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社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入すべき人の範囲が変わるのでしょうか

被用者保険(健康保険・厚生年金保険)の加入要件について(令和6年10月~)

(2024年12月20日)
 

【よくある質問】
パート従業員の社会保険(健康保険・厚生年金保険)加入要件について教えて下さい。

 

【回答】
 

被用者保険(健康保険・厚生年金保険)に加入すべき人の範囲の概要は、令和6101日以降、次の1および2となっています。

1.
企業規模に関わらず、次の要件を満たす人

1週間の所定労働時間および1月間の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3以上

2.厚生年金保険の被保険者総数が常時50人を超える事業所に勤める、1週間の所定労働時間または1月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の4分の3未満の短時間労働者で、次の要件を全て満たす人

1週間の所定労働時間が20時間以上
・所定内賃金が月額8.8万円以上
・学生でない
 

(注112いずれも、健康保険は75歳未満の人・厚生年金保険は70歳未満の人が被保険者となります。また、12いずれも、2月以内の期間を定めて使用される人で、定めた期間を超えて使用されることが見込まれない人等は被保険者となれません。

(注2)今回解説する被用者保険のさらなる適用拡大は、従業員についての話です。代表取締役等役員の被用者保険加入要件は、今回の話題とは関係がありません。

令和7年改正に向けた被用者保険(健康保険・厚生年金保険)の適用拡大案の概要

令和673日に開催された第16回社会保障審議会年金部会において財政検証結果およびオプション試算が公開され、被用者保険の適用拡大については、次の4つの試算が示されていました。

  :被用者保険の適用対象となる企業規模要件(50人超)の廃止と、5人以上個人事業所に係る非適用業種(飲食業・理美容業等)の解消を行う場合

→約90万人が新たに加入することとなる


  :①に加え、短時間労働者の賃金要件(月額8.8万円)の撤廃または最適賃金の引き上げにより同等の効果が得られる場合

→約200万人が新たに加入することとなる

  :②に加え、5人未満の個人事業所も適用事業所とする場合

→約270万人が新たに加入することとなる

  :所定労働時間が週10時間以上の全ての被用者を適用する場合

→約860万人が新たに加入することとなる


そして、令和61115日開催の第20回社会保障審議会年金部会において厚生労働省は、令和7年改正では前記①および②の実現を目指したいとの考えを示しました。

①については、年金部会の各委員も基本的に賛成していました。 


ただ、保険料負担面でも事務処理面でも負担が大きい改正ですので、「事業所における事務負担や経営への影響、保険者の財政や運営への影響等に留意し、必要な配慮措置や支援策を講じる」こととされています。施行日について、令和2年改正のような段階的な施行とされるのかどうかが注目されるところです。

 

  は、いわゆる「106万円の壁」です。

現在、最低賃金で週20時間働いたとしても賃金月額8.8万円を超える都道府県が12あります(東京・神奈川・大阪・埼玉・愛知・千葉・京都・兵庫・静岡・三重・広島・滋賀)。


令和7年以降の最低賃金アップにより、近い将来、全国どこであっても週20時間以上働くなら賃金月額8.8万円以上となるはずであることから、賃金要件の撤廃が目指されています。
 

なお、前記2の要件の一つである所定内賃金月額8.8万円以上かどうかをみるにあたっては、通勤手当・家族手当・精皆勤手当、時間外・休日・深夜労働の割増賃金、臨時に支払われる賃金や賞与は含まれません。


この、所定内賃金月額8.8万円以上という要件も、厚生労働省は撤廃したい考えを示し、この点についても、多くの委員が賛成していました。
 

以上、①②の内容が年末に公表が予定されている「社会保障審議会年金部会における議論の整理」に盛り込まれる可能性が高いと思われます。その後、改正法案が来年の通常国会に提出され成立したとしたら、法律に定める施行日からは、改正後の内容が適用されます。

 

(ポイント)

●被用者保険の適用対象となる企業規模要件(50人超)の廃止と、5人以上個人事業所に係る非適用業種(飲食業・理美容業等)の解消が検討されている

●短時間労働者の賃金要件(月額8.8万円)の撤廃も検討されている



(注)2024年12月10日開催の第23回社会保障審議会年金部会で厚生労働省は、次のような順番で、進めていく考えを示しました。


・賃金要件の撤廃:最低賃金の動向を踏まえつつ、本要件撤廃の時期に配慮する

・企業規模要件の撤廃:短時間労働者が適用の対象となる事業所は50人以下の中小事業所であり、配慮が必要なことから、十分な周知・準備期間を確保する
 

・非適用業種の解消:新たに被用者保険の適用事業所となり、短時間労働者のみならず、いわゆるフルタイム相当の通常の労働者も適用対象となることから、さらに十分な周知・準備期間を確保する

健康保険料・厚生年金保険料の会社負担を増やせる特例案について

令和6年度現在、パート労働者の「106万円の壁」を意識した働き控え防止への当面の対応策として、社会保険適用促進手当を支給するなど手取りを減らさない取組を実施する企業に対し、助成金が用意されています(「年収の壁・支援強化パッケージ」の一環)。
 

この施策の終了後の時限的な措置として、就業調整を検討するパート労働者層に限定して、従業員と事業主の合意に基づき、被用者保険の保険料の会社負担割合を増やし本人負担割合を減らすことができる特例を設けるという案を、1115日の年金部会で厚生労働省が提示しました。
 

この案に対しては、複数の委員から反対意見が出ました。

SNS等インターネット上では、「パート年金保険料を会社が肩代わり」といった見出しのみを見て誤解している人が多いのか、反射的な批判・デマも多く流されていましたが、当日厚生労働省が提示した案の実施が現時点で決まったわけではありません。
 

万一、現在の厚生労働省案のまま改正法が成立したとしても、この特例を各企業が導入するには合意が前提となっています(合意するかどうかは任意です)。


(参考)2024年12月10日開催の第23回社会保障審議会年金部会で厚生労働省は、特例の適用範囲について、具体的な案を示しました。

「被用者保険の適用拡大及び第3号被保険者制度を念頭に置いたいわゆる「年収の壁」への対応について②」 P12~14
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001348971.pdf

 

 

適用拡大に関する将来的な課題について~複数事業所で原らいている従業員の場合の「20時間以上」要件

なお、被用者保険加入要件のうち1週間の所定労働時間が「20時間以上」かどうかについては、複数の事業所で働いている従業員の場合は、現在、各事業所において週20時間以上かどうかで判断されています。
 

しかし、各事業所における労働時間を合算して週20時間以上であれば被用者保険加入とすべきではないかという論点も以前から出されていました。 
 

この点について令和6年1115日の年金部会では厚生労働省が、「複数の事業所で勤務する者の労働時間等を合算することについては、実務における実行可能性等を見極めつつ、慎重に検討する必要があるとの意見を踏まえ、引き続き検討していくこととしてはどうか。」と示しました。


また、雇用保険の被保険者となるべき所定労働時間(現在は週20時間以上)も令和10101日からは週10時間以上となるため、週10時間以上20時間未満の被用者への被用者保険の適用拡大も、令和12年改正に向けた議論では論点となる可能性が高いでしょう。 

 

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