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小さな会社の選択制確定拠出年金導入についての基礎知識

確定拠出年金(企業型)とは

(2019年4月16日)
 

国からもらえる年金を補完するために、役員・従業員の福利厚生制度として「企業年金」を採用している企業もあります。

 企業年金には、次の三種類があります。
 ・確定給付企業年金(DB)
 ・確定拠出年金(企業型)(DC)
 ・厚生年金基金

このうち、確定拠出年金(企業型)(DC)とは、その名の通り、企業が拠出する(支払う)掛金は確定しているものの、将来役員・従業員がもらう老齢給付金は運用実績に応じて変わり、いくらもらえるか確定していない、というタイプの企業年金です。

企業が拠出した掛金は、信託銀行等資産管理機関の個人別の確定拠出年金口座にて管理されます。

個人別に管理された掛金をどのような金融商品で運用するかを役員・従業員自身の判断で選びます。

60歳時点で通算加入者等期間が10年以上ある場合なら、60歳から老齢給付金をもらう権利が生じます。
(老齢給付金をもらい始めるのを最長70歳まで遅らせることができます。)


なお、通算加入者等期間が60歳時点で10年に満たない場合は、以下の通り、支給開始年齢が61歳以降に引き伸ばされます。


通算加入者等期間8年以上10年未満なら
→支給開始年齢は61歳

通算加入者等期間6年以上8年未満なら
→支給開始年齢は62歳

通算加入者等期間4年以上6年未満なら
→支給開始年齢は63歳

通算加入者等期間2年以上4年未満なら
→支給開始年齢は64歳

通算加入者等期間1月以上2年未満なら
→支給開始年齢は65歳


ですから、50歳を超えて初めて制度を利用した人であっても、60歳までに1月以上加入していれば、老齢給付金をもらう権利は生じることとなります。


個人が加入する確定拠出年金(iDeCo)とは異なり、確定拠出年金(企業型)は、会社単位で加入し、原則として厚生年金に加入している人全員が加入できるものです。

 

 

選択制確定拠出年金とは? 会社・加入者のメリットは?

(2019年4月22日)

確定拠出年金(企業型)には、「選択制」といわれるタイプのものもあります。

 

これは、役員・従業員の老後資金準備のための福利厚生制度を企業単位で導入するものの、確定拠出年金(企業型)を利用するかどうかや掛金額の設定を、一人一人の役員・従業員が自由に選べる、というものです。

一人法人や、社長・役員のみの小規模企業であっても、将来従業員を採用したときのための福利厚生制度として準備しておくことで導入できます。

 


●確定拠出年金(企業型)のメリット

 

確定拠出年金(企業型)は、

1.会社が掛金を支払ったとき
2.掛金を運用している間
3.老齢給付金を受け取ったとき

のいずれにおいても税法上の優遇措置を受けることができます。


ですから、掛金は少額であっても、長期間加入することで、役員・従業員(加入者)個人の老後資金を効率的に蓄えることができます。


1.会社が掛金を支払った時


会社が払った掛金は全額損金算入されます。


また、掛金は本人の給与所得にかかる収入金額に含まれないため、所得税・住民税はかかりません。社会保険料(会社負担分・本人負担分)もかかりません。


なお、加入者ごとの掛金月額の上限は55,000円(年額66万円)です。
ただし、他の企業年金(厚生年金基金または確定給付企業年金)がある会社の役員・従業員は、掛金月額の上限が27,500円(年額33万円)となります。

 

2.掛金を運用している間


利息・運用益が生じても、非課税です。
(積立金には1.173%の特別法人税が課税されることとなっています。ただし、平成1141日以降、特別法人税の課税は凍結が続いています。)

 

3.老齢給付金を受け取った時

老齢給付金は、規約の定めるところにより、一時金、年金、または一時金・年金年金併用で受け取ります。

 

一時金でもらうと、退職所得となります。

退職所得は、次の通り所得税等負担が軽減されるメリットがあります。

(1)退職所得控除額が大きい

退職所得控除額の計算式

・勤続年数20年以下の場合

 退職所得控除額=40万円×勤続年数
80万に満たない場合には、80万円)

