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社長が受給した年金を返せといわれるのはどのようなケースか

10年くらい前までよくみられた年金返還事例

(2025年11月25日)

社長や社長の配偶者(役員)が老齢厚生年金(報酬比例部分)を受給していたものの、法律上は本来受給できるはずでなかったものを受給していたため、受給済みの年金を返せと日本年金機構に言われるケースがあります。

 

 

10年位前までは、次のようなパターンがかなり多かったです。

 

 

・厚生年金の適用事業所で給与を受けて働いているのに、70歳以上被用者該当届」が出ていなかったため、高額報酬を受けていたにも関わらず年金が支給停止されずに受給してしまっていた。

 

 

・厚生年金の適用事業所で高額報酬を受けているのに、被保険者資格喪失届を提出した結果、年金が支給停止されずに受給してしまっていた。

 

 

・二つの法人から報酬を受けているのに、片方の法人において資格取得届の提出が漏れており、本人が行うべき二以上事業所勤務届の提出が漏れていたため、年金が支給停止されずに受給してしまっていた。 
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20131022.html

 

 

 

しかし、これらの事例は今では少なくなっています。

 

 

例えば、「70歳以上被用者該当届」は70歳を境に標準報酬月額が変動するケースを除いては、届出不要となり、自動的に日本年金機構が処理を行うこととなったため、届出漏れはほとんどなくなりました。

https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/hihokensha/20140218.files/70toutatushousaisetumei.pdf

 

その他の、被保険者資格を取得すべきであるのに漏れているケースも、調査で指摘された等で是正されたケースもあり、10年前に比べると目にするケースがかなり減っています。

 

 

 

今でもみられる年金を返せといわれるケースとは?

しかし、もう一つ、年金返還に結び付く、今でもよくあるパターンがあります。

 

 

(典型例)

社長67歳・男性:給与と年金の調整(在職老齢年金制度)により、老齢厚生年金(報酬比例部分)の大部分が支給停止となっているが、ごく一部のみ支給されている。

 

 

63歳の妻(取締役・厚生年金加入期間20年以上)がいるため、老齢厚生年金に付く配偶者加給年金額(令和7年度額は、特別加算額も含め年額415,900円)を全額受給している。

 

 

老齢基礎年金や老齢厚生年金(経過的加算部分)は在職老齢年金制度の対象外のため、全額受給している。

 

 

 

このケースで、妻は63歳に到達して特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢を迎えると、本来なら、夫の老齢厚生年金に付いている配偶者加給年金額は支給停止されるべきものです。

 

 

なぜなら、妻自身に厚生年金加入期間20年以上の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金を含みます)の受給権が生じたときは、配偶者加給年金額は支給停止することが、法令(厚生年金保険法46条第6項、厚生年金保険法施行令第3条の7)で定められているからです。

 

 

 

しかし、妻自身が取締役等として高額給与を受けている場合、次のような誤った意思決定を行うケースがあります。

 

 

・働きながら年金を請求すると、給与と調整されて年金が一部(または全部)支給停止される。

 

・それならば、働いている間は年金を請求せずに繰り下げて、後でもらおう。

 

 

繰下げとは、65歳から受給できる老齢基礎年金や老齢厚生年金をもらい始めるのを66歳以後に遅らせる制度です。

65歳前の特別支給の老齢厚生年金には繰下げ制度はありません。

 

 

したがって、上記事例の妻が年金請求を行わないのは、

・繰下げをしているのではなく、

・行うべき請求手続きを単に放置しているだけ

です。

 

 

このような状態であっても、妻が63歳に到達したら夫の年金に加算されている配偶者加給年金額は停止すべきであるのに、妻が自分の年金請求手続きを放置することによって、配偶者加給年金額が加算され続けてしまいます。

 

 

本来、法律上はもらえないのに、妻の未請求が原因でもらい続けてしまった配偶者加給年金額を、社長は結局返す必要があります。

 

 

 

そのような事態にならないように、社長の配偶者は、特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを放置せずに行う必要があったのです。

 

 

なお、このような事例で、配偶者加給年金額の誤支給が発覚するのは、妻が65歳からの年金請求手続きを行った際が多いです。

 

 

妻が年金請求を行った時点で年金機構は、妻の年金加入記録や夫の加給年金受給状況を必ず確認するからです。

 

 

63歳年金支給開始の妻が65歳になって年金を請求すれば、貰いすぎで返還すべき加給年金額は2年分で済みます。

 

補足解説

●(補足1)加給年金額の停止は妻の年金の「受給権発生時」

 

この点がわかりにくいかもしれませんので、下記に整理しておきます。

 

・妻が63歳になった時点で妻には特別支給の老齢厚生年金の「受給権発生」

 

・妻が請求していなくても、法律上は「受給権あり」(厚生年金保険法第46条第6項の「受けることができるとき」に該当)。
(注)2020年改正により、2022年4月1日以後に受給権が生じた配偶者加給年金額については、妻の年金が特別支給の老齢厚生年金や繰上げ受給の老齢厚生年金の場合は、これらの年金が在職老齢年金年金制度によって全額支給停止となっていたとしても、
厚生年金保険法第46条第6項の「受けることができるとき」に該当することとなりました。

 

・よって、夫の加給年金額は支給停止要件に該当

 

・妻に受給権が発生したとしても、妻が請求手続きを行わない限り、日本年金機構が妻の年金受給権発生を確定的に判断できないため、夫の年金に配偶者加給年金額が加算され続けてしまう

 

 ・後日発覚した時点で夫は、支給停止となる筈であったのにもらい続けてしまった過誤払いの加給年金額を返還

 

 

●(補足2)請求が遅れると、特別支給の老齢厚生年金はどうなるか 

 

妻が63歳で支給開始年齢に到達し、請求をしない場合でも、5年以内に請求すれば63歳時に遡及して支給されます(ただし、給与との調整で支給停止となるべきであった部分は支給されません)。

 

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