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令和7年度(2025年度) 最近増えている社長・役員の年金受給失敗事例とは

令和4年度以降、老齢厚生年金(報酬比例部分)のごく一部を受給できる社長・役員が増えている

(2025年6月1日) 

年金と給与の調整(在職老齢年金制度)の基準額は、法律の規定に基づき、名目賃金の変動に応じて、令和4年度からは次の通り毎年度引き上げられてきました。

 令和4年度:47万円

令和5年度:48万円

令和6年度:50万円

令和7年度:51万円

 

 

これにより、最近は、経営者層であっても特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金(報酬比例部分)のごく一部のみを受給できている方が増えています。

 

 

例えば、令和6年度分の年金であれば、在職老齢年金制度の基準額が50万円でしたから、次のような年金額・給与設定の方は、調整の対象となる年金が全額支給停止とはならず、ごく一部のみ支給されました。

 

 

・特別支給の老齢厚生年金または老齢厚生年金(報酬比例部分)が144万円(つまり、調整の対象となる年金の月額換算額である「基本月額」が12万円(144万円÷12

・給与月額60万円(つまり、標準報酬月額が59万円)

・賞与なし

この場合、

年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額+総報酬月額相当額-令和6年度基準額50万円)÷2=(12万円+59万円-50万円)÷210.5万円

 

したがって、

調整の対象となる年金(月額)12万円のうち、1.5万円(12万円-10.5万円)のみが支給。

 

   

小規模企業によくみられる月額変更届の提出漏れによる標準報酬月額誤りと保険料追徴・年金返還

これだけだと問題はないのですが、小規模企業の場合、次のような事例が結構あります。

 

 

例えば、先ほどの事例で、

・会社が4月決算

・健康保険は協会けんぽ(東京都)に加入

・令和66月開催の定時株主総会で、令和67月支給分から1年間の役員給与を月額64万円に引き上げることを決議した

とします。

 

 

この場合、引上げ後の役員給与月額64万円を令和6年7月・8月・93か月連続支給したら、会社は「月額変更届」を速やかに日本年金機構に提出する必要があります。

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-02.html

 

 

提出すると、本人の標準報酬月額が59万円から65万円に2等級上がります。

 

 

これにより、令和610月分からの健康保険料、介護保険料厚生年金保険料、子ども・子育て拠出金が増えます。

 

 

例えば、本人が65歳以上70歳未満であれば、健康保険料(会社負担分+本人負担分)・介護保険料(会社負担分+本人負担分)・厚生年金保険料(会社負担分+本人負担分)+子ども・子育て拠出金(会社負担分)の合計額は、

 

・令和610月分から令和72月分までは(令和6年9月分までと比べると)月額18,144円増え、

 

・令和73月分以降は(令和6年9月分までと比べると)月額18,096円増えます。

 

 

ところが、小規模企業の場合、「月額変更届」という届出を知らなかったなどの理由で、提出すべきであった「月額変更届」の提出が漏れているケースが結構あります。

 

 

この場合、

令和610月から実際の標準報酬月額は65万円となるべきであるのに、日本年金機構に登録されている標準報酬月額は従前の59万円のままの状態となります。

 

 

その後も「月額変更届」の提出漏れに気付かないまま、令和74月・5月・6月に給与月額64万円を支給後、令和771日~10日に、日本年金機構に「算定基礎届」(毎年度この時期に提出している書類です)を提出したとします。

 

 

すると、「令和79月分」から、やっと標準報酬月額が65万円(正しい金額)となります。

 

 

つまり、この場合は、

令和610月分から令和78月分までの11か月分の保険料の納付漏れが生じることとなります。

 

 

納付漏れ額は199,296円(月額18,144×5か月分+月額18,096×6か月分)です。

 

 

 

さらに、令和610月分から令和78月分までの10か月分の年金がもらいすぎとなっていたため(本来受けられないはずの年金が、届出もれにより誤って支給されてしまっていたため)、その分は返す必要があります。

 

 

・(誤)調整の対象となる年金のごく一部が支給されていた

 

・令和610月分から令和73月分までの年金支給停止額(月額換算額)

