60歳以上現役社長の老齢厚生年金受給・役員報酬最適化なら滋賀県大津市の労務財務の専門家・FP奥野文夫事務所にお任せください!
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(2024年3月11日)
65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金の片方または両方をもらい始めるのを遅らせることができます(繰下げ)。
昭和27年4月2日以降生まれの人は、最高75歳まで繰り下げることができます。
高額報酬の経営者の場合、70歳頃までの繰下げを検討している方もおられます。
例えば、70歳まで繰り下げるつもりで65歳からの老齢基礎年金や老齢厚生年金を請求せずに、繰下げ待機状態であった人が、69歳のときに何らかの理由で気が変わった場合、結局繰下げ待機状態を続けずに、65歳にさかのぼって年金を請求することもできます。
(注)さかのぼって請求したとしても、給与との調整(在職老齢年金制度)により支給停止となっていた年金はもらえません。
繰下げ待機と役員給与設定についてはこちら
例えば令和6年(69歳時点)で、さかのぼって請求する手続きをしたとしたら、65歳到達月の翌月分以降これまでの分の年金(繰下げ増額されない年金)がまず一括で支給されます(今後は通常通り、繰下げ増額されない年金が2か月に1回支給されます)。
ここで注意点は、過去の分が一括支給される年金が令和6年中に全額支給されたとしても、この年金は全額が令和6年分の収入・所得に含まれるわけではないことです。
65歳からの年金を年金の時効(5年)の範囲内で遅れて請求したため、まとめて令和6年にまとめて支給されたわけですので、過去の各年分の収入が増えることとなり、各年分として受給できる年金額によっては各年分の所得が増えることとなります。
(各年ごとに、年金の支給日が属する年の分の収入として所得計算が行われることとなります。したがって、修正申告が必要となり過去分の所得税・住民税の不足分を追加納付すべきこととなり、延滞税もかかります)
また、過去の各年分の所得が増えることにより、過去の介護保険料が増えることとなるケースもあります(経営者層の場合、65歳以降の介護保険料がもともと上限額であった
ため、過去の各年分の年金収入が増えたことによって所得が増えたとしても、過去の各年分の介護保険料が増えないケースもあります)。
(注)年金をさかのぼって受給した期間に、退職していた期間がある場合は、その期間分の国民健康保険料の不足分を追加納める必要があるケースもあります。
なお、昭和27年4月2日以降生まれの人で、5年を超えて「繰下げ待機」していた人が、「繰下げ待機」をやめて、結局繰下げ申出しないで、さかのぼって請求した場合は、
5年前に繰下げ申出したものとみなしてくれる「特例的な繰下げみなし増額制度」の対象となります。
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2023/r5_kurisage_kaisei.html
この「特例的な繰下げみなし増額制度」が適用されることによって過去の分の年金を一括受給することとなった場合も、やはり、税金(所得税・住民税)や介護保険料(、国民健康保険料)に影響が生じる場合があります。
(2024年3月15日)
上記の話とは全然別のお話で、平成19年7月に施行された年金時効特例法(「厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に関する時効の特例等に関する法律」)に基づいて、
これまでもらっていなかった未支給年金がもらえるようになるケースもあります。
この法律は、年金記録の訂正による年金の増額分については、時効により消滅した分(つまり年金の時効5年がすでに経過してしまっている分)の年金についても、全額が支払われるようにするための法律です。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/joho/20140627.files/nenkinjikou.pdf
日本年金機構のホームページでは、65歳から老齢基礎年金を受けていた84歳の女性が、若い時に会社勤めしていた期間分の年金記録が漏れていることに気づいた結果、年金記録を訂正してもらった事例が紹介されています。
・84歳時点から79歳時点までの(時効の5年間分)さかのぼって老齢厚生年金を5年分一括受給できるだけでなく(これは時効5年の範囲内ですので、年金時効特例給付ではあり
ません)、
・時効を過ぎている分(60歳時点から78歳時点までの分)もさかのぼって老齢厚生年金を19年分一括受給でき(年金時効特例給付)、
・「年金時効特例給付」については「遅延特別加算金」も加算され、
・今後も一生涯老齢厚生年金を受給できるようになった
という事例です。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/joho/20140627.files/0000004060.pdf
このように、すでに年金受給中であっても、過去の年金加入記録に漏れが見つかる事例はありますので、ご注意下さい。
なお、「年金時効特例給付」は非課税です。
また、「遅延特別加算金」も非課税となっています(年金支払遅延加算法(厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律))
したがって、これらを受けたとしても、税金等は増えません。
一方、時効5年以内の過去分(上記事例でいえば79歳時以降の過去分)は課税対象ですので、各年の年金額増額によっては、過去の各年分の税金等が増えます。
不明点がありましたら、下記ページをご参照の上、年金事務所にてご相談ください・
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/joho/20140627.html
(2025年3月9日)
老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰り下げ待機中に(つまり、将来繰下げ申出して増額された年金を受け取るつもりで請求していない間に)、本人が亡くなってしまうケースもあります。
