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(2018年9月18日)(2022年4月16日一部修正)
日本年金機構が毎年度発行している老齢年金のパンフレット(老齢年金ガイド)
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03.pdf
の「65歳以降の老齢厚生年金の額」のところに、「老齢厚生年金」や「加給年金額」とともに説明されている、「経過的加算額」の計算について、質問を受けることがあります
ので、解説いたします。
「老齢年金ガイド」には「経過的加算額」と記載されていますが、日本年金機構から毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」には「経過的加算部分」と記載されています。
また、年金事務所でもらえる「制度共通年金見込額照会回答票」には「差額加算」と記載されています。
これら三つは、すべて同じものです。
「老齢年金ガイド」には次のような説明があります。
「特別支給の老齢厚生年金を受け取っていた方が65歳から受け取る老齢基礎年金は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分にかえて受け取ることになりますが、当面は、定額部分のほうが老齢基礎年金よりも高額になります。そこで、差額分の年金額を補うため、「経過的加算額」が支給されます。」
しかし、例えば、平成30年度に62歳になって特別支給の老齢厚生年金を請求する男性の場合、62歳から65歳までの特別支給の老齢厚生年金としては、報酬比例部分だけしかもらえず、定額部分はもらえません。
(長期加入者特例・障害者特例に該当する場合を除きます。)
65歳前に定額部分をもらえない人の場合、65歳から経過的加算部分はもらえないのでしょうか。
結論からいうと、経過的加算部分ももらえます。
生年月日・性別からすると65歳前に定額部分をもらえない人の場合も、定額部分の計算式に基づいて、定額部分に相当する額を計算します。
そして、
1.「定額部分に相当する額」と
2.「厚生年金保険に加入した期間について受け取れる老齢基礎年金の額」
とを計算します。
この、1と2を比較すると、1の方が額が多くなります。
ですから、実際には定額部分が支給されない生年月日・性別の人であっても、「1-2」の金額が「経過的加算額」として厚生年金から支給されます。
「老齢年金ガイド」にも次のように「定額部分に相当する額」という言葉を用いて解説されています。
「経過的加算額=定額部分に相当する額-厚生年金保険に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額」
「定額部分」をもらえない生年月日・性別の人であっても、65歳からの経過的加算額の計算をするために、定額部分の計算式を用いて「定額部分に相当する額」を計算する必要がある、という点がわかりにくいと思います。
生年月日・性別からすると定額部分をもらえない人であっても、定額部分の計算式は知っておいた方がよいということですね。
定額部分の計算式は、次の通りです。(令和4年度の場合)
●定額部分=1,621円×1.000×被保険者期間の月数(上限480月)
(1,621円という数字は、年度ごとに改定される可能性があります)
昭和21年4月1日以前生まれの人の場合は、計算式中の乗率が1.000ではなくなったり、被保険者期間の上限が480月よりも短かったり、と計算が複雑となります。
また、「中高齢の特例」等に該当する場合は、被保険者期間を240月として計算できます。
詳しくお知りになりたい場合は、上記リンク先の「老齢年金ガイド」を参照ください。
なお、「厚生年金保険に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額」は、次のように計算します。
(昭和16年4月2日以降生まれの人の場合)
老齢基礎年金の満額(令和4年度は777,800円)×(昭和36年4月以降で、20歳以上60歳未満の期間で厚生年金保険に加入した月数÷480月)
(注)老齢基礎年金の満額は年度により改定されることがあります。
厚生年金加入期間のうち、老齢基礎年金に反映するのは昭和36年4月以降の20歳以上60歳未満の期間だけなのですね。
厚生年金に加入していたとしても、20歳前の期間、60歳以後の期間や昭和36年3月以前の期間は老齢基礎年金には反映しません。
