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昭和36年4月2日以後生まれの男性社長の年金受給の注意点とは

年金支給開始年齢が65歳の男性社長の年金受給の注意点

(2025年10月31日) 

昭和3642日以後生まれの男性(令和7年度以降に64歳に到達する人)は、特別支給の老齢厚生年金がありません。65歳になってはじめて年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金)を受給することとなります(繰上げ請求しない場合)。
この方たちには、65歳となる約3か月前に年金請求書が届きます。

 

この方たちから「年金事務所に相談にいったら給与との調整(在職老齢年金制度)によって年金が支給停止となると言われたが、何とかしたい」との相談がこの世代の男性社長・役員からあった場合は、65歳からの老齢厚生年金を働きながら受給したいという相談、ということになります。


昭和3641日以前生まれの男性(令和6年度以前に64歳に到達した人)であれば、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢前後に相談が入ることが通常でした。


したがって、高額報酬の男性社長・役員であっても役員給与設定を変更すれば、65歳までの特別支給の老齢厚生年金の支給開始からの受給には間に合わなかったとしても、65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)を働きながら受給することはできたケースが多かったです。


しかし、今後は男性社長・役員から65歳到達前後にはじめて年金受給に関する相談を受けることが多くなるのです。
 

(比較)昭和3742日から昭和3941日生まれの女性(令和7年度・令和8年度に63歳となる女性)は、63歳から特別支給の老齢厚生年金を受給できます(老齢基礎年金の受給資格期間10年以上、かつ厚生年金保険加入期間1年以上の場合)。したがって、63歳となる約3か月前に年金請求書が届きます。

  

65歳前後まで初回の年金相談が遅れることにより生ずる問題とは

男性社長等からの初回の年金相談が65歳前後と遅くなることによって、様々な問題が生じます。

3月決算企業の64歳代表取締役(報酬月額100万円・賞与なし・令和85月に65歳到達・それまでの厚生年金加入期間240月以上)の事例を用いて、以下に詳しくみていきましょう。

 

1.老齢厚生年金の支給停止額の減額ができない期間が生じる

65歳到達の約3か月前(令和82月)に年金請求書が届いてはじめて、「いまの役員給与設定のままでは在職老齢年金制度により老齢厚生年金(報酬比例部分)が支給停止となる」ことを知ったとします。
 

3月決算企業のため、令和85月下旬開催の定時株主総会で同年6月支給分から1年間の役員給与設定の変更を決議するとしても、引き下げ後の報酬月額を6月・7月・8月の3か月連続して支給した後、会社が「月額変更届」を日本年金機構に提出することで、令和89月の標準報酬月額・総報酬月額相当額が下がり、9月分(10月支給分の一部)から老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給停止額の減額が可能となります。


つまり、この事例では、令和83月分(65歳到達月の翌月分)から令和88月分までの6か月分の老齢厚生年金(報酬比例部分)については、支給停止額を減額することができないこととなります。

したがって、当初からもれなく年金を受給したいのであれば、年金請求書が届いた令和8年2月になってから年金のことを考えるのではタイミングが遅すぎるということです。
 

遅くとも令和75月下旬開催の株主総会で役員給与設定変更を決議できるように、それまでに在職老齢年金制度について理解をした上で、役員報酬設定を検討すべきであったといえます。

 

2.老齢厚生年金を繰り下げても、繰下げ効果が完全には生じない

65歳時の老齢厚生年金を66歳以降まで(最高75歳まで)繰下げたときの繰下げ増額は、以下の通りとなります。

(1)  老齢厚生年金(経過的加算部分)は、65歳時の年金額が、
  「繰下げ月数
×0.7%」増額されます(老齢基礎年金の繰下げ増額率と同じです)。

(2)  老齢厚生年金(報酬比例部分)は、65歳時の年金額が、65歳到達月の翌月から

   繰下げ申出月までの「平均支給率」×「繰下げ月数×0.7%」増額されます。

 

「平均支給率」とは、65歳到達月の翌月から繰下げ申出月までの各月の「支給率」を平均したものです。

 各月の「支給率」とは、当該各月において、もし繰り下げずに請求したとしたら、在職老齢年金制度により、65歳時の老齢厚生年金(報酬比例部分)が何%支給されたはずであったかの率です。

各月の「支給率」がいくらになるかは、65歳時の老齢厚生年金(報酬比例部分)がいくらか、各月の具体的な役員給与設定、その年度の在職老齢年金制度の基準額等によります。

 

事例の社長は、令和86月分(65歳到達月の翌月分)から令和88月分までの当初の3か月についてはいずれも「支給率」が100%未満となるため、老齢厚生年金を繰下げても、「平均支給率」100%にはならなくなります。

 

したがって、何歳まで繰り下げたとしても、繰下げ増額効果は「繰下げ月数×0.7%」よりも少なくなってしまいます。

3.配偶者加給年金額が加算されないリスク

事例の社長の配偶者(58歳)も取締役等として数期前から役員給与月額100万円を受けていたとします(他の収入はなし。障害年金受給権もなし)。
 

この場合、社長が65歳到達時において、前年の配偶者の年収が850万円以上、かつ、前年の配偶者の所得が655.5万円以上であったため、一緒に住んでいたとしても、配偶者加給年金額が加算されるための原則的な要件を満たしていないこととなります。

 

4.社長に万一のことがあっても、遺族厚生年金が支給されないリスク

社長に今もし万一のことがあったとしても、死亡時における、前年の配偶者の年収が850万円以上、かつ、前年の配偶者の所得が655.5万円以上であったため、やはり、遺族厚生年金が配偶者に支給されるための原則的な要件を満たしていないこととなります。

65歳年金支給開始の男性社長の初回年金受給相談は、63歳までにいただくことをおすすめします

昭和3641日以前生まれの男性(令和6年度以前に64歳に到達した人)であれば、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢前後に相談を受けた際に説明することで、65歳までには本人や配偶者の役員給与設定を変更できるケースも多かったです。
 

したがって、当面特別支給の老齢厚生年金が支給停止のままという問題や上記4の問題は生じたとしても、上記23の問題に対しては、事前に役員給与設定を変更することで危険を回避できるケースが多くありました。


しかし、昭和3642日以降生まれの男性(令和7年度以降に64歳に到達する人)の場合は、65歳(老齢厚生年金の支給開始年齢)前後に相談を受けた時点で、当面の上記1の問題や4の問題だけでなく23の問題も生じてしまうこととなっているのが通常です。
 

本来ならば、年金支給開始年齢を迎える2年前(63歳到達時点)頃には、年金受給と役員給与設定、繰下げと役員給与設定、配偶者加給年金額や遺族厚生年金と配偶者の役員給与設定について検討いただきたいところです。

 

(ポイント)

65歳支給開始世代の男性社長は、63歳から年金受給準備を始めましょう
年金請求書が届いてからでは遅い——これが新時代の注意点です

 

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