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高額報酬の社長が65歳から役員報酬を引き下げて老齢厚生年金をもらう場合の注意点とは

65歳までと65歳からの在職老齢年金の仕組みの違い

(2022年4月16日)

60歳台前半で「特別支給の老齢厚生年金」をもらえる年齢を迎えて年金請求書を提出しても、毎月法人から高額報酬を受けているため年金が全額支給停止となっている経営者の方が多いと思います。

 

しかし、年金と報酬・賞与との調整のしくみ(在職老齢年金制度)は、65歳到達月分までの年金についてと65歳到達月の翌月分からの年金についてとでは、年金支給停止額の計算の仕方が次のように変わります。(「65歳到達月」とは、65歳になる誕生日の前日の属する月のことをいいます。4月1日生まれの方は3月が65歳到達月です。)

 

1.65歳到達月分まで:「特別支給の老齢厚生年金」の月額換算額と役員報酬(役員給与)の月額換算額との合計が28万円以下なら特別支給の老齢厚生年金は全額もらえます。(注1参照)
 

「特別支給の老齢厚生年金」の月額換算額と役員報酬(役員給与)の月額換算額との合計が28万円を超えたら、超えた分の半分だけ年金がカット(支給停止。実質は不支給。)されます。(注1参照)

 

2.65歳到達月の翌月分から:「老齢厚生年金(報酬比例部分)」の月額換算額と役員報酬(役員給与)の月額換算額との合計が47万円以下なら老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額もらえます。

「老齢厚生年金(報酬比例部分)」の月額換算額と役員報酬(役員給与)の月額換算額との合計が47万円を超えたら、超えた分の半分だけ老齢厚生年金(報酬比例部分)がカット(支給停止。実質は不支給。)されます。

 

(注1上記1の「28万円」は令和3年度分までの数字です。法改正により、令和4年度分からは、上記1の数字も「28万円」ではなく、上記2の数字(令和4年度は47万円)と同額となりました。

(注2)基金代行額がある場合は、「特別支給の老齢厚生年金」や「老齢厚生年金(報酬比例部分)」を、「特別支給の老齢厚生年金+基金代行額」や「老齢厚生年金(報酬比例部部分)+基金代行額」に読み替えて計算してください。

  

また、65歳到達月の翌月分からは、老齢厚生年金(報酬比例部分)以外にも、どれほど高額の報酬を受けていても、請求手続きさえすれば全額もらえる老齢基礎年金や差額加算(経過的加算部分)があります。 

 

事業承継計画・リタイアメントプランニングとオーナー経営者の役員報酬引き下げ

後継者への事業承継の目途が立ちつつある経営者等の中には、65歳を目途に役員報酬年額を大きく引き下げて、老齢厚生年金(報酬比例部分)の全部または一部をもらおうとされる方もおられます。

 

 

今後の事業承継計画・リタイアメントプランニングや会社の資金繰り、個人資産等を勘案して、65歳から役員報酬年額を大きく引き下げるのは、一つの選択肢です。

 

 

昔と比べて最近では法人税率がかなり下がっているので、オーナー経営者の場合、現在の高額の役員報酬を会社から受け取る場合の所得税負担と、役員報酬を引き下げて決算期末まで経費増がなかったと仮定した場合の法人税等負担増とを比較して、役員報酬を引き下げようとされる経営者も増えているでしょう。(特に65歳以上経営者の場合)
 

(参考:財務省ホームページより「法人税率の推移」)

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/082.htm

 


税金だけでなく、年金受給額や社会保険料も含めたシミュレーションを顧問税理士さんに試算依頼される方も多いと思います。

 

 

65歳からの年金受給を前提に役員報酬引き下げシミュレーションを行う場合は、主に以下の5点に注意が必要となります。

 

単純に年単位や年度単位で行ったシミュレーションだけを基に検討していると、予想外に年金がもらえるのが遅い、とお感じになるケースがあるようですので、ご注意ください。

  

1.65歳到達月の翌月と変更後の役員報酬支給月

まずは、65歳到達月(誕生日の属する月)の翌月と定時株主総会の決議等に基いた変更後の役員報酬を支給する月との関係が重要となります。

 

なぜなら、従業員の場合と異なり役員さんの場合は、いつでも自由に役員報酬額を変更することができないからです。
 

年金の形が変わる月と引き下げ後の報酬を受ける月との関係を考慮する必要があります。

 

65歳到達月分の年金から全額受給したい場合は、生れ月と決算月の組み合わせによっては65歳直前になって報酬を引き下げようとしても、もう今期は報酬変更ができない場合も多いでしょう。



