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報酬を下げて年金を全額受けるつもりの社長に、年金支給停止との支給額変更通知書が届いた理由とは

よくある質問への回答

(2024年6月19日)

 【質問】

報酬を下げて年金を全額もらうつもりのA社長(70歳)に、年金全額支給停止との支給額変更通知書が届きました。なぜでしょうか。

 
【回答】
 

(典型的なパターンの事例)
 

昭和2945日生まれのA社長。令和644日(誕生日の前日)に70歳に到達。

後継者がいないため今後も代表取締役として働き続ける予定だが、70歳からは老齢厚生年金を全額受給したいと考えていた。

A社長の会社(B社)は10月決算。
 

令和512月下旬開催の定時株主総会および取締役会にて、令和61月支給分よりA社長の報酬月額を30万円に引き下げることを決議し、決議通り支給した。
 

・令和512月支給分以前の報酬月額:100万円

・令和61月支給分以後の報酬月額30万円
 

令和61月・2月・3月に報酬月額30万円を支給後、B社は4月上旬に、A社長について報酬月額変更届を日本年金機構に提出した。
 

令和644日にA社長は70歳に達したため、B社は日本年金機構から届いていた「70歳到達届」にも報酬月額300,000円と記載して提出した。
 

在職老齢年金制度によりこれまで老齢厚生年金(報酬比例部分)はずっと全額支給停止だったものの、70歳からは全額受給できるものとA社長は期待していた。

 

支給額変更通知書が2回届いた

令和65月上旬にA社長あて、次のような記載のある「支給額変更通知書」が届きました。
 

64月」「勤務先からの届出により、標準報酬月額(標準的な給与の額)が変更されたため、年金の支給停止額を変更しました。」
 

この通知書の「支給停止額」欄には0円と表示されていたため、
A社長は4月分(6月支給分)から年金を全額受給できるようになる、と安心していました。

 

すると、令和66月上旬に入り、A社長に再度「支給額変更通知書」が届き、今度は次のような記載がされていました。
 

64月」「以前に支給停止を取りやめる決定を行いましたが、これを取り消し、再び支払いを停止しました。」

そして、「支給停止額」欄には、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額と同額が記載されていました。
 

驚いたA社長が年金事務所に確認したところ、「70歳になったときの報酬月額の登録が遅れたため、70歳になった時点でいったん老齢厚生年金を全額支給停止して、その後、報酬月額を確認し、支給することとなりました。」「したがって、令和66月は「老齢基礎年金年額×1/6」だけが支払われ、いったん支給停止になった「老齢厚生年金額×1/6」は7月に支払われます」と言われました。

 

事務処理のタイミングで、複数の届出の一部のみを加味した通知書がいったん届くことがある

この事例に限らず、近接する時期に会社が提出した月額変更届、賞与支払届や70歳到達届の日本年金機構における事務処理がそれぞれ別々に・ばらばらのタイミングで・様々な順番で行われることによって、報酬変更後の年金支給が正しくない支給停止額・イレギュラーな支払い方となり、翌月以降に正しく調整支給されることは、一般によくあることです。
 

特に、70歳到達届は、在職中に70歳に到達し、70歳到達日以降も引き続き同一の事業所に勤務し、70歳到達日時点の標準報酬月額(相当額)が従前額(70歳到達日の前日における標準報酬月額)と異なる場合のみ提出するものです。
 

70歳到達日の標準報酬月額(相当額)が従前額と同じ場合は、70歳到達届の提出は不要で、日本年金機構において70歳以降の標準報酬月額(相当額)を決定することとなっています(一般には、このような事例が多いことでしょう)。 
 

(注)70歳到達届とは、「厚生年金保険 被保険者資格喪失届」と「厚生年金保険 70 歳以上被用者該当届」を一枚の様式にまとめたものです。厚生年金保険法施行規則の改正により平成 31 4 月から、70 歳到達届の取扱いがこのように変更されています。
70歳以降は厚生年金保険被保険者ではないため、厚生年金保険については「標準報酬月額」や「標準賞与額」はもうありません。
しかし、厚生年金保険70歳以上被用者である間は、「標準報酬月額に相当する額」・「標準賞与額に相当する額」(いずれも厚生年金保険法第46条第1項)が年金支給停止額に影響します。

 

ですから、この事例のように、70歳到達直前に標準報酬月額が変更となる月額変更届を提出した場合には、報酬月額変更を反映しない標準報酬月額(従前の標準報酬月額)と同額で70歳以降の標準報酬月額(相当額)・総報酬月額相当額がいったん決定されてしまい、その後日数がたってから、報酬月額変更を踏まえた新しい標準報酬月額(相当額)・総報酬月額相当額に直されることとなるケースも生じ得ます。
 

年金事務所職員の説明における「老齢厚生年金」は老齢厚生年金(報酬比例部分)の意であり、また、「老齢基礎年金」は「老齢基礎年金+老齢厚生年金(経過的加算部分)」の意でしょうから、令和66月には「老齢基礎年金+老齢厚生年金(経過的加算部分)」の2か月分(4月分・5月分)のみを支給し、いったん支給停止となったものの支給されるべき2か月分(4月分・5月分)の「老齢厚生年金(報酬比例部分)」を7月に支給する、ということです。
 

この事例のように、たまたま、変更後の報酬月額をはじめて支給した月から起算して4か月目がちょうど70歳到達月である場合などは、複数回送られてきた「支給額変更通知書」に記載されている内容の意味がわからず、驚いた社長・役員から相談を受けるケースもあります。
 

特に、複数の会社から報酬を受けている社長・役員について、各社において異なる月に報酬設定変更が行われて各社において届出が行われた場合は、支給額変更通知書が何回も届くこととなり、内容を正しく理解してもらうのが難しいことも多いです。
 

一般に、報酬設定変更を行って年金支給停止額を減らそうとして、その後に届いた「支給額変更通知書」記載内容が予想外のものであった場合、届け出たすべての変更内容がその通知書ではまだ加味されていない可能性があります。
 

しかし、法律上支給されるべきであった年金は、事務処理のタイミングの関係で支給される月が少し遅れることがあったとしても、必ず支給されるべきこととなります。
その場合、再度、すべての変更内容を加味した「支給額変更通知書」が届きます。
 

(参考)

今回の事例のように、通常の年金支払月(偶数月)以外の月に年金が支給されることもあることは、「年金の支給期間および支払期月」について定めた厚生年金保険法第36条の第3項ただし書きに次の通り定められています。

「3 年金は、毎年二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の六期に、それぞれその前月分までを支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであつた年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、支払期月でない月であつても、支払うものとする。」

 
 

(ポイント)

70歳到達日の標準報酬月額(相当額)が従前額と同じ場合は、70歳到達届の提出は不要で、日本年金機構において70歳以降の標準報酬月額(相当額)が決定される
 

●事務処理のタイミングにより、日本年金機構が決定した標準報酬月額(相当額)が正しいものとならなかった場合は、後日正しい標準報酬月額(相当額)に直され、正しい年金支給停止額・支給額となるよう調整支給される

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