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2022年度(令和4年度)から、65歳からの老齢年金を受給していない人に届く「繰下げ見込額のお知らせ」と社長の年金

老齢年金を受給していない人に日本年機構からお知らせが届くことに

(2023年9月11日一部修正)(2022年5月30日)

令和4年度から老齢基礎年金・老齢厚生年金を最高75歳
まで繰り下げることもできるようになりました(昭和27年4月2日生まれの方の場合)。


65歳からもらえる年金を、最高10年間繰下げることもできるようになったのです。

 

繰下げ増額率は一月当たり0.7%ですので、10年間繰り下げると、65歳時点の年金額が1.84倍に増えます(120か月繰下げ×1月あたり繰下げ増額率0.7%=84%増)。

 

超低金利の中、年金をもらい始めるのを10年遅らせるだけで年金額が1.84倍に増えますので、インパクトが大きいです。

 

しかし、次のような点について誤解をしていると、思ったほど年金が増えない、ということにもなりかねません。


・老齢基礎年金額・老齢厚生年金額の計算のしくみと60歳以降の年金加入記録の関係
・繰下げ制度のしくみ・注意点
・在職老齢年金制度のしくみと老齢厚生年金の繰下げの関係


老齢厚生年金の繰下げ・老齢厚生年金の繰下げともに、従来から誤解されていることの多いトピックです。


特に、65歳以降も高額報酬で働き続ける社長・役員の場合は、70歳頃になって繰下げ申出してはじめて、長年の大きな誤解に気付いて残念な想いをする方から相談を受けることが多かった
ところです。


改正により繰下げの上限年齢が75歳になったことにより、70歳を超えてから初めて誤解に気づく人が出て来る可能性もありますので、注意喚起が必要なところです。


お一人お一人の希望する働き方・老後資金準備を踏まえて、適切な時期に適切な年金請求方法を行っていただくことが重要です


そこで、令和4年度から、65歳からの老齢年金を請求していない方に、66歳から74歳まで毎年、日本年金機構から「繰下げ見込額のお知らせ」が送付されることとなりました。


また、老齢年金を受給しないまま75歳間近となった方に対しては、日本年金機構から年金請求書が送付されることとなりました。


(参考)日本年金機構の令和4年度計画において、次のように「年金給付の請求案内の充実」を行う、と定められていました。
「・ 60 歳、65 歳及び 75 歳到達時に老齢年金の請求案内を行うとともに、 令和4年4月施行の繰下げ上限年齢の引上げに伴い、令和4年3月から、未請求の老齢年金のある66歳以降の方に対して繰下げ見込額を毎年誕生月の前月にお知らせし、多様な年金受給方法の周知及び請求忘れの防止を図る。
 ・ 70 歳を超える方で未請求の老齢年金のある方に対する文書、電話、訪問等による個別の請求案内を引き続き行う。」

 

今日は、これらのお知らせがお手元に届いた社長様等に知っておいていただきたいことを、下記にお伝えします。
(65歳からの老齢基礎年金および老齢厚生年金を両方ともご請求済みの場合は、読み飛ばして下さい)

 

66歳から74歳の未請求者に届く「繰下げ見込額のお知らせ」について

1.お知らせが届く方

昭和27年4月2日以降生まれの方で、次のいずれかに該当する方に対して「繰下げ見込額のお知らせ」が届きます。
(1)65歳からの老齢年金を受給していない方(特別支給の老齢厚生年金を請求した方も対象になります)
(2)老齢基礎年金または老齢厚生年金のいずれかを受給していない方


なお、遺族年金または障害年金を受給している場合や共済組合の加入期間がある場合等は送付対象外です。

ざっくりいうと、原則65歳から支給される老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)の片方または両方を、66歳になる直前までに受給していない人に対して、毎年、誕生月まで繰り下げた場合の年金見込額等が表示された「お知らせ」が届きます。

 

お知らせが手元に届いた方が、記載内容を確認いただくことにより、繰下げに関する誤解事例が減ると思われます。


なお、お知らせに記載されている年金額には、加給年金額や振替加算の金額、厚生年金基金や共済組合等から支給される金額は含まれていません。

実際に受給できる金額の確認は、年金事務所にご相談いただけます。


2.送付時期

66歳から74歳まで、毎年、誕生日の前日の属する月の前月末頃に送付されます。 

(例)誕生日が8月10日の人の場合、66歳(~74歳)の誕生日(8月10日)の前日(8月9日)の属する月の前月(7月)末頃に送付されます。


3.お知らせに記載されている内容
「繰下げ見込額のお知らせ」には、次の事項が記載されています。

 