(例)毎年度6月支給分の役員報酬から役員報酬額を変更している会社の代表取締役が11月生まれで、65歳以降の年金を前提として報酬を引き下げたいとその年の7月になって思いついたとしても、翌年6月支給分から役員報酬を引き下げることとなってしまいます。

 

2.役員報酬引き下げ月と標準報酬月額・総報酬月額相当額

次に、役員報酬を引き下げた月と年金支給停止額計算に影響する標準報酬月額・総報酬月額変動月との関係にも注意が必要です。

 

高額報酬の方が役員報酬を引き下げたらすぐに老齢厚生年金(報酬比例部分)がもらえるようになるわけではありません。

 

標準報酬月額等級で原則2等級以上引き下げた報酬月額を3カ月連続支給した後、会社は「報酬月額変更届」を年金事務所に提出します。

 

そうすると、引き下げ後の報酬月額を3カ月連続支給した翌月分(=引き下げ後の報酬月額支給月から起算して4カ月目分)の標準報酬月額が下がります。

 

(例)6月支給分から報酬月額を引き下げて、6月・7月・8月の3カ月連続で、引き下げ後の報酬月額を支払って、「報酬月額変更届」を提出したら、6月・7月・8月分の報酬月額の平均を基に9月分からの新しい標準報酬月額が決定されます。

 

このことにより、年金支給停止額を計算するための「総報酬月額相当額」が引き下がることとなり老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額換算額(「基本月額」といいます。)と「総報酬月額相当額」との組み合わせによっては老齢厚生年金(報酬比例部分)が支給停止とならずにもらえるようになります。

 

(注)「総報酬月額相当額」とは:その月現在有効な「標準報酬月額」+その月以前一年間の「標準賞与額」の総額÷12

 

 

・「基本月額」+「総報酬月額相当額」≦47万円なら、

老齢厚生年金(報酬比例部分)は全額もらえます。

 

・「基本月額」+「総報酬月額相当額」>47万円なら、

もらえる老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額換算額は、
(「基本月額」+「総報酬月額相当額」-47万円)÷2となります。

 

 「47万円」という基準額は、年度によって1万円単位で改定されることがあります。

3.公的年金の支給は後払いなので注意

老齢基礎年金・老齢厚生年金等の公的年金は、後払いとなります。
 

具体的には、前々月分・前月分の2か月が偶数月の15日に支給されるというしくみになっています。

(例)例えば、10月分・11月分の2か月分は1215日に支給となります。(15日が土曜日、日曜日、または、祝日の場合は直前の平日に支給)

 

4.特別支給の老齢厚生年金の年金請求手続きを行っていない場合の年金請求手続き
 

高額報酬の経営者の場合、特別支給の老齢厚生年金の受給年齢到達の3カ月前に日本年金機構から年金請求書が送られてきても、結局年金がもらえないのであれば請求しても無駄だと考えて請求手続きを行わないで放置している人も多いです。

 

現在では、特別支給の老齢厚生年金をもらえる権利があるのに請求していない人に対しては、65歳到達の3カ月前に再度年金請求書が日本年金機構から送られてきますので、年金請求手続きを行ってください。

 

年金請求手続きを行わずに、役員報酬を引き下げただけでは年金が支給されることはありません。

 

厚生年金基金や企業年連合会からも支給される年金がある場合は、それらも忘れずに請求手続きをしてください。

 

5.年金請求手続きや月額変更届の提出が遅れた場合

初回の年金振込については、直後の偶数月15日よりも実際の支給日が遅くなることがあります。

その場合、翌月や翌々月に支給されます。(きちんと年金請求手続きや月額変更届の届出が完了していることが前提です。)

 

ただし、年金請求手続きや報酬月額変更届の提出が遅れた場合にはさらに支給が遅れる可能性がありますのでご注意下さい。(ご不安であれば、年金事務所にご照会ください。)

 

 

以上が、高額報酬の経営者が65歳から役員報酬年額を引き下げて老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金受給を目指す場合の注意点です。

  

役員報酬年額を引き下げずに老齢厚生年金を満額受給したいオーナー社長様へ(ご参考)

なお、高額報酬の経営者が老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給を目指す場合、必ずしも役員報酬年額を引き下げなければならないわけではありません。

 

役員報酬の年間総額は現状のままであっても、役員報酬の支払い方(役員報酬の設定)を変更することで、老齢厚生年金(報酬比例部分)がもらえるようになります。

 

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