60歳以上現役社長の老齢厚生年金受給・役員報酬最適化なら滋賀県大津市の労務財務の専門家・FP奥野文夫事務所にお任せください!

中小企業社長さまの老齢厚生年金・社会保険等に関するお悩みを解決します。


FP奥野文夫事務所

〒520-0106 滋賀県大津市唐崎3-23-23

営業時間

月〜金 9:00〜18:00
(定休日:土日祝日)

FAX

077-578-8907

後期高齢者医療制度への金融所得反映や公金受取口座の自動登録は、老齢厚生年金の支給停止額には反映しない

後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映と、在職老齢年金制度による年金支給停止額

(2026年8月27日)  

【ポイント】

●「金融所得の公平な反映」は、後期高齢者医療制度の保険料や窓口負担割合等が対象

●今回の「金融所得の公平な反映」が実施されても、現行制度上、金融所得が在職老齢年金の支給停止額に影響することはない
 

 

【質問】後期高齢者医療制度に金融所得が反映されると、年金にも影響しますか?
「金融所得の公平な反映」により、老齢厚生年金の支給停止額にも影響が生じますか?


 

【回答】

現在、上場株式の配当や譲渡益については、源泉徴収によって納税を済ませ、確定申告をしなかった場合、その金融所得は国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料・窓口負担割合の判定等には反映されません。
 

一方、確定申告をすると、その金融所得も含めて所得が判定されるため、国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料・窓口負担割合、65歳以降の介護保険料や利用者負担割合が変わる場合があります。
 

■令和8年6月に改正法が公布

この点については以前から、不公平を解消する必要があるのではないかとの議論が行われてきましたが、令和8年6月5日に「健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)」が公布されました。
 

同法による「高齢者の医療の確保に関する法律」の改正により、後期高齢者医療において、上場株式の配当等の金融所得を保険料の算定や窓口負担割合等の判定に公平に反映するため、金融所得の支払に係る報告書等(法定調書)を金融機関等がオンラインにより後期高齢者医療広域連合へ提出することが義務付けられることとなりました。
 

これにより、確定申告をしなかった金融所得についても、金融機関等が提出する法定調書を活用して把握し、後期高齢者医療制度の保険料の算定や窓口負担割合等の判定に反映されることとなります。
 

このように、「金融所得の公平な反映」は、まずは、後期高齢者医療制度の保険料や窓口負担割合を対象に行われる予定となっています。なお、窓口負担割合は現在、所得に応じて1割、2割または3割となっています。
 

ただし、この金融所得の反映に係る規定の施行日は、「公布の日から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。
 

厚生労働省が示した想定スケジュールでは、法定調書のデータベース構築や市町村・広域連合のシステム改修等に要する期間も踏まえ、公布後4~5年程度(オンライン提出義務化後1年8か月程度)での反映が見込まれています。
 

(注)NISA口座内で非課税となる配当や売却益等は、改正施行後も、後期高齢者医療制度の保険料や窓口負担割合の判定には反映されません。
 

SNSやネットでは、「最初は後期高齢者だけかもしれないが、いずれ70歳以上75歳未満にも拡大され、さらに70歳未満、60歳未満、もっと若い世代にも対象が広げられるはずだ」といった、不安を煽るような情報も既に多く見られます。
 

介護保険については、65歳以降の介護保険料や利用者負担割合への金融所得の反映について、今後さらに議論が行われる可能性はあるでしょう。
 

また、75歳未満の国民健康保険料や窓口負担割合についても、金融所得を反映させるべきだとの議論が今後行われる可能性はあります。
 

ただし、健康保険の適用事業所に勤務する75歳未満の人は原則として健康保険の被保険者となります。

そのため、同じ年齢層でありながら、国民健康保険の被保険者については金融所得を反映し、健康保険の被保険者については反映しないという制度になれば、公平性をどう考えるのかという別の問題も生じることになります。
 

したがって、後期高齢者医療制度以外にどこまで対象を広げるかについては、今後の制度改正の議論を見ていく必要があります。
 

■年金支給停止額への影響についての質問も
 

ところで、SNSやネット上のこうした情報をみた社長からは、さらに不安を募らせ、「在職老齢年金制度による老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金支給停止にも、金融所得が影響するようになるのですか」との問い合わせも出てきています。
 

この点については、そのような改正は行われていません。
 

現行の厚生年金保険法では、在職老齢年金制度による年金支給停止額(月額換算額)は、次の計算式で計算されます。
 

・年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額+総報酬月額相当額-基準額)×1/2

令和8年度の基準額(支給停止調整額)は65万円です。
 

(注)「基本月額」とは、老齢厚生年金(報酬比例部分)や特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額です。