・勤続年数20年超の場合

 退職所得控除額=800万円+70万円×(勤続年数-20年)

勤続年数に1年未満の端数があるときは1年に切り上げます。

(2)「退職金の額-退職所得控除額」の2分の1が退職所得の金額となる。
ただし、在任5年未満の社長・役員の場合は、「退職金の額-退職所得控除額」が退職所得の金額となります。

(3)他の所得と分離して課税される

 

(注)退職手当等を受けた年の「前年以前4年内(その年も含め5年間)」に受けた他の退職手当等の勤続期間との重複を排除して勤続年数を計算し、退職所得控除額を求めることになっています。

確定拠出年金に係る退職一時金を受けた場合は、その年の「前年以前14年内(その年も含め15年間)」に受けた他の退職手当等の勤続期間との重複を排除して勤続年数を計算し、退職所得控除額を求めることとなっています。

したがって、退職所得扱いとなるものを複数受け取る場合は、それぞれの受け取り時期・受け取る順番には注意が必要です。


選択制確定拠出年金の一時金と会社からの役員退職慰労金や小規模企業共済の一時金を受ける場合は、例えば次のように、確定拠出年金を先に受けると、退職所得控除を2回利用できる
ので、お得です。


60歳で選択制確定拠出年金の老齢給付金を一時金で受け取り、65歳で退職時に会社から役員退職慰労金を一時金で受け取る

65歳で選択制確定拠出年金の老齢給付金を一時金で受け取り、70歳で退職時に小規模企業共済の共済金を一時金で受け取る、

 

選択型確定拠出年金の老齢給付金を一時金で受け取った場合は、在職中であっても、退職所得扱いとなります。

 

確定拠出年金にかかる退職所得控除額を計算するにあたっての「勤続年数」は、確定拠出年金(企業型・個人型)加入者であった期間により計算します。
(厚生年金基金・確定給付企業年金・企業年金連合会より資産を移管した場合は、旧制度に加入していた期間も含みます。)

 

一方、年金でもらうと、雑所得(公的年金等扱い)となります。

公的年金等に係る雑所得の金額は、その年の公的年金等の収入額から公的年金等控除額を控除して計算されます。

 

したがって、同じ年に多額の公的年金等(老齢基礎年金、老齢厚生年金、厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金の老齢給付金、国民年金基金の老齢年金)をもらう場合は、所得税等負担が大きくなります。

 

それぞれの年金をいつからいつまでもらうかにも、注意が必要となります。

 

 

●役員給与に上乗せして加入する場合は随時加入できる。

 

なお、例えば、社長・役員が新たに選択制確定拠出年金を利用する場合、次の二つの加入の仕方が考えられます。 

 1.現在の報酬月額に上乗せして会社が社長・役員の掛金を拠出する。

 2.現在の報酬月額を下げて会社が社長・役員の掛金を拠出する。

ただし、2の場合は、報酬月額を下げられるのは原則として事業年度開始日から3か月以内ですので、加入できる時期が限られることとなります。

 

1の場合は、報酬設定自体は変わりませんので、事業年度開始日から3か月を過ぎていても、導入することが可能です。

 

社長が報酬月額を増額する代わりに、選択制確定拠出年金を導入するとどうなるでしょうか?

(2019年4月25日)


(事例)報酬月額1355千円、40歳のC社長。
会社は現在企業年金(厚生年金基金・確定給付企業年金)を採用していない。

全国健康保険協会(協会けんぽ)・東京都に加入。

 

 

健康保険の保険料や傷病手当金などの額を定めるための標準報酬月額には上限額(139万円)があります。

 

また、厚生年金の保険料や年金などの額を定めるための標準報酬月額にも上限額(62万円)があります。

 

報酬月額が1355千円以上の人は全員、健康保険の標準報酬月額は上限の139万円となります。

 

報酬月額が605千円以上の人は全員、厚生年金の標準報酬月額は上限の62万円です。

 

したがって、C社長の現在の標準報酬月額は、健康保険については139万円・厚生年金については62万円です。


C社長が今期から報酬月額を5.5万円引き上げたとしても、標準報酬月額は、健康保険については139万円・厚生年金については62万円のままです。

 

