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令和7年法改正による配偶者加給年金額の改正の詳細とは

老齢厚生年金に加算される配偶者加給年金額は1割減額となる(令和10年4月1日施行)

(2025年8月4日)


老齢厚生年金(報酬比例部分)(注)が全額支給停止の月分は加給年金額も支給されず、老齢厚生年金(報酬比例部分)(注)が一部でも支給される月分の加給年金額は(要件を満たしていれば)全額支給されます。


令和8年度からの在職老齢年金制度の基準額引上げにより、老齢厚生年金(報酬比例部分)(注)を一部でも受給できる人が増えますから、加給年金額を受給できるようになる人も増えるでしょう。

(注)基金代行額がある場合は基金代行額を含んだ額

今回の改正では、厚生年金被保険者期間240月以上の老齢厚生年金の受給権を取得したときに生計を維持している65歳未満の配偶者がいると加算される配偶者加給年金額などについても、見直されます(令和10年4月1日施行)。


例えば、老齢厚生年金に加算される配偶者加給年金額および特別加算額については、改正によりそれぞれ1割減額となります。
・現行の年額408,100円(注)(受給権者が昭和18年4月2日以後生まれの場合)
→改正後の年額367,200円(注)
(注)いずれも令和6年度価格(特別加算額を含んだ額)

配偶者加給年金額が現行の制度となった昭和60年改正から40年が経過し、女性の釈迦進出や共働き世帯の増加など社会状況が変化したことを踏まえ、見直されることとなりました。


ただし、令和10年3月31日において配偶者加給年金額が加算された老齢厚生年金の受給権を有している人の配偶者加給年金額・特別加算額は、令和10年4月1日以後も1割減額されずに維持される経過措置が設けられています(改正法附則第12条第4項)。

 

配偶者加給年金額の加算要件などは改正後変わらない

老齢厚生年金に配偶者加給年金額が加算されるための要件は、改正前も改正後も次の通りで変わりありません。

・老齢厚生年金の計算の基礎となる厚生年金保険被保険者期間が20年(240月)以上

・老齢厚生年金の受給権を取得したときに、生計を維持している65歳未満の配偶者がい
 

なお、加算対象の配偶者が厚生年金保険被保険者期間20年(240月)以上の特別支給の老齢厚生年金(または繰上げ受給の老齢厚生年金)を受給できる場合は、配偶者加給年金額は支給停止です。

また、老齢厚生年金の繰下げ待機中は加給年金額も支給されません。加給年金額が繰下げ増額されることもありません。
 

昨年の社会保障制度審議会年金部会においては、老齢厚生年金の配偶者加給年金額を廃止すべきとの意見も出ていましたが、今般の改正ではまずは1割減額にとどめられました。
 

ただ、次のような課題点も指摘されていたところですので、令和12年改正に向けてさらなる議論・検討が行われる可能性があります。

・女性の就業率の向上・共働き世帯の増加により、必要性が低くなっている
・単身世帯も増えているところ、扶養する年下の(生まれた月が後にある)配偶者がいる場合のみ加算される制度は不公平

・夫婦の年齢差が大きいほど累計受給総額が多くなる
・老齢厚生年金の繰下げ待機中は加算されないため、老齢厚生年金の繰下げを阻害する

 

ちなみに、障害等級1級または2級の障害厚生年金に加算される配偶者加給年金額については改正されていませんので、ご注意ください。

 