「総報酬月額相当額」とは、その月の標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の合計÷12です。なお、70歳になると厚生年金保険の被保険者ではなくなりますので、70歳以上被用者の在職老齢年金については、「標準報酬月額」「その月以前の1年間の標準賞与額の総額」に代えて、「標準報酬月額に相当する額」「その月以前の1年間の標準賞与額および標準賞与額に相当する額の総額」を用いて支給停止額が計算されます。

 

「総報酬月額相当額」の構成要素である「標準報酬月額」「標準賞与額」の基礎となる「報酬」「賞与」は、いずれも労働の対償として受けるものです(厚生年金保険法第3条第1項第3号・第4号)。
 

保有する上場株式の売却益や配当金などは、勤務している厚生年金保険適用事業所から労働の対償として受けるものではありません。
 

したがって、現在の厚生年金保険法上の「報酬」「賞与」には含まれず、「標準報酬月額」「標準賞与額」、ひいては在職老齢年金の支給停止額計算に用いる「総報酬月額相当額」にも含まれません。
 

ですから、金融所得がいくら多くても、また、金融所得の情報が後期高齢者医療制度で把握され、保険料や窓口負担割合に反映されるようになっても、現行制度上、それだけで在職老齢年金の支給停止額が増えることはありません。
 

■金融所得を年金支給停止額に反映させるには法改正が必要
 

将来、金融所得を在職老齢年金の支給停止額に反映させる制度に変更するのであれば、厚生年金保険法上の在職老齢年金の支給停止の仕組みを改正する必要があります。
 

給与・賞与以外の収入が在職老齢年金の支給停止額に反映されないことについては、公平性の問題が以前から繰り返し指摘されてきました。

令和7年改正に向けた社会保障審議会年金部会でも、次のような趣旨の意見が出ていました。
 

・支給停止の対象となるのは、厚生年金の適用事業所で働く被保険者や70歳以上の者の賃金であり、自営業や請負契約、顧問契約で働く者の収入、不動産収入等は対象にならないという、就業形態の違いによる公平性の問題がある。

・厚生年金保険の適用要件を満たさない人や、賃金以外の収入がある人との公平性を確保するため、事業所得、家賃、配当、利子などを含む総収入をベースとして年金額を調整する制度に改めるべきではないか。
 

こうした公平性に関する意見は以前からありますが、令和7年改正では、金融所得等を在職老齢年金の支給停止額に反映する制度は盛り込まれませんでした。今後も同様の意見が出る可能性はありますが、現時点で具体的な改正案が示されているわけではありません。
 

したがって、「後期高齢者医療制度で金融所得が反映されるようになるのだから、いずれ金融所得によって年金も減らされる」とまで現時点で考える必要はありません。
 

(ポイント)

●「金融所得の公平な反映」は、まずは後期高齢者医療制度の保険料や窓口負担割合を対象に行われる予定

●今回の「金融所得の公平な反映」が実施されても、現行制度上、金融所得が在職老齢年金の支給停止額に影響することはない

 

公金受取口座の自動登録と在職老齢年金制度による年金支給停止額


【質問】公金受取口座の自動登録により、年金に影響は生じますか?
公金受取口座の自動登録により、在職老齢年金制度による年金支給停止額に影響が生じることはありますか?

 

【ポイント】

●令和8年8月から、対象となる年金受給者について「行政機関等経由登録の特例制度」が始まった
●登録を希望しない場合は、意向確認書の到着から45日以内に「不同意申出書」の提出が必要
●年金振込口座が公金受取口座として登録されても、現行制度上、在職老齢年金の支給停止額には影響しない

 

後期高齢者医療制度への「金融所得の公平な反映」が実施されても、現行制度上、金融所得が在職老齢年金の支給停止額に影響することはないことについては、既に解説しました。
 

ここでは、公金受取口座の登録により、在職老齢年金の支給停止額に影響することはないのか、について解説します。
 


■年金振込口座を公金受取口座に登録できる制度

公金受取口座登録制度とは、給付金等を受け取るための預貯金口座を1人1口座、国(デジタル庁)に登録する制度です。
 

あらかじめ登録しておけば、給付金等の申請の際に口座情報を記載したり、通帳の写し等を提出したりする必要がなくなるなどのメリットがあります。

令和7年6月からは、年金請求手続きの際に年金受取口座として指定した口座について、公金受取口座への登録を希望する場合、その口座を公金受取口座として登録できるようになりました。
(日本年金機構https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/kyotsu/kokinkoza.html)

さらに、令和8年8月から「行政機関等経由登録の特例制度」が始まりました。

この制度の対象となるのは、年金受給者のうち、公金受取口座を登録しておらず、令和8年4月15日時点で65歳以上(昭和36年4月16日以前生まれ)の方です。


対象者には、令和9年2月頃までに順次、日本年金機構から「公金受取口座に関する大切なお知らせです」と記載された茶色の封筒が簡易書留で送付されます。
(デジタル庁 https://www.digital.go.jp/policies/account_registration/pension)


