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(2025年7月8日一部追記)(2025年6月6日)
昨年4月・5月頃、年金法改正により遺族年金廃止が検討されている、とのデマがSNS等から広がりました。
そのようなことは全く検討されていませんので、根拠のないデマにご注意ください、とお伝えしておりました。(遺族年金廃止のデマについてお伝えしました内容はこちら)
あれから1年がたち、令和7年年金改正法案における遺族年金の見直しについて、根拠のないデマがまた広がっています。
インターネット上では、夫を亡くした妻の受給できる遺族厚生年金が大幅に減るとの試算を示したものも見られ、SNSでも注目されて広く拡散されていました。
試算結果だけが注目を浴びていましたが、試算前提についての重要な説明(例えば、以下のような事項)についての説明が省略されているため、記事を読んだ多くの人が内容を誤解して不安になってしまうのではないかと感じました。
・夫死亡時に原則18歳年度末までの子がいないケースについての話であること
・令和10年4月1日の改正法施行から15年以上経ってから、夫と死別した妻についての話であること
そこで、今回は、このような記事を読んで必要のない不安を感じている方を減らすために、
遺族厚生年金の改正案についてポイントを以下にお伝えいたします。
現行制度では、夫と死別したときに「30歳未満」の妻で、原則18歳年度末までの子がいない人への遺族厚生年金は5年の有期給付です。
(一方、現行制度では、妻と死別したときに55歳未満の夫には遺族厚生年金は支給されません)
これが、今回の改正により、令和10年4月1日以降は、配偶者と死別したときに60歳未満の夫または妻で、原則18歳年度末までの子がいない人への遺族厚生年金は原則5年の有期給付となります。
ただし、原則18歳年度末までの子がいない「妻」が残された場合には、
有期給付となる要件である「30歳未満」という年齢要件が現行の「30歳未満」から令和10年度末時点で「40歳未満」となり、その後20年かけて段階的に引き上げられていき、最終的には「60歳未満」となります(有期給付の対象となる妻は、平成元年4月2日以後に生まれた人に限られます)。
ざっくり言えば、もともと「夫+専業主婦」の世帯を前提とした制度・男女で受けられる給付が全然違う制度であったものを、改正後は、共働き世帯を前提とした制度・男女で受けられる給付に差がない制度に20年かけて変えていく、というのが今回の改正法の趣旨です。
(現在、40歳以上65歳未満の、原則18歳年度末までの子のない妻についてだけ、要件を満たせば遺族厚生年金に加算されている中高齢寡婦加算も、25年かけて新規受給者の加算額が段階的に減額され、最終的には廃止されます。)
改正により、配偶者と死別した60歳未満(令和10年度末時点では40歳未満)の人で、原則18歳年度末までの子のいない人に支給される遺族厚生年金は、(「前年の年収が850万円未満」(現行の遺族厚生年金の原則的な収入要件)であるかどうかを問わず)、5年間支給が原則となります。
その後、自身の老齢基礎年金や老齢厚生年金を受給できるようになる65歳までは働いて生活を成り立たせることができるように、有期給付を受けている5年の間で生活を再建してください、という趣旨です。
昔と異なり共働きが一般的となり、配偶者と死別後も働き続けることができる労働環境となってきたことが背景にあります。
ここで、インターネット上の記事では、改正前も改正後も遺族厚生年金額を同じ額として試算されているものがみられますが、
この事例での、
・改正前の終身給付の遺族厚生年金の年額は、亡くなった夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)
×3/4でよいのですが、
・改正後の有期給付の遺族厚生年金は、「夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)×3/4」に「有期給付加算」が加算されますので、年額は約1.3倍に増えます。
そして、有期給付加算付きの有期給付を5年間受けた後も、所得状況や障害の状態によっては、最高65歳になるまで継続給付(遺族厚生年金+有期給付加算)が続きます。
つまり、5年間で生活再建ができないようなケースについては、配慮策が用意されています。
その他、死亡分割制度も創設されます。請求により、亡くなった配偶者の婚姻期間中の厚生年金保険の標準報酬月額等が遺された人に分割され、将来の老齢厚生年金額が増えることとなります。
今回の遺族厚生年金の改正案を含む改正法案の
概要は、厚生労働省のHPで公表されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html
また、「遺族厚生年金の見直しについて」というページも厚生労働省HPに設けられました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00020.html
この中で、遺族厚生年金の改正について最も重要なことは、次のようなケースでの給付は、
改正後も影響はない、ということです。
・令和9年度末までに遺族厚生年金の受給権が生じていた人
・60歳以上で死別した夫・妻
・原則18歳年度末までの子がいる間
・令和10年度に40歳以上になる妻
その他、原則18歳年度末までの子のある人が配偶者と死別した場合の遺族厚生年金についてもSNS等では、「5年で遺族厚生年金は打ち切り」「配偶者が亡くなった後、子が高校を卒業したら遺族厚生年金は打ち切り」などのデマがみられます。
しかし、令和10年4月1日以降に、原則18歳年度末までの子のある人が配偶者と死別した場合の遺族厚生年金は、子が原則18歳年度末に到達してからさらに5年間支給(有期給付加算あり)が原則となります。所得状況や障害の状態によっては継続給付もあります。死亡分割制度もあります。
また、今回の改正法には、遺族基礎年金等を改善するための以下の改正(令和10年4月1日施行)も含まれています
・現在受給している人も含めて子の加算額を引上げ
現行:第2子まで234,800円・第3子以降78,300円→改正後:一律281,700円(いずれも2024年度価格の年額で表示)
・子に支給する遺族基礎年金について、遺族基礎年金の受給権を有さない父母と生計を同じくすることによる支給停止に係る規定を見直し
これにより、親の離婚・再婚等、子自身の選択によらない事情によって遺族基礎年金が支給停止されることがなくなります。
昨年もお伝えしましたが、改正による影響がない方は、今回の遺族厚生年金の改正報道をみて不安に感じる必要はありません。
雑誌やSNS、WEB記事、テレビ等では、できるだけ多くの人に「これは大変だ」と思わせて注目を集めるために情報が利用されているという面もあると思いますので、それらに惑わされないように十分ご注意ください。
また、(あってはならないことですが、)改正と関係のない人に対しても、遺族年金が5年しかもらえなくなると不安を煽って、生命保険や金融商品のセールスを行う事例が出て来るかもしれませんので、こちらにもご注意ください。
(ポイント)
● 令和9年度末までに受給権が生じていた人、60歳以上で死別した夫・妻、原則18歳年度末までの子がいる間、令和10年度に40歳以上になる妻に支給される遺族厚生年金には、変わりがない
●今回の改正には子の加算額の引上げや遺族基礎年金の改善なども含まれている
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