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平成28年10月1日からのパートタイム労働者の社会保険適用拡大・標準報酬月額等級の改正と法人の常勤役員の社会保険加入

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しかし、ときどき、経営者以外の方からホームページ記事に関する感想やご質問、ご相談をいただくことがあります。

先日も、ある面識の無い遠方の税理士さんから、次のような感想・ご質問をいただきました。

「1人法人の社長が適用事業所に使用される者、とされた判例はのどにつかえていたものがとれた感じでした。ありがとうございました。
これに関することですが、代表者は、年収130万円以下にもかかわらず第3号被保険者にはなれない、とされていることは従業員との公平さを欠くことになり、この判例に反すると思いますが、この考えの根拠などをホームページなどでご紹介していただきたいと存じます。」



今回のご質問は、税理士さんからの質問ではありますが、社長様方からいただくこともある内容です。


また、今年10月以降のパートタイマーへの社会保険適用拡大とも関係してきますので、参考までに、回答を考えながら補足情報を提供してみたいと思います。




まず、最初に記載されている「1人法人の社長が適用事業所に使用される者、とされた判例」とは、私どものホームページに公開している「一人法人の社長がなぜ社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入しなければならないのか。」という記事で触れた判例のことです。


従業員もいないのに、法人としているだけで何故社会保険に加入しなければならないのでしょうか、という質問をよくいただきますので、作成した記事です。


この記事をご覧いただいた上で、法人の「代表者は、年収130万円以下にもかかわらず第3号被保険者にはなれない、とされていることは従業員との公平さを欠くことにな」ると指摘されているわけですね。

 



まず、「第3号被保険者」とは何でしょうか。


第3号被保険者とは、国民年金法第7条の「強制加入被保険者」のうちの一つで、次の要件に該当する者のことをいいます。

・第2号被保険者の配偶者であって、
・主として第2号被保険者の収入により生計を維持する者(被扶養配偶者)
であって、
・20歳以上60歳未満の者


主として第2号被保険者の収入により生計を維持することの認定は、民間企業勤務の方の場合は、健康保険法における被扶養者の認定の取扱いを勘案して日本年金機構が行うこととなっています。(国民年金法施行令第4条)


認定対象者が被保険者と同一の世帯の場合は、具体的には、次の要件を満たす場合に生計維持関係があると判定され、被扶養配偶者となり、第3号被保険者となり得ます。

・認定対象者の年収が130万円未満、かつ、原則として被保険者の年収の2分の1未満


また、国民年金の第2号被保険者とは、厚生年金保険の被保険者のことを指します。

(ただし、65歳以上の厚生年金被保険者でも、老齢基礎年金、老齢厚生年金その他老齢・退職を支給事由とする年金の受給権がある人は第2号被保険者とはなりません。)



そして、第2号被保険者の配偶者自身が厚生年金の被保険者である場合は、年収によらず、第3号被保険者とはならず、第2号被保険者となります。



以上の通り、第3号被保険者になるための要件については、「公平さを欠く」点はみられません。



おそらく、ご質問をいただいた方は、次の二つのケースで厚生年金保険の被保険者となるかならないかの取り扱いが異なる点が不公平だ、ということを仰りたいのではないかと推察します。


・法人(A社)の代表者や代表者の配偶者が取締役等常勤役員として130万円未満の報酬を受けている場合
・A社またはA社以外の会社で厚生年金被保険者として働いている人の配偶者が、A社の従業員として130万円未満の報酬を受けて働いている場合



法人の常勤役員は、法人から報酬を受けていれば、報酬額に関わらず厚生年金保険法9条の被保険者となります。


一方で、従業員については、(現状では厚生年金保険法に明記されていないにも関わらず)次のような取り扱いが行われています。


・労働日数、労働時間、就労形態、職務内容等に基づき総合的に判断し、「常用的使用関係」にあると判断された場合に被保険者となる。

そして、その判断の一つの基準として、次の二つの要件を両方満たす就労者は原則として被保険者とするという取扱いが行われてきました。(平成28年9月末日まで)

・1日または1週の所定労働時間が通常の就労者の概ね4分の3以上
・1か月の所定労働日数が通常の就労者の概ね4分の3以上

(平成28年10月1日以降は、1週間の所定労働時間および1月間の所定労働日数が通常の就労者の4分の3以上であれば、被保険者となることとなりました。)


この取り扱いが、常勤役員の場合の取り扱いと異なるので不公平だ、と言われれば、そうかもしれません。


しかし、そもそも役員の場合は、法人との契約関係は委任契約であって労働契約ではありませんので、所定労働時間や所定労働日数という概念はありません。

ですから、常勤役員の場合にこの基準をそのままあてはめることはできません。


この基準はもともとは、昭和55年6月6日に出された当時の厚生省から当時の各都道府県保険課(部)長宛の内簡で示されたものです。


厚生年金保険法に明記されているわけではないのに、パート労働者等で厚生年金保険被保険者となれる者を限定する、という取扱いがその後ずっと行われてきたわけです。


このような取り扱いに関しては、上記リンク先に記載の通り、平成10年10月の年金審議会でも、次のような議論がされていました。


「就業形態が多様化している中で、パートタイム労働者に対してもできるだけ厚生年金を適用すべきであるとの意見がある。
パートタイム労働者に対して厚生年金の適用を拡大することは、国民年金保険料よりも低い保険料負担で基礎年金に加えて報酬比例部分の年金を受けることとなり、第1号被保険者との均衡を損なうという問題があるほか、医療保険の被扶養者の取扱いや税制等との整合性の問題があり、更に慎重に検討する必要がある。」



その後、平成24年2月に閣議決定された「社会保障・税一体改革」においても、適用拡大の方向性が示されていました。


そして、パート労働者等への社会保険適用要件については、厚生年金保険法第12条(適用除外の条文)および「年金機能強化法」(「正式名称「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」)の附則第17条に明記がされることとなり、いよいよ平成28年10月から適用拡大が実施されることとなりました。


なお、当面は、「特定適用事業所」に勤務する一定の要件を満たす「短時間労働者」のみを対象として適用拡大されます。


具体的には、次の要件をすべて満たす場合に社会保険に加入させるべきこととなります。



・週の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金8.8万円以上
(年収106万円以上)
・勤務期間1年以上見込み
・学生でないこと

・従業員 501人以上の企業 
(適用拡大前の基準で適用対象となる労働者の数で算定)



また、これに伴い、平成28年10月1日以降は、厚生年金保険法の標準報酬月額等級区分の改正が行われます。

【改正前:平成28年9月30日以前】
標準報酬月額等級第1級は標準報酬月額98,000円
(報酬月額101,000円未満)

標準報酬月額等級は第1級から第30級まで。


【改正後:平成28年10月1日以降】
標準報酬月額等級第1級は標準報酬月額88,000円
(報酬月額93,000円未満)

標準報酬月額等級第2級は標準報酬月額98,000円
(報酬月額93,000円以上101,000円未満)

標準報酬月額等級は第1級から第31級まで。


現行の標準報酬月額等級第1級が第2級となり、新たな第1級が設けられることとなります。



補足情報としては、以上です。



あとは、一般的なこととして、
厚生年金保険加入の場合と国民年金加入の場合との、費用負担や保険給付・給付の内容を勘案すると、厚生年金保険加入の方が必ずしも損とはいえないと思います。


ですから、ご質問への直接の回答にはなっていないかもしれませんが、代表者等役員の方が従業員に比べて損となる形で不公平だとはいえないと、私(奥野)自身は考えています。

 

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