(A)受給権発生年齢時点の年金見込額
公的年金加入期間が10年以上ある場合(老齢基礎年金の受給資格期間が10年以上ある人)が65歳になると、65歳から老齢基礎年金を一生にわたって受け取る権利が生じます。

その人が、公的年金加入期間10年以上のうち厚生年金保険に1月以上加入していれば、65歳からの老齢厚生年金も一生にわたって受け取る権利が生じます。


お知らせには、「年金種別」ごとに「受給権発生年齢」(一般的には、老齢基礎年金も老齢厚生年金も65歳)時点の年金見込額(「基本額」。つまり、受給権発生当時の年金記録を基に計算された額)が記載され、老齢基礎年金・老齢厚生年金の合計額も記載されています。

 

(B)送付年齢時点(66歳、67歳、68歳、・・・・、または、74歳)まで繰り下げた場合の年金見込額


送付年齢時点まで繰り下げた場合の、老齢基礎年金と老齢厚生年金の「基本額」および「繰下げ加算額」が記載されています。


誕生日の前日の属する月の前々月の年金記録を基に年金額が計算されています。

 

65歳以降厚生年金保険に加入して働いた人の場合、

(1)厚生年金保険に加入することにより老齢厚生年金が増額された分は、「送付年齢時点までの繰り下げた場合の年金見込額」欄の「c.基本額」に含まれて記載されます。


(2)老齢厚生年金を繰り下げることにより老齢厚生年金が増額される分は、「送付年齢時点までの繰り下げた場合の年金見込額」欄の「d.繰り下げ加算額」に含まれて記載されます。


受給権発生年齢から送付年齢時点までの間に在職していた方が退職による年金額改定があった場合にはその結果も考慮されています。


誕生日の前日の属する月の前々月の年金記録が在職中(厚生年金保険加入中)である場合は、送付年齢時点まで在職しているものと仮定して、年金額が計算されています。


「c.基本額」は、受給権発生年齢時点以降の記録を考慮して計算するとともに、毎年度の物価や賃金の変動に伴う改定(マクロ経済スライド)等を反映して計算されているため、受給権発生年齢時点の基本額とは異なることがあります。

 

「d.繰下げ加算額」は、65歳以降の在職による支給停止額があった場合、支給停止額を差し引いた金額で計算されています。


繰下げ受給の請求手続きを一月遅らせるごとに0.7%増額しますので、手続きする時期や状況によってお受け取りになる金額は異なります。


・65歳以降も高額報酬で働いている社長・役員等が老齢厚生年金を繰り下げても、在職老齢年金制度で支給停止となる部分は繰下げ増額されない。


66歳到達直前に届くお知らせを見て、このことに早期に気付く人が増えることが期待されます。

(気付いていただくためには、老齢厚生年金の「d.繰り下げ加算額」が、65歳時の「a.基本額」の「繰り下げ月数×0.7%」よりも少なくなっていることを読み取っていただく必要があります)

 

また、老齢厚生年金の繰下げ増額効果を完全に(繰下げ月数×0.7%)生じさせるためには、本来であれば、65歳まで(65歳到達月の翌月まで)に在職支給停止額が0円となるような「総報酬月額相当額」に下がっているように、事前に役員報酬設定を変更しておく必要があります。


したがって、65歳以降も働き続ける予定の社長・役員は、66歳になる直前に「年金見込額のお知らせ」が届いてからではなく、65歳になる1~2年前(つまり、63歳~64歳まで)には、老齢厚生年金と繰下げとの関係について正しい知識を持っておく必要があります。
その上で、何歳まで働くかや報酬設定見込を踏まえて、老齢基礎年金や老齢厚生年金を65歳から受け取るのかどうかを事前に検討しておくことが望まれます。

繰り下げる場合は、どの年金を何歳何か月まで繰り下げるのかの予定に基づいた試算を年金事務所の年金相談で依頼することもできます。

 

