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老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止でも加給年金額が支給されるケースとは?

報酬比例部分が全額支給停止でも加給年金額をもらえることがあるのでしょうか?

(2024年10月21日)

【質問】

知り合いの社長(65歳・報酬月額100万円)が国から加給年金をもらえるらしいのですが、そのようなことがあるのでしょうか。

【答え】

老齢基礎年金の受給資格期間(公的年金に10年以上加入)を満たす人に、うち1月でも厚生年金保険加入期間があれば、65歳から老齢厚生年金を受給できます。
 

そのような人のうち、65歳になったときに厚生年金保険加入期間の月数が240月以上ある人には、生計を維持する65歳未満の配偶者で一定の要件を満たす配偶者がいる間、配偶者加給年金額が加算されます(老齢厚生年金を受ける人が昭和18年4月2日以後生まれの場合、特別加算額も含めた令和6年度の配偶者加給年金額は、年額408,100円です)
 

65歳になったときには厚生年金保険加入期間の月数が240月未満であった人が、その後も厚生年金保険に加入することによって、(70歳になるまでの毎年の在職定時改定や70歳時改定や退職時改定の結果)老齢厚生年金額計算の基礎となる厚生年金保険加入期間が240月以上となった場合も、その時点で生計を維持する65歳未満の配偶者で一定の要件を満たす配偶者がいれば、配偶者加給年金額の加算が始まります。
 

なお、老齢厚生年金の大部分を占める報酬比例部分の年金が、在職老齢年金制度(給与と年金の調整)により全額支給停止となっている月については、加給年金額は全額支給停止となります(1)
 

報酬比例部分の年金が一部でも支給されている月については、加給年金額は全額支給されます(2)。
 

したがって、配偶者加給年金額が受給できる人の場合は、老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止となるような報酬設定とするか、一部でも支給されるような報酬設定とするかによって、年金受給額が年額約41万円変わることとなります。
 

 

加給年金額と在職老齢年金制度について、次のような状態となる人もいます。

「報酬が高いため国から支給される老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金が給与との調整で全額支給停止となっているのに、国から加給年金額を受給できる」

それは、過去の厚生年金基金加入期間について「基金代行額」が残っており、基金等から支給される基金代行部分の年金が一部でも支給されているケースです。
 

前述の(1)(2)の原則のいずれに該当するかは、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金が全額支給停止となる月かどうかで判断されるわけですが、過去の厚生年金基金加入期間について「基金代行額」が残っている人の場合は、(1)(2)の原則のいずれに該当するかは、「老齢厚生年金(報酬比例部分)+基金代行額」が全額支給停止となる月かどうかで判断されるのです。
 

(注)厚生年金基金とは:国から支給される老齢厚生年金(報酬比例部分)の一部を国に代わって支給するところ

(注2)基金代行額とは:厚生年金基金が代行支給するはずの部分を、(基金等から支給せずに)もし国から支給するとしたらいくらとなるかという額(「基金代行額」は、年金事務所でもらえる「試算結果」に参考表示されています)

(注3)基金等とは:厚生年金基金および企業年金連合会
 

過去の厚生年金基金加入期間について「基金代行額」が残っており、基金等から支給される基金代行部分の年金が一部でも支給されているケースでは、「老齢厚生年金(報酬比例部分)+基金代行額」の一部でも支給されていることとなりますから、加給年金額の要件を満たしている間は加給年金額が全額支給されることとなります。
 

このようなケースで、国から支給される老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額支給停止となるような報酬設定となっているのに、加給年金額が全額国から支給されることとなります。
 

「基金代行額」がある人の年金請求停止額計算

過去の厚生年金基金加入期間について「基金代行額」が残っている人の、在職老齢年金制度による年金支給停止額計算(国から支給される年金についての支給停止額計算)は、次の通りとなります(「基本月額」に「基金代行額」も含めて計算される点がポイントです)


1.年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額+総報酬月額相当額-基準額)÷2

・基本月額=「老齢厚生年金(報酬比例部分)+基金代行額」÷12

(65歳到達月分までは、「老齢厚生年金(報酬比例部分)」は、「特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)」と読み替える)
 

・総報酬月額相当額=その月現在有効な標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12

・基準額:法律条文上は48万円。年度により1万円単位で改定されることがある。令和6年度分の年金に関する基準額は50万円。

 

2.上記1の計算式で計算された年金支給停止額を、国から支給する老齢厚生年金(報酬比例部分)から優先的に支給停止されます。
 

3.国から支給する老齢厚生年金(報酬比例部分)の全額を支給停止してもなお支給停止すべき部分がある場合は、基金等から支給される基金代行部分の年金からも支給停止されるべきこととなります。

 

ただ、国の老齢厚生年金(報酬比例部分)の一部を代行して基金等が支給する部分について、国の在職老齢年金制度と同様に給与との調整によって支給停止するかどうかは、基金等によって異なります。
 

なお、過去の厚生年金基金加入期間分について厚生年金基金が代行支給するはずであった部分が企業年金連合会に移管されている人の場合は、次の通りです。
 

・企業年金連合会から受ける「代行年金」(加入していた厚生年金基金が平成26年3月までに解散し、企業年金連合会が基金から支給義務を引き継いでいる年金)は、国の年金と同様に在職老齢年金制度の対象となる。

・企業年金連合会から受ける「基本年金」(平成26年3月までの厚生年金基金の「中途脱退者」について、企業年金連合会に移管されている年金)は、在職老齢年金制度の対象とならない(高額報酬を受けていても請求すれば全額受給できる)。
 

なお、「基金代行額」は、年金事務所でもらえる「試算結果」に参考表示されているのですが、年金事務所でもらえる「試算結果」の「停止額」は国から支給する老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給停止額です。基金代行部分を基金等が支給停止するかどうかは基金等が決めることであり国や日本年金機構が決めることではありませんので、基金代行部分のうちのいくらが支給停止となるかは記載されていません。
 

平成25年改正により平成26年度以降は厚生年金基金の新設は認められず、既存の厚生年金基金は解散するか確定給付企業年金基金に移行するよう促されることとなりました。
 

しかし、過去に厚生年金基金に加入していた期間があり「基金代行額」が残っている人は今でも少なくありません。

 

(ポイント)

●基金等から支給される基金代行部分の年金が一部でも支給されているケースでは、加給年金額が全額支給されることがある

●国の年金の支給停止額計算式における「基本月額」には「基金代行額」も含めて計算されるが、代行支給分を実際に支給停止するかどうかは基金等による

●企業年金連合会から受ける「基本年金」は、在職老齢年金制度の対象とならない

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