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年金が一部支給停止となったものの、なぜそのような年金支給停止額となるのかがわかりにくい事例

よくある質問への回答

(2024年9月6日)

 【質問】

Q.65歳の代表取締役です。65歳から老齢厚生年金が一部支給停止となったのですが、なぜこのような支給停止額となるのかわかりません

 

 

【回答】

公的年金に関する基本的なルールとして次の二点があるため、年金支給停止額がわかりにくくなるケースがあります。
 

(1)公的年金は、年金をもらう権利(年金受給権)が生じたら、受給権が生じた月の翌月分から支給が開始されます。
また、受給権が消滅したときは、消滅した月分まで支給されます。

 

(2)年6回偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)に支給される公的年金は、各支払期月の前々月分の年金と前月分の年金の2か月分をまとめて支給されるのが原則です。
 

 

 

 

年金の支給開始は受給権発生月の翌月分から

説明のためにわかりやすい事例を用いて解説しますが、例えば、令和69月に65歳に到達して老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権が生じる人は、昭和34年生まれで、92日から101日までの間に誕生日がある人です(老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を得るためには、公的年金に10年以上加入し、うち1月以上厚生年金保険加入期間があることが必要です)。
 

ここで、65歳に到達した日とは、65歳の誕生日の前日のことです。
 

したがって、以下の事例のAさん・Bさんの65歳到達日は令和69月ですから、その翌月分(令和610月分)から老齢基礎年金・老齢厚生年金が支給されることとなります。
 

一方、Cさんの65歳到達日は令和68月ですから、その翌月分(令和69月分)から、老齢基礎年金・老齢厚生年金が支給されることとなります。
 

・(Aさん)昭和3492日生まれ→令和691日に65歳到達→令和610月分から老齢基礎年金・老齢厚生年金が支給
・(Bさん)昭和34101日生まれ→令和6930日に65歳到達→令和610月分から老齢基礎年金・老齢厚生年金が支給
・(Cさん)昭和3491日生まれ→令和6831日に65歳到達→令和69月分から老齢基礎年金・老齢厚生年金が支給

 

老齢基礎年金・老齢厚生年金は65歳到達月の翌月分から

上記事例のAさん・Bさんに、65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金(令和610月分以降の年金)が初めて支給されるのは、令和612月です。

令和612月に支給される年金は、令和610月分および11月分です。

 

Aさん・Bさんに65歳までの特別支給の老齢厚生年金の受給権もあった場合、特別支給の老齢厚生年金が最後に支給されるのは、令和610月です(令和68月分および9月分が支給。特別支給の老齢厚生年金の受給権は65歳に達したときに消滅しますので、特別支給の老齢厚生年金が支給されるのは、受給権消滅月分、つまり、令和69月分までです)。
 

そして、令和612月に支給される年金(令和610月分および11月分)は、すべて、65歳からの老齢基礎年金および老齢厚生年金です。
 

一方、上記事例のCさんに、65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金(令和69月分以降の年金)が初めて支給されるのは、令和610月です。
 

ところが、令和610月に支給される年金は、令和68月分および9月分です。
 

したがって、Cさんに65歳までの特別支給の老齢厚生年金の受給権もあった場合、令和610月支給分の年金は、特別支給の老齢厚生年金1か月分(令和68月分)と老齢基礎年金・老齢厚生年金1か月分(令和69月分)ということになります。

(注)65歳到達日、日本年金機構への請求タイミング、日本年金機構における事務処理スケジュールにより、令和69月分の年金は、実際には令和611月以降に支給となる可能性があります。

 

ところで、特別支給の老齢厚生年金をもらえる年齢に到達した月以降も厚生年金保険に加入した人の場合、65歳到達月分までの特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額よりも、65歳到達月の翌月分からの老齢厚生年金(報酬比例部分)の方が年金額が多くなります。
 

特別支給の老齢厚生年金をもらえる年齢に到達した月以降の厚生年金保険加入記録も含めて年金額が再計算されるためです。
 

そのため、厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受ける人に適用される在職老齢年金制度(年金と給与の調整制度)における、調整の対象となる年金月額(「基本月額」)が、65歳到達月分までよりも65歳到達月の翌月分からの方が額が多くなります。
 

Aさん・Bさんの場合は、
・令和610月支給分(令和68月分・9月分)までの各月分の「基本月額」は特別支給の老齢厚生年金年額(報酬比例部分)÷12

・令和612月支給分(令和610月分・11月分)からの各月分の「基本月額」は老齢厚生年金(報酬比例部分)年額÷12

と、わかりやすいです。
 

一方、Cさんの場合は、令和610月支給分の年金は、特別支給の老齢厚生年金1か月分(令和68月分)と老齢基礎年金・老齢厚生年金1か月分(令和69月分)のため、

・令和610月支給分のうちの令和68月分の「基本月額」は特別支給の老齢厚生年金年額(報酬比例部分)÷12

・令和610月支給分のうちの令和69月分の「基本月額」は老齢厚生年金年額(報酬比例部分)年額÷12

とわかりにくくなります。

 

(参考)特別支給の老齢厚生年金支給開始年齢が64歳の人の場合の概算イメージ

64歳到達月の翌月分から65歳到達月分までの「基本月額」(特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)÷12)=12万円、報酬月額38万円・賞与なし

したがって、年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額12万円+総報酬月額相当額38万円-基準額50万円)÷20円→特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額支給
65歳到達月の翌月分からの「基本月額」(老齢厚生年金(報酬比例部分)÷12)=12.2万円、報酬月額38万円・賞与なし

 したがって、年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額12.2万円+総報酬月額相当額38万円-基準額50万円)÷21000円→老齢厚生年金(報酬比例部分)は一部支給停止
 

 

65歳到達時以外にもわかりにくい事例は生じる

今回は、65歳を境に(65歳到達月の翌月分から)「基本月額」が変わる際のわかりにくい事例について解説しましたが、70歳を境に(70歳到達月の翌月分から)も「70歳時改定」により「基本月額」が変わるため、同様のわかりにくい事例が生じるケースがあります。
 

また、年齢を問わず、報酬設定を変更したことにより「標準報酬月額」「総報酬月額相当額」が変わることとなった場合は、報酬設定を変更したタイミングによっては、わかりにくい事例が生じるケースがあります。
 

その他、65歳以上70歳未満の厚生年金保険被保険者には「在職定時改定」が適用されることにより、毎年10月分(12月支給分)から「基本月額」が変わることにも注意が必要です。


 

(ポイント)

●特別支給の老齢厚生年金は65歳到達月分まで支給され、65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金は65歳到達月の翌月分から支給される
●公的年金は年6回偶数月に、前々月分および前月分が支給される

●特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢到達月以降も厚生年金保険に加入した人の場合、在職老齢年金制度による調整の対象となる年金月額(「基本月額」)が65歳到達月の翌月分から増える

 

 

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