令和10年度に老齢厚生年金に付く配偶者加給年金額はいくらとなりますか

令和10年度(改正法施行年度)の配偶者加給年金額や特別加算額がいくらとなるかは令和7年度現在、まだわかりません。


なぜなら、厚生年金保険法第44条第2項において、老齢厚生年金に加算される配偶者加給年金額は、次の計算で決まることが定められているからです。

配偶者加給年金額は、平成16年度価格で224,700円と条文で定め、その額にその年度の改定率(国民年金法第27条)を乗じて算出されることになっています。

今回の改正条文では、平成16年度価格で204,700円と条文で定め、その額にその年度の改定率(国民年金法第27条)を乗じて算出されることとなりました。

(改正前)224,700円(平成16年度価格)×その年度の改定率

(改正後)202,200円(平成16年度価格)×その年度の改定率



これをもって、施行日(令和10年4月1日)以後に受給権が生じる配偶者加給年金額については、施行日前の額に比べて1割減額となります。


老齢厚生年金の配偶者加給年金額に付く特別加算額については、昭和六十年改正法附則第六十条第二項に定められているのですが、この規定も、今回の改正で、配偶者加給年金額と同様に、1割減額となります。


(改正前)165,800円(平成16年度価格)×その年度の改定率
(受給権者が昭和18年4月2日以後生まれの場合)

(改正後)149,200円(平成16年度価格)×その年度の改定率
(受給権者の生年月日を問わず)
 

(注)令和9年度までの特別加算額は、老齢厚生年金の受給権者の生年月日により、「{33,200円(昭和942日~昭和1541日生まれの場合)~165,800円(昭和1842日以後生まれの場合)}×その年度の改率」です。
令和10年度からの特別加算額は、老齢厚生年金の受給権者の生年月日を問わず、「149,200円×その年度の改定率」です。



以上より、施行日前から配偶者加給年金額の受給権がある人(1割減額されない人)であっても、施行日以後に受給権が生じる人(1割減額される人)であっても、配偶者加給年金額・特別加算額が令和10年度(改正法施行年度)に具体的にいくらとなるのかは、令和10年度の改定率が決まらないと確定しません。


改定率(国民年金法第27条)とは、その年度の老齢基礎年金の満額(新規裁定時)を算出するために使われる指標です。
・老齢基礎年金の満額
=780,900円(平成16年度基準額)×改定率


 

(比較)在職老齢年金制度の令和10年度からどう変わるのか

令和7年改正により在職老齢年金制度の基準額は、令和6年度価格で50万円から62万円に引き上げられました(施行日令和8年4月1日)。


改正前の50万円は、条文上、平成16年度価格で48万円と定められ、平成17年度以降令和6年度までの名目賃金変動率を乗じ続けて算出されたものです。
(このしくみで、令和7年度の基準額は、令和7年度までの名目賃金変動率を乗じ続けて51万円と決定されています)


ところが、改正後の62万円は、「令和6年度価格で」62万円と定められました。


(改正前)48万円(平成16年度価格)×平成17年度以後の各年度の名目賃金変動率

(改正後)62万円(令和6年度価格)×令和7年度以後の名目賃金変動率

以上より、令和8年度の基準額は令和7年8月現在、まだわかりません。
令和8年度までの名目賃金変動率を62万円に乗じ続けて決定されるから
です。

(参考)令和10年度からの子の加給年金額・子の加算の改正の概要

(2025年9月10日)

令和1041日からは、子の加給年金額や子の加算についても大きく改正されます。
 

改正により老齢厚生年金に加算される配偶者加給年金が縮小されるのとは対照的に、子の加給年金額・子の加算については、給付が手厚くなります。
 

年金を受給しながら子を育てる方への支援を強化するためです。

改正の概要は次の通りです。

1.子の加給年金額・子の加算額の引上げ(現行・改正後とも令和6年度価格の年額を表示)

(現行)第2子まで234,800円、第3子以降78,300

 ↓

(改正後)一律281,700
 

なお、施行日前から子の加給年金額や子の加算額を受給している人についても、令和104月分からは子の加給年金額・子の加算額が引き上げられます。

 

2.子の加給年金額・子の加算の新設

(現行)老齢厚生年金には子の加給年金額があり、障害基礎年金・遺族基礎年金には子の加算があります。

 ↓

(改正後)その他、障害厚生年金・遺族厚生年金にも子の加給年金額が設けられます。 さらに、老齢基礎年金にも子の加算が設けられます。

なお、令和1041日において子の加算が行われている障害基礎年金、遺族基礎年金と併給されている障害厚生年金、遺族厚生年金については、令和104月分以降、子の加給年金額が加算されることとなります。
 

