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老齢基礎年金に付く「振替加算」のもらい漏れ事例とは

よくある事例(例えば、妻が年上・夫が年下の場合)

(2024年5月23日)

65歳から老齢基礎年金を受給できる人で昭和4141日以前生まれの人は、一定の要件を満たせば、老齢基礎年金に「振替加算」が付きます。

 

 

一般に、振替加算は、配偶者加給年金額とセットで説明されることが多いです。

 

 

老齢厚生年金に付く配偶者加給年金額と配偶者の老齢基礎年金に付く振替加算の説明をする際には、次のように、「夫が年上で長年厚生年金保険に加入しており、妻が年下」という事例を用いて説明されているのが一般的です。

 

 

・夫が65歳になって老齢厚生年金(厚生年金保険加入期間240月以上のもの)をもらえるようになったときに、生計を維持している65歳未満の配偶者がいるときに、夫の老齢厚生年金に配偶者加給年金額が加算される。

 

・妻が65歳になると配偶者加給年金額は付かなくなるが、その代わりに、妻の老齢基礎年金に振替加算が付くようになる。

 

 

しかし、振替加算は上記のような事例だけに加算されるわけではありません。

 

 

例えば、妻が年上で、夫が年下の場合でも、要件を満たせば妻の老齢基礎年金に振替加算が付きます。

 

 

 

(事例)

夫:昭和31315日生まれ代表取締役(令和6年5月現在68歳)

報酬月額100万円・賞与なし

65歳到達月の前月までの厚生年金保険被保険者期間の月数400月。

 

生年月日・性別に応じて定められた特別支給の老齢厚生年金支給開始年齢は62歳。

65歳からは年金の形が老齢基礎年金・老齢厚生年金に変わった。

しかし、報酬が高いともらえる年金は全くないと思い込んでおり、これまで年金の請求をしていなかった。

 

 

 

妻:昭和281030日生まれ(令和6年5月現在70歳)

70歳到達月の前月までの厚生年金保険被保険者期間の月数160月。

障害年金の受給権なし。

 60歳時に特別支給の老齢厚生年金を請求し、63歳までは報酬比例部分のみの年金を・64歳からは「報酬比例部分+定額部分」の年金を受給後、)65歳到達時に老齢基礎年金・老齢厚生年金を請求し、現在も受給中。

 

 

 

妻が年上の場合は(妻が65歳に達した日以後に夫が65歳に達した場合は)、(夫が65歳に達したときに老齢厚生年金を請求したとしても)夫の老齢厚生年金に配偶者加給年金額が加算される期間はありません。

 

 

 

そのような場合でも、夫が65歳に到達して老齢厚生年金の受給権が生じたときに、夫の老齢厚生年金額の計算の基礎となる厚生年金保険被保険者期間が240月以上で、妻を生計維持していれば、妻の老齢基礎年金に振替加算が開始されます(夫が65歳に到達した月の翌月分から加算)。

 

 

この場合、妻の老齢基礎年金に振替加算が加算されるためには、加算されるかどうかの判断時点(夫が65歳になったとき)において、夫の老齢厚生年金額の計算の基礎となる厚生年金保険被保険者期間が240月以上であり、妻が夫に生計維持されていたことが必要です。

 

 

(注)妻自身が老齢厚生年金(年金額の計算の基礎となる厚生年金保険被保険者期間が240月以上のもの)や障害年金を受けることができるときは、加算開始されません。

 

 

 

しかし、上記の夫は65歳になっても年金の請求をしておらず、また、妻も自身の老齢基礎年金に振替加算が付く要件を満たしたときに行うべき届出(「国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届」)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/rourei/20150507.html
を行いませんでした。

 

 

 

その後、今になって夫が、報酬が高くても老齢基礎年金および老齢厚生年金(経過的加算部分)は請求さえしていれば65歳から全額受給できていたということを知り、65歳にさかのぼって老齢基礎年金・老齢厚生年金を請求することとしました。

