60月)が上限だったということですね。


●令和4年4月から

さらに、令和2年年金法改正により令和4年4月からは、昭和27年4月2日以後生まれの人は、最高75歳まで繰下げできるようになりました。

そして、最高75歳まで繰下げられる方で、75歳を過ぎても請求しておらず繰下げ待機となっていた方が、75歳を過ぎてから繰下げ申出すると、75歳で繰下げ申出したものとみなされることとなりました(この点も令和4年4月からの改正事項です)。


つまり、改正後の上限年齢である75歳を過ぎてから繰下げ申出したとしても、繰下げ増額率は、84%(0.7%×120月)が上限となったということですね。


なお、昭和27年4月2日以後生まれの人は、令和5年度において71歳以下ですからまだ75歳にはなっていません。


したがって、75歳を過ぎてから繰下げ申出して75歳に繰下げ申出したものとみなされた人はまだいません。

 

昭和27年4月2日以後生まれで繰下げ待機中の人が、70歳を過ぎてから75歳までの間に繰下げ申出する場合

もう一つ、これもまったく違うことなのですが、混乱されている方が多いのが次のようなケースです。



例えば、昭和27年4月2日以後生まれの繰下げ待機中の人が、70歳を過ぎてから(75歳までの間に)、さかのぼって請求するのではなく、繰下げ申出する場合は、
(令和4年度からは最高75歳まで繰下げ可能となったのですから、)

繰下げ月数×0.7%繰下げ増額された年金が、繰下げ申出した月の翌月分から支給されます。


 

繰下げに関する古い情報を目にして混乱している人も

・令和4年4月から繰下げの上限年齢が最高75歳まで引き上げられ、


・令和5年5月からは「特例的な繰下げみなし増額制度」(70歳を超えて80歳までに、さかのぼり請求する場合)も始まった上に、

・繰下げ上限年齢を超えてから、繰下げ申出するケースに関する改正もある中、

インターネット上や書籍等での改正前の各制度を解説した記述を読んで混乱している方もおられます。


さらに、
65歳到達月以降在職老齢年金制度によって老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止となるような報酬設定で働いていた人が、

・さかのぼって請求しても、支給停止部分は結局受給できないこと

・老齢厚生年金を何年繰り下げても、老齢厚生年金(報酬比例部分)に繰下げ増額効果は全く生じないこと

の二点も、理解しにくい方が多いようです。


これら二点は、経営者層の年金理解において最も重要なところですので、くれぐれもご注意下さい。


経営者の場合は、65歳到達月の翌月以降老齢厚生年金(報酬比例部分)が支給停止となるような報酬設定で働いていた人が多く、

その中には、70歳を過ぎるまで老齢厚生年金を請求しないまま繰下げ待機状態となっている人も
結構おられます。


そのような場合、70歳を過ぎて初めて、老齢厚生年金を繰下げ待機して増やしているつもりが、ほとんど増えていないことに気付くケースが多いです。


そして、年金受給の選択として、
・結局、繰下げ申出するのか、
・繰下げ申出しないでさかのぼって受けるのか、
・もし繰下げ申出するとしたら何歳で繰下げ申出するのか、


さらに、
それぞれの選択肢を採用したときに自分の年金がどうなるのか、

を理解するのが難しい方が多いようです。


現在60歳台の社長様の場合も、将来大きな思い違いが生じることがないように、年金はまだ先のこと、70歳から、75歳からの話は関係ない、と放っておくのではなく、老齢年金の基礎知識や年金改正の概要などは、ある程度は情報をつかんでおいていただくとお役に立つかと存じます。

 

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