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65歳からの社長の年金の繰下げと在職老齢年金についての注意事項

 (2019年8月6日)(2022年4月16日一部修正)

 

経営者は報酬が高い方が多いため、65歳までの特別支給の老齢厚生年金は報酬との調整で全額カットされ、もらえない人がほとんどです。

 

 

65歳からは、年金の形が「老齢基礎年金+老齢厚生年金」にかわります。

 

 

65歳までの年金の請求手続きを行った人の元には、65歳になる月の前半ごろまでに、日本年金機構から65歳からの年金の請求書(はがき)が届きます。

 

 

この請求書(はがき)は、65歳からの年金をもらうためのものですが、65歳からの年金のもらい方には4通りあります。

 

 

1.老齢基礎年金・老齢厚生年金とも原則通り65歳になる月の翌月分からもらう

 

2.老齢基礎年金のみ66歳以降の希望する月まで繰下げ、老齢厚生年金のみ65歳になる月の

翌月分からもらう。

 

3.老齢厚生年金のみ66歳以降の希望する月まで繰下げ、老齢基礎年金のみ65歳になる月の

翌月分からもらう

 

4.老齢基礎年金・老齢厚生年金とも66歳以降の希望する月まで繰下げる

(4を選ぶ場合は、はがきを返送しません。)

 

 

上記2、3、または、4を選択し、66歳以降の希望する月に繰下げ申出した場合は、繰下げた年金については、繰下げ申出した翌月分から増額された年金を受給できます。

 

 

増額率は、繰下げ月数×0.7%です。

最高70歳まで60か月繰下げできますので、最高42%年金額が増額されます。

(60月×0.7%=42%)

(注)令和4年度から、昭和27年4月2日以後生まれの人は、最高75歳まで(120か月)繰下げられることとなりました。

 

しかし、老齢厚生年金のうち報酬比例部分には報酬との調整による年金カットのしくみ(在職

老齢年金制度)があります。

 

 

もし繰下げしなかったら、報酬との調整で老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額カットとなるような報酬を受けている人が、老齢厚生年金を繰下げても、まったく年金額は増えません。

 

 

繰下げによって老齢厚生年金(報酬比例部分)も年金額を最大限に増やしたいのであれば、

65歳からの年金のもらい方を4つの選択肢から選ぶよりも先に、やるべきことがあります。

 

 

つまり、老齢厚生年金(報酬比例部分)がカットされないような報酬設定に先に変更して

おく必要があります。

 

 

ところが、多くの社長さんが、65歳からの年金請求書が届いたタイミングで、65歳からの年金のことを初めて考え始めます。

 

 

65歳までの年金が支給停止となっていた人が65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)を

もらいたい場合も、繰下げて年金額を増やして後からもらいたい場合も、それでは考えるタイ

ミングが遅すぎます。

 

 

このことは、メルマガやホームページ、書籍、セミナーなどで長年にわたって情報提供を続けているのですが、なかなか多くの社長様に伝えきることができません。

 

 

老齢基礎年金は報酬との調整の対象外ですから、繰下げると、繰下げ月数×0.7%年金額増えます。

 

 

老齢厚生年金(経過的加算部分)も報酬との調整の対象外ですから、老齢厚生年金を繰下げ

ると、繰下げ月数×0.7%年金額が増えます。

 

 

老齢厚生年金(報酬比例部分)は報酬との調整の対象となりますので、老齢厚生年金を

繰下げると、繰下げ月数×0.7%年金額が増えるのではなく、繰下げ月数×平均支給率×0.7%

しか、年金額は増えません。

 

 

「平均支給率」とは、
「65歳になった月の翌月から繰下げ申出をした月」(最高75歳まで)までの各月について、
もし繰下げをしなかったとしたら老齢厚生年金(報酬比例部分)の何%が支給されていたはずかという各月の「支給率」を計算し、その「支給率」を「65歳になった月の翌月から繰下げ申出をした月まで」(最高75歳まで)の月数で割ったものです。

(難しいですね・・・)

 

 