=(基本月額12万円+総報酬月額相当額59万円-令和6年度基準額50万円)÷2

10.5万円

したがって、老齢厚生年金(報酬比例部分)は月額1.5万円12万円-10.5万円)支給

 

・令和74月分から令和78月分の年金支給停止額(月額換算額)

=(基本月額12.2万円+総報酬月額相当額59万円-令和7年度基準額51万円)÷2

10.1万円
したがって、老齢厚生年金(報酬比例部分)は月額2.1万円12.2万円-10.1万円)支給

(注)理解しやすいように、令和74月分からの年金額改定により、令和74月分以降の基本月額が令和610月分以降の基本月額から2千円増えたものとして試算しています。実際の基本月額の増え方とは異なります。

 

 

 

・(正)調整の対象となる年金は全額支給停止となるべきであった

 

・令和610月分からの年金支給停止額(月額換算額)
=(基本月額12万円+総報酬月額相当額65万円-令和6年度基準額50万円)÷2

13.5万円
したがって、老齢厚生年金(報酬比例部分)
は全額支給停止

 

・令和74月分から令和78月分の年金支給停止額(月額換算額)

=(基本月額12.2万円+総報酬月額相当額65万円-令和7年度基準額51万円)÷2
13.1万円
したがって、老齢厚生年金(報酬比例部分)
は全額支給停止

(注)理解しやすいように、令和74月分からの年金額改定により、令和74月分以降の基本月額が令和610月分以降の基本月額から2千円増えたものとして試算しています。実際の基本月額の増え方とは異なります。)

 

 

以上より、返還すべき年金額は、合計195,000円となります。

・月額1.5万円×6か月分(令和610月分から令和73月分)+月額2.1万円×5か月(令和74月分から令和78月分)

 

 

今回は、届出漏れの対象者が一人だけで、給与の引き上げも2等級だけ、調整の対象となる年金月額12万円の事例ですので、保険料追加納付額や年金返還額はそれほど多くないですが、対象者が複数であったり、給与引上げによる等級引上げが大きかったり、調整の対象となる年金月額が多かったりすると、保険料追加納付額や年金返還額が多くなりますので、注意が必要です。

  

令和8年度からの月額変更届漏れによる標準報酬月額誤りに注意が必要な理由とは? 子ども・子育て支援金や年金改正法(在職老齢年金制度の基準額引上げ、厚生年金保険の標準報酬月額の段階的な引上げ)

なお、令和84月分からは、「子ども・子育て支援金」(会社負担分および本人負担分)もかかりますので、令和8年度以降の「月額変更届」提出漏れにはさらに注意が必要となります。

https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkin

  
 

また、令和7年改正法案には、
・在職老齢年金制度の基準額の引上げ(令和84月分から)

・厚生年金保険の標準報酬月額の段階的な引上げ(令和9年9 月分から、令和10年9月分から、令和11年9月から) 

が含まれています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html

 

 改正法が成立すると、来年度以降は「月額変更届」の提出もれによって、後になって保険料追加納付額や年金返還額が生じる人が増える可能性も考えられます。

 

 

したがって、社会保険料や年金支給停止額を算出するための指標である「標準報酬月額」について、次の1と2では、いつから変わるかが異なる可能性がある、ということを知っておき、「月額変更届」の提出漏れがないようにすることが重要となります。

 

 

1.「定時決定」

毎年7月に提出する「算定基礎届」で定められるのは、その年の9月分からの標準報酬月額であること

 

 

2.「随時改定」

固定的賃金が大きく変動(原則として標準報酬月額等級2等級以上の変動(注))した場合には、変動後の報酬月額を3か月連続支給した後に「月額変更届」を提出することとなっており、これにより、定時決定を待たずに、変動後の報酬月額を支給開始した月から起算して4か月目以降の標準報酬月額が改定されること

 

 

(注)標準報酬月額の最高等級や最低等級に該当する場合は、1等級差の変動であっても、一定以上の報酬月額変動であれば、「月額変更届」を提出すべきこととなっています。
詳しくは、下記リンク先の「4.留意事項」を参照ください。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150515-02.html

 

 

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