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(2025年6月6日)
昨年4月・5月頃、年金法改正により遺族年金廃止が検討されている、とのデマがSNS等から広がりました。
そのようなことは全く検討されていませんので、根拠のないデマにご注意ください、とお伝えしておりました。(遺族年金廃止のデマについてお伝えしました内容はこちら)
あれから1年がたち、令和7年年金改正法案における遺族年金の見直しについて、根拠のないデマがまた広がっています。
インターネット上では、夫を亡くした妻の受給できる遺族厚生年金が大幅に減るとの試算を示したものも見られ、SNSでも注目されて広く拡散されていました。
試算結果だけが注目を浴びていましたが、試算前提についての重要な説明(例えば、以下のような事項)についての説明が省略されているため、記事を読んだ多くの人が内容を誤解して不安になってしまうのではないかと感じました。
・夫死亡時に原則18歳年度末までの子がいないケースについての話であること
・「何年先に」夫と死亡した妻についての話であるのか
そこで、今回は、このような記事を読んで必要のない不安を感じている方を減らすために、
遺族厚生年金の改正案についてポイントを以下にお伝えいたします。
現行制度では、夫と死別したときに「30歳未満」の妻で、原則18歳年度末までの子がいない人への遺族厚生年金は5年の有期給付です。
(一方、現行制度では、妻と死別したときに55歳未満の夫には遺族厚生年金は支給されません)
これが、令和10年4月1日以降は、配偶者と死別したときに60歳未満の夫または妻で、原則18歳年度末までの子がいない人への遺族厚生年金は原則5年の有期給付となります。
ただし、原則18歳年末までの子がいない「妻」が残された場合には、
有期給付となる要件である「30歳未満」という年齢が、令和10年4月1日からは「40歳未満」に引き上げられ、その後20年かけて段階的に引き上げられていき、最終的には「60歳未満」となります。
ざっくり言えば、もともと「夫+専業主婦」の世帯を前提とした制度、男女で受けられる給付が全然違う制度であったものを、改正後は、20年という長い期間をかけて、共働き世帯を前提とした制度、男女で受けられる給付に差がない制度に変える、というのが今回の改正法案の趣旨です。
(現在、40歳以上65歳未満の、原則18歳年度末までの子のない妻についてだけ、遺族厚生年金に加算されている中高齢寡婦加算も、令和10年4月1日から段階的に新規受給者の加算額が減額され、最終的には廃止されます)
つまり、厚生年金保険加入の配偶者が亡くなったら、60歳未満で残された人(令和10年4月1日時点では40歳未満で残された人。その後20年かけて60歳未満に年齢基準を引上げ)で原則18歳年度末までの子のいない人には、生活再建のために5年間遺族厚生年金を支給しますが、
残された人は、その後も、自身の老齢基礎年金や老齢厚生年金を受給できるようになる65歳までは働いて生活を成り立たせることができるように、有期給付を受けている5年間の間で生活を再建してください、ということとなります。
(現在共働きが増えていますが、今後は、さらに共働きが一般的な社会となっていくであろうことが想定されています)
ここで、インターネット上の記事では、改正前も改正後も遺族厚生年金額を同じ額として試算されているものがみられますが、
この事例での、
・改正前の終身給付の遺族厚生年金の年額は、亡くなった夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)
×3/4でよいのですが、
・改正後の有期給付の遺族厚生年金は、「夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)×3/4」
+「有期給付加算」が加算されますので、年額は約1.3倍に増えます。
そして、有期給付加算付きの有期給付を5年間受けた後も、障害厚生年金を受給していたり、所得が低い場合は、最大65歳になるまで継続給付(遺族厚生年金+有期給付加算)が続きます。
つまり、5年間で生活再建ができないようなケースについては、配慮策が用意されています。
さらに、65歳になると、亡くなった配偶者の婚姻期間中の厚生年金保険の標準報酬等の記録が、(現行の離婚時分割制度のように)残された人に分割されることとなります。
これにより、残された人の老齢厚生年金が増えます。
その他、SNS等では、18歳年度末までの子のある人が配偶者と死別した場合の改正後の遺族年金についても、SNS等ではデマが多くみられます。
今回の遺族厚生年金の改正案を含む改正法案の
概要は、厚生労働省のHPで公表されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html
また、「遺族厚生年金の見直しについて」というページも厚生労働省HPに設けられました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00020.html
この中で、遺族厚生年金の改正について最も重要なことは、次のようなケースでの給付は、
改正後も影響はない、ということです。
・改正前から遺族厚生年金を受け取っていた人
・60歳以上で死別した夫・妻
・原則18歳年度末までの子がいる人
・改正時に40歳以上の妻
昨年5月にもお伝えしましたが、これらから、改正による影響がない人は、今回の遺族厚生年金の改正報道をご覧になって不安に感じる必要はありません。
雑誌やSNS、WEB記事、テレビ等では、できるだけ多くの人に「これは大変だ」と思わせて注目を集めるために情報が提供されているという面もあると思いますので、それらに惑わされないように十分ご注意ください。
また、改正と関係のない人に対しても、遺族年金が5年しかもらえなくなると不安を煽って、生命保険や金融商品のセールスを行う事例も増えるかもしれませんので、こちらにもご注意ください。
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