年金振込口座を公金受取口座として登録することを希望する場合は、手続きは必要ありません。


一方、登録を希望しない場合は、意向確認書に付いている「不同意申出書」に必要事項を記入し、意向確認書が到着してから45日以内に返送する必要があります。

期限までに不同意の申出をしなかった場合は、年金振込口座が公金受取口座として登録されます。

登録が完了するまでには3~4か月程度を要し、完了後はマイナポータルのお知らせ、または「公金受取口座の登録等に関するお知らせです」と記載されたはがきにより通知されます。


なお、公金受取口座への登録は義務ではありません。また、この特例制度によって登録された後でも、マイナポータルや金融機関の窓口等で登録を解除することができます。

 

■公金受取口座を登録すると、預金残高も把握される?

この制度について、「何もしなければ年金振込口座が公金受取口座として登録されるのであれば、その口座の預金残高や取引履歴も国に把握されるのではないか」と心配する人もいるようです。

しかし、公金受取口座を登録しても、国がその口座の預金残高や取引履歴を把握することはありません。

デジタル庁によると、登録される口座情報は、金融機関名、店舗名、口座種別、口座番号、口座名義など、給付金等を振り込むために必要な情報です。口座の暗証番号、預金残高、取引履歴などは登録されません。

つまり、今回の特例制度によって行われるのは、日本年金機構が年金振込のために保有している口座情報をデジタル庁に提供し、その口座を公金受取口座として登録することです。その口座にいくら預金があるのかという情報までデジタル庁に提供されるものではありません。


また、公金受取口座は給付金等を受け取るための制度であり、税金等を徴収するための制度ではありません。公金受取口座を登録したことによって、その口座から税金等が引き落とされることもありません。
 

■在職老齢年金の支給停止額には影響する?
 

今般の「行政機関等経由登録の特例制度」についても、次のような質問を受けることがあります。

(質問)

年金振込口座を公金受取口座として登録することについて、不同意の回答をしないままだと、年金振込口座が公金受取口座として登録されますが、老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金支給停止額に影響がありますか。
 

(回答)
いいえ。影響はありません。

まず、前述したとおり、公金受取口座を登録しても、預金残高や取引履歴が国に把握されるわけではありません。

また、在職老齢年金の支給停止額は、「基本月額」と「総報酬月額相当額」に基づいて計算されます。

・年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額+総報酬月額相当額-基準額)×1/2
(注)令和8年度基準額(支給停止調整額)は、65万円です。
   「基本月額」とは、老齢厚生年金(報酬比例部分)÷12です。
「総報酬月額相当額」とは、「その月の標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞             与額の総額÷12」です。
 

そして、「標準報酬月額」「標準賞与額」の基礎となる「報酬」「賞与」は、厚生年金保険法上、「労働の対償として受けるもの」とされています。

預金残高はそもそも「報酬」「賞与」ではありません。また、預金から生じる利息も、株式の配当・売却益などの金融所得と同様に、勤務している厚生年金保険適用事業所から労働の対償として受けるものではありません。

公金受取口座として登録される金融機関名、店舗名、口座種別、口座番号、口座名義といった情報も、在職老齢年金の支給停止額を計算するための情報ではありません。

したがって、年金振込口座が公金受取口座として登録されても、現行制度上、在職老齢年金の支給停止額には影響しません。

今回の特例制度は、年金振込口座を公金受取口座として登録するためのものであり、在職老齢年金の支給停止額を計算する仕組みを変更するものではありません。



(ポイント)
●令和8年8月から、対象となる年金受給者について「行政機関等経由登録の特例制度」が始まった
●登録を希望しない場合は、意向確認書の到着から45日以内に「不同意申出書」の提出が必要
●年金振込口座が公金受取口座として登録されても、現行制度上、在職老齢年金の支給停止額には影響しない

経営者様からのお電話でのお申込みはこちら

お電話でのお申込みはこちら

077-578-8896

営業時間:9:00〜18:00 (定休日:土日祝日)
担当:奥野 文夫 (おくの ふみお)

現在大変多くコンサルティングのお申込みをいただいており、無料電話相談は行っておりません。
(奥野の留守中にお電話いただき、伝言いただきましても、こちらから折り返しお電話をすることはできません。)

所長の奥野です。

社長さまのお悩みを、
年金・社会保険相談の専門家(FP・社労士)として開業25年超の私が、最後まで責任を持って解決いたします。

無料メール講座
(全国対応)

中小企業経営者様限定

60歳以上現役社長が働きながら年金を受け取るために必要な基礎知識(全13回)を無料で
ご覧いただます!

 

無料メール講座登録はこちら

(社労士、税理士、コンサルタント、FP等同業者の登録はご遠慮ください。)