したがって、健康保険料(介護保険料含む)や厚生年金保険料は現在と変わりません。

 

健康保険料(介護保険料を含む)は、会社負担分・本人負担分合計で月額159,433円です。

 

厚生年金保険料は、会社負担分・本人負担分合計で月額113,460円です。

 

その他、全額会社負担の子ども・子育て拠出金が月額1,798円かかります。

 

また、社長・役員の場合は、業務外の病気やケガが原因で働けなくなっても、引き続き同額の報酬月額が支払われ続けるケースが多いと思います。

その場合は、健康保険の傷病手当金はもらえません。

 

しかし、療養期間中の報酬の支払い停止を決議して実際に支払われない期間があった場合は、その期間については傷病手当金が支給されます。

 

傷病手当金の1日あたりの支給額は、「支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30×3分の2」です。

 

支給開始日から16か月を限度として支払われます。

 

C社長の場合は、報酬月額を135万5千円より増額しても、健康保険の標準報酬月額は139万円で変わらないため、業務外の病気・ケガで働けなくなったときの傷病手当金支給額は増えません。

 

なお、業務外の病気やケガで病院にかかったときに窓口で払う一部負担金は、70歳未満の場合、本人の標準報酬月額によらず、かかった医療費の3割負担です。

 

また、65歳からもらえる老齢厚生年金(報酬比例部分)の計算式は、次の通りです。

 

もらえる年金額=平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成153月までの厚生年金加入期間の月数+平均標準報酬額×5.481/1,000×平成15年4月からの厚生年金加入期間の月数

 

病気やケガが原因で一定の障害等級に該当して仕事や生活などが制限されるようになったときにもらえる障害厚生年金や、亡くなったときに遺族に支払われる遺族厚生年金も、基本的には老齢厚生年金同様、「報酬比例部分の年金」の計算式を用いて年金額が算定されます。

老齢厚生年金(報酬比例部部分)や障害厚生年金、遺族厚生年金の年金額の計算式中の「平均標準報酬額」を計算するための要素は、平成154月以降の各月の標準報酬月額・標準賞与額です。

 

605,000円を超える報酬月額を何か月受けたとしても、厚生年金の標準報酬月額は上限の62万円で変わらないため、これらの年金額は1円も増えません。

 

将来もらえる年金額を増やしたいのであれば、605,000円を超える報酬月額を会社から受けるのではなく、1月あたり150万円以下の事前確定届出給与等を年3回以下受けて、つまり、厚生年金保険法上「賞与」にあたるものを受けて、標準賞与額にかかる厚生年金保険料を払う必要があります。

 

これまでみた通り、報酬月額135万円5千円のC社長が報酬月額を5.5万円上げたとしても、年金・社会保険に関する限り、メリットは生じません。

 

そこで、C社長の報酬月額を変えずに、別途月額5.5万円を会社が選択制確定拠出年金の掛金として拠出したらどうなるでしょうか。

毎月5.5万円がC社長分の確定拠出年金口座に積み立てられ、税金の優遇措置を受けながら、老後資金の積立ができるようになります。

 

40歳から60歳までの20年間、毎月5.5万円の掛金を拠出すると、掛金合計は1,320万円となります。

掛金月額5.5万円×12か月×20年=1,320万円

 

規約で掛金拠出期間を65歳までとした場合は、40歳から65歳までの25年間の掛金合計は1,650万円となります。

 掛金月額5.5万円×12か月×25年=1,650万円

確定拠出年金ですから、将来もらえる給付額は確定ではなく、運用次第で変わります。

 

ただ、運用商品の選択に自信がない場合は、利回りは高くないものの元本を割る危険がない定期預金などの商品を選べばよいわけです。

 

利息・運用益がほとんど出なかったとしても、5.5万円を報酬月額(給与所得)としてもらって税金・社会保険料控除後の手取給与の一部を定期預金にあてるよりも、有利となります。

 

また、毎月5.5万円報酬月額を上げるのと異なり、所得税や住民税の負担も増えません。

 

