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(2026年4月20日)
令和8年(2026年)4月分(6月支給分)から、高額報酬の経営者であっても働きながら年金を一部受給できる人が多くなります。
年金と給与の調整(在職老齢年金制度)の基準額が、改正により令和8年度(2026年度)分から、65万円に大幅に引き上げられたことによります。
これにより、今後は経営者層の老齢厚生年金受給への関心が高まるものと思われます。
そこで、以下では、「今後厚生年金保険に加入し続けることにより、老齢厚生年金(報酬比例部分)はどれだけ増えるのか」について解説します。
老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額の計算式は次の通りです。
・老齢厚生年金(報酬比例部分)
=平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの厚生年金保険被保険者期間の月数
+
平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の厚生年金保険被保険者期間の月数
平成15年4月から「総報酬制」が導入され、賞与も年金額に反映するようになったため、それまでの「平均標準報酬月額」ではなく「平均標準報酬額」を用いて計算することとなりました。
「平均標準報酬月額」とは、平成15年3月までの厚生年金保険被保険者期間に受けた各月の報酬月額から計算された各月の「標準報酬月額」を、今の水準に「再評価」した上で
平均した額です。
一方、「平均標準報酬額」とは、平成15年4月以降の厚生年金保険被保険者期間に受けた各月の報酬月額および賞与額から計算された各月の「標準報酬月額」および「標準賞与額」を、今の水準に「再評価」した上で平均した額です。
いずれについても、今の水準に再評価するための「再評価率表」は、毎年度改定されます。
例えば、令和8年度の再評価率表(原則的な年金額計算で用いられるもの)は、以下リンク先記載の通りです。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/kyotsu/nenkingaku/20150401-01.files/8_kounen.pdf
この表を見るとわかるように、令和8年度再評価率は、令和7年度・令和8年度の厚生年金保険被保険者期間については同率ですが、令和6年度以前の厚生年金保険被保険者期間については毎年度異なって
います。
令和8年度再評価率に基づき「平均標準報酬月額」・「平均標準報酬額」を算出して先ほどの年金額計算式にあてはめて、令和8年度の老齢厚生年金(報酬比例部分)の原則的な額が算出されます。
それでは、令和8年度に厚生年金保険に加入した記録が老齢厚生年金(報酬比例部分)の額に将来どのように反映するのかを知りたい場合は、どうすればよいでしょうか。
簡易計算方法は、次の通りです。
例えば、昭和13年度以後生まれの方が令和8年4月から令和9年3月までの間に厚生年金保険に加入した場合の再評価率は0.921です。
(上記リンク先の「令和8年度再評価率表(一般)の右下に記載されている率です)
また、例えば、令和8年度の各月の報酬月額が635,000円以上で賞与なしの人(昭和13年度以後生まれ)なら、令和8年度の厚生年金保険の標準報酬月額は65万円(上限)です。
そのような方が、令和9年4月以降まで継続して厚生年金保険に加入した場合に、令和8年度の12か月間厚生年金保険被保険者であったことによって、老齢厚生年金(報酬比例部分)が(令和8年度額で)年間いくら増えるかを知りたいときの簡易計算式は次の通りとなります。
・標準報酬月額65万円×令和8年度再評価率0.921×5.481/1000×令和8年度の厚生年金保険被保険者期間の月数12月=39,374円
ただし、新しく増えた厚生年金保険加入記録が、実際に年金額に反映するのは、次のいずれかの時点に限られます。
・(65歳以上70歳未満の厚生年金保険被保険者のみ)毎年10月分から反映
・(65歳前の特別支給の老齢厚生年金の受給権がある人のみ)
65歳到達月の翌月分から反映
・70歳到達月の翌月分から反映
・70歳までに退職した月の翌月分から反映
なお、これらの時期が令和9年度以降となる場合は、その年度の再評価率で計算されて反映することとなります(将来の制度改正・スライド調整により変動する可能性あり)。
ちなみに、
・(65歳以上70歳未満の厚生年金保険被保険者のみ)毎年10月分から反映
については、
令和8年4月から8月までの厚生年金保険加入記録は令和8年10月分からの年金額改定の時点で加味され、令和8年9月以降(令和9年8月まで)の厚生年金保険加入記録は、令和9年10月分からの年金額改定の時点で加味されることとなります(「在職定時改定」という仕組みです)。