 

 

すると、年金事務所の担当者から、夫の年金請求書だけでなく、妻の「国民年金 老齢基礎年金加算事由開始届」も出すように言われました。

 

 

年金制度に詳しくない夫婦は、よく意味がわからなかったものの、言われた通りに妻の「国民年金 老齢基礎年金加算事由開始届」も出すこととしました。

 

 

この届出は、上記の事例では、次のことを妻が申し立てるために行うものです。

 

 

・夫が65歳に到達して老齢厚生年金(年金額の計算の基礎となる厚生年金保険被保険者期間が240月以上のもの)の受給権が生じたときに、妻が夫に生計維持されていたこと

 

 

 

届出による申立が認められれば、次のような結果となります。

 

 

1・上記事例の妻は昭和2842日から昭和2941日までの生まれのため、妻の老齢基礎年金には年額65,548円の振替加算が付くようになります(令和6年度額)。https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kakyu-hurikae/20150401.html

 

 

2.夫が65歳になってから今までの約3年間分のもらい漏れの振替加算は、さかのぼってまとめて妻に支給されます。

 

 

 

 

冒頭でお示しした典型的な事例では、

(1)妻が65歳未満の間は、夫の老齢厚生年金に配偶者加給年金額が加算され、

(2)妻が65歳になると、配偶者加給年金額はなくなって、代わりに妻の老齢基礎年金に加算が付くようになります。

 

したがって、(2)の加算は、それまでの配偶者加給年金額が振り替えられて加算されるものと考えることもできるため、説明をわかりやすくするために、一般に「振替加算」と呼ばれています(日本年機構の老齢年金ガイドやホームページでもそのように記載されています)

 

 

 

しかし、実は条文上は「振替加算」と記載されているわけではありません。

 

 

冒頭でお示ししたような典型的な事例の場合(国民年金法附則(昭和60年5月1日法律第34号)第14条第1項で規定)についても、

後の方でお示しした、例えば妻の方が夫よりも先に65歳になる事例のような場合(同条第2項で規定)についても、「振替加算」という用語は用いられておらず、単に、「加算」とか「加算した額」とか「加算額」としか記載されていません。

 

 

 

妻の方が夫よりも先に65歳になるような事例に関しては、配偶者加給年金額が振り替えられるわけではなくて、いきなり、妻の老齢基礎年金への加算が開始されるため、「振替加算」と呼ぶことによって、かえってわかりにくいと感じられるかもしれませんね。

 

 

振替加算のもらい漏れには他にもよくあるパターンがありますが、今回は、そのうちの一つだけについてお伝えしました。 

  

振替加算は何のために設けられたのか

 振替加算は、昭和60年の年金大改正により定められた制度です。

 

厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者で20歳以上60歳未満の人は、昭和6141日からは国民年金の3号被保険者となることとなりましたが、それまでは、国民年金は適用除外で、任意加入でした。

 

 

大正1542日以後生まれの人で、20歳以上60歳未満の40年間のうち国民年金に強制加入とならない期間が生じうる人、つまり、昭和6141よりも前に20歳になっていた人(=昭和4141日以前生まれの人)に対して、将来の年金が低額にならないように、要件を満たせば、生年月日に応じた額を老齢基礎年金に加算することとされました。

 

 

このような趣旨で設けられた制度ですから、振替加算の額は、若い人ほど(昭和6141日時点で60歳までの期間が長い人ほど)、少なくなります。
 

例えば、

・大正1542日~昭和241日生まれの人の老齢基礎年金に加算される振替加算は、年額

234,100円(令和6年度額)

ですが、前述の通り、

・昭和2842日~昭和2941生まれの人の老齢基礎年金に加算される振替加算は、

年額65,548円(令和6年度額)ですし、

・昭和3642日~昭和4141生まれの人の老齢基礎年金に加算される振替加算は、

年額15,732円(令和6年度額)となります。
 

・昭和4142日以降生まれの人は、20歳以上60歳未満の期間のすべてが昭和614

1日以降の期間(国民年金強制加入の期間)ですから、振替加算の制度を設ける必要はないため、振替加算はありません。

 