C社長の場合は、もともと社会保険料が上限となるような報酬月額のため、会社にとっては、報酬月額を5.5万円上げる場合も、報酬月額を上げる代わりに選択制確定拠出年金を導入して月額5.5万円を掛金にあてる場合も、どちらも会社経費の額は変わりません。

 

●報酬月額605千円以上135万円5千円未満の若年社長の場合

 

 

以上、理解しやすいように、厚生年金・健康保険ともに標準報酬月額が最高となるような事例(報酬月額1355千円以上)を用いて説明しました。

 

しかし、先に述べた通り、社長が業務外の病気やケガで働けなくなったときでも、オーナー企業では、報酬の支給を停止せずに引き続き払い続けるケースが多いでしょう。

 

その場合、社長に傷病手当金が支払われることはありません。 

 

ですから、小さな会社の若年社長の厚生年金の標準報酬月額が上限の62万円(つまり、報酬月額が605,000円以上)であって、その状態が長期間見込まれるのであれば、それ以上報酬月額を上げる以外に、選択制確定拠出年金の導入を検討することも考えられます。

 

●選択制確定拠出年金利用時の注意

 

制度導入には数カ月かかります。

 

制度の導入時には初期費用がかかります。

また、継続費用(毎月の手数料)もかかります。

制度導入の前には、初期費用・継続費用も確認しておくことが大事です。

 

原則60歳までは掛金の引き出しができません。

一度加入すると原則としてやめることができないことにも十分注意が必要です。

 

なお、標準報酬月額が下がる程度まで報酬月額を引き下げて、引き下げた分を掛金にあてる場合は、将来もらう年金額や傷病手当金の支給額が減るリスクがあります。

(従業員が利用を選択した場合は、年金額や、健康保険の傷病手当金・出産手当金の額、雇用保険の育児休業給付金・介護休業給付金・基本手当等の額が減るリスクがあります。)

 

 

(まとめ)

報酬月額をアップする代わりに選択制確定拠出年金を導入することで、40歳から60歳まで加入なら最大1,320万円の原資を、法人税等・所得税等がかかることなく積み立て、老後資金にあてることができるようになります。



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令和4年度(2022年度)からの企業型確定拠出年金の主な改正点

(2021年7月7日)


令和2年の年金法改正では、繰上げ・繰下げ、65歳までの在職老齢年金制度の基準額の引き上げ、65歳からの在職定時期改定の導入など、社長の年金にも影響する大きな改正がいくつも行われます。


令和2年改正法では、厚生年金保険や国民年金だけでなく、企業年金に関する大きな改正もいくつか決定しています。

その中で質問を受けることも多い、企業型確定拠出年金制度(選択制)関連の改正内容についてお伝えします。


企業型確定拠出年金(選択制)とは、役員・従業員の老後資金準備のために会社が制度導入するもので、役員・従業員が自身の掛金を自由に決めて拠出・運用して60歳以降に受け取るというものです。



企業型確定拠出年金の加入可能年齢は現在、原則として60歳未満です。
これが法改正により令和4年5月からは、厚生年金保険被保険者であれば60歳以上70歳未満の人も加入できるようになります。



また、令和4年度から公的年金の受給開始年齢が60歳から75歳の間で自由に選択できることに併せて、企業型確定拠出年金の受給開始年齢も令和4年4月からは、60歳から75歳の間で自由に選択できるようになります。
(現在は、60歳から70歳の間で各個人が選択)



企業型確定拠出年金には、
1.掛金は全額非課税
2.運用中の利息・運用益も非課税
3.受取時も退職所得扱い(一時金受取の場合)
といった税制上のメリットがあります。

企業型確定拠出年金(選択制)については、2019年5月刊行の書籍『[社長の裏技]年金をもらって会社にお金を残す』でも「若年社長」向けの老後資金確保策の一つとして詳しく
解説しました。

中小企業の事業承継・社長交代時期が遅れているとのデータもある中、令和4年度からの改正法施行により、今後は60代社長の中にも企業型確定拠出年金(選択制)の導入を検討する人が増えるかもしれません。
(60歳から70歳までの10年間毎月5.5万円の掛金を拠出する場合、総額660万円を非課税で投資することとなります)

 


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