以上、令和8年4月からの厚生年金保険加入がどのように年金額に反映するのかのうち、老齢厚生年金(報酬比例部分)への反映のみについて、概要を解説しました。
なかなか複雑なしくみですが、基本的知識として、
・厚生年金保険加入記録はすぐには年金額には反映しないものの、いずれ反映する
・令和8年度は、報酬月額635,000円を超えて報酬月額を受けても、超えた部分は年金額には全く反映しない
ということは知っておきたいですね。
また、老齢厚生年金(報酬比例部分)が増えても、給与との調整(在職老齢年金制度)による年金支給停止額計算においては、増額後の老齢厚生年金(報酬比例部分)を用いて計算されることも、在職中の給与設定を検討する上では大変重要です。
老齢厚生年金には、「報酬比例部分」と「経過的加算部分」があります。
上記で解説した「報酬比例部分」の年金額は、厚生年金保険被保険者期間の月数や、その期間に受けた報酬・賞与の額(標準報酬月額・標準賞与額)が年金額に反映します。
一方、「経過的加算部分」の年金額は、厚生年金保険被保険者期間の月数だけが年金額に反映します。
加入中に受けた報酬・賞与の額は年金額には反映されませんので、加入中に受けた報酬・賞与が多かった人も少なかった人も、同じ月数だけ厚生年金保険に加入すれば、同じ年金額となります。
老齢厚生年金(経過的加算部分)の令和8年度額の計算式は、以下の通りです。
(令和8年度額)
1,766円*×厚生年金保険被保険者期間の月数(上限480月)-老齢基礎年金の満額847,300円**×(昭和36年4月1日以降の)20歳以上60歳未満の厚生年金保険被保険者期間の月数÷480月
*昭和31年4月1日以前生まれの人は1,761円
**昭和31年4月1日以前生まれの人は、844,900円
ここで、最大のポイントは、上記計算式の前半部分で用いられる厚生年金保険被保険者期間の月数には、「上限480月」があることです。
厚生年金保険には20歳未満であっても入れますし、また、70歳未満であれば入れますので、長年加入してきた方の中には、合計500月や600月を超えて加入されている方もおられます。
そのような方であっても、480月を超えて厚生年金保険に加入した月数(やその期間に受けた報酬・賞与)は、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額には反映するものの、
480月を超えて厚生年金保険に加入した月数は、老齢厚生年金(経過的加算部分)の年金額には反映しません。
一方、これまでの厚生年金保険被保険者期間の月数が480月未満の方は、今後も厚生年金保険に加入することで、厚生年金保険被保険者間の月数合計が480月に達するまでは、老齢厚生年金(経過的加算部分)の年金額増に反映します。
例えば、大学卒業後就職して厚生年金保険にずっと加入してきた方なら、60歳までに480月(40年)加入に、あと2年ほど足りないことになるため、480月加入となるまで60歳以降も加入することによって老齢厚生年金(経過的加算部分)が増えます。
60歳までの厚生年金被保険者期間が360月程度と少なかった方であれば、60歳以降も65歳以降も厚生年金保険に加入することにより、(合計480月になるまでを限度に)老齢厚生年金(経過的加算部分)が増えます。
このような方の場合、65歳以上70歳未満の間、毎年10月分から老齢厚生年金額を増やしてくれる「在職定時改定」により、報酬比例部分だけでなく経過的加算部分も(合計480月となるまでを限度に)増えます。
なお、老齢厚生年金(経過的加算部分)は、老齢厚生年金(報酬比例部分)と異なり、在職老齢年金制度の対象外ですので、年金額が増えても、働きながら全額受給できます。
令和8年度の老齢基礎年金額の計算式は次の通りです(国民年金保険料の免除を受けた期間がない場合)。
847,300円*×保険料納付月数÷480月
*昭和31年4月1日以前生まれの方は、844,900円
ここでの、「保険料納付月数」には、自営業者等として国民年金保険料を納付した期間(第1号被保険者期間・任意加入被保険者期間)はもちろん、国民年金保険料を負担しない「第3号被保険者」期間も含まれます。
さらに、「20歳以上60歳未満の厚生年金保険被保険者期間」も、ここでの「保険料納付月数」に含まれます。
厚生年金保険被保険者期間のうち、「保険料納付月数」に含まれて老齢基礎年金額に反映するのは、「20歳以上60歳未満」の期間だけです。
「20歳未満」や「60歳以上」の厚生年金保険被保険者期間は、老齢基礎年金計算式中の「保険料納付月数」に含まれないため、老齢基礎年金には反映しません。
したがって、60歳以降厚生年金保険に加入し続けても、老齢基礎年金額は増えません。
なお、老齢基礎年金は在職老齢年金制度の対象外ですので、働きながら全額受給できます。

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