例えば、70歳で繰下げ申出して、65歳になった月の翌月から70歳になった月までの60か月、

ずっと65歳時の老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額カットされるべき報酬設定だった人は、
「平均支給率」0%ですから、
老齢厚生年金を繰下げても、

増額率=繰下げ月数60月×平均支給率0%×0.7%となり、
65歳時の老齢厚生年金(報酬比例部分)は全く増え
ません。

 

 

例えば、70歳で繰下げ申出して、65歳になった月の翌月から70歳になった月までの60か月、

ずっと65歳時の老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額もらえるような報酬設定だった人は、「平均支給率」100%ですから、老齢厚生年金を繰下げると、

増額率=繰下げ月数60月×平均支給率100%×0.7%となり、
老齢厚生年金(報酬比例部分)も1.42倍に
増えます。

 

 

ところが、65歳になった月に年金請求書(はがき)が届いて、たまたま翌月に支給する報酬から、老齢厚生年金(報酬比例部分)が全額もらえるような報酬設定に変更することができたとしても、変更後の報酬を3か月連続して支給した後、4か月目分の年金からしかもらえるようになりません。

 

 

つまり、この場合でもし70歳まで繰下げるとすると、60か月のうち最初の3か月は支給率0%となってしまいますから、平均支給率は最高で95%にしかなりません。

・(0%×3月+100%×57月)÷60月

 

 

したがって、70歳まで老齢厚生年金を繰下げても、繰下げによる老齢厚生年金(報酬比例部分)の増額率は、最高で、39.9%にしかなりません。

増額率=繰下げ月数60月×平均支給率95%×0.7%

=39.9%

 

 

そして、決算月と生年月日との兼ね合いで、65歳到達月支給分よりも後からしか報酬設定を変更できない場合は、さらに平均支給率が下がりますので、繰下げによる老齢厚生年金(報酬比例部分)の増額率はさらに下がります。

 

 

いつもお伝えすることですが、報酬が高いため65歳からの年金がカットされる人の多くは経営者であり、年金を繰下げしている人もこれまでのところ全体の1%強に過ぎず、その多くは経営者層だと思われます。

 

 

ですから、65歳からの年金カットと繰下げについて一般サラリーマン向けの書籍等では詳しく解説されていません。

 

 

65歳からの年金の繰下げを検討される場合も、なるべく早くから、年金について関心を持って

いただくことをおすすめいたします。

 

65歳を迎える社長の報酬設定変更時期について

 (2019年8月20日)
高額報酬を受けているため、このままでは65歳からの老齢厚生年金も支給停止となってしまう経営者が、老齢厚生年金をもらいたい場合は、もらえるような報酬設定に事前に変更しておく必要があります。



しかし、従業員と違って、経営者の場合、会社法・法人税法や厚生年金保険法・健康保険法に定められたルールにより、働きながら年金をもらうためにはかなり早めから報酬設定を変更しておく必要があります。


特別支給の老齢厚生年金の年金請求書を提出した人のもとには、65歳の誕生月の初め頃に、65歳からの年金の請求書(はがき)が届きます。


このはがきが届いてから65歳以降の報酬設定を考える人が多いのですが、それではタイミングが遅すぎます。


このことは、書籍『[社長の裏技]年金をもらって会社にお金を残す』でも詳しく解説しています。



 

社長・役員が報酬月額を下げてから年金をもらえるようになるまで必ず4カ月かかる理由とは

 (2019年8月27日)

従業員の場合と異なり、社長が働きながら年金をもらいたいと思ったときに、もらえるようになるまでには時間がかかります。


なぜから、

1.年金をもらえるような役員給与設定に変更したいと思っても、役員給与設定の変更期限が原則として事業年度開始日から3か月以内であり、


2.報酬月額を引き下げても、年金支給停止額を計算するための「標準報酬月額」が下がるまでには4カ月かかり、


3.年金は前々月分、前月分の2か月分が後払い支給だからですね。


このことは、書籍『[社長の裏技]年金をもらって会社にお金を残す』などでも、触れています。


上記3つのうち、3は社長・役員だけでなく、従業員であっても同じです。


残りの1・2が、社長・役員の場合のみあてはまることです。


1については、従業員給与と役員給与との違いによるものです。
ですから、比較的理解しやすいかもしれません。


2については、報酬月額が下がった時に早く標準報酬月額が下がるような特例が従業員に対しては
適用できるのに対し、社長・役員が働き続ける場合は適用されない、という違いによります。