この場合の取り扱いについては、注意が必要です。
結論から言うと、繰下げ待機中に本人が亡くなった場合は、死亡当時生計を同じくしていた一定の遺族(配偶者がいれば配偶者)が、「未支給年金」として、本人が存命中に
受けていなかった年金をさかのぼってまとめて受給することとなります。
本人が繰下げ申出する前になくなっているわけですから、遺族が受け取る未支給年金は、繰下げ増額されない年金です。
「繰下げ待機している間に亡くなったとしても、繰下げ増額された老齢年金を基に計算された遺族年金を遺族が受けられることとなる」と誤解されている方もおられるところですので、ご注意ください。
(繰下げ増額も繰上げ減額も、老齢基礎年金・老齢厚生年金のお話であり、遺族年金には及びません)
そして、未支給年金を受ける権利は5年です。
また、昭和27年4月2日以後生まれの方は、最高75歳まで繰下げ待機できます。
したがって、70歳を超えて繰下げ待機している状態で亡くなった場合は、未支給年金の一部が時効にかかって遺族が受け取れない、ということが生じます。
昭和27年4月2日以降生まれの人で、5年を超えて「繰下げ待機」していた人が、「繰下げ待機」をやめて、結局繰下げ申出しないで、「存命中に本人が」さかのぼって請求したのであれば、5年前に繰下げ申出したものとみなしてくれる「特例的な繰下げみなし増額制度」の対象となります。
しかし、本人が繰下げ申出を行う前に亡くなった場合は、「特例的な繰下げみなし増額制度」の適用はありません。
(繰下げ申出ができる本人が亡くなっているため、本人が繰下げ申出したとみなす制度の適用もないわけです)
以上より、70歳を過ぎての繰下げ待機には特に注意が必要です。
それ以上繰下げ待機するかどうかを70歳前に検討されることをおすすめします。
なお、50万円を超える未支給年金を受けた遺族は、支給を受けた年の一時所得として確定申告をすることとなります。
一時所得の金額は、次の通り計算されます。
・一時所得の金額=総収入金額 - 収入を得るために支出した金額(注) -特別控除額(最高50万円)
(注) その収入を生じた行為をするため、または、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。
(参考 国税庁HP)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1490.htm
したがって、例えば、遺族が受けた未支給年金が1,000万円だとしたら、一時所得の金額は、950万円となります。
・一時所得の金額=総収入金額1,000万円-収入を得るために支出した金額0円-特別控除額50万円=950万円
一時所得は、その所得金額の2分の1(上記事例の場合は475万円)に相当する金額を、給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算することとなります。
未支給年金を受ける配偶者が役員として高額の給与を受けている場合などは、所得税負担が大きくなります。
(特に、本人が老齢厚生年金が支給停止とならないような給与設定に変更して老齢厚生年金の繰下げ増額効果が生じるようにした上で70歳以降まで繰下げ待機していた場合に、
未支給年金の額が大きくなるため、注意が必要です)
・(参考1)厚生年金保険法第37条(未支給の保険給付)
保険給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
2 前項の場合において、死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である妻であつたときは、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた被保険者又は被保険者であつた者の子であつて、その者の死亡によつて遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものは、同項に規定する子とみなす。
3 第一項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその保険給付を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その保険給付を請求することができる。
4 未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、政令で定める。
(注)「政令」(厚生年金保険法施行令第三条の二)において、配偶者が第1順位と定められています。
5 未支給の保険給付を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
(注2)国民年金法第19条にも厚生年金保険法第37条と同様の内容(未支給年金)を定めた条文があります。
・(参考2)
未支給年金が相続税の対象ではなく所得税の対象となることは、所得税基本通達34-2(遺族が受ける給与等、公的年金等及び退職手当等)に以下の通り示されていることからわかります。
「死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等で、その死亡後に支給期の到来するもののうち9-17により課税しないものとされるもの(奥野注:相続税の対象となるため所得税の対象外とされるもの)以外のものに係る所得は、その支払を受ける遺族の一時所得に該当するものとする。」
・(参考3)
最高裁判例(平成7年11月7日)において、国民年金法第19条(未支給年金)第1項・第5項の規定について、「相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたものであり、死亡した受給権者が有していた右年金給付に係る請求権が同条の規定を離れて別途相続の対象となるものでないことは明らかである。」と示されています。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57054
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