改正により、老齢・障害・遺族のすべての基礎年金と厚生年金に子の加算・子の加給年金額が設けられることとなります。

ただし、基礎年金と厚生年金の両方で加算・加給の要件を満たす場合は、厚生年金の子の加給年金額が優先支給され、基礎年金の子の加算は支給停止されます。

 

(参考)老齢厚生年金に加算される子の加給年金額に関する改正について

老齢厚生年金に加算される子の加給年金額は、生計を維持している18歳年度末までの子(または、20歳未満で1級または2級に該当する障害の状態にある子)がいる場合が対象です。

したがって、受給できる方はそれほど多くはありませんが、受給できる方もおられます。
 

この、老齢厚生年金に加算される子の加給年金額の改正についての相談も既にみられますので、この点について以下に解説します。
 

現在は、老齢厚生年金に子の加給年金額がつくためには、原則として老齢厚生年金の受給権が生じたとき(通常は65歳到達時)に、老齢厚生年金の計算の基礎となる厚生年金保険被保険者期間が「20年(240月)以上」必要です。

これが、改正により令和1041日からは、「10年(120月)以上」でよいこととなります。

この改正について最近みられる質問内容は、次のようなものです。

(質問)

令和103月末までに65歳に達し、その時点で生計を維持している18歳年度末までの子がいたものの、65歳到達月の前月までの厚生年金保険被保険者期間が120月以上240月未満であったため老齢厚生年金に子の加給年金額が加算されなかった場合も、令和104月分からは、(引き続き18歳年度末までの子を生計維持していれば、、老齢厚生年金の計算の基礎となる厚生年金保険被保険者期間が240月未満であっても、)新たに子の加給年金額が加算されることとなるのでしょうか?
 

(回答)

その場合は、令和1041日を迎えても、子の加給年金額は付きません。
 

(根拠)

改正法附則第12条第1項に、改正後の規定(120月以上で加算)は、施行日(令和1041日)以後に老齢厚生年金の受給権を取得した人に適用し、施行日前に老齢厚生年金の受給権を取得した人については、「なお従前の例による」、つまり、改正前の規定(240月以上必要)を適用する旨の経過措置が設けられています。
 

質問の事例は、施行日前に65歳到達によりすでに老齢厚生年金受給権を取得しているため、施行日を迎えても老齢厚生年金に子の加給年金額は加算されません。

 

(参考)加給年金額・子の加算の改正に関するその他の注意点

老齢厚生年金に加算される配偶者加給年金額については、令和1041日以後も、現行と同様、老齢厚生年金の計算の基礎となる厚生年金保険被保険者期間が「20年(240月)以上」必要です。「10年(120月)以上」に短縮はされません。
 

令和10年4月1日以後に老齢基礎年金の受給権を取得した人を対象として新設される老齢基礎年金の子の加算は、老齢基礎年金の受給資格期間10年を満たしていれば加算されます。なお、保険料納付済期間と免除期間の月数の合計が25年(300月)未満の場合は、その月数に応じた額に減額されます。

 

令和1041日から新たに創設される障害厚生年金の子の加給年金額は、配偶者加給年金額と同様に、障害等級1級または2級の場合に加算されます。



子の加給年金額、子の加算については、令和1041日から、新たに次の支給停止規定も設けられます。

・子が日本国内に住所を有しない場合は支給停止(留学をする学生など、渡航目的その他を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる場合は支給停止されない)

・夫婦の両方が子の加給年金額・加算の要件を満たしている場合でも、夫婦2人のうち主として子の生計を維持している者にのみ加給・加算を行い、他方の加給・加算は支給停止

ただし、これらについては、改正施行の際に、改正前の規定で子の加給年金額・子の加算が加算されている場合は、既得権保護の観点から支給停止されない経過措置があります。

 

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