こちらは、社会保険事務に詳しくない経営者だとわかりにくいかもしれませんので、今日は、この
点について解説します。


(従業員の場合)
60歳以上の従業員が定年退職や定年退職後の再雇用期間満了等で退職し、1日の空白もなく同じ会社に継続再雇用されて給与が下がったときは、会社は健康保険・厚生年金保険について、次の二つの手続きからいずれかを選択して行うこととなります。


1.一般的な標準報酬月額改定のルールに基づいた手続き。(「随時改定」といいます)


基本給等固定的賃金の月額が標準報酬月額等級表でみて原則2等級以上低下した場合に、低下後の報酬
月額を3か月連続支給後、年金事務所等に報酬月額変更届を提出する手続き。これにより、低下後の報酬を支給し始めた月から数えて4カ月目より標準報酬月額が下がります。


2.いわゆる「同日得喪」の手続き

従前の労働契約期間が終了し、同日付で新たな労働契約期間が開始したとして、被保険者資格喪失届
および被保険者資格取得届を同時に年金事務所等に提出する手続き。


これにより、新たな労働契約の開始月から標準報酬月額が下がります。
(この場合、新たな労働契約の開始月の翌月分の年金から、新たな標準報酬月額に基づいて年金支給停止額が計算されます。)


従業員の場合、上記2の手続きを会社が行うことで、1の場合よりも早く標準報酬月額が下がりますので、早期からの社会保険料の低下や在職老齢年金制度による年金支給停止額の減少につながります。


ただし、新たな労働契約期間開始日以降の傷病が原因で健康保険の傷病手当金を受給することとな
った場合は、
傷病手当金の1日当たりの支給額が下がりますので、2の手続きを選択する際は注意が必要です。


上記1・2では、1が原則的な方法です。


2は、60歳以降の定年で退職後再雇用で給与が下がった人等が、標準報酬月額が下がるまでの
3か月間従前の高い報酬月額に基づいた社会保険料を負担すべきこととなる等の不具合を解消するために特例として認められている方法です。


会社は必ず2を採用する必要があるのではなくて、1・2のどちらを選択することもできます。


上記2の方法は、元の労働契約と新しい労働契約とが別々の契約であるため、例外的に採用することができる方法です。


ところが、代表取締役等会社役員は60歳以降も継続して同じ委任契約に基づき働いているわけですから、会社はそれらの人について2の手続きを行うことはできず、必ず1の手続きを取る必要があります。


役員の任期が切れた後も引き続き役員として再任(重任)されて、切れ目なく引き続き同じ役職で同じ職務に就く場合、形式的には前の委任契約と後の委任契約とは別契約といえますが、その場合は、代表取締役なら代表取締役、取締役なら取締役として引き続き同じ職務についているわけですので、2の適用は認められず、1の手続きを行うこととなります。


それでは、代表取締役・取締役等役員について、2の手続きが認められるケースは絶対にないので
しょうか。


該当する事例は少ないでしょうが、例外的に2の方法が可能となりうるケースとしては、例えば、次のようなものが挙げられます。


・代表取締役が退任し、退任日以降新たに従業員として働くこととなった。
・取締役が退任し、退任日以降新たに従業員として働くこととなった。
・代表取締役が退任し、退任日以降新たに監査役として働くこととなった。


つまり、退任前の役員としての委任契約と、退任後の従業員としての労働契約(または、退任前と全く職務の異なる役員としての委任契約)であれば、両者は実態として別物であるため、2の適用が認められ得るということですね。


実際にこのような事例が生じる場合は、事前に年金事務所にご相談ください。


2の手続きを採用する際に必要となる書類(役員規程・役員退任の事実が確認できる取締役会議事録等・新たな労働契約書等のコピーなど)についても年金事務所担当者にご確認ください。

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