(注)「繰下げ見込額のおしらせ」で老齢年金を繰下げた場合の年金見込額が届いても、繰下げ請求できない場合があります。

遺族年金等他の年金の受給権がある人に老齢年金についての「繰下げ見込額のお知らせ」が届いた場合は、老齢年金を繰下げできないのにできると誤解して繰下げ待機することがないよう、ご注意下さい。

(参考)
老齢基礎年金・老齢厚生年金の繰下げができないケースとは

 

(C)在職による支給停止となる額

老齢厚生年金には「報酬比例部分」と「経過的加算部分」があります。
このうち、年金と給与の調整のしくみの対象となるのは「報酬比例部分」のみです。


受給権発生年齢時点と送付年齢時点の在職停止額(在職老齢年金制度により支給停止となる報酬比例部分の年金額)が表示されます。


・受給権発生年齢時点の支給停止額は、受給権が発生した当時の給与額・賞与額に応じて計算されます。

・送付年齢時点の支給停止額は、誕生日の前日の属する月の前々月の年金記録が在職中である場合は、送付年齢時点まで引き続き在職しているものと仮定して計算されます。

したがって、加入状況の変化(送付年齢前の退職や報酬設定変更)により実際に支給停止となる額とは異なることがあります。


なお、年金の支給額は、合計額から在職による支給停止となる額を差し引いた額となります。
 

(D)年金加入期間
誕生日の前日の属する月の前々月までの年金加入期間が表示されます。

国民年金、厚生年金(船員含)、公務員共済、私学共済ごとの加入月数、および、それらの合計月数が表示されます。
 
なお、 「国民年金」欄は、納付済月数、全額免除月数、4分の3免除月数、半額免除月数、4分の1免除月数、学生納付特例月数、納付猶予月数の合計が表示されます。

 

(E)65歳までに受け取ることができる年金の請求手続き

送付年齢時点で、65歳までの「特別支給の老齢厚生年金が未請求となっている人には、特別支給の老齢厚生年金の受給権発生年齢(成年月日・性別および年金加入状況により異なります)と、発生時の年金額(年額)が表示されます。

また、該当者には、次の注意書きも記載されています。

「厚生年金の加入期間が12カ月以上ある方は、65歳まで特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。お客様は、この年金が未請求となっておりますので、お早めに手続きをお願いします。手続きが遅れた場合、請求した時点から5年以上前の年金は、時効により受け取ることができなくなります。
(特別支給の老齢厚生年金は、繰下げできません。)」


在職等の支給停止額がある場合、表示されている特別支給の老齢厚生年金額は、実際に受け取れる金額とは異なることがあります。


65歳までの在職老齢年金制度の基準額が令和3年度までは28万円でした。


したがって、社長・役員は、特別支給の老齢厚生年金がずっと全額支給停止であった人が多かったでしょう。


そのような人が特別支給の老齢厚生年金の請求手続きを行なっていなかったとしても、実質的に損は生じませんでした。


ところが、令和4年4月分(令和4年6月支給分)から、65歳までの在職老齢年金制度の基準額が47万円に緩和(引上げ)されました。令和5年度(令和5年6月支給分から)の基準額は48万円となりました。

このことを知らずに、特別支給の老齢厚生年金の一部または全部を受給できるにも関わらず未請求のままとなっている人もおられると思います。


その場合、年金の時効(5年)内に請求して受給しておくことが重要です。


該当する方が、65歳からの年金の請求手続きも行なっていない場合などでも、今後は66歳到達直前に届く「お知らせ」下部の太字部分をご覧になることにより、年金のもらい漏れ・もらい忘れ事案が減ると思われます。

75歳に到達する方へのお知らせ(年金請求のご案内)について

.お知らせが届く方

75歳を迎える方で、次の条件に当てはまる方に届きます。
(1)老齢年金を受給していない方(特別支給の老齢厚生年金を受給している方も対象になります)
(2)老齢基礎年金または老齢厚生年金のいずれかを受給していない方


なお、66歳~74歳の方に届くお知らせと同様に、遺族年金または障害年金を受給している場合や共済組合の加入期間がある場合等は送付対象外です。


ざっくりいうと、原則65歳から支給される老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)の片方または両方を、75歳になる前までに受給していない人に対して、お知らせと年金請求書がA4緑色の封筒で届きます。


これにより、最終的な老齢年金の請求漏れ・請求忘れが減ることと思われます。

 

・老齢年金請求書の送付および記入方法はこちら
https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/nenkinseikyu.html

 

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