振替加算のもらい漏れには他のパターンもありますが、今回は年上の妻のもらい漏れでよくある事例についてお伝えしました。

振替加算のもらい漏れ多数と公表されたことも

 振替加算は加給年金額と同様に、昔からもらい漏れが多かった給付です。


平成29年には、夫婦の一方が共済年金を受給しているケースを中心に、日本年金機構と共済年金との
情報連携不足等によるもらい漏れが次の通り大量に発生していたことが公表されました。


その中には、老齢基礎年金を受ける人の届出漏れによる事例も多くあったとのことでした。

・日本年金機構と共済組合との間の情報連携不足
52,908人、260億円)

・システム処理に起因するもの 
35,685人、122億円)

・日本年金機構における事務処理誤り 
 5,332人、 89億円)

・お客様からの届出漏れ (12,038人、128億円

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/32-8_2.pdf




当時は、対象者に状況を知らせた上で、未払いの振替加算が支給されました。

そして、「今後の発生防止のための事務処理の改善」として、次の方針が示されました。


「配偶者の加給年金が終了している一方で振替加算が開始されていない夫婦の事例を日本年金機構で抽出し、 

・配偶者が厚生年金の場合は、日本年金機構が保有している情報に基づいて振替加算の受給要件の確認を徹底。 

・配偶者が共済年金の場合は、平成2710月から稼働している共済情報連携システムを活用して確認し、

日本年金機構と共済組合のデータの不整合がある場合は個別に照会して確認を徹底。」


日本年金機構が公表している「事務処理誤り等(令和63月分)について」によると、「振替加算の支給漏れ」の「平成304月からの累計」は、

・対応件数105,520
・影響金額607.7億円
です。

平成30年度以降に限っても、結構な件数・金額の振替加算の支給漏れ対応がされてきたことがわかります。


最近の「事務処理誤り等」をみると、例えば次のような、15年も経ってから過去の未払い累計が100万円近くあることが判明した事例も確認できます。


・件名:振替加算の誤り
・誤り区分:確認・決定誤り
・都道府県名:本部
・事務所名:中央年金センター
・発生年月日:2008123
・判明年月日:2023911

・事象・対応
○担当部署において確認したところ、老齢基礎年金額加算開始事由該当届処理時の確認不足から、振替
加算の開始時期を誤ったため、年金が未払いとなっていたことが判明しました。

●担当者がお客様にお詫びの上説明しました。訂正処理を行い、お客様に正しい年金が支払われたこと
を確認しました。

●担当部署において、老齢基礎年金額加算開始事由該当届処理時に処理内容の確認を徹底するよう周知
しました。

・影響範囲:1
・影響区分:未払い
・影響金額:966,662


平成291220日に公表された「年金給付に係る事務処理誤り等の総点検」において、未払いや過払いが多く起こっている事象類型が43個挙げられていましたが、その中でも、「振替加算の支給漏れ」は未払いの対応件数・影響金額が最も多い事象です。


振替加算の未払いについては、このほか「老齢基礎年金の加算開始事由該当届の入力誤りによる振替加算の支給開始時期の誤り」という事象類型も報告されていたところで、これについては、平成304月からの累計で、対応件数743件・影響金額1.3億円とのことです。


ちなみに、配偶者加給年金額の未払いについては、次のような事象類型が報告されていました。

・「配偶者の登録誤りによる加給年金の支給漏れ」
平成304月からの累計:対応件数8,130件、影響金額22.4億円

・「遡及決定時の届出徴取漏れによる加給年金の加算漏れ」
平成304月からの累計:対応件数2,477件、影響金額25.7億円


振替加算や加給年金額のように、加算されるためには手続きが必要な給付は、加算が漏れやすいところですので、ご注意下さい。


 

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