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2024年度(令和6年度)最新 わかりやすい在職老齢年金解説とよくある計算間違い事例

(2024年4月23日一部修正)(2023年4月4日一部修正)(2022年4月30日)

 厚生年金保険の被保険者または70歳以上被用者として働いている間の在職老齢年金制度による年金支給停止額は、次の計算式で計算されます。


 

・年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額+総報酬月額相当額-基準額)÷2

 

基本月額とは:報酬・賞与との調整の対象となる年金額÷12

 具体的には、
65歳まで(65歳到達月分まで)の年金支給停止額を計算する場合は、
基本月額=特別支給の老齢厚生年金÷12

65歳から(65歳到達月の翌月分以降)の年金支給停止額を計算する場合は、

基本月額=老齢厚生年金(報酬比例部分)÷12
となります。


(注)65歳までも65歳からも、基金代行額がある場合は、次の通り、基金代行額も含めて計算されます。

 

・65歳まで(65歳到達月分まで)の年金支給停止額を計算する場合は、

基本月額=(特別支給の老齢厚生年金+基金代行額)÷12


・65歳から(65歳到達月の翌月分以降)の年金支給停止額を計算する場合は、

基本月額={老齢厚生年金(報酬比例部分)+基金代行額}÷12

 


総報酬月額相当額とは:標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12

(注)70歳到達月の翌月以降は、標準報酬月額に相当する額+その月以前の1年間の標準賞与額および標準賞与額に相当する額の総額÷12

年金支給停止額計算式のざっくりとした意味は、「調整の対象となる年金の月額換算額と会社から受ける報酬・賞与の月額換算額との合計額が基準額を超えたら、超えた分の半分だけ年金(月額)を支給停止します」ということです。

 

基準額は、

65歳まで(65歳到達月分まで)の年金支給停止額を計算する場合は、50万円です。
(令和6年度の場合)

65歳から(65歳到達月の翌月分以降)の年金支給停止額を計算する場合も、50万円です。
(令和6年度の場合)

 

 

(注1)「報酬」とは:賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働の対償として受ける全てのものをいいます。ただし、臨時に受けるものおよび三月を超える期間ごとに受けるものは、除きます。(厚生年金保険法第3条第3項)

(注2)「賞与」とは:賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働の対償として受ける全てのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいいます。(厚生年金保険法第3条第4項)

(注3)法人が代表取締役等役員に毎月支給する「定期同額給与」は「報酬」にあたります。「事前確定届出給与」等は、三月を超える期間ごとに支払われるもの(つまり、年3回以下支給のもの)なら「賞与」、年4回以上支給のものなら「報酬」となるのが原則です。

 

在職老齢年金制度に関する相談では、

「報酬月額60万円の私は、働きながら年金をいくらもらえますか?」

「年金額200万円の私は、働きながら年金をいくらもらえますか?」

といった質問を受けることがとても多いのですが、報酬月額だけでも、年金合計額だけでも、働きながらもらえる年金額は決まりません。

 

年金支給停止額の計算式をみるとわかる通り、

1.「基本月額」

2.「総報酬月額相当額」を計算するための報酬月額、および、その月以前の1年間の賞与支給実績

がわからないと、働きながらもらえる年金額は計算できません。

 

 

在職老齢年金の計算式自体はそれほど難しくないのですが、誤解をして計算を間違えてしまっている方が多いところです。

 

 

●在職老齢年金計算の間違い よくある4パターンとは

事前に自分で予想していたのと異なる年金支給額が記載された年金証書・年金決定通知書や支給額変更通知書が届いて、なぜだかわからずに相談いただくことがあります。

在職老齢年金計算の間違いパターンは、大きく分けると次の4つです。

 

1.「基本月額」を間違って計算している

2.「総報酬月額相当額」を間違って計算している

3.基準額を間違って計算している

4.その他(在職老齢年金制度のしくみ自体を理解していないことによる間違い)

 

それぞれのパターンについて詳しくみていきましょう。

 

1.「基本月額」を間違って計算している

 

「基本月額」とは、在職老齢年金制度の対象となる年金の月額換算額のことです。

 

65歳到達月分までであれば、「特別支給の老齢厚生年金÷12」のことであり、65歳到達月の翌月分以降であれば、「老齢厚生年金(報酬比例部分)÷12」のことをいいます。

 

●よくある間違い事例

65歳までも65歳からも、基金代行額がある場合は基金代行額も含めて基本月額を算出するのですが、含まずに計算している人がいます。

 

公務員期間や私立学校教職員期間について支給される老齢厚生年金(報酬比例部分)や退職共済年金(報酬比例部分に相当する部分)も含めて基本月額を算出するのですが、含まずに計算しているケースがあります。

 