それらの期間に係る定額部分に相当する金額は経過的加算額として厚生年金から支給されます。
なお、別途国民年金にも加入した期間がある人の場合は、厚生年金保険に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金に、国民年金に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金がプラスされて支給されます。
(2018年10月2日)
一般的な年金解説本では、厚生年金加入期間がある人の年金は2階建年金である、と解説されてます。
そして、1階部分は国民年金からもらえる老齢基礎年金、2階部分が老齢厚生年金。
これらの年金を65歳からもらえます。
このような記載がされています。
以上の内容は全く問題がなく、正しいです。
しかし、長年厚生年金に加入して厚生年金保険料のみを払ってきた経営者やサラリーマンにとっては、国民年金からもらえる年金のことはイメージがしにくいと思います。
そこで、今回は厚生年金加入記録が反映する老齢基礎年金等についてお話しします。
(実は、拙著「社長、あなたの年金、大損してますよ!」の「第1章 年金の基礎知識」において、65歳からの年金については、
1.読者の皆様にとって身近でイメージしやすい老齢厚生年金
2.イメージしにくい老齢基礎年金
の順に解説しています。
65歳からの年金を、老齢基礎年金→老齢厚生年金の順ではなく、老齢厚生年金→老齢基礎年金の順に解説している本は、通常ありません。
ですから、社労士等年金の専門家が一読すると、違和感を感じる説明の仕方だと思います。
しかし、この本は、年金制度全般について詳しいわけではない経営者に読んでいただきたいと思って書いた本ですので、私(奥野)の判断で、あえて一般的なセオリー
とは反対の順序で記載しています。)
昭和61年4月1日から始まった年金大改正によって、国民年金が初めて全国民共通の基礎年金制度となりました。
これにより、昭和61年4月からは、会社員が厚生年金に加入した20歳以上60歳未満の期間は、(昭和36年4月1日以降の期間に限り)国民年金からもらえる老齢基礎年金にも反映することとなりました。
昭和61年4月の公的年金大改正により、厚生年金に加入している人は国民年金保険料を全く払っていないのに、国民年金からの年金ももらえるようになったのですね。
(昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までは、国民年金に入る人と厚生年金に入る人とは全く別でした。
自営業者等は国民年金に加入し、会社員等は厚生年金に加入することとなっていました。)
これから老齢年金をもらう人の場合は、20歳以上60歳未満の期間はすべて昭和36年4月1日以降の期間ですから、20歳以上60歳未満の期間(40年間)切れ目なく厚生年金に加入した人は満額の老齢基礎年金(平成30年度は779,300円)をもらえます。
それでは、20歳以上60歳未満の間で勤めていた会社を退職し、起業した人の場合はどうなるでしょうか。、
元々勤めていた会社で厚生年金に加入しており、その後会社を退職して起業し経営者となった方は多いでしょう。
元の会社を退職してすぐに法人を立ち上げて、新法人でも最初から厚生年金に加入したため、厚生年金加入期間に全く切れ目がない人もおられるでしょう。
しかし、退職後すぐに法人を立ち上げたものの、新法人ですぐには厚生年金に加入しなかった人もおられます。
この場合、厚生年金にも国民年金にも加入せずにいずれの保険料も負担しなかった期間があると、満額の老齢基礎年金を受け取ることができなくなります。
また、起業直後は法人化せず個人事業主として働いた人や、元の会社を退職後起業までに時間がかかった人もおられるでしょう。
これらの場合も、再び厚生年金に加入するまでの期間ずっと国民年金に加入して国民年金保険料を納めていれば、満額の老齢基礎年金をもらえますが、公的年金加入期間に切れ目があるため、満額の老齢基礎年金をもらえない人も多いです。
20歳以上60歳未満の厚生年金加入期間だけでは満額の老齢基礎年金をもらえない人が60歳以降厚生年金に加入した場合は、60歳以降の厚生年金加入記録は、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金や65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)だけでなく、65歳からの老齢厚生年金(経過的加算部分)にも反映します。
中小企業経営者の場合、若い頃年金未加入期間があり、70歳以降も現役で働く方も多いですから、70歳時の年金額改定で、老齢厚生年金(報酬比例部分)だけでなく老齢厚生年金(経過的加算部分)が増える人もおられます。
なお、厚生年金に加入している人は同時に国民年金にも同時に加入している、という説明がされることがあります。
この説明は、大雑把にいえば正しいのですが、正確にいえば注意が必要です。
特に注意が必要な場面は、経営者や会社員が65歳になったときに配偶者が60歳未満の場合なのですが、長くなりますので、この点についてはまた日を改めて解説いたします。
(2018年10月9日)
一般読者向けの年金解説書や新聞・雑誌などで、「厚生年金に加入している人は同時に国民年金にも同時に加入している」という説明がされることがあります。
この説明は、大雑把にいえば正しいのですが、正確にいえば注意が必要です。
厚生年金に加入して働いている人(厚生年金保険被保険者)は、国民年金年金の被保険者となり、国民年金の第2号被保険者となるのが原則です。(国民年金法第7条第1項第2号)
ただし、例外として、厚生年金保険被保険者であっても、
1.65歳以上で
かつ、
2.老齢厚生年金、老齢基礎年金その他の老齢または退職を支給事由とする年金給付をもらう権利がある人
は、
国民年金の第2号被保険者にならないこととなっています。
(国民年金法附則第3条)
この例外規定によって、例えば厚生年金に加入して働いている65歳以上の社長のほとんどは、国民年金には加入していないこととなります。
現在は、老齢年金をもらうための要件(受給資格期間)が非常に緩和され、何らかの公的年金に合計10年以上加入すれば、65歳から老齢基礎年金がもらえるようになります。
ですから、ほとんどの社長が65歳以降は国民年金の第2号被保険者になりません。
(もし、65歳になっても、公的年金10年以上加入という要件を満たさないため、現在は厚生年金に加入しているものの、老齢厚生年金も老齢基礎年金もまだもらえない人がいたら、その人は、まだ前述の2の要件を満たしていませんので、65歳以降も2の要件を満たすまでの間は、国民年金の第2号被保険者となります。)
ほとんどの社長が65歳以降は国民年金の第2号被保険者でなくなるわけですが、そのことを特に意識していない人が多いでしょう。
それまで特に意識することもないまま長年国民年金の第2号被保険者でもあった社長が、65歳になって、老齢年金をもらうための受給資格期間を満たしていると、特に意識することもないまま国民年金の第2号被保険者でなくなるわけですね。
その時に、配偶者が65歳未満の場合は、注意が必要です。
社長が65歳になるまで、社長の収入により生計を維持していた「被扶養配偶者」で、国民年金の第3号被保険者となっていた人がいるケースですね。
社長が男性で、5歳以上年下の専業主婦がいるケースが典型例です。
国民年金の第3号被保険者となっている期間は、国民年金保険料を全く負担することなく、65歳からもらえる老齢基礎年金の年金額に反映します。
国民年金の第3号被保険者となるためには、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。(国民年金法第7条第1項第3号)
1. 第2号被保険者の配偶者
2. 主として第2号被保険者の収入により生計を維持している(被扶養配偶者である)
ただし、第2号被保険者であるものを除く。
3.20歳以上60歳未満
社長が65歳になったときに公的年金をもらう権利があるために国民年金の第2号被保険者でなくなると、その奥さんで60歳未満の人は、上記2・3の要件を引き続き満たしていたとしても、上記1の要件を満たすことができなくなりますので、第3号被保険者ではなくなります。
この場合、奥さんは60歳になるまでは国民年金の第1号被保険者となります。
(国民年金の第1号被保険者の年齢要件は、第3号被保険者の年齢要件と同じく、20歳以上60歳未満です。)
ですから、60歳になるまでは自分の国民年金保険料(月額1万6千円強)を負担する必要があります。
国民年金保険料を納付せずに未納のままにしておくと、未納期間の月数÷480月(20歳から60歳までの40年間の月数)だけ、奥さんが65歳からもらう老齢基礎年金の年金額が少なくなりますので、注意が必要です。
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