65歳以上の場合は、老齢厚生年金(報酬比例部分)以外に、老齢基礎年金、老齢厚生年金(経過的加算部分)や加給年金額も含めて基本月額を算出してしまっているケースがあります。

 

65歳から、70歳からの年金額改定による増額分を含めないで基本月額を計算してしまっているケースもあります。

 

65歳からの老齢厚生年金を繰下げたことによる増額分(「繰下げ加算額」)は含まずに基本月額を算出しますので、注意が必要です。

 
 

2.「総報酬月額相当額」を間違って計算している

 

「総報酬月額相当額」とは、厚生年金保険の適用事業所から受ける報酬・賞与の月額換算額のことで、次の通り計算されます。

 

・総報酬月額相当額=標準報酬月額+その月以前の1年間の標準賞与額の総額÷12

(注)70歳到達月の翌月以降は、標準報酬月額に相当する額+その月以前の1年間の標準賞与額および標準賞与額に相当する額の総額÷12

 

「総報酬月額相当額」は厚生年金保険被保険者や厚生年金保険70歳以上被用者について会社が届け出る「算定基礎届」「月額変更届」「賞与支払届」等により毎月自動計算されます。

 

●よくある間違い事例

総報酬月額相当額の計算間違いでは、標準報酬月額を用いて計算すべきところを報酬月額を用いて計算している誤りが最も多いです。

 

標準報酬月額等級表のみかた(報酬月額と標準報酬月額との対応関係)を間違えていることによる計算誤りもあります。

 

報酬月額の変動により標準報酬月額が改定されるべきところ、従前の標準報酬月額を用いて計算している誤りもあります。

 

その他、次のような事例もあります。

・その月以前の1年間に賞与(事前確定届出給与等)を受給していたのに、標準賞与額の総額÷12を算入していない。

・その月以前の1年間の標準賞与額の総額ではなく、前年・前年度など誤った期間の標準賞与額の総額を用いて計算している。

・標準賞与額ではなく、賞与実額を用いて計算している。

・厚生年金保険法の標準賞与額でなく、健康保険法の標準賞与額を用いて計算している。

 

・厚生年金保険法上報酬・賞与に含まれないものを含んで計算している

 例)社長が個人として会社に不動産を貸して、会社から受けている地代・家賃

   社長が個人として会社に貸し付けていたお金の返済金

   株主として会社から受ける配当金

   個人として他社から受ける講演報酬や原稿料
   など

 

・厚生年金保険法上報酬・賞与に含まれるものを含まずに計算している

 例)通勤手当等各種手当

   住宅・食事等現物給与()

   他社から代表取締役等として受ける報酬・賞与

   など

()現物給与の価額は、厚生労働大臣が定めることとなっています。現物給与の価額は毎年度厚生労働省告示により改定されますので、当年度の価額を確認する必要があります。(令和4年度の現物給与の価額は、以下より確認できます。)

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20150511.html

 

3.基準額を間違って計算している

 

在職老齢年金計算式における「基準額」(令和6年度現在50万円)は、年度によって1万円単位で改定されることがありますので、毎年度確認が必要です。

 

65歳以上の人の場合、基準額改定を反映していない書籍やネット上の情報を見て計算を間違えている事例が多くみられます。

 

65歳到達月の翌月分以降の年金支給停止額を計算する際の基準額は令和6年度は50万円ですが、古い書籍やインターネット上の記事等を読んで、令和5年度の基準額48万円・令和4年度の基準額47万円などを用いて計算しているケースがあります。

 

基準額の改定が行われる場合は、年金額改定と同様、年度ごとに行われますので、4月分(615日支給分)の年金から改定の影響を受けることとなりますが、そのことを知らない人もいます。

 

65歳到達月の翌月分の年金から基準額が上がることを知らない人も多いです。

 

4.その他(在職老齢年金制度のしくみ自体を理解していないことによる間違い)

 

例えば、「48万円」(厚生年金保険法条文に記載された基本的な数字)という基準額だけが記憶に残っていて、「報酬月額が」48万円を超えなければ年金は支給停止されない、と誤解している経営者も多いです。

 

例えば、65歳到達月の翌月分以降の老齢厚生年金(報酬比例部分)が144万円、報酬月額48万円(標準報酬月額47万円)なら、

年金支給停止額(月額換算額)=(基本月額12万円+総報酬月額相当額47万円-48万円)÷2=5.5万円となり、老齢厚生年金(報酬比例部分)は一部支給となります。

 

全額もらえる報酬設定をしたつもりが一部しか支給されないと、思惑がまったく異なりますので、注意が必要です。

 

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社長の年金本 第4弾

「社長の年金 よくある勘違いから学ぶ在職老齢年金」(奥野文夫著 日本